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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
18/251

第17話 不穏な気配

第17話を投稿します。


日本でも、帝国でも悪だくみが進んでいるようです。


 ハイエルフの里は平和であった。『森の悪魔ドラフマ』や『山の悪魔トメス』も陸上自衛隊と名乗る人たちが殺してくれた。なにも怖い物はなかった。その他の動物はハイエルフの思念と弓矢と槍で撃退できた。

 私達は陸上自衛隊からもらった木材を加工して、チロルの森に住んでいた時の様に果樹園と畑を作っていた。少し陸上自衛隊が切り開いてくれたので、木の根を掘り出すのは苦労したが、貰ったスコップなる道具で今までより効率よく作れた。もちろん柵も作り動物の侵入も防いだ。果実の成る木は群れて生えているので、大きく囲って、それ以外の木々を伐採した。果樹園ができた。果実から種を取り出し空いている場所に植えた。3年位で収穫できそうだ。


 一方、第3偵察小隊の方々は戻っていったきり来ないが、替りに「施設大隊」と言う方々がなんか大きな機械を持って来た。顔見知りのカブトムシを大きくしたような機械を操作していた者がいた。聞いてみたら「所属している部隊です」と回答された。

 なにするのか聞いたところ「山を少し掘って、鉱石サンプルを持ち帰る為」と言っていた。

 なんか大きな機械は、山に穴をあける機械らしい。


 彼らを守る為に、何人かの人たちと大きな機械がやってきた。

 彼らは親切だった。「何かお困りの事があれば手伝いますよ」と言ってくれた。

 頼ってばかりだと彼らがいなくなった時に立ち行かなくなるので丁寧に断った。

 何日かして、外務省と陸上自衛隊から贈り物ですと言って、大きなスコップやのこぎりに金槌などと言う農器具や鳥をよけるためのビニールテープだと言うものと鉄でできた細い線をくれた。また獣を退治する為の大型ナイフもくれた。これは全員分あった。娘たちが協力してくれているお礼だと言っていた。娘たちは働いているようだった。


 日時は2022年4月25日午前10時、磁気嵐より1週間が過ぎた。


 総理である当壁は佐野官房長官と何やら内密の話をしていた。


「総理1週間経過して、さまざまな状況が判明してきました」

「そうだな、地獄のような忙しさだったが、良い事から先に聞きたい」


 佐野官房長官は少し考えてから。


「例の『ドーザ大森林』と言う新大陸ですが、山脈の東側は例の『ハイエルフ』と名乗る種族しか確認できていません」「またハイエルフも『ドーザ大森林』の西から逃れてきて、大森林に隠れ住んでいるという事です」

「それは外務大臣から聞いている」

「と言うことは、所有者不在の土地という事になります」

「えっ」

 当壁総理は思っても見なかった事だった。


 佐野官房長官は続ける。

「ハイエルフの族長なる人物に許可を貰う必要がありますが、一帯を日本の領土としてしまえば、鉱物資源や原油も民間人の開発に委ねられます」


 当壁総理は尋ねる。

「だが『ドーザ大森林』はサファリパークの園内の様な危険があると言うが」


「そうです。ただし日本の領土ならば人道的保護をうたい文句に、今の様に自衛隊に大陸からの動物類侵入監視目的を、大陸内に基地建設して常駐させることに目的変更可能で、さすれば現地で働く民間人を合法的に保護できます」

「また港や町を建設し、日本との物流も可能になると思います」

「なにより、油田からパイプラインを引くにしても、土地所有者の同意がなければ建設できませんし、使用料も払わなければなりません」

「所有者不明の土地を日本国の領土とすれば、いろいろな事が可能となり、産業素材の乏しくなる将来も産業を維持出来ます」

「現実に元の世界に戻れれば良いのですが、その研究は始まったばかりで光は遠い先にあります」


「だが『ドーザ大森林』とやらはまだ調査が始まったばかりで、とても日本からの物流が届くと思えんが」


「総理もちろん現地にて起こす産業の原資や材料は日本から運び込まなければなりませんが、建築素材、特に石灰や砂、砂利は現地で調達できます。先にコンクリートプラントを建設し、各建設の基礎とすれば、ある程度は進むのではないでしょうか」


「そんなうまく行くのかね」


「第一の関門は日本の領土化です。日本は敗戦国ですので、現在の日本の領土は,第二次世界大戦後の1952年4月発効のサンフランシスコ平和条約により法的に確定されました。しかし、未所有未発見の領土については書かれておらず。日本独自に組み入れることが可能ではないかと、各国大使館の大使をその国の代表として、土地を与え、国として認めると言えば、アメリカ大使館さえも同意させられるのではと思います」

「現在日本にいる他国の軍隊はアメリカ海兵隊とその揚陸艦、そしてアメリカ空軍、アメリカ陸軍もいますが、アジア地域における司令部としての役割です」「特に自衛隊との共同運用に対してです」


