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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
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第19話 南西諸島の戦い2

第19話を投稿いたします。

いつもありがとうございます。


 ハイエルフの里の近くで捕らえた、男たち5名と負傷者2名は第3普通科連隊第2中隊の野営地に連行されてきていた。ハイエルフの里から族長に来ていただき、北部方面警務隊第119地区警務隊から派遣されている隊員と共に事情聴取を行っていた。


『おまえたちはどこから来た』


 冒険者たちは怯えていた。エルフと聞いていたのだが、ここにはハイエルフがいる。冒険者の中ではハイエルフに手を出してはならないとの暗黙のおきてがあった。

 それはハイエルフの容姿は綺麗だが強い思念を持ち、近づいた冒険者、特に捕らえようとする者は、その思念により、気が狂わされてしまうと、それは一生治らない、ハイエルフにあったら死ぬしかないと、言い伝えにあった。それが目の前にいる。恐怖以外の何物でもなかった。


 冒険者のみんなは怯えて震えている。


 ロイは勇気を出して、答えた。

「私はチロル地方の都市、バーグの冒険者をしているロイといいます」

『おまえたちは何しにここまで来たか』

「私たちは、領主のハイデルバーグに言われて、昔チロルの森から逃げたエルフを探しに来ました」

『うそだな、うそを言えばどうなるのかわかっているな』

「そ、そ、それは・・・すいません、すいません、殺さないでお願いします」

『本当のことを正直に言いなさい。それともお前の頭を直接覗こうか、死ぬぞ』

「そ、そ、それだけはご勘弁ください」


『なら全て言いなさい』

 警務隊の隊員3名も同席していて、できたばかりのポケット翻訳機から翻訳される日本語を聞いていた。

 すべては録画されてもいるのだが。


 ロイが言う。

「はい、領主のハイデルバーグから、エルフを捕らえて奴隷として差し出せば金貨30枚もらえると「おふれ」が町中に出ていて、100人の冒険者と2ヶ月前に50年前の足跡を追ってきました」

 別の冒険者が怯えながら

「本当にエルフと聞いていたのです。まさかハイエルフだとは・・・」


「冒険者の間ではハイエルフは魔性の者として手を出してはならないとの言い伝えがあります」

「ハイエルフと知っていればこんな事はしなかったのですが」


『なら、エルフ達や獣人たちは捕えたり殺したりしても良いのか』

「すいません、すいません」「殺さないでお願いします」冒険者達は口々にあやまる。


 警務隊員が言う。

「族長殿、ドーザ大陸の情報を聞きたいのですが」

『了解した』


『おまえ達、大陸の情報を言えば、殺さずにおいてやる』


 警務隊員は殺すとか物騒な話だが、族長のやりたいようにさせた。

 なにしろ、理不尽にエルフや獣人を捕らえ殺すような犯罪者だから、多少の痛い目にあっても良いかなと思う、なにしろ日本人や自衛隊員ではないのだから。ここドーザ大森林地帯では人権は無いに等しいし。

『つぎにお前たちの町や村、領地などの情報を言え。言っている限りは助けてやろう』言う事が無くなったら殺すのかと一瞬、警務隊員は思ったのだが、心に留めた。

「はい、はい、なんでも言います」とロイとは別の冒険者が言い始めた。


 要約すると、ハイデルバーグ領は寂れ、辺境部隊も100名程だという事。

 しかも、チロルの森からエルフや獣人がいなくなった事で、野獣や魔獣が多くなり、ハイデルバーグ領の作物や人的被害も多く、冒険者が一稼ぎできるとの話が伝わって、自分たちは来たと、そこにエルフ捕獲の話が出て乗ったとの事。


 ドーザ大陸はスルホン帝国が支配しているが、人間至上主義で人間以外の権利つまり人権に類するものは皆無、しかも見つけ次第、獣人は殺しても罪には問われない。エルフを捕まえれば大儲けできると。

 スルホン帝国の皇帝ガリル3世は、大陸の向こう側にあるアトラム王国と大規模な戦争を行っており、スルホン帝国はじり貧であると噂されていると。

 そこで、ドーザ大陸の南の半島を領地とするソミリア伯爵が旧式船をしたたて東にある島に向かい、そこの獣人を戦争の最前線に送るべく捕獲に行ったらしいと。スルホン帝国は獣人を殺しすぎたのだ、人間だけでは人員が足りなくなってきたらしい。これがスルホン帝国が負け続けている原因らしい。


