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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
194/251

第189話 当壁総理記者会見

第189話を投稿します。

当壁総理の記者会見ですが・・・爆弾が・・

投稿遅くなってすいません。酷い肩こりで右手のひらがしびれて作業が進みませんでした。

先生には「運動不足」だと切り捨てられました。ははははは。


「南司令、日本からの第4次補給船団は予定通り明朝ボン港に入船します」

 幕僚は報告をする。

「して、日本へのドルツ国敗北連絡は伝わったかね」

「はい、DRTSが打ち上げた無線中継衛星が日本から南大陸上に3基回っております。大丈夫だと思います。衛星回線を経由して通信は届いている筈です」

「そうか、具体的なリアクションが遅いようだか。気のせいか」

「理由は解りませんが、ドルツ敗戦は届いている筈でして、防衛省や政府のアクションはまだです」

「そうか、どちらにしても近くに何かを知らせてくるはずだろう、覚悟だけしておくか。そうだ「ドルトムント」の状況も連絡しているな」

「はい、ドルツ国については首都と終戦合意条約、そしてボン、ハイリン、ドルトムントの実情を静止画と動画で送ってあります」


 その頃日本政府では防衛省経由で入って来た情報からドルツとの終戦協定締結とドルツ無条件降伏が、そして各都市の悲惨な状況が入っており、このドルツの惨状に対し、どこまで支援するのか、それは政治的にタイミングを計って発表となる事にすることが得策なのか駆け引きの材料にされていた。


 防衛省内の情報本部から持たされた分析情報から、ドルツ国民は全体的に飢餓状況であり、病気や怪我に対する治療の為の組織が壊滅している事が知らされている。

 国連は現世では機能していないが、統合幕僚総監部からドルツ国民救済計画が発案され、各総監部を通り、防衛会議に掛けられようとしていた。


 これは政府発表と別であり、防衛大臣からは内閣に伝えられていた。


 政府発表13時。


「お集まりいただき有難うございます。また、同時に全国中継を行っております」広報の司会が伝える。

 ・

「ではお時間となりましたので、内閣総理大臣当壁よりドルツ国との戦いについてお知らせをさせて頂きます。またご質問は当壁総理の報告後にお願いします」


「当壁総理お願いします」


「お集まりいただき有難うございます。日本として非常に重大かつ緊急な課題についてご報告されて頂きます。お時間は取ってありますので、ご質問は活発にお願いします」

 一呼吸おいて

「では重要事項をお伝えします。

 現在日本はドルツとの交戦中でございます。

 先にお伝えした通り、ドルツによる不法上陸及び国民を人質にするなどの非道なやり方に対し、私は交戦を決定し、国会承認を取り付けてドルツのある南大陸に向けて遠征艦隊を送り出しました。

 これは防衛の為の艦隊とドルツを降伏させるための陸戦部隊を構成し、現在は南大陸に上陸しドルツ首都である「ハイデルバーグ」を占拠し、結果としてドルツ首相であるハインリッヒ・ベトーラゼにより終戦協定が昨日締結されております。

 つまり4ヶ月にも渡ったドルツとの戦いについて終わりを迎えた事をご報告いたします。

 非常に喜ばしい事ではありますが、その元凶となったダークエルフについては所在確認できておりません。

 なお、現地調査及び捕虜に対する聞き取りを実施しました所、理解には苦しみますがダークエルフは冥界に行っており現世にはいないと言う事が判明しております。残念な事であります。

