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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
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第195話 ドルツ救済とダークエルフ

遅くなりました。

作者の状況については「あとがき」で説明します。

 ボン港から陸路でのドルトムント輸送は、途中の決壊した道に81式自走架柱橋が2箇所かかっているが、誘導の隊員も常駐している為に混乱はない。

 また、復路はLCACの迂回用に作った森林を切り開いた道を使用する為に、渋滞もない。


 こうしてドルトムントへの輸送は陸路と言う強力な輸送手段を確保して行われ、大量の物資がドルトムントの少し郊外に物資補給所に、診療室、風呂、食堂などがテント張りであるが完成し、ドルトムントに避難している住人に対して日夜問わず救援が続いている。


「それにしても、途方もない量だな」

「ええ、これだけの物資を、先を見込んで用意していた南大陸遠征艦隊には頭が下がります」

「そうだな。我々陸戦隊と違い、戦争終結後の状況もその考慮対象に入っていたと言う事だな」

「ええ、我々は前線で戦う事で精一杯でしたからね」

「そうだな、戦後処理などという考えは一切なかったな」

「ええ、役割ですから仕方ないです」

「そうだな。だが同胞とは言え、ここまで考えている南大陸遠征艦隊司令や幕僚達には感謝だ」

「海上自衛隊だからでしょうか」

「それもあると思うが、これだけ戦後の状況を正確に把握している事に驚きだな」

「はい、同じ自衛隊員として誇りに思います」

「うむ。そうだな。さて作業を続けよう」

「司令、街道工事が終わり、本日中に施設隊がドルトムントに集結します」

「早かったな。ここでは難民用のテントなど街づくりを根本的に計画する予定だ」

「そうですね。この街も賑やかになると良いですね」

「そうだな。この難民達の顔も明るくなって欲しいものだ」

「仰る通りです。それに河川の灌漑工事も並行して、「ハイリン」の農場も再開させるとの連絡も受けています」

「自給自足できるようになるまでは日数かかるから、それまでは我々の出番が続くぞ」

「覚悟しています」

 佐々木陸戦副司令と幕僚の会話は終わり、作業に戻って行く。

 現在ボンでの陸揚げは揚陸指揮艦である「ブルーリッジ」に移管され、衛星会議室も充実している為に、南海将以下主席幕僚の吉田1等海佐も「いずも」からブルーリッジに移っている。

 橋本陸将補陸戦司令も「かが」から、このブルーリッジに移り、ドルツ難民救済本部として荷下ろしや日本政府に対する支援物資要請等に働いている。


 ・・

 ハイエルフ達は一通りのドルツ兵尋問を終えて、今はボン港にある豪華なホテルに滞在している。

 ある意味、体力を削り思念ばかり使用したハイエルフ達に休暇として用意した日本政府の思いやりである。

 ボン港は郊外の防衛航空基地や、ドルツ兵が立て籠った修理ドックを除いてほとんどの街並みは無傷であり、港特有ののんびりした気配があった。

「うーーん」ミーナはホテル4階の窓辺で大きく伸びをする。

「お疲れね」とレイナ。

「うん。族長以下みんな疲れていると思うわ」

『そうですね、少し』と族長も疲れている様だ。

 なにしろ、この12名のハイエルフ、日本語ができるミーナ、レイナ、リナを捕虜尋問の責任者として、族長以下4名はダークエルフ宮殿調査の責任者となり、残りのハイエルフも分担して尋問に立ち会っていた。

