第210話 トライト王国復活
210話を投稿します。
退院後は元気だったのですが、今になって調子が悪くなり投稿が遅れてすいません。
この世界の情勢も動き出している様です。
旧マーリック魔法王国の王都トリダーニ。王女マリーシアが座る王座の間。
「マリーシア様、今日もご機嫌麗しく・・」
「もうよい機嫌取りは、今日は女神様の元に行き神託を授かり戴冠式であろう」
「はい、新生女王様についてまいります」
王女マリーシアは帝国領土西のツール要塞都市に人質として幽閉されていたが、第5師団第5偵察隊と第5戦車連隊の奮闘によりツール要塞都市は陥落し、領主であるドメル・スタンニ公爵は捕えられ屋敷に幽閉されていたマリーシア王女は救出された。無論第5特科連隊第3特科大隊第5特科中隊が砲撃による城塞破壊などの支援攻撃を行った結果である。
当時10歳の王女マリーシアは領主屋敷の地下で迫りくる爆音と振動に恐怖を覚えていた。
第5偵察隊が領主ドメル・スタンニ領邸を包囲し武装解除を行った際に、地下室に幽閉されていた王女を救出していた。事情聴取を行った後に自衛隊によりトライト島の王都トリダーニに送り戻されていた。
「今日は戴冠式、お父様、お母様、立派にお勤めさせて頂きます」マリーシアは今日、王女から女王になる日であった。
今から2年前に突然帝国第1艦隊が攻め込んできて、マーリック魔法王国は魔法による抵抗をし、アトラム王国にも支援の使いを出したが、間に合わず帝国の武力の前には無力であった。
帝国は王女を捕らえ、王と妃を公開処刑しマーリックの国民に帝国に対する忠誠を求めた。
王女はその為の人質であった。当時まだ8歳であった。
マリーシアはハイエルフが住んでいる女神教の教会に向かい朝の礼拝を行っていた。
『マリーシア、行きましょう』
「はい女神様」
マリーシアと女神3人は馬車で王宮に戻り、謁見の間にて旧マーリック魔法王国の貴族と共に戴冠式を行った。
『これでマリーシアは新生トライト王国の女王となりました。皆の者、王国復興する事に全力を求めます』
一同は「謹んでお受けいたします」
ハイエルフは女神として王国復興を命題としている。
ハイエルフは女王となったマリーシアとその家臣を見回し、不穏な者がいないか確認する。
『良いでしょう。マリーシア国民が待っています』
「はい、女神様」
王宮のバルコニーに出た女王マリーシアとその後ろに女神が3名、国民に向かい宣言をする。
「皆の者、女王マリーシア様ご登壇」
王宮バルコニーに集まった国民は一斉に頭を下げ膝間づく。
「皆の者良くぞ集まりました。帝国によりマーリック魔法王国は滅亡させられ、父と母が処刑された希望もない属国になり下がりました。しかし日本のお陰で私は戻り、女神様のご加護により神命を授かりました。これからは国の為に働きたいと強く思います。女神様の加護を受けて新トライト王国は復興を成し遂げられると強く思います。協力を頼みます」
一斉に歓声が上がる。
ここにトライト王国が建国された。
帝国による弾圧も無くなり、以前同様な自由と魔法の国が戻るのだと国民は歓喜して喜ぶ。
マリーシア女王10歳ではあるがハイエルフである女神様の加護を強く受けて女王として復活したのである。
マリーシアは手を上げて鎮める。
「皆の者、女神様はこれからは我らを導いて下さる。よって新生トライト王国は「女神教」を国教として制定する。皆女神様に感謝を忘れない様に」
一斉に国民は女王の傍にいる女神様達に祈りを捧げる。
トライト王国としては女神教を国教とする事に成功した様だ。
女王マリーシアは、アトラム王国との協定を復活させ、魔法研究も研究所を復活させて研究を開始させた。国内は概ね女神教に反発もなく受け入れられていた。
何しろ以前は女神像を崇拝するだけの形骸化していた女神神殿も今は女神様が実際に住み、神託を受ける者もいるので女神教は定着している。
また、隣のリル島は旧マーリック魔法王国領であったが、リル島の住人に独立かトライト王国に属するか住民投票させ、結果トライト王国を従う事を選択した。
ハイエルフ1人はリル島の旧女神教神殿に住み、リル島の国民に対しイキガミとして女神教を改めて浸透させていった。勿論リル島とトライト島間の貿易は活発化している。
・・
「スメタナ王。旧マーリック魔法王国領からの使者が参っており、新生トライト王国として以前と同様な協定締結を求めております」
「ご苦労タイラグ宰相。してトライト王国とな」
「はい、王は子女であるマリーシア様がなられたとの事、しかも女神様のご加護で王国を復興するとか」
「そうか、日本が王女を解放したのは知っているが、建国まで早いな」
「それとスメタナ王、暗部から報告が入っています」
スメタナ王はトライト王国からの使者から話を聞き、「前向きに検討する」と返答し送り返す。
「ではタイラグ場所を変えて報告を聞こう」