 この結果、ダークエルフが戻った時に終戦協定が破棄される可能性はありますが、日本としてはこの条約締結によって様々な問題解決を図っていく所存でございます。


 また、陸戦隊によってドルツの民衆が置かれた処遇が入って来ております。


 これは戦争以前より続いていた事であり、我々がした仕打ちではありません事を先にお断りしておきます。


 ドルツ国民の現状については、戦費優先の為に医療やインフラが劣悪であり、これは軍優先の政策によるものであると思います。

 ここに我々はドルツ国民を救済する為に必要な食料や医療支援を実施する事を決めました。

 戦った相手ではありますが、国民に非はありません。

 ダークエルフなる絶対指導者による政策によるものである事だと判断しております。


 現在ドルツ国全体を日本が掌握しており、戦争状態は完全に終戦しております。


 日本も転移直後は食料や工業資源について不安定でありましたが、現在は安定しており、他国支援の余裕が生まれております。

 賛否両論あるとは思いますが、先ほど申し上げた通り国民に非はないと信じております。


 日本国民の皆様におきましては、ドルツ国民救済について御理解をお願いいたします。

 このままですと、終戦直後の日本より悲惨な状況にドルツは陥るために必要な施策であると思います。

 ご理解を促すために、現地陸戦隊より送られてきました動画及び静止画を内閣府が1分程度にまとめておりますので、ご覧頂ければと思います」


「では会場を暗くして上映いたしますのでご覧頂ければと思います」と司会が説明する。


 ・・上映が始まる。

 東海岸から陸戦隊が上陸し、フルート基地陥落、首都とボン港占拠。

 その後にジャングルを進んでいくと、ハイリン町にはいる。途中の街道は水浸しで池が道路を塞いでいる。

 ハイリンは簡素な木造住宅が並び、簡素な畑に小麦が実っているが、数えられるほどの数で国民を潤すまでの量はない様に見える。

 続いてハイリンの病人や怪我人が収容されている建物(町長家)が移ると「オッ」とかの声が記者から漏れる。あまりの悲惨な状況である。


 さらに映像は街道を通り、ダークエルフの塔を通り過ぎで、「ドルトムント」の街に入っていく。

 灰色のコンクリート造りの街に閉鎖している商店が並び、唯一開いているスーパーにカメラは入っていく。

 棚だけが並んで商品は少ない。特に食品棚には品物が並んでいない。

 カメラが外に出ると、避難民が住んでいる建物を通り抜け、病人や怪我人が収容されている建物に入っていく。すると、ただ大部屋にベッドもなく床に寝具を敷いて寝かされているだけの病人が唸っている所をパンしていく。

 次に上の階では怪我人などが血だらけの包帯を巻いただけの状態で床に寝ており、一部にコバエが湧いている所も写されている。

 ナレーションが「ドルツムント」に収容されている怪我人病人は約220名になるとハイリン合わせて300名近い人々が救済を待っていると伝えた。

 所々に自衛隊がドルツ国民を治療している様子や幼児にミルクを与えている映像も流れる。


 ・・会場が明るくなる。

「では当壁総理引き続きお願いします」と言って総理に引き継ぐ。


「ただいま見ていただいた物は、捏造でも映画でもありません。ドルツ国民の現状であります。

 私も何度か見ておりますが悲惨な状況に涙を禁じえません。

 確かにドルツ国は日本に不法上陸し、日本国民を危険に晒し許せる存在ではありません。

 ですが・・・ドルツ国民は見て頂いたように悲惨な状況で生活しており、難民救済の視点からしても支援せざるを得ません。

 そこでドルツを占拠し、終戦協定を締結した南大陸遠征艦隊に対してドルツ国民救済の為の作戦開始を指示させて頂きました。

 ご理解及びご協力をお願いいたします。


 また、ダークエルフなる者が冥界よりドルツに戻った場合には、ハイエルフの協力により捕らえる事にしております。ドルツ国と更なる戦火を交える事は無いと断言いたします。

 是非日本国民の懸命なご判断をお願いいたします」と当壁総理の発表は終わる。


 記者一同は、悲惨なドルツの現状を見て、何も口を開けない状況で3分が経過する。


「はい、毎朝新聞の崎本でございます。総理に質問よろしいですか」と静かに記者は発言する。

「どうぞ。毎朝崎本さん」と司会が振る。


「はい、見せて頂いた映像が鮮烈な物で、言葉を失っておりましたが、日本政府はドルツ国民救済を決断されたと言う事、具体的にはどう言った支援や救済をお考えですか」

「では総理」

「はい、お答えします。見て頂いた通り状況は深刻で、一刻も早い支援が必要だと感じております。

 そこで現在は遠征艦隊司令官の判断により支援を実施しております。

 それは食料、衛生環境、そして医療です。

 ですが遠征艦隊の手持ちでは不足が確定しておりますので、日本政府としては、ドルツ支援船団を組織して、日本からの支援物資を送り届け、それを遠征艦隊及び陸戦隊にてドルツ国民救済に使用して頂く事を考えております。

 その為と言う訳ではありませんが、遠征艦隊に対する物資送付を10日前に実施しました。

 現在はその資材の一部を使用して救済に使用している訳でして、次の支援については国会でご採決後に実施いたします。

 また、重病人等につきましては「いずも」をはじめとする遠征艦隊に備え付けられた医療施設をフル活用して救済していきたいと思います。これについては米国大使館とも協議をしまして、米海兵隊旗艦のブリーリッジなどが協力頂ける事になっています」