 スルホン帝国の貴族階級は皇帝、公爵、伯爵、男爵とシンプルで、兵士は戦場で活躍すれば一代ではなく、永遠に爵位を貰い、子孫にも継がせることができるそうだ。これによりスルホン帝国の兵士はどの国よりも勇猛だと、評価は相手を殺した数だと言うから野蛮な国だなと思う。


 スルホン帝国は元々魔法を使えない人間の国だったようで兵士の勇猛さと、鉄の砲軍艦による戦術で他国を占領して領地にして大きな国を作ったらしい。その衛星国は17国、軍隊は軍艦5,000隻、300m級もあるらしい、陸軍は1,000万人にもなると言われているが、実際には500万人の軍団らしい。それでも強大な数である。

 スルホン帝国の軍団は剣と槍と盾が主流で、近代兵器は大砲に攻城武器兵器らしい、機動力は馬である。また一部には馬引きの戦車もあるらしい。鉄砲も一部にあるらしいが冒険者たちは見ていないらしい。


 一方、アトラム王国は魔法を主に使い、獣人にドラゴンなどの魔獣も従え、鉄の船から空飛ぶ魔物の攻撃により、スルホン帝国を圧倒しているらしい。海中には海獣がいて、木造船なら簡単に穴があけられてしまうらしい。両国は海を挟んで動力船で約10日の距離があり、簡単には攻め込むことはできずにいたらしい。海上勢力はアトラム王国が優勢、一方地上軍はアトラム王国が50万人らしいが、獣人や魔物を含めると、500万人にも匹敵するらしい。あくまでも噂だが魔法で動く鉄の馬車がある、大砲を撃ってくるらしいと聞いた。戦車かなと思う。

 アトラム王国は女神信仰らしいが、スルホン帝国は実力主義の弱肉強食であり、死んで天に召されるかだけの無宗教らしい。エルフは女神様を獣人は太陽神を信仰しているらしい。ハイエルフはと思うが基本無宗教らしい。不思議だ。


 スルホン帝国とアトラム王国はもう30年も戦争を行っており、その他の国はどちらかの勢力に加わって、2大大国を作っていて、それぞれ戦争に参加しているらしいと聞く。


 貴重な話を聞いた。

 早速関係各所に調書を送り報告していった。


 警務隊員はロイ達冒険者を誘拐未遂の罪で起訴して旭川駐屯地内の収容所に送った。大陸語翻訳機が完成したなら、地方裁判所にて裁かれ、一般刑務所に送られる手順となっていた。



 南西諸島での海戦に話を戻そう。

 100m級木造砲艦2艦への砲撃を行った海上自衛隊は、再度SH-60J/K哨戒ヘリコプターにて、試作翻訳機の大陸語で帝国兵士に警告をだす。

「海上自衛隊である、直ちに引き返しなさい」とまた3回繰り返す。

 またまた弓矢が飛んできた。旗艦に報告し高度をとって監視を続けた。途中空に向かって大砲も撃ってきたが、1,000mにも届かない。この頃にはF-35Bは戻っていった、貴重な燃料を消費はできない。


 再度の報告を聞いて遠山海将補は「やはりな」と椎名首席幕僚と顔を見合わせた。


 いよいよ攻撃の時が来た。


 椎名首席幕僚は広げた海図を見ながら、遠山海将補に具申した「遠山海将補オーソドックスに戦ってよろしいですか」

 遠山海将補「こちらに損害が無ければそれで良い」言質を貰った。


 「よしやりましょう」椎名首席幕僚は第5艦隊司令の有明1等海佐と海図にて協議に入った。

 海戦戦術は単純だ、艦隊を縦列陣形にして、間に旧型艦の2艦を挟み5インチ砲のDDG-173「こんごう」、DD-115「あきづき」にて相手の大型帆船を2/3程沈める、DD-108「あけぼの」、DD-109「ありあけ」と旧式艦は3インチ砲にて小型帆船を中心に攻撃し、これは4/5に攻撃して最後に上陸部隊を連れ帰ってもらう。

 なにしろ62口径76mm単装速射砲『3インチ砲』つまりオート・メラーラ76mm砲は1分間に55発程度、最大で100発も撃てる。対してDDG-173「こんごう」の54口径127mm単装速射砲は1分間に45発程度、DD-115「あきづき」の62口径5インチ単装砲では1分間20発が最大であった。

