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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
178/251

第173話 ドルツ国首都攻防戦 その5

第173話投稿しました。

誤字脱字報告ありがとうございます。


すいません戦闘描写が短くできないので長くなっています。

まだお付き合いして頂ければと思います。

ドルツ国陸軍フルート基地、フルト・ハイナ副官は結局、判る限りの戦局を新型戦車中隊のトリアーノ少佐に伝え始めた。

「ええ、現在基地防衛第3中隊は敵の攻撃が薄い右翼から左翼への移動を開始。第1中隊との合流を目指しています。

 左翼には推定ですが敵中隊規模3個が来ています。

 こちらは先の第1中隊に加え第2中隊と戦車中隊が街道から左翼に対し圧力をかけます。

 また、街道は北に5km程度から敵勢力圏内と推定されます。

 更に制空権は敵に渡っており、同じ陸軍と言えども、航空支援は無視されている状況です」


「フルト・ハイナ中佐良く解りました。

 全隊の補給が終わる迄、補給中隊を一時駐留させて頂きたい」


「はい、それは承認しますが、最前線でもあるフルート基地ですので、補給中隊の安全確保は無理とご承知ください」


「それは丁寧に、大丈夫です。補給中隊には補給が済み次第首都に退避します。

 また、幾つかの予備弾薬をフルート基地において頂ければ良しとします」


「そんな事で大丈夫ですか。我々はあなた方が何を命令されているか知りませんが、基地から5km以内は戦場です。お気をつけて」


「ありがとう。フルート基地も死守命令は現在の所、出ていない。無理せず逃げられる時には逃げて欲しい。

 どちらにしろ敵の目的は首都陥落。方法は判りませんが。

 ですからフルート基地の諸君は首都防衛隊と合流して職責を果たして頂きたい」


「こちらこそ、ありがとうございます。最近の命令は酷い物ばかりでしたから、助かります」


「ははは。ダークエルフ様がいらしたら口にしてはいけない内容ですね。

 聞かなかったことにします」


「ご武運を」「ご武運を」


 こうしてドルツ国最新戦車隊であるトリアーノ少佐率いる特別遊撃隊と基地との打ち合わせは終わる。


 ドルツ国が誇る最新戦車について説明しよう。

 正式にはPanzerkampfwagenⅢ(Ⅲ号戦車)と呼ばれ、ドルツ国初の中型戦車である。

 本来は日本本土上陸時に使用する予定であったが、開発が間に合わず、またタンクキャリアである特殊潜水艦の荷積み荷重が不足していた為に2号軽戦車を使用した経緯がある。


 Ⅲ号戦車(初期型)

 全長6.41m、車体長5.56m、全幅2.95m、全高2.51m、重量22.7t

 速度40 km/h(整地)19 km/h(不整地)行動距離155km 

 武装:46.5口径3.7cm KwK36(120発)

 装甲:砲塔前面57mm、側・後面30mm、車体前面50+20mm、側面30mm、後面50mm

 人員5名


 ドルツ国はこの新型戦車10両でなにをしようと言うのか。


 ・・

 フルート基地警備第3中隊と遭遇戦状態に入った水陸機動団偵察中隊第2小隊は負傷者1名を含め全員AAV7に乗車して緩やかに反撃しつつ後退している最中であった。

 第1水陸機動連隊第1中隊が水陸機動団偵察第2小隊を発見して、援護を始める。


「偵察第2小隊発見。第1中隊は指示通り援護に入ります」

「本部了解、第1中隊は予定通り偵察第2小隊の退避を援護。本部車両は街道左右に寄せ後退。続いて第2中隊も左翼に圧力をかけつつ前進」

「よし聞いたな。全員行くぞ、隊員は武器点検。これより第1水陸機動連隊第2中隊は第1中隊と共闘し左翼の敵に対し圧力をかける」

「了解」第1中隊、第2中隊のAAV7、5両×2隊が12.7mmを森方向に射撃しながら高速で前進する。


 ドルツ国基地警備第3中隊も応戦するのだが、使用しているKar98k(7.92mm)小銃では相手装甲車に対して有効打撃を与えられないでいる。

「撃って弾幕を張れ、パンツァービュクセを使用する。用意せよ」

 基地警備第3中隊は最新の対戦車ライフル使用を決めた。(パンツァーファスト開発以前である)