「はい、朝朝新聞の柿崎です」

「どうぞ」

「総理質問させてください。今回の戦いはドルツ国の一方的で不法な戦いの結果として大陸まで行き終戦を締結したわけですが、ドルツ国民救済まで実施しては国費を使い、日本にとっては拠出するだけの相手で、見返りと期待できないと思います。

 それでも救済を実施する意味をお答えください」

「はい、先に実施した帝国に対する攻撃も終戦締結し、現在は隣人として平和な交渉に開発も行っております。

 ドルツはスルホン帝国よりも高度な文明を持っておりますが、それは軍事だけに限った事であります。

 先ほど見て頂いた通り、ドルツ国民は悲惨な状況でも生活し耐えております。

 日本としてはそれを人道的に見過ごす事はできません。例え直前まで戦った相手だとしてもです。

 それとドルツ国は軍事だけは近代化しており、その製鉄技術は目を見張るものがあります。

 つまり、ドルツ国を救済する事で日本も我が国が失ってしまった製鉄技術を再度手にする事が出来ます。

 それだけではありません。佐賀沖での海戦で使用した大型船建造技術も、我々がこの世界で物流を活発化させる為に必要な工業力であると思います。

 この世界では、ドラゴンや海龍などと言う未知の生物がいる事は御承知の通りだと思いますが、我々日本の建造技術だけでは有効な対処ができていません。

 これにドルツ国の戦艦製造技術が合わされば民間船団を構成する事も可能となり、アトラム王国や旧帝国に南大陸を含む世界の半分以上を繋ぐ事が可能となります。

 なにより、ドルツ国が積み上げた軍事力を民間に転移させる事により、日本が独自に行っていた政策についても加速する事が可能と思います」


「はい、質問させてください。読朝ジャーナルの常坂です」

「どうぞ」

「一番肝心な事についてお聞きします。

 ダークエルフが絶対指導者として君臨していた南大陸、いやドルツ国についてなのですが、

 我々が入手した情報ではダークエルフの塔がその為のキーであると聞いてます。

 そこでは神との対話ができるとか。

 結論を申します。

 神と対話して我々を元の世界に戻すための交渉はするのですか。しないならドルツに対する救済も理由があると思いますが、交渉するのならドルツが元に戻るまでの時間が無いと考えます。

 どの様に判断しているか説明して頂けますか」


「はい・・・」


「はいご説明します。どこから情報が入ったのか不明ですが、確かに南大陸にはダークエルフの塔なる物があります。ただそこは未調査です。理由はダークエルフが戻った場合未知の力と戦闘になるからと言う事と、我々人類にとってその塔を活用する事がどの様な弊害が発生するのか不明であるからです。

 それと、その塔はハイエルフの協力なしに調査する事はできません。


 ドルツ国救済は我々が元の世界に戻ろうが、やらなくてはならない事だと人道的観点から思います。

 決して損得で救済を決定したわけではありません。


 また、「神」との対話は、必ずやらなければならない事だとは認識しております。

 ですがお考え下さい。

 神と対話できたとして、戻れる保証はございません。

 対話が可能なら、その様に話を持っていくつもりですが・・・神が何を思ってこの世界に転移させたのか、そしてダークエルフを使ってなぜ戦争を起こしたのか、我々も考えなければならない事があります。

 これは簡単な事ではありません。間違えれば一瞬で我々は消えてしまう事もありえます。

 この点を踏まえて慎重に調査し、ハイエルフとの協議を重ねて良い方向に持って行けばと思います。

 ご理解をお願いします。決して明るい結果ばかりではない事を」


 この記者会見で日本は大騒ぎとなる。

 神の塔が存在し、そこでは神との対話が可能だと・・・・

 だが総理の言った通り、良い結果だけがあるとは限らない。

 なぜなら、日本を転移させる事ができる存在が、単純な考えで転移や戦争を起こす訳がないからだ。

 この事が切っ掛けで、転移慎重派と単に戻りたいと思う楽観主義派に分かれた。

ありがとうございます。

日本は戻れるのでしょうか・・・心配です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 一連の戦闘終息も、肝心の首魁が雲隠れでは今後非正規戦の恐れが(><) 神の思惑も不明で、今後の日本の政策も両者の行動&思惑に左右されそうですね。 次回も楽しみにしてい…
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