 上陸してから休みも無く働いていたのだ。


「ねっ族長。自衛隊からは3日間の休みが伝えられています。港町ですから美味しい物食べて、休みましょう」とミーナ。

『あなた達は元気ですね。私は生物は食べられないのでゆっくりしますよ』

「あっそうだった」

「まったくミーナは自分の事ばかり」とリナは少し怒っている。

『いえ、みんな良くやりました。残るは・・・』

「ええ、ダークエルフですね」とレイナは言うとハイエルフ一同に更なる緊張が走る。


「ええ、どうなるのやら想像もつかないです」とリナ。

『まだ南さん達はドルツ国民救済で忙しいでしょうから、先になりますね』

「族長の言う通りです。今は体力回復、気力回復に務めましょう」とリナ。

 ハイエルフ達は、ボン港にやってくる緊急物資を積み込んだ貨物船からの陸揚げで混乱する港を眺めている。

「これで店とか開いていたら買い物行けるのにね」とミーナ。

「でも出歩くと「女神様」とか言われて囲まれるのはいやだな」とレイナ。

「ここはダークエルフ様の地でしょ、そんな事は」とミーナ。

「いやダークエルフはドルツの民を捨てて隠れたから、私たちに向かってきても間違いでは無いと思うけど」とリナ。


『そうですね。リナの言う通り「救いを求める者は神に近い存在であれば崇める対象」となると思いますよ。現にほら』

 ドナがノックされ、ドルツ女性兵士が女中の姿で入って来た。

「ハイエルフ様、ケーキとお茶のご用意が出来ました」

「うわ。楽しみ。ミトラも一緒に食べましょう」とリナ。

「いえいえ滅相もございません」とミトラと呼ばれた女性兵士は謙遜してテーブルにケーキとお茶を並べる。

「ミトラは隊に戻らなくて良いの?」

「はい、隊は全滅し元司令部からはハイエルフの皆さまにご奉仕する様に命令されています」

「隊が全滅したなら難民のいるドルトムントとか言うとこに行けば良いのでは。家族とも」

「あっ、こちらに転移した時は、隊で転移したので家族は元のドルツ「ハイデルベルク」におります。

 なのでドルトムントに行っても家族には会えません」

「ごめんなさい。辛い事聞いて」

「いえ、それよりこうして女神様にお会いできて心より嬉しく思います。一生懸命ご奉仕する事が私の天命だと思っています」

「ありがとう。ミトラ」

「いえ、お困りごとがあれば何なりと、日本軍からもハイエルフ様へは最優先で対処する様にと申し使っています」

「ありがとう。ミトラも適当に休んでね戦争は終わったんだから」とレイナ。

「はい」元気に返事してミトラは退出していく。


 ・・

「ほら街中出てもあんな感じなら疲れるよ」リナは改めて言う。

「しばらく外出も無理か」レイナも諦めたようだ。


 ・・

 ボンの陸揚げは「ブルーリッジ」が揚陸指揮艦となり、荷物の分別や優先順位をキッチリやってくれる。

 南海将と幕僚、それに橋本陸将補陸戦司令を加えた自衛隊南大陸侵攻艦隊と陸戦隊は、揚陸隊司令官サマーズ准将も同席する。

「しかし、サマーズ准将、このブルーリッジは凄いですね。遠征艦隊の第7艦隊において旗艦を務める事が可能な装備は日本にも欲しい限りです」

「そうだと思います。日本は軍構成の根本的思想が専守防衛ですから、遠征などと言う事は今回限りなのでしょうが、このブルーリッジの最大の特徴はその強力な通信能力です。衛星通信会議から作戦全部を表示される事も可能です。それが遠征艦隊の宿命だからです」

「仰る通りだと思います。「いずも」「かが」の各司令本部は急造でしたからね。こんな衛星会議システムも積んで欲しかったと思います」


 その時係官が「all contact now」と告げる。

 上陸後初めての合同会議が、これから開催されるのだ。


 メンバーは首相をはじめとする内閣安全保障会議メンバー、防衛省からは防衛大臣以下各幕僚長、そして米軍代表として赤坂にあるアメリカ大使館とそこに集まった在日米軍司令官などそうそうたるメンバーであった。


「議長の当壁です。これから南大陸遠征艦隊成果確認並びに南大陸平定会議を開催します。メンバーは日本から安全保障会議メンバーを代表して内閣各大臣、そして自衛隊からは防衛大臣以下各幕僚長、そしてアメリカ軍として臨時総司令本部となったアメリカ大使館、アルフレッド・ハリソン大使と極東軍司令官のジェリー・マクドネル中将が参加する」


「高野防衛大臣です。これまでの経緯をお伝えします」

 日米同時通訳にて、南大陸侵攻までの戦闘について伝え、現在はドルツ国民救済に舵を切っている事、そしてドルツ現地での自給自足は半年以上は無理だとの情報が伝えられた。


 ・・

 説明が一区切りついたところで、総理は防衛大臣に質問する。

「そう言えば高野防衛大臣。例の「ダークエルフの塔」はどうなっているのか教えて欲しい」


「はい、難民救済に100%尽力していますので、まだ調査も開始していません。その根拠はタークエルフが帰還した兆候が見られない事。ハイエルフ達は体力を削って思念を行う為に休息が必要な事の2つがあげられます。ですがドルツ難民救済に目途が付き次第、例の塔を調査する予定です」


「ダークエルフは大変危険な存在だと聞いている。大丈夫なのか」


「はい、実際に調査するとなれば、アメリカ海兵隊武装偵察部隊、通称フォース・リーコンにも協力を頼みたいと思っています」

「それについてはどうですか、アルフレッド・ハリソン大使」

「私としてはマクドネル中将が受けるなら、何も言いません。支援はするつもりです」

「はい、要請に従い協力します」マクドネル中将が発言する。


「ありがとう。自衛隊を代表してお礼を述べます」と高野防衛大臣。


「よし、高野君、そろそろダークエルフ攻略を計画して欲しい。この終結を持って南大陸侵攻作戦は完結したと判断する。ただし引き続きドルツ国民に対する支援は、別組織「ドルツ国民救済団」が継続する」