「用意完了」

「了解。装甲の薄そうなところを狙え」

 PzB38は開発されたばかりの対戦車ライフルである。

 弾丸は特殊な7.92mm弾を使用し、実験では40mmまでなら貫通する事ができたが、実用では300mから角度0度で25mm程度の貫通力である。

 また、機密情報であるが弾頭内部には微量な催涙剤が内包されているが、多数当てないと効果はない。

「撃て」

 Kar98k小銃とは異なる発射音が響く。明らかに炸薬量が多いと思わせる音である。

 ・・

 先頭の第1中隊AAV7に何かが当たる。「ゴーン」と内部で響く。

「なにが有った」

「解りません。ただ貫通はしていないと思われます」

「対戦車ライフルか?、ドルツ国にもあるのか。情報を本部に回せ」

「了解」

 ・・

「中佐、命中ですが、はじかれました」

「なに、2号戦車より装甲が厚いのか、続けて撃て」

「了解」

 超超鋼板で作られているAAV7は、対戦車ライフルPzB38の弾丸が貫通しない。最薄装甲は7.4mmであるが補助装甲板を付けている為に防ぐ事が出来た。


 ・・

 情報は本部経由で、陸戦指令室に届く。

「なに対戦車ライフルらしいだと。そんなもの迄もっているのか。とにかく注意して進行」


 ・・

「くそ、砲兵迫撃砲で周囲を攻撃しろ」

「中佐。迫撃砲小隊は全滅しています。敵の弾がこちらに届いて、こちらは届きません。

 敵機関砲はゆうに1km程度届いています。こちらは対抗手段がありません」


「そうか、迫撃砲小隊は全滅したか。残念だ。

 全員よく聞け、只今より速やかに後退する。街道横断できる所があれば横断し第1中隊と合流をする。

 最悪基地まで戻り、改めて左翼に後方から支援に入る。心配するな基地には機関砲もある、対抗できる。

 各小隊長は逃げられると判断したなら走って後退しろ。敵勢力圏内から脱出する。よいな」

「中隊長、負傷兵はどうします」

「仕方ない。そのままにして歩ける者、走れる者だけで行くぞ。

 なに、日本軍も負傷兵を殺したりはしないだろう。では行くぞ、小隊長指示を出せ」

「了解。第2小隊走るぞ、後ろを振り返るな。走れ」

「第1小隊、走れ」

 基地警備第3中隊は全滅した第4小隊と砲兵小隊を除いて後退する為に、森をジクザクに走り後退していく。

 その時異様な音が聞こえて来た。


 ・・

 森を上空から赤外線探査を行っているAH-1Sコブラ2機である。

「ハンターリーダーから「1水機-本」。追撃は我々が行う。以上」

「1水機-本からハンターリーダー。森の追撃は任せる。以上」

「ハンターリーダー了解」


 ・・

 ドルツ国の基地警備第3中隊は上空から聞いた事もない音に驚いていたが、中隊長の命令通り後退している最中である。

「なんだあれは」

 木々の間から見える機体に兵士は驚いている。見た事も無い機体が空中をゆっくり移動している。

「木の上から見ているだけだ、見つかる訳ない。急げ。走れ」中隊長は怒鳴る。


 コブラは前席の射撃手がHUDを赤外線画像モードに変更し森の中に現れた光点を確認する。

「機長、左翼に小隊3を確認」

「ガンナー了解した」

「ハンターリーダーより本部。左翼森に3個小隊確認。攻撃許可求む」

「本部よりハンターリーダー。攻撃を許可する」

「ハンターリーダー了解。ハンター2聞いたな、同時攻撃をする。3.2.1.撃て」


 上空から何か知れない断続音がしたと思うと仲間が次々と倒れていく。

 警備第3中隊長はパニックになった。

 突然上空に見た事ない機体が、しかも空中に止まったり動いたりしていたが、気にせず後退を優先させた。

 だが・・・次々と兵士は倒れ土に何か当たり土煙をあげている。

 上空から我々が見えていると言うのか・・・「まずい」


「総員上空から狙われている、散開しろ。固まるな。走れ」

 それでも断続音は追いかけてくる。

「なぜ見える。木々に囲まれ絶好の立地だぞ」

「中隊長逃げてください」

「くそ。逃げるしかないのか」


 上空ではハンターがドルツ兵士を狙い、機首のM197旋回式3銃身20mm機関砲が唸る。その度にドルツ兵士が倒れていく。

 動く光点がいなくなったところでハンター達は引き上げていく。

「ハンターリーダー。ドルツ国兵士殲滅を確認。RTB」「ハンター2コピー」

 

 ようやく警備第3中隊の不幸は終わる。

 中隊全滅と引き換えに・・・・

 

 ・・

「1水機-本から各隊。左翼勢力排除完了。基地手前3kmまで侵攻。随時敵勢力対処。以上」

 中隊無線で指令が飛ぶ。

「1水機-本隊員は森に入り敵負傷者及び戦死者の確認と回収」

 本部隊員はAAV7から89式5.56mm小銃を持って飛び出し、森の中に入っていく。

 ドルツ兵士は各所でうめいている。

 武装解除して街道まで担架で運んでいく。

 途中から第3中隊も手伝いに入る。

 ドルツ国側の損害集計。戦死者42名、負傷者(重傷)30名。

 偵察第2小隊が遭遇した地点より前後500mに渡り負傷者と戦死者が散らばっている。

 基地警備第3中隊長も戦死者リストに入っていた。


 ・・

 第1水陸機動連隊第1中隊は敵基地まで4kmまで侵攻している。

「敵軽戦車発見。数12。他に歩兵1個中隊。前方500」

「1水機-本より「1水機-1」交戦許可。武器の無制限使用を認める」

「1水機-1、了解」


 フルート基地から3.5km地点にて、戦車中隊と歩兵中隊を発見した。

 これはフルート基地所属の2号戦車中隊と基地警備第2中隊であった。


「下車。敵は20mm機関砲を備えている。1kmは飛ぶと思え。軽MAT用意(01式軽対戦車誘導弾)」

「機銃手、牽制射撃開始」


 隊員は小銃と軽MATを持ち下車すると同時に、後方確認して目標決め発射する。街道なのでダイブモード(トップアタック)で使用する。

ありがとうございます。

予告

第2章が終わりましたらしばらくお休みして、前から書きたかった小説を1本入れさせていただきます。

その後、第3章に入ります。よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 開発から50年以上の老兵ながら、対戦車ライフルをものともせず進撃中!! 増加装甲キットを装着出来る余裕ある設計と冶金技術の差の勝利!? 次回も楽しみにしています。
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