第182話 ボン軍港制圧作戦 その1
第182話を投稿します。
ボン攻略が始まりました・・・
非戦闘員まで巻き込んでドルツ軍は・・・
誤字脱字報告ありがとうございます。
また、長くなりそうなので2つに別けました。短くなってすいません。
「発令、タイガーシャーク全機出撃準備、完了次第発艦」いずも航空参謀からの艦内伝達が入る。
「対処予定、地対空施設、通常爆弾搭載4、機銃ポッド搭載」と作戦参謀からの捕捉が入る。
「つづいて、タイガー隊全機出撃準備、完了次第発艦、ただしタイガーシャーク隊優先」
「タイガー隊直上警戒、対空ミサイル搭載、予備に通常爆弾2発搭載」
「いずも」艦内では航空隊の準備で一段と喧騒が大きくなる。
整備担当曹長が叫ぶ。
「武器弾薬員、タイガーシャーク01と02は飛行甲板に運べ、03と04は1番格納。
タイガー全機は2番格納。急げそして慎重に装備しろ」
「2号昇降機作動、近くの作業員は退避、クリアー、上昇」エレベーター作業員は点検しながら声出しして操作する。
「タイガーシャーク03と04の準備はどうか」
「装備完了」「給油終了」
「了解。けん引、1号昇降機に」
牽引車に繋いでタイガーシャーク03が搭乗員を乗せたまま昇降機1号に運ばれる。
「1号昇降機降下。待機」
ウィーンと音がして前方甲板に直結している1号エレベーターが下がってくる。
「1号昇降機到着、積み込み開始」昇降機の柵が沈む。
牽引車がエレベーター上にタイガーシャーク03を乗せる。
「牽引車退避、近くの作業員は退避、クリアー、上昇」
巨大なF-35Bを乗せた昇降機がさっきとは違い重量物を運ぶ為に重い音をさせながら上昇していく。
上昇してF-35Bは後方確認してエンジンを起動し、スポット4番に移動する。
「つづいてタイガーシャーク4番機移動」・・・
タイガーシャーク04が上昇した事を確認してリーダーが報告する。
「タイガーシャークリーダー、発艦準備完了」
「いずもコントロール、フライト01、タイガーシャークリーダー発艦許可する」
「タイガーシャークリーダー了解。行ってくる」
タイガーシャーク隊はスポット1のタイガーシャークリーダーから滑走し飛び立つ。
いずも上空で旋回して後続機と編隊組み、一気にボン市内に向かう。
「タイガーシャークリーダーから各機、空挺団を一人も死なせるな」
「02コピー」「03コピー」「04コピー」
F-35Bの4機は対空砲が残っていないか、抵抗勢力が無いかセンサーで計りながら索敵していく。
第1空挺団はボン護衛航空基地の航空機が消えた滑走路に向かって降下を続けている。
基地から生き残りが走ってくるが、上空待機のF-35Bが機銃掃射を行う。
ドルツ兵は機銃掃射で倒れる。
もちろん上空の第1空挺団も狙撃準備に入っていた。
突然、格納庫からⅢ号戦車が2両現れる。
工業都市「クルプセン」通称クルップから送られた新型戦車である。
「タイガーシャークリーダー、敵戦車2両タリホー≪発見≫、攻撃に移る。02続け」
「02コピー」
やがてF-35Bは;対地レーダーに敵戦車を捕らえ、GBU-54(LJDAM)にデータを送る。
F-2A/Bの為に調達したセミ・アクティブ・レーザー・ホーミング誘導(SALH)のスマートボムであるのだが、F-35にも使用可能なため、今回は装備していた。
「タイガーシャークリーダー、アタック02」「02コピー」
上空から2発の500ポンド精密誘導爆弾がⅢ号戦車に向けて放たれ、F-35Bは撃ちっぱなしで他の障害となる対空砲等を探索に戻る。
この時になって格納庫からドルツ兵士が10名程、Ⅲ号戦車目掛けて走り出した。
多分だが、戦車と一体となって、降下中の空挺部隊を殲滅しようとする意図である。