「なので『ドーザ大森林』に外交官を派遣して、ハイエルフとの約束を取り付け、次にアメリカ大使を説得承認させれば、他の大使はどうすることもできず、日本にいる訪日外国人と在日外国人による国家建設を餌にする手があります」

「『ドーザ大森林』は日本領土という事にして、ハイエルフの保護と自治権の承認をすれば問題ないのではないかと」「また他国を作る際にも、日本が後ろ盾になり外国を他の勢力から守る事で良いのではないかと、その約束がなされれば、大使による建国ができ、日本は保護の名目で『租借地』つまり租界ができます」

「総理そろそろ決断の時と思いますが」


 当壁総理はこれが良い話なのか、さらに地獄が続くだけではないのかと思う。

「すこし考えさせてくれ」


 佐野官房長官はつづける。

「総理、実は『ドーザ大森林』だけではないのです。例の南西の島を石油天然ガス・金属鉱物資源機構が『海洋資源探査船 白嶺』にて島の周りを調査したところ、各種のレアメタルと天然ガスを発見しています」


「だが、かの地は猿人が住んでいるのではないかね」


「ええ言葉も伝わらず、文化水準も相当原始的です」


「なら海上プラットホームから採掘するのかね。我が国の海洋資源採掘は後発だから、技術的には未熟と思ったが」「ええ大規模な海洋採掘はまだ技術的限界があります」


「ですが、島に拠点を設けて開発を進めれば良いのではないかと思います」


「ん。話が合わないが」


「ええ我々には『使徒』がついています」


「それはハイエルフのお嬢さん達の事か」「危険な事はさせないと約束したはずでは」


「ですが彼女たちの『思念』は言葉の通じない相手にも通じるのではないかと思います。特に山の悪魔の様な怪獣ならともかく、人間の祖先ですから。彼女達を『神の使い』として猿人達の交渉に使ってはと思います」「それに猿人達を労働力としての期待もできますし」


「危険な様な気がする」


「話が通じなければ海洋プラットホームでの開発を考えてはいかがでしょう」


 こうして危険な話は密室で行われるのであった。


 その1時間後、高野防衛大臣は統合幕僚長と悩んでいた。

 佐野官房長官からの無茶振りに。


 立川統合幕僚長は言う。「確かに佐野官房長官の言う通り、仮想敵国のロシア、中国、北朝鮮に韓国が無くなって、日本防衛の根幹が揺らいでいますが、急すぎる話しですね」


 高野防衛大臣は答える。

「反論のしようがなかった。苦労をかける」


「仕方ありません、短期間で防衛大綱を作り直します」と立川統合幕僚長が答えた。

「ですが日本の2倍もの面積『ドーザ大森林』を領土として保護防衛に日本含めての防衛構想は正直荷が重いですよ。兵器と人員も不足していますし」


「そこはアメリカ海兵隊と揚陸艦も含めた内容でかまわないという事だ」「裏になにかありそうだが」


「確かにおっしゃる通り北海道に3師団と1旅団を張り付ける意味はないです。けれど」


「言いたいことは分かっている」


「いや大臣、一番の問題は武器兵器の一部はアメリカ、ドイツ、スイスなどからの輸入です」「特に主要部分はほとんどを輸入に頼っています」「いかにライセンス生産しているとは言え、重要部分はブラックボックス化されて手に入れない限り作っても動きません」


「たしかにそうだな、しかし先の対艦ミサイルの様に旧式武器の活用と新規開発で何とかしてほしい」


「まだF-3も量産の目途が立っていない現状では、出来るとこから追加生産をさせるとして、・・・」


「当面は例の怪獣や海獣に有害動物などだから、旧式でも打撃力さえあれば、何とかなるのでは」

「はあ」

 こちらも頭の痛い話をしていた。


 一方、ハイエルフの娘たちはと言うと、日本人特におじさん達の要望により、ニックネームを決めていた。

 族長の娘は『ナナ』と、その洋風の容姿には似合っていた。

 ほかの子は『リナ』『ミーナ』『レイナ』と、どこかのダンス&ボーカルグループの様だった。


 最後の子は『アキ』かなと思ったら『ヒナタ』と、あれ、日本的だなと。響きがエルフ的に気に入ったらしい。とにかく、ハイエルフのナナ達は多少の日本語も習得して、言葉による意思疎通も可能となっていた。


 ハイエルフの里に行った第2施設大隊と後方支援連隊は第2戦車連隊、第2特科連隊、第2高射特科大隊の各1中隊と第3普通科連隊に守られて、ハイエルフの里の後方の山岳に坑道掘削装置(通称ジェットモグラ)で穴を開けて、有望な鉱石の調査を命ぜられていた。


