第199話 ダークエルフの塔へ その3
お待たせしました。
体調悪くて中々書き足せなく、遅くなりました。
お断り:途中別の話を足して作ると書きましたが、元に戻しました。予定通り進行させます。
南海将と吉田海将補はダークエルフ塔の3階で話のすり合わせをしていた。
「ですが、南海将、中国と韓国、それに北朝鮮が海底基地を作ろうとしているのは看過できません」
「それはそうだが、神が何とかすると言った手前、我々が何か動きをする事は控えた方が良いと思う。
それにしても、海底基地と言う事は日本列島があった場所は海だと言う事だと思う」
「それ私も思いました」
「そうだな、いきなり戻ると、基地を潰したとか因縁付けられる可能性があるな」
「ええ、中国の事ですから、われわれの海だとでも言いかねないと思います」
「そうだな。近接海域に埋立地でも作られて基地化されると南シナ海の二の前だな」
「勢力争いが複雑化します」
「そこに我々が戻ると第三国達に大義名分が出来て侵犯が活発化すると思われる」
「航空自衛隊と我々海上自衛隊の活動が忙しくなることは目に見えます」
その時、レイナが鏡の様な出入口から出て来た。
「神がお呼びです」
二人は無言で入り口に向かって中に入っていく。
レイナはその後ろからついていく。
抜けた先は見慣れた白い空間であった。
「すまぬ。ヒビーナとニビーナ達の話は終わった。次はそなた達の話をしなければならない。
先に言っておくが、ドルツは元の世界に戻すことにした。
今のままでは生活も経済も窮する事は明白、なのでダークエルフを移転の責任者として任命した。
日本軍も現地救済を切り上げて、早々に日本に戻る事を勧める。
再転移に巻き込まれると助けられんぞ」
「ですが、ドルツ国民救済は始まったばかりです。
いま救済を止める事は、病気等で苦しんでいる者達を見捨てる事になります」
南は力説した。
「ふむ。お前達は軍事力を使い、ただ退けるだけでなく国民救済までに及ぶ支援は感心している。
それを踏まえて、戻すことにしたのだ。この部分転移は元から私の失敗だったと考えている。
軍事力だけで、国力を疎かにした転移をさせる事で、食料や医療の不足が起きた事は想定外だった。
結果、現状復帰させる為に戻す事にしたのだ」
「解りました。そして転移はどの位にしますか」
「直ぐにと言いたいのだが、日本も引き上げる予定があるのだろう。
だから何時と言うより、ニビーナに言って欲しい。報告があれば直ちに転移させる」
「では、1か月以内を予定させて頂きます」と南は妥協した。
「先ほども言ったが、ニビーナに言って欲しい。
さすれば、ヒビーナに転移準備させ、我が転移させる」
「手順は了解しました。我々の撤退が終了次第、族長に言って頂きます」
「宜しい。さて次はこの「ブルーガイア」についてだが、そなた達の言うダークエルフはドルツ転移の責任者として動いてもらうが、それ以後はニビーナ達に世界の管理を託した。
よってドルツ転移後はヒビーナに冥界の管理を専念し、ニビーナ達にこの世界の変化を報告させる。
北極に集めたニビーナ達も、元の土地に戻す事にした。
よってそなた達にも親しいニビーナ達も元の土地に戻る」
「族長たちは、世界の管理者になると言う事ですか」
「簡単に言うと、そう言う事だ」
「私たちは神から新しい役目を受けました。
私たちは世界の管理と言うより、変化を見つける監視者として生きます」
族長は不慣れな発音で語る。
「うむ。それで良い。ニビーナ達には日本との絆に感謝している。
よって最終判断は我が行うが、世界の行く末を監視させようと言う事だ」
「我々がこの世界の安定に貢献できた事は光栄に思います」
「そうだな。その功績を考慮して日本と言う国を元の「アース」に戻す事を決めた。
これはニビーナ達の強い要望でもある」
「族長が・・要望されたと言うのですか。ありがたい」
「うむ。日本を巻き込んで世界平定を画策した事に対して、本来我々だけでしなければならない事を巻き込んで成し遂げたと言っても、それは日本の不幸の上に成り立っていると言われてな。
確かにその通りなんだが。そして考慮した結果、元に戻す事を決めた」
「ですが、先ほど「アース」はいろいろ動いているとか仰っていましたが」
「それは我が何とかする。時を戻す事はできないが現状を変える事はできるのでな。
日本が戻ったら少し世界情勢を日本に良くしてやろうと思う」
「まっ待ってください。ドルツの南大陸以上に日本は進出しています。
ドーサ大陸やアトラス大陸に同胞は散らばっています。
戻るならこれを日本に戻すと同時に、現在行っている大陸の開発も終結させなければなりません。