 うまく行けば敵上陸隊も一掃されるはずと。残った帆船は乗員救助させるつもりであった。平行に行き過ぎるまで砲撃を続け、予定の撃沈数を超えるまで行う。


「戦闘用意、旗艦を先頭に戦闘隊形を維持、目標割り振りは「こんごう」艦長頼む」と有明1等海佐が各自衛艦に連絡。「こんごう」艦長はCICにて「船務長『副艦長』艦隊目標割り振りを頼む」艦長が「砲術長日頃の訓練の成果を示せ」「アイアイサー」「水雷長、魚雷発射管始動」船務長『副艦長』は艦隊に目標割り振りを戦術情報処理装置に艦識別番号とカーソルで目標敵艦を囲って、入力していく。イージスシステムは本来目標の自動割り振りを行うのだが、目標が多く、範囲で対処艦を決めていった。「こんごう」のイージスシステムベース4改修7は第3世代の戦術情報処理装置を持つ旧式艦のOYQ-5から比較的新しいOYQ-9までに戦術目標を伝えていく。各艦は割り振られた目標範囲を次々と砲撃していく手筈になっている。


「こんごう」艦長が「各艦指定艦列を維持、対象10km距離固定、指定位置につきました」

 遠山海将補が「対水上戦闘開始」と合図を送る。第5艦隊司令の有明1等海佐が「総艦砲撃開始」との合図で敵艦隊から10kmを維持しつつ固まっている敵艦に対し、縦列の6艦からつぎつぎ砲弾が放たれ敵帆船を沈めていく。


 ソミリア伯爵に頼まれ、寄せ集めとはいえ1,000隻を数える艦隊司令として指揮を執ることになった元スルホン帝国第3艦隊司令のトーマス2世は、最初簡単な仕事と思っていたが、突如現れた「日本国海上自衛隊」と名乗る変な飛ぶ乗物から呼びかけがあり、落とすつもりで弓矢を射かけた。突然2隻の大型艇が大破、沈没した。相手の艦艇はまだ15km以上離れている。こちらの砲は旧式だが最大4km飛ぶ、がまだ撃てない。相手が4kmに近づくまで我慢だ。我慢できない奴が撃っている、後で牢屋だな。


 相手が10km程に近づいたと思ったら、あの小さい砲で撃ち始めた。10kmだぞなんでつぎつぎと沈められていくのか、不思議で仕方なかった。帝国の最新砲でも最大で10kmだ、しかもほとんど当たらない。だから帝国は300m級の砲艦を片側に最新砲が60門に旧式砲120門、新たに開発した対ドラゴン用に対空100門両舷『りょうげん』併せて560門とバカでかい砲艦を作ったのに、確かに今の相手も150m級ではあるが、あんな小さい砲で沈められるわけはないと思っていたのに、撃つたびに僚艦が沈む、しかも撃つ速度が早い。あれでは逃げられない。

「あっ」トーマス2世は気づいてしまった。

 相手はこちらを一発で大破炎上させるが、同じ艦に2発は撃っていない事を、そしてこの旗艦「エミリア」の周辺の100m艦や80m艦が次々沈められている事を、わざと「エミリア」を外しているのかと思ったら恐ろしくなった。「なんだこんなの、ありえん」トーマス2世は自我が崩壊寸前だった。彼の戦闘常識では測れない相手がいるのだ。逃げ出そうと指令を発しようとしたその時


「我々は日本国海上自衛隊だ、無駄な抵抗はやめて、速やかに上陸部隊の回収と他艦乗務員の救助をしなさい」と呼びかけられた。トーマス2世は膝から崩れ落ちた。


 旗艦「こんごう」の操舵ブリッジ、遠山海将補が「満点だ」と言う。

 予定通り大型艦の100m級80m級は300隻から100隻を切って80隻しか残っていない。

 50m級は3インチ砲の受け持ちだったが、砲撃の衝撃で僚艦を巻き込んで沈んでしまった艦が相次いだ。結果700隻を超える隻数が80隻になった。つまり6艦で840隻も沈めたことになる。

 椎名首席幕僚は「90点です」「目標を外したのが2つ」「同艦同士衝突で沈んだところに砲撃を3つ」「全部で5発無駄にしました」「それに予定より沈めすぎました」余裕である。


 こうして海上自衛隊の海上戦闘は突然始まり、突然終わった。


 トーマス2世は言われた通り、上陸部隊を回収、他艦の乗組員を救助していた。

 心が折れていた。


 旗艦を「こんごう」とする危機対処艦隊は180度回頭を行い、敵艦がおかしな真似をしないように監視するのだった。

次回日本は領土拡大するらしいです。どうなるのでしょうか。

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