第200話 南大陸撤収 その1
遅くなりました・・
すいません。活動報告にも書かせて頂いた通り血尿については原因が判明したのですが、予測もしていなかった早期ガンが見つかり精神的にも落ち込んでいました。
9月に手術する予定ですが(腎臓1つ取ります)それまでに完結できる様に頑張ります。
「なんとも不思議な経験だった。報告しても信じて貰えるだろうか」と南海将。
「そうですね。私には2時間近くの時間が経過したと思っていましたが、それがたった1分間だったとは。
なんとも不思議ですね。しかもボイスレコーダも記録されていませんし、故障とも思えません」
「吉田海将補、それが「神」との対話ではなかろうか」
「SF好きで、映画では良く見る状況ですが、自分に起きるとなるとこんな気分なのですね」
「それは兎も角、吉田海将補は橋本陸将補(陸戦司令)と打合せして、ドルツに対する支援を加速して欲しい。
私はこの状況について族長殿と共に文書化して報告をしようと思う。伝われば日本は混乱するだろうと思うがね」
「了解致しました」
「では早速、族長殿「いずも」に戻り「神」との会話を再生して文書化お願いします」
『了解です』族長は吉田海将補の真似をしている。
「と言う訳で、橋本陸将補とアルフォート隊長、ドルツをお願いします。私は本国と連絡を取ってドルツ支援について加速を検討したいと思います。よろしくお願いします。吉田海将補後を頼む」
「ええお気をつけて」
「ではハイエルフの皆さん行きましょう」
南とハイエルフはダークエルフ塔の裏に駐機しているオスプレイに乗りこみ「いずも」に戻って行った。
「では、我々はドルツを送り返す手順について打合せしましょう」と吉田。
「いずも」に到着した南は、急ぎ族長に部下を付けて「神」との会話を文書化し、自分は超長距離通信で防衛省に連絡をしていた。
受けた防衛省は高野防衛大臣に連絡を取ると共に、首相と内閣に伝えていた。
・・
「ほっ本当なのか高野君」と当壁総理。
「ええ、後ほど会話の詳細について文書が届くと思います」
「佐野官房長官。どう考える」
「総理宜しいですか、ドルツが先に戻るのであれば「神」と呼ばれる存在がどの様に戻すのかは判明すると思います。また、日本が元の世界に戻るのであれば、この世界秩序を強化する必要があります。
現在は自分達の秩序と言うよりは、日本より強制された秩序により平和が保たれていると思いますので、日本が監視できなくなった時に反動が出るのではと思います」
「佐野官房長官の言う通りだと思う。日本が急にいなくなった場合の混乱は簡単に予測できると思う」
「佐藤外務大臣。アトラム王国とのODAは何処まで進んでいるのか説明して欲しい」
「はい、現在は「魔の森」に討伐隊を派遣して、無害化の最中でございます」
「高野防衛大臣。ドーサ大陸の治安維持については何時までに警察組織に渡せるのかね」
「はい、それについては大枠で警察機構の発足が完了しておりますので、教育期間が完了すると活動できると思います」
「国家公安委員長は、どうですか」
「ええ、概ね予定通り進んでいます。ドーサ大陸の各県毎に警察組織の発足を完了して、説明がございました通り現在は研修期間となっています」
「ほぼドーサ大陸の治安維持については予定通りと言う事で宜しいですか」
「概ねその通りで進んでいます」と佐野官房長官が代わりに答える。
「そうですか。で「元の世界に戻る発表」については少し遅くしたいと考えますが、意見はありますか」
「総理、賛成です。今発表してしまえば各国混乱するだけです」
「そうですね。各大臣はここだけの機密として対処願いますが、戻る前提での準備はお願いします」
「「「了解しました」」」
「高野防衛大臣。南大陸からの撤収についてはお願いしますね」
「総理、その件ですが、ドルツ国を転移させる為には支援を加速して、ドルツ国民の栄養状態を回復させると共に、捕虜としたドルツ高官の釈放を勧めようと思います」
「高野君にそれは一任します。ドルツを転移させるべく先に手当をお願いします」
「はい、早速進めさせていただきます」と高野防衛大臣。
・・
防衛省に戻った高野防衛大臣は、南大陸遠征隊に対しドルツ捕虜の解放と転移支援を加速する事を通達している。
「南司令。命令書が届いております」と執務室で「神」との会話をまとめた文書を見直していた南に、参謀から連絡を受ける。
「ふむ。全権委任か、ドルツ捕虜解放ね」と南。
「当然と言えば当然ですね。ドルツ捕虜を残す事は彼らが不幸になるだけです」と参謀。
「吉田君は何時戻るのかね」
「先ほど連絡を受けまして、現地での打ち合わせは終わったとの事で、迎えの機は発進しております」
「よし、戻り次第会議を設定して欲しい」
「了解です」
・・
「吉田戻りました」
「ご苦労。高野防衛大臣から命令書が届いた。作戦会議をする」
「聞いております」
二人は艦内の作戦指令室に向かうと急ぎドルツ転移に関する作戦会議が始まった。
「諸君。ドルツ転移に関して新たな命令書が届いた。
南大陸遠征隊からドルツ転移作戦本部と名称変更し、目的をドルツ転移とする。
東海岸から即時撤収し、陸戦本部はボン港に移設する。
また吉田海将補はハイエルフ達を連れ、フルート基地に作られた捕虜収容施設に出向きドルツ捕虜の選定を頼む。首相が適任者だと思うが、反逆可能性のある者は拘束してドルツに引き渡す」
「はい了解ですが、ボン港で港湾協力の捕虜達はどうします」
「そうだな。荷揚げは続くが我々だけで行う。元捕虜達は全てドルトムントで病人や怪我人の救済に当てて欲しい」
「了解しました」
「では急ぎお願いする」
「参謀達は、作戦参加艦艇で戻す事が出来る艦は日本に戻して欲しい」
「フルート基地の第1水陸機動連隊に下命。東海岸からの撤収確認及び捕虜移送。その後首都ハイデルバーグの確認と本部のボン港移設を進めて事」
「了解しました」
「これにより、南大陸の北及び東地区から全てボン港に移設を完了させる。
ドルツ国民は全てハイリン及びドルトムントに移し、転移準備をさせる」
「族長殿よろしくお願いします」と南。
『わかりました。一つだけお知らせがあります。
他のハイエルフ族は移動を開始しました。元居た地に戻る予定です』
「了解しました。世界秩序にハイエルフ族は欠かせません。各地に戻ったとしても族長の思念は「神」を通じて連絡ではきますか」
『いい難いのですが、この世界の治安はダークエルフから私に受け継がれました。
よって各種族に連絡は可能となりました』
「それは私たちにとって都合は良い事になります」
『そうですか。それでは吉田さん行きましょう』
吉田海将補は捕虜としたドルツ兵士や高官を解放すべく「いずも」からフルート基地に向かうオスプレイに乗りこむ。
発艦作業を艦橋で見守っていた南は、「いよいよだな」と呟く。
ありがとうございます。
日本もドルツも転移に向けて動き出します。
やっと第3章に入りました。予定では200話で完結する予定だったのですが・・・