また、族長の村をはじめとするドーサ大陸東地区の自治権を持たせなければなりません。
時間がかかると思います」
「それはそうだろう。だが転移は一回だけだ。それ以上は我でも難しい。
それと期間を決めて我にそれをカウントさせるつもりか。
我はそんな細かい作業はできん。何しろ世界を60も管理しているのだからな。
細かく言うと、並列意思1つで60の世界を管理している。
この並列世界は無限に生まれる。だから我の並列意思も無限に対応しなければならない。
だから一つの事で時間を取られる事は無理がある。
先ほどと同じ様に準備が出来たらニビーナに言ってくれ。
それを受けて我は日本を再転移させる。それで良いな」
「分かりました。準備期間を頂けるなら戻る準備をさせて頂きます。
もちろん我々が戻った場合でも各大陸や各国に平和的解決が出来る仕組みづくりを進めます」
「うむ。期待している」
「はい、その為にも一度各ハイエルフ族とお会いしてお話できればと思います」
「それはニビーナに任せる。そうだ。一度北極大陸で話し合うと良い
今、そこに居るニビーナに起動権限を与えた」
「はい受けました」透き通った声でハイエルフ族長は答える。
「南海将さん、回廊を使って北極に行けます」とハイエルフ族長は南を向いて言う。
「了解しました。では今回の事を北極大陸で伝えます」
「それは必要ない。今までの会話は全てのニビーナに伝わっている。
そなた達は、これからの世界についてニビーナ達に説明して、各役割を伝えて欲しい。
内容はそなた・・南と言ったか、そなたに任せる」
「これは重大な任務ですね。日本としてはハイエルフ族を宗教頂点とした組織を作りたいと思います。
それがこの世界の宗教基盤として平和維持に役立つと思います。
私たち日本国としても転移後に戦争が起こる事は本意ではありません」
「南とやら、任せると言っておる」
「了解しました」
「これで話は全てだ」
突然南たちとハイエルフはダークエルフの塔3階に戻された。
「うむ。夢の様だなこの体験は」と南。
「ええ、誰も信じてくれないような気がします。
一応レコーダで録音していましたが・・・あれ、何も記録されていない」と吉田。
『大丈夫ですよ。神の言葉は、私が再生して伝える事ができます』
族長は思念で答える。
「その時はよろしくお願いします」と南。
南海将は吉田海将補に向かって、「一刻も早くドルツを転移させる為に急がないとな」
「ええ、急ぎドルツを戻しましょう」
「あっ吉田海将補、この会話を文書化できるか、しないと信じて貰えないのではないかと思っている」
「記憶だけでは無理かと思います。ですが族長殿に手伝ってもらえば可能です」
『協力します』
「是非お願いします。話が多岐に渡っているので複雑で、それと我々がいない間の話も必要なのでお願いします」
「うむ。最初は下で待っている海兵隊フォースリーコンのアルフォート隊長と第1空挺団長橋本陸将補に伝えるとしよう」
「ええ、ドルツ救済には必要ですね」
「早速行くとしよう」南は2階に降りていく。
待機していた、第1空挺団調査班に後を任せてさらに下って外に出る。
アルフォート隊長と橋本陸将補は待っていた。
「お早いですね。お二人が入って行って1分も経過していませんよ」と橋本。
「うむ。どこから話して良いやら。我々には1時間にも感じたのだか。いや実際には1時間以上かも知れない。とにかく不思議な体験でした」と南。
「一分ですか・・」吉田は圧縮された時間に驚いた。
「簡単に説明すると、神と呼ばれる存在との対話はできた。そして幾つかの約束をしてきた。
最初はドルツを元の世界に戻すそうだ。移転までの期間はない。族長に伝えれば神に、いや管理者に伝わり、直ちに転移させるそうだ」
「ドルツは戻れるのですか」
「そうだ」
「我々は」
「その次だそうだ」
「戻れるのですか」と橋本。
「アルフォート隊長も聞いて欲しい。我々の準備が完了次第、ドルツと同じ手順で戻れるそうだ」
「素晴らしい」
「実際には国会で説明しなければならないから、それまでは秘密にして欲しい。
それに我々が戻るにしても、この世界が混乱してはいけない。
その為のルールを作り、それを定着させなければならない。
これは大仕事だよ」と南。
「補足すると。ハイエルフを巻き込んで秩序作りを全ての大陸に行う必要があります。
なので我々はどこかのタイミングで北極大陸に行き、ルールをハイエルフと共に作る事を求められています」
「難儀ですね」と橋本。
「ですが、この世界で我々の行ったことが無駄な事ではなかったと思う秩序回復が必要だと思います」
「了解です。国会での発表まで機密扱いします」と橋本。
ありがとうございます。
次から第3章に入ります。