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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
214/251

第209話 宗谷特別行政区で

退院して初めての投稿です。

よろしくお願いします。

 吉田と南そしてハイエルフが首相官邸に呼び出され、秘密裏に緊急内閣会議が行われている同時刻・・・


 宗谷特別行政区では

「なぁエルビンよ聞いたか、何でも日本は元居た世界に戻るらしいぞ」

「俺も聞いたぞワシム。何でも南大陸を陥落させた時に神と約束したらしいな」

 狼族のワシムと犬族のエルビンが休憩時二人で離れて話していた。


「そうだ。船乗りの友田と言う日本人船員が話していたらしいぞ」

「そうか俺はまた聞きだから誰がと言う事は知らん。だが日本が居無くなると、また帝国での悪夢が蘇る。俺たち獣人は奴隷に戻るのかとも思う」

「日本はそんな事にならない様にすると言っているらしいが、旧帝国のやり方を覚えている俺は信用できないぞ」

「俺もそう思う。奴隷を使い捨てして利益を貪っていた貴族共が復権を唱える事など容易に想像できる」


「だとしたら、女神様も危険ではないか。元貴族共に捕まり利用されるぞ」

「そうかもな。俺たち獣人などは奴隷として元の生活に戻るだけだが、女神のハイエルフ様はどの様な仕打ちが待っているか」

「エルフ達も、また奴隷に戻る事など望んではいない筈だしな」

「俺はサリエラが心配だ」

「そうだな、元通信奴隷のエルフは利用価値が高いからお前の婚約者は気を付けるべきだと思う」


 犬族獣人のエルビンと元通信奴隷エルフのサリエラは、この宗谷特別行政区でも珍しい異種族カップルである。

 特にエルビンは宗谷特別行政区に来てから港湾労働者として正当な給料が支給され、宗谷特別行政区の南側に家を建てる計画もあり、家が完成したならば結婚する予定でもある。


「なあエルビン、お前は婚約者のサリエラと共に南に逃げたらどうだ。日本がいなくなれば確実にこの宗谷特別行政区は狙われるぞ。特に日本がなくなればここが大陸東の要となる。新大島からの果物などがここに集積されているからな。旧帝都でも高値で取引されていると聞く」

「だがワシム。逃げても隠れ住んでも旧帝国の脅威から逃れられるか。あいつらは自分の利益になる事にはどん欲だからな」

「それだが・・自分達で帝国に対抗できる武力を持つべきだと考えている。特にトムも同じ意見だった」

「トムってあの警察官のトムか」

「そうだ。日本から指導で宗谷特別行政区の治安維持目的の警察官となったトムだよ。あいつは拳銃を持っている。武力としては弱いが旧帝国の奴らも都市警察を引き込んで反乱するとトムが言っていた」

「そうか。トムが言うなら本当なのかもな。都市警察か旧帝国で唯一日本が持っていた様な武器を所持する奴らだな」


 一時期各都市の治安維持として自警団的組織が作られたが、今は警察組織として各都市警察部隊が組織されていた。


 特に宗谷特別行政区では自衛隊が直接治安維持をしていたが、今は一段落して警察組織が発足している。

 それは旧帝国兵の残党が夜盗化して周辺の村を襲う事態が発生。対抗する為に宗谷特別行政区の警察は拳銃を所持して取り締まりを行っていた。


「そうだ。反乱軍が来る前に宗谷特別行政区は独立国として自立しないとダメだ」

「大きな話になってきやがった」

「だが奴隷狩されていた頃の俺たちではない。こちらも国を興して旧帝国に対抗しなければならないと思う」

「そうだな。前の獣人族ではない事を、そして女神たちハイエルフを守護しなければならない」

「そうだ。旧帝国が来る前に国として力を付けて対抗するんだ」

「そうか。やるか」

「エルビン。ここだけの話だが、獣人族とエルフ族達による独立勢力は動き出しているらしい。表に出てきたらお前どうする。俺は参加するつもりだ」

「俺は・・・サリエラを守れるなら鬼にでもなるつもりだ」

「そうか。覚悟したんだな」

「サリエラの為ならな」

「エルビン。独立の話はここだけにして、サリエラ以外には言うな。特に日本人にはな」

「それは武器を取り上げられるからか」

「それもあるが、日本人とハイエルフには返せない程の恩がある。日本が戻るなら愁いを残したくない」

「そうだな。あの日本人達は獣人だろうがエルフだろうが人として同じ扱いで、初めて生きていてよかったと思った良い人たちだ。俺も恩を感じている。特に奴隷紋を取ってくれたり奴隷から救出してくれて住むところに食事や仕事までも、あの時は嬉しかった」