 官房長官の佐野が発言する。

「はい本日付けで、「ドルツ国民救済団」が発足します。

 基幹官庁は内閣府とし、農林水産省、経済産業省、そして厚生省が配下として支援を継続します。

 また現地コントロールとして陸上自衛隊に権限を委譲します」


「これでよろしい。皆は質問意見ありますか」と当壁総理。


「移管は何時にしますか」と高野防衛大臣。


「事前会議が必要なので1週間後と言う事で宜しいか」と佐野官房長官。

「了解しました。それまでの間自衛隊と海兵隊が協力して「ダークエルフの塔」及びドルツ首都宮殿の警備を実施します。また現地自衛隊については交代要員の派遣を実施します」

「こちらも了解した。そしてダークエルフ塔の攻略は1週間後としたいが宜しいか」

「はい、それだけあれば大丈夫だと思います。ただ」


「ただ、なんです」当壁総理は聞く。


「ただ、現地塔を調査する過程において、「神」と呼ばれる存在とコンタクトを取る可能性があります」


「そうだな。その「神」と言う存在がこの世界に日本を移転させたと言う噂があるが」


「多分ですが、「神」との対話をしなければ真相は判明しませんが・・その現地責任者を」


「ふーむ。賢く「神」との対話でも真実を聞き出せる人物だな」

 ・

「高野防衛大臣。現地指揮官で信頼のおける者を推薦して欲しい」

「はい難題ですが、今回の遠征艦隊を見ている限り、私は南海将に一任したいと思います」


 声にならない声を「うっ」と南海将は出してしまった。


「そうか、南司令だな。遠征隊や陸戦隊の犠牲者を最低限に抑えた知将だと内閣にも伝わっている。

 それで問題ないだろう。彼なら日本、いや日本と各国の国益を考え交渉してくれると期待する」


「いや、あの、「神」との交渉は問題ありませんが、懸念しているのはその先です。

 素直に日本や協力してくれる米国軍を、元の世界に戻して頂けるのか、そして元の日本が無くなった世界は戦争などに発展していないか、問題は大きいと思います」と南は必死に説明する。


「うむ。そうだな。だが結局誰が対話しても方向性が出なければ意味がない事である。

 それに我々はこの世界で生きて行けるだけの基礎力はもう充分であると思っている。

 残るは元の世界に戻るだけだと思っているのだが」


「ですが、当壁総理、また「神」が途轍もない要求をしてきた場合も想定しませんと」


「途轍もない要求か・・・あり得ると思うな。だがその先に戻れる確証があるなら条件次第だが受け入れても良いと思っている」


「そこまでの御覚悟ですか。判りました、不肖南、微力を尽くし、日本及び関係国の代表として交渉係を務めます」

 

「はは。そこまで力を入れないで交渉して欲しい。なにしろ「神」との交渉など神話以来の事だからな」


「はい」


「この方向で進みますが、ハリソン大使も宜しいですかな」


「元の世界に戻れるなら問題はありません」


「ありがとう、支持してくれて感謝する」と当壁総理。

ありがとうございました。

いよいよ「ダークエルフ」や「神」との対話が出ました。

作者状況ですが、4月より小水が茶色くなり、「疲れ」かなと思っていました。

投稿は頑張っていましたが・・・・

5月に入り12日位から濃い茶色に変わり、20日には・・「これ鮮血」と思う程に血が出ています。

よって21日に泌尿器科に行き、見て貰いましたが・・・

「じゃやりましょ」と言われ、訳もわからないまま尿道に麻酔をされ、最初内視鏡を入れました。

痛くもあり、膀胱が小水でいっぱいなった様な変な感じが続き、これ血栓だらけで見えないので「洗浄」します。となり、内視鏡を抜きカテーテルで膀胱内を洗浄し、再度内視鏡を入れました。

「炎症は見えないですが、膀胱としてはおかしい所が初見されます」と言われ、CTにMRI検査を予約しました。

家に戻り灰色に燃え尽きたのですが、HPが0のまま過ごしました。

日曜に投稿できるかなと思っていたのですが、体力は回復せず、気力も0の為に用意はするのですが(書くために)結局書くことが出来ずにいました。

本日月曜にどうにか体力も1割程度、気力も20%位まで回復したので投稿した次第です。

皆さん。尿道内視鏡やカテーテルは体力を大きく削られます。

私は結局3日間何もする気力が無く、同時に体力も無くなりました。

これから尿道に何かする場合は体力、気力回復の期間を作る事をお勧めします。

また、検査の結果不明であった場合は精検(生検)の為に入院が必要との事です。

トホホ以外ありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 200話達成おめでとうございます 身体に無理が掛からない範囲でこれからも頑張って下さい [一言] 神との対話で帰る事が出来る事になっても 現地民との交流がかなり進んじゃったから 色々な障害…
[一言] 更新お疲れ様です。 &200話おめでとうございます!! ドルツ支援も佳境に。 居ないダークエルフより、今支援してくれるハイエルフさん^^ いよいよ塔攻略へ!! 待ち受けるのは果たして? …
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