 第2施設大隊を守る為に第2特科連隊、第2高射特科の随伴してきた各1中隊は採掘現場付近に展開し、第3普通科連隊は連隊事転進してきた。また第2戦車連隊から第2戦車中隊が随伴してきており、危険とされた「トメス」生息域からハイエルフが逃げてきたと言われる山道を周辺警備していた。



 遡ること2ヶ月前、チロル一帯を領地とする、ハイデルバーグは祖父から引き継いだ領地の経営に悩んでいた。

 スルホン帝国がドーザ大陸の西を征服した時、祖父の活躍により受領した土地ではあったが、産業としては農作物と木材程度で、中央に収める税金に苦労していた。滅ぼした52年前の領主は獣人やエルフと共存していたが、スルホン帝国は人間至上主義であり、獣人は虐殺、エルフは捉えて奴隷にした。これにより当時のハイデルバーグ領は資金が潤沢となり、贅沢もできた。なにより、ハイデルバーグの居城は立派な城だったのだ。

 いまは中央に収める税金だけで苦労をしている。城の維持費にも事欠く次第でボロボロとなってきた。

 ハイデルバーグは祖父が話していた昔話を思い出していた。

 当時はチロルの森にたくさんのエルフがいて、捕まえ放題だったと、特に奥に住んでいたエルフは、それは美しかったと。そしてエルフを奴隷に差し出せと言ったら翌日には全員に逃げられたと。

 追手を向けたが、山の守り神と言われる『ストーンゴーレム』によって隊の半分が失われたと。


 ハイデルバーグは再び追手を差し向けようかと悩んでいた。


『ストーンゴーレム』によってまた辺境隊を失いたくなかったし、死んだ場合の遺族金も積み重なると大きな額となる。考えた末に、ハイデルバーグ領の罪人と冒険者とか言う傭兵を組織して、つまり無くなっても懐が痛まない連中を50年前逃げたエルフの追跡に充てようとしていた。


 そこでハイデルバーグは「おふれ」を出し、エルフを捕まえた者にはエルフ1人につき金貨30枚を出すと書いた。

 

 2ヶ月前に冒険者100人、犯罪者(窃盗や領主に逆らった連中)100人の計200人を追手として向かわせた。死んでもかまわない連中である。


 ハイデルバーグは楽しみだった、エルフは奴隷として帝都の貴族に高く、1人当たり金貨100枚で売れたのだ。差引1人金貨70枚の儲けだ。


 

 第3普通科連隊第2中隊は第2戦車中隊第4戦車小隊(74式戦車5両)と山道に検問所を作っていた。

 山越えしてくる人間や動物の警戒である。


 その時である。山から屈強そうだがボロボロの衣装で男20名が下りてきた。


 ゴーレム対策で、毎日ハイエルフの里から一人派遣してもらっていた。

 第3普通科連隊第2中隊長の山下中隊長はハイエルフに頼んだ、「思念で来た目的を聞いてもらえますか」

(わかりました)(おまえたちは何しに来た)


山下中隊長は言葉が分からないが、なにか騒いでいると感じた。

(あの人たちはエルフだと言っている)(これで金持ちだと)

(私たちを捕まえるつもりの様です)


「なら伝えてください」「武器を捨て抵抗をするなと」

 突然男たちは向かってきた。

「戦闘開始、抵抗勢力を無力化せよ」一人の隊員が相手の足を狙い撃った。一人が転がった。それを見て男たちは武器を手にして向かってきた。「排除!」


 なんか得体のしれない男たちと遭遇してしまった冒険者のロイはここまで『ストーンゴーレム』から冒険者20名と逃げてきた。200人もいたのに、ほとんど『ストーンゴーレム』に殺された。


 変な服装の男たちの後ろにエルフがいる。

「エルフだ、これで俺たちは金持ちだ」「エルフを捕まえろ」と

 だが変な服装の男たちが魔道杖を向けると一人が倒れた。

 武器を持ち向かっていったら、次々と仲間が倒された。最初の奴は足を撃たれたようだが、次の奴からは死んでいったようだ。くそここまで来たのに。

 半分以上死んだ時、ロイは武器を捨てた。


 陸上自衛隊は初めて人間を射殺した。


 山下中隊長は残った男たち5名と負傷した男たち2名を野営地に連れて行った。

 後で解るのだが、スルホン帝国の最新情報がもたされるのだった。

帝国と日本はどうなるのでしょうか。

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― 新着の感想 ―
今の大国と言われている国々が植民地政策を取っているとき、原住民を何十万、何百万と殺害している。それが良いとは思わないけど、あまりにも人道に拘る必要もないと思う。
[一言] 「第二次世界大戦後の1952年4月発効のサンフランシスコ平和条約により法的に確定されました。しかし、未所有未発見の領土については書かれておらず。日本独自に組み入れることが可能ではないかと」 …
[一言] 帝国ってのは侵略国家ですからね、潰してしまえホトトギス。
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