第178話 ドルツ国首都攻防戦 その6
第178話を投稿します。
大陸の攻略作戦継続が発令されます。
ドルツも何やら秘密兵器があるようです。
誤字脱字報告ありがとうございます。
キーボード買い換えました。USB3.1しか無いゲーミングパソコンにUSB2.0のキーボードは無理でした。
変な文字が入力されたり、大文字にならなかったりでBluetoothキーボードに買い換えました。
自衛隊と海兵隊の混成攻略隊はドルツのフルート基地を接収して航空基地と補給拠点としても機能を復活させていた。
この基地に東海岸陸軍航空基地の設備を転進させて、F-35やコブラの基地としていた。
勿論、対空兵器は脆弱なので、対処する為にF-35はアラート待機(搭乗待機)を実施していた。
南大陸遠征艦隊の総司令である南海将は幕僚とハイエルフを連れてオスプレイでドルツ上空を飛んでいた。
護衛にF-35Bが4機もついている。
「族長、ダークエルフの気配はありませんか」南司令が聞く。
ハイエルフ達は手を繋いでいる。
ミーナが代表して答える。
「今の所はダークエルフの残存思念などを発見できていません。
南大陸に上陸してから幾度も偵察していますが、会敵してから一度も思念を感じていません。
そこで我々は1つの仮説をまとめました。
族長がその知識を活用して結論を出しました。
それは、ダークエルフはこの南大陸にはいない可能性が高いと言う事。
しかも残留思念さえも感じられない事から、例の南大陸北で行った戦いにダークエルフが現れて以後
ダークエルフは冥界に戻ったのではと思っています」
「冥界ですか・・・日本では宗教的概念として伝わっていますけど・・・実在するのですか」
南司令は戸惑う。
「ええ、日本で言う地獄ではなく、別次元で本物の魔物が住まう世界です。
前に防衛省でも説明差し上げたように、冥界は実在しています」
「ええ、レポートは読んでいます」
「本来、ダークエルフは冥界の管理者。
ですが時間も管理できることから神はこの南大陸でドルツの時間停止管理をさせていました。
神の命令により冥界からダークエルフはこの世界に現れ、約1000年以上もの間、この世界の傍観者として神の命令を待ち続けていました。
そのダークエルフの気配は、自衛隊によるミサイル攻撃後に消えてしまいました」
「それは撃退と言う訳では」
「それは無いと思います。死んでいれば新しいダークエルフが生まれ、傷ついていれば強力な再生能力により元に戻ります」
「厄介な能力ですね」
「ええ、前にお伝えした通り、「厄介」です」
「族長の言う通り、冥界に避難していると考えて宜しいのですね」
「我々はその結論に達している。だが冥界から戻る事も可能なのだが、南大陸中央の火山、その麓にある塔からダークエルフのかすかな残像思念と、回廊が形成された特有の波動を感じます。
前に新大島で回廊を発見しましたが、その行き先に南大陸もありました。
その回廊が中央の塔に繋がっていると思います。
さらに言うと、その塔から冥界にも行けると考えています。
ダークエルフは塔に作られた回廊から冥界に戻ったと考えています」
「そうですか、ダークエルフは南大陸にいないと、ですがその塔を閉鎖しないと戻ってこれると言う事ですね」
「その通りです。それに・・・・族長は伝えるか迷っていますが、その塔なら神との対話が出来るのではと考えています」
「えっ神との対話・・・前に神との対話が可能なら、日本は元の世界に戻れる可能性もあるとおっしゃいましたね。衝撃なので覚えています」
「ええ、その通りです。神の意図が解れば戻れる可能性はあると思います」
「なら、ドルツ人も塔に避難を・・」
「それは有りません。前に伝えた通り、神のメダルが無い者は塔に入れないと思います。
その様な制限をつけないと塔はドルツに占領されて、メダルを持っていれば自由に世界の扉を行き来する事ができます。ダークエルフもそれは神の意思では無いと考えていると思います」
「つまり塔も回廊の一部で、ダークエルフとハイエルフの皆さん以外は入れないと言う事ですね」
「ええ、その通りです」
「でしたら、我々はドルツ首都攻略を目指していましたが、その塔を最終目標としましょう」
「そうですね。ドルツ兵捕虜の話では、その塔の近くの街にドルツ国民は避難していると聞いています」
「なるほどドルツ国民の保護をすると言う事ですね」
「ええ、族長の考えではドルツは自分の考えで大陸制覇とか日本攻撃をしていない、それは神の意思により実行された事。ですから非戦闘員の一般国民と投降した兵士は保護をして欲しいと思います」