スメタナ王とタイラグ宰相は以前旧マーリック魔法王国からの支援によって作られた結界部屋に入っていく。
この部屋は盗聴や念話など、あらゆる諜報活動を阻止する事ができる。
「早速報告を」タイラグ宰相は狭い部屋に入りスメタナ王を座らせる。
「うむ」
「日本に潜入させた暗部と宗谷特別行政区に潜ませた獣人達からの報告です」
タイラグ宰相は一息ついて
「そして重要な内容なのですが、ドルツとの戦争が終結したそうです。勿論日本側の勝利で南司令が神と対話し、ドルツを元の世界に戻したそうです」
「日本ならあり得るな」
「そして・・・神との対話にて日本が準備出来次第、元の世界に戻ると言う事です」
「なに、不味いな」
「ええ、世界平和に貢献した日本が戻ると言う事は旧帝国勢力が復活する可能性が高いですね」
「そうだな。帝国と我が国の戦争は日本介入により自然終結したのに再燃する可能性があるのか」
「はい、そしてハイエルフ達との会議を北極で行い、平定の為にハイエルフを「女神」として女神教を布教する計画だそうです」
「なんと女神様が戻られるのか」
「その様に聞いております」
「そうか、我が国としても女神教を国教とする事にしよう」
「ええ、ハイエルフ様については神殿をどの様にしますか、サービウエル島の神殿を使用しますか」
「いやもっと王都の近くに神殿を作る事にする。そして王家自ら管理をしよう。前回の様な失敗は許されないだろうと思う。今回こそはしっかり管理するとしよう」
「はいその様に手配します」
「うむ」
「国内状況ですが、ハイエルフ様達は我が国にも戻られた様子でサービウエル島は既に浄化され、ハイエルフ様は戻られたと報告が来ております」
「そうか、女神様が戻られたか、して、王都近くのはぐれハイエルフ様はどうした」
「今だ発見できません。結界があるのか思考誘導されているのか近づく事も・・・」
「うむ、今しばらく調査は保留して、私が自らサービウエル島に向かい女神様に会うとする、して王都に来て頂いてはぐれハイエルフ様を説得して貰うように交渉しよう」
「はい、日本からも同様な連絡が入っております」
「して、問題は日本がなくなる事だな」
「はい、重大な問題です」
「うむ、どうするかだな。だが手はあるのか」
「今のところはなにも」
「そうだな。日本の動向は最重要だな。更に暗部を送り些細な情報も集める様に頼むぞ」
「承知しました。日本と旧帝国領内と宗谷特別行政区にも直属の暗部を送りこみます」
スメタナ王は日本がいなくなってしまう事に危機感を、いやスメタナ王だけではない、この世界に日本と言う突然現れた国によって、つかの間の平和が齎され、今それが壊れようとしている。
・・
日本国内で行われた緊急内閣会議。
「進捗状況はどうですか」首相が高野防衛大臣に聞く。
「現在日本が元の世界に帰還する事を隠して手配しており、進んでいません。特に旧帝国領土の防衛隊については発足間もない事もあり、訓練すら試行錯誤の状態です」
「訓練は自衛隊式を踏襲すると考えていたが、困ったな。魔物も共生している旧帝国領土において国民生活防衛は急務だな。自衛隊が引き上げる事も現状は無理か」
「はい、武器等供与の問題もあり、なんとも進んでおりません・・」
「ハイエルフの皆様にお聞きします。各地の女神教についての布教について問題はありませんか」と首相。
『今は順調だと聞いています。ですが旧帝国については宗教自体が否定されてきた経緯から、時間がかかるとの事』
「そうですか、旧帝国領については古代遺跡があると聞いています。自衛隊で補修しますのでそこを使えませんか」
『それは伝えておきますが補修次第ですね、それよりも新たに作られては』
「高野防衛大臣、それも考慮に入れ検討して欲しい」
「はい、検討します」
「南司令官、南大陸大変ご苦労をおかけしました。暫くはゆっくりしてください」
「有難うございます。ですが残務がありますのでしばらくは防衛省にて作業を続けます」
「そうですか、ご苦労様です」
「ハイエルフの皆さまは何かお困りのことはありませんか」
『今は南さんのお考え通り進めたいと思いますが、必要があればお伝えします』
「そうですか、遠慮なさらず申し付けてください」
『配慮感謝します』
「次に国会対策と国民周知についてお願いします」それまで無口であった佐野官房長官が伝える。
「そうですね。ですがハイエルフの皆さまと南君吉田君は疲れているでしょ、正式に内閣閣僚会議を開催し、そこで話し合うとしましょう。今日は南大陸遠征隊の成果と旧帝国領土における自衛隊報告を聞く為ですからね」
「承知、早速招集します」佐野官房長官は切り替えた。
ハイエルフと南、吉田は首相官邸を後にする。
残された首相以下呼ばれた大臣は別室待機となり、不在の大臣達と政務官に招集がかかる。
ありがとうございます。
次回投稿から少しでも早くする様にします。
10月4日に抜糸です。やっと風呂に入れる・・・