「俺も同じ思いだ。同じ人間だと思っていたから帝国同様の仕打ちが待っていると思っていた。なのに・・・」

「ああ。奴隷紋を取ってくれたハイエルフと日本人には感謝しかない」

「よいな。この話は内緒だぞ」

「心得た」


 その夜。


「ただいま」

「お帰りなさいエルビン」

「サリエラ、空港はどうだった」

 サリエラはエルフと言う事で空港職員のグランドスタッフとして働いていた。


「今日もお客様でいっぱい。小さい日本人に「ありがとう」と言われた。嬉しかった」

「そうか、日本人は礼儀正しいし旧帝国の様に横暴さがないよな。働いて楽しいのは良い事だね」

「うん。明日も頑張れる」

「サリエラが楽しそうで、俺も嬉しいよ」

「エルビン今日なんか変ね」

「そうかい。いつもと変わらないと思うけど」

「なんかいつもと違う。悩みがあるなら言って」


「そうか、感じたか」

「あなたの顔見ていると、いつもと違うなと」

「サリエラ聞いて欲しい。そして誰にも言わないで欲しい」

「うん」

「俺が港湾労働しているのは知っているよな。実はな港湾関係者の間では公の秘密として・・・日本が近い内に元の世界に戻ると言う噂が流れている」

「えっ」

「ドルツとか言う日本に攻撃した国があるのは聞いている?」

「ええ知っているわ」

「日本は神と会い、ドルツは元の世界に戻された」

「確かそんな噂は聞いたわ」

「それがどうやら事実らしいんだ。ドルツは自分達の世界から神に呼び出されこの世界にやって来た。そして日本人が神と話を付けて元の世界に送ったらしい」

「日本人は凄いわね。神と話をするなんて」

「続きがある。その時日本も準備が出来次第、元の世界に戻る事を神は約束したとか」

「そんな話・・・」サリエラは泣き出した。

「判るよ。泣かないで」

「私、通信奴隷になりたくない。折角女神様が奴隷紋を取ってくださったのに。貴方もそうでしょ」

「ああ。俺も奴隷なんかになりたくない」

「にっ逃げましょう二人で」とサリエラ。

「サリエラどこまで逃げたって旧帝国の奴らは追いかけて来る。ならば港湾関係者の間では宗谷特別行政区を国として独立させようと言う話になっている」

「そんな事出来るの」

「出来るかどうかでは無くて、この平和な生活を守るためにやらなければならない」

「危険ではないの」

「警察も含めて蜂起する手筈となっているらしい」

「警察も」

「そうだ。武器は旧帝国の奴らと同じだ。だから蜂起は成功する」

「でも。貴方が危険な事になるなら私・・・」

「大丈夫だよ。俺はサリエラと平和な生活を守るためならどんな事でもやるさ」

「私は何をしたら」

「サリエラは今まで通り仕事して欲しい。決して日本人には知られない様にして欲しい」

「わかったわ。もし情報が入れば教える。空港は日本人多いから何気ない会話から秘密が聞こえるかもしれない」

「うん。だけど無理しないで普段通りの仕事に徹して欲しい。もし独立蜂起するなら知らせが来る事になっているから」

「うん。無理しない、あなたについて行く」


 そしてそれから1週間後


「あなた。今日空港で日本人が話していたわよ。日本が元の世界に戻るらしいって。その日本人は困ったと言っていたわ」

「えっ日本は戻れるの嬉しいのでは」

「いえ。こちらでは日本は世界一の国家で、だれも日本に逆らえない。しかも日本としても経済は旧帝国やアトラム王国と取引していて潤っているらしいわ。元の世界に戻る事に不安しかないと日本人は言っていたわ」

「そうか。日本は平和維持の為に武力を使ってこの世界に平和を齎したからな」

「他の日本人に注意されていたから秘密なのでは思ったわ」

「日本国内でも秘密か・・・ますます本当に戻るらしいなこれは」

「そうね。同僚のエルフ達も動揺していたわ。中には泣く子まで」

「そうだろう不安しかないよね」

「そうね。通信奴隷は食べ物も与えられない。寝る所も床に藁。そんな生活に戻れない」

「俺も最近思うけど、命が安い奴隷など戻りたい者はいないと思う。貴族が娯楽として獣人を殺したりするのを見て来たからな」

「うん。エルビン私怖い」

「大丈夫だよ。俺が命に代えてもサリエラを守るよ」

「エルビン・・・」


 宗谷特別行政区では日本がなくなる事が真実に近い噂として流れて、その結果、独立組織は活発に動いていた。

 日本はその動きを情報として把握していた。

 宗谷特別行政区でもその他旧帝国領でも武装蜂起は近いとの情報が・・・


 ・・


 ここは大陸西の北、トライト島と呼ばれる旧マーリック魔法王国。

 ハイエルフ達が中心となって旧魔法国復活を指揮している。


 大戦時旧魔法国の王族がどんなに祈ってもハイエルフは人間に干渉する事無く帝国が軍隊にて攻めて来た時もハイエルフは隠れるだけで魔法国はあっけなく占領されてしまった。

 魔法国に住んでいたハイエルフは北極会議への参加後旧マーリック魔法王国に戻り、自ら「女神」として住人達をまとめていた。それには旧帝国の役人たちが日本に帝国が降伏した事もあり、急いで故郷に戻っていった事により、帝国支配は実質終わっていた。

『神から言い渡された。そなた達を今度は導けと』

 女神として降臨したハイエルフは簡単に話をして、日本と神との合意によりハイエルフは皆を導く存在として戻ってきたことを説明した。

 一部の旧王国人は、戦争でハイエルフが隠れた事を根に持っている者がいたが、神から指示だと言う事に納得はしていた。なぜなら過去に神はハイエルフを使って世界を焼き尽くした事を神話としてマーリック魔法王国には残っていたからだ。

「女神様・・お導きください」

『神から魔法王国再興について許可を貰った』

「ありがたい事です」旧マーリック魔法王国の民は喜び女神としてのハイエルフを尊び敬った。

 処刑を逃れていた王族として、帝国の人質になっていたまだ幼い王女マリーシアを擁立し、「トライト王国」として建国を始めていた。

ありがとうございます。

いろいろ不穏な動きがあります。どうなるのでしょう。

誤字脱字が208話で多数確認されています。時間の限り直します。すいません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 ひたひたと日本帰還の噂が不安を呼び(><) 旧帝国での扱いが未だ記憶に新しいだけに絶望感が・・・・ 某青水のバベルみたいに惑星規模で示威行為見せつけられれば『天罰』の意…
[一言] 現実世界でも人の間に根付いたわだかまりはちょっとやそっとじゃ解決しないんだから、生き神様であるハイエルフを女神としてどうにかしようとしても短期間じゃ解決は厳しいだろうなハイエルフの力じゃ帝国…
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