「お考えは理解しました。本国と協議させてください・・・一つだけ、なぜ神はドルツの役目が終わった時に元の世界に戻さなかったのでしょう」
「それは・・・神にしか解らない事。何か理由があると思いますが、我々には推測もできません。
神は5000年の過去未来を見て判断しています。
我々にはお考えを測れません」
「そうですか」
南海将達は首都「ハイデルバーグ」と攻撃したクルプセン工場群に首都南基地上空を回り、族長が言う「塔」と国民が避難している「ハイリン」をカメラに納めてからフルート基地に戻って行った。
旗艦「かが」第2艦隊に設置された陸戦司令本部
「橋本陸将補、南海将から侵攻作戦「「南大陸侵攻第2号計画(改)」の継続を発令されました」
「よし了解した」
橋本陸将補(第1空挺団)が兼務している陸戦司令本部から、南大陸の陸上部隊全員に対し作戦再開が発令される。
「いよいよ敵首都攻略が開始される。敵も必死であろう、つまりまだ出していない武器兵器があるかもしれない、いやあると宣言しよう。各員充分に配慮し作戦を実施して欲しい。以上。準備を開始せよ」
「南大陸侵攻本部、陸戦本部。侵攻再開を発令。援護願います」
「了解。予定通り航空支援を実施する。以上」
それからすぐに、侵攻作戦の継続が発令され。全部隊に対し進軍が発令された。
フルート基地に対し、F-35Bによる首都爆撃指示が、コブラ隊と海兵隊スーパーコブラ隊に対し侵攻部隊の支援が命令される。
フルート基地は補給などで喧騒が一段と大きくなる。
なにしろ、フルート基地から首都まではたった30kmの距離である。
A艦隊である「いずも」を旗艦する艦隊は南大陸を東周りで南に移動していた。
大陸南に位置する造船街「ボン」を艦隊整備拠点とする為に同時攻略を予定していた。
それは後に南大陸大海戦と呼ばれる戦闘の前触れである。
「よし諸君。首都攻略が下命された。予定通りだ。陸戦本部からも未知の兵器武器を警戒する様に命令されている。諸君なら作戦目的を達成できると信じている。
エンジンに火を入れろ。予定通り出発」
第1空挺団はフルート基地に到着したV-22に搭乗して、首都南基地に降下を予定している。
水陸機動団はAAV7を駆り、首都側面からの攻撃を、第31海兵遠征部隊地上戦闘部隊(GCE)もAAV7を使用して、首都正面からの攻撃を担当している。
フルート基地を接収してから1日で侵攻は再開された。
・・・
ドルツ国首都「ハイデルバーグ」にある最高司令部。
「フルート基地が陥落し、敵はここに殺到すると予想されます。
ハインリッヒ・ベトーラゼ副司令。ご指示を」
「うむ。予想より早すぎるな。
手始めにストラータをボンに行かせ死守させろ。
次に全ての試作武器使用を含めて首都の死守を宣言する」
「副司令言いにくいのですが、ダークエルフ様は出陣されないのでしょうか」
「総司令官は神との対話で忙しいと聞く、我々だけでも首都は死守できると示す事が肝要である」
「はっ失礼しました。各隊に通達します」
「たのむ」
参謀が退出した副司令官室でハインリッヒ・ベトーラゼは「ダークエルフ様お救いください」と祈る。
ドルツ国の各兵力は削り取られ、クルプセン工場群は破壊され、守りの要である首都南陸軍航空基地は壊滅状態であった。
首都には陸軍首都防衛隊の300名と各司令部の兵が各50名、それに首都南基地の生き残りが約100名である。
他にはⅡ号戦車が30両、兵員輸送車に7.5cmleIG18歩兵砲が5門である。
航空機は造船街「ボン」にある海軍防衛航空基地に残る、フィゼラーFi167がたった5機である。
なにより首都南航空基地に配備した最新のメッサーシュミットBf109を200機破壊された事が決定的である。
ハインリッヒ・ベトーラゼは頭をかかえる。
「首都の守りは脆弱だ、これは守り切れるものではない」
最後の切り札としてストラータを出港させ、ボンに置き海上要塞化させようとしていた。
できれば首都近くの海上まで・・・
ストラータは航空戦艦として戦艦の砲塔3基と後部に設置された航空甲板にカタパルトが2本、旧日本海軍が作成した「伊勢」「日向」に通じる所がある戦艦であった。
ストラータは、ボンで作成され最高秘匿戦艦として南大陸の南西にある人工島に隠されていた。
本来は日本上陸作戦に参加する予定であったが、ダークエルフの「必要ない」との一言で秘匿され続けていた船である。
だが、航空兵力が大きく減少している現在、ストラーダが積み込んでいるJu87シュトゥーカA-1の10機は貴重な戦力であった。
こうして両者最終決戦である「ドルツ国首都「ハイデルバーグ」攻防戦」は開始された。
ありがとうございます。
次から激戦が予想されます。