だが、ドルツ兵が戦車周辺に着いたと同時に、GBU-54(LJDAM)は爆発をした。
兵士が爆風で飛ばされ、戦車は鉄くずとなって燃え上がる。
ドルツ軍の戦車はガソリンエンジンの為に高出力ではあるが、よく燃える。
空挺隊員は燃える戦車を見ながら5点着地する。
と同時にパラシュートを畳み、それぞれ指定された制圧目標に対し走り出す。
・・
しばらくして・・・
フルード基地からオスプレイ2機がボン基地の着陸できる場所に到着して、23式指揮通信車(RCV)と本部要員を吐き出す。
簡易なテントと23式指揮通信車により第1空挺団第1普通科大隊本部機能は復活した。
何度もオスプレイが飛来してトラックや81mm迫撃砲L16、中距離多目的誘導弾を吐き出す。
降下した空挺隊員はボン護衛基地の建物へと殺到し、制圧を開始した、至る所で小銃の発射音やときおり、手りゅう弾が破裂する音が聞こえる。
機能が復活した第1普通科大隊本部には次々と報告が入る。
「1-空普-1中2、3小、管制塔制圧」
「普-2中3小、第1格納庫制圧」「普-2中4小、第2格納庫制圧」「普-2中1小、第3格納庫制圧」
「普-2中2小、弾薬庫制圧」「普-1中1小、燃料施設制圧」
ボン護衛航空基地は第1空挺団によって完全に制圧される。
大隊本部は管制塔建物に移動し、全体指揮を続ける。
「第1目標完全制圧、続いて第2目標に移行する」
「いずもCIC了解。引き続き支援する」
続いて、第2目標である港湾施設や造船所の制圧が始まる。
A艦隊は港湾に突入して、細かな対空施設を先陣のDDG-179「まや」が62口径5インチ単装砲で破壊しつつ制圧の手助けをする。ほとんどが土嚢に囲まれた20mm対空砲1門である。
次第に港湾施設からの反撃は少なくなっている。
A艦隊に同行していたLST-4003「くにさき」から2隻のLCACが出され、第1空挺団第1普通科大隊第3中隊と共に上陸した。
ボン軍港は艦船の修理や建造のほかに積み出し施設として大きな接岸ヤードと珍しく物資輸送の為のコンテナを運び入れる為のガントリークレーンを2基備えている。
これを無傷で手に入れる為に第1普通科大隊第3中隊は港湾施設を次々と制圧していく、やがてドルツ兵25名と民間作業員150名を捕虜及び保護して接岸ヤードに戻って来た隊員は、武装解除したドルツ兵を「くにさき」に送り込む。
ドルツ民間人については、一旦「くにさき」甲板で食事と健康診断を実施、その後負傷者は「いずも」に送られ、健康な者は港湾施設の大会議室に集められて食事と説明を行った。
この説明は、各自の意思確認と協力するのであれば解放し、抵抗するのであれば拘束(収容)すると言って港湾労働者であるドルツ国民の意思を問う物である。
現実的には殆どの港湾労働者が協力を申し出てくれた。
それは、この後に実施する農業都市「ハイリン」と商業都市「ドルトムンド」での民間人保護を約束したからに他ならない。
「普-3、目標対処完了」と報告を本部に入れる。
・・
第1空挺団第1普通科大隊第1中隊と第2中隊は一度集結してトラックで巨大な造船用乾式ドックと修理用ドックに向かうと制圧を開始する。
ドック類は巨大な建物が付属しており、そこで造船設計や修理工程検討が行われていた様で、その殆どは「クルプセン」通称クルップからの出向者でありほとんどが民間人設計者であった。
だが、海軍所属将校と思われる者に武器を持たされ抵抗を命令されている。
民間人設計者や造船作業員は慣れない手つきでKar98k操作して、簡易づくり土嚢塹壕から撃ち出す。
民間人設計者や造船作業員約250名は一様に悲壮な表情で統制が取れないままに、闇雲に小銃を撃っている・・・
だが彼らの背後に将校はいない・・・
ありがとうございます。