第171話 ドルツ国首都攻防戦 その3
第171話を投稿します。
キーボード買い換えました。快調です。
ただし、変えたつもりはないですがIMEの設定がデフォになってしまい変更に気付かず書いていました。
それも前の仕様に変えました。
誤字脱字報告ありがとうございます。感謝しております。
ドルツ国の首都防衛前線基地となってしまった「フルート」陸軍基地。
「ドリア・シュナイザー司令。現況の報告です。
基地左翼10Km先に展開した基地警備隊第3中隊は電話線が切断してしまいましたが、作戦通り緩やかに後退し、最終防衛線の歩兵砲射程迄おびき出している最中です。
また、最新情報ですが、右翼に展開した基地警備隊第1中隊は、敵からの攻撃を受け、第1中隊同様緩やかに後退をしています。
なお、警備隊第2中隊と戦車中隊は基地正面3.5Km地点での再集結を終わらせ警戒行動に移行しています。
上空の敵機には歩兵砲の場所は探知されていないと思います」
「ご苦労。だいぶ押されている印象だな」
「はい、我が陸軍兵士も奮闘していますが、日本軍の兵士による攻撃は正確かつ連携されており戦線全域にて苦戦しております」
「日本の兵士の方が練度は上だと言うのか」
「はい、戦闘に対する連携及び実戦経験といった所は残念ながら我が軍が負けております。逃げ帰った負傷兵からの話を総合すると、小銃についても20発以上連射出来る様で、ドルツ国が使用しているKar98kの4倍近くの弾が出ると言う事です」
「なに、日本は全員が機関銃を所持していると言うのか」
「詳細は判りません。ですが見た所小銃に近い形なのですが、連射性能は上なので全自動小銃だと分析します」
「だが、たかが小銃だけでは勝敗は決まらん。日本の砲についての情報は無いのか」
「一つだけあります。右翼に展開した基地警備隊第1中隊に対して、迫撃砲と思われる攻撃がありました。
ただし、砲撃を受けた場合の戦術として後退速度上昇を言い渡してありますので、まだ第1中隊は戦闘能力があると判断しています。連絡は取れませんが」
「迫撃砲か、未来の戦闘でも使われるのだな。安心した。こちらも8cm sGrW34を出そうではないか」
「司令。8cm sGrW34はトラックがありませんと速やかな移動は困難です。62Kgですが。
それに本部から支給されているのは4門、迫撃弾20発分だけです。投入しても意味がありません」
「それでも2400mの射程は頼りになると思わんか。森は砲兵が手で運べ」
「了解しました。第1中隊に移動させます」
副官はこんな時期に迫撃砲の移動を開始しても成果は出ないだろうと思っている。
そんな事より、基地を撤退する為の援護に使う方が利用価値はあると思うが・・・
逆らえずに、言われた通り遂行するのみであった。
ただし、腹心の部下2名には、万が一の撤退に備えて爆薬を主要箇所に偽装して設置を指示している。
・・
「各隊。「かが」陸戦司令部より伝達。戦闘は第2段階に移行する為の準備に入ってほしい。
海兵隊が予定地点に到着。
空挺団第1普通科大隊の各中隊は敵右翼5Kmに集合し、全周警戒のち待機。
敵左翼は第31海兵遠征部隊地上戦闘部隊(GCE)が担当する。同様に5Km地点で待機している。
なお、水陸機動連隊は車両移動にて街道を南下。同様に5km地点で終結する予定。
各隊が準備を終えるまで待機。
なお、敵歩兵砲は3500mに届くと推測され、2号戦車も多数健在。
都市「ドルーデン」は完全制圧。空挺団、水陸機動団及び海兵隊の各本部が設置されている。
また、水陸機動団施設科部隊による簡易物資集積所及びヘリポートが開設された。
西部方面隊第3対戦車ヘリコプター隊よりコブラ2機が東海岸より「トルーデン」に転進。
なお、敵最終防衛線は3500mと推測されている。以上」
・・
空挺団第1普通科大隊の第1中隊。
「よし移動を開始し第3中隊と合流する。後方は海兵隊が到着している。移動開始」
空挺団第1普通科大隊の第1中隊と第2中隊は静かに移動を開始した。
その時木の上で偵察していたドルツ国斥候が中隊規模の移動を確認して、本部へと静かに走って行く。
・・
斥候は基地警備隊第1中隊の生き残りと合流していた。
「基地斥候だ。これを本部に届けて欲しい」
第1中隊長が、「了解した。届けよう」
「はい。お願いします。引き続き監視に入ります」
「うむ。ご苦労」
こうして基地右翼の敵が左翼側に移動している事が本部に伝わった。
・・
「フルート」陸軍基地作戦本部。
「これは・・司令。敵右翼が左翼方面に移動中との知らせです」
「どう思う。罠か。罠でないとすればチャンスだな。敵を側面から攻撃できるな」
「確かにその通りですが、移動した意味が知りたいですね。迫撃迄しておいて」
「なに補給なのだろう。時間かかっているからな」
「そうでしょうか。それならなにも問題はありません」
ドルツ国「フルート」陸軍基地では、敵からの攻撃は右翼と左翼10Km地点だけで、この2中隊しか確認されていなかった。
「フルート」基地司令のドリア・シュナイザーは、正面の敵はこの2中隊のみであろうと、しかも落下傘降下までする連中なのだから物資も限られていると楽観的な判断をしてしまう。
「よいか敵が移動した今がチャンスだ、基地警備隊第1中隊の生き残りに伝令を走らせろ。
敵を側面から叩くチャンスだと。第3中隊は後退しつつ攻撃の薄くなったところは前進。
それから第2中隊と戦車中隊も側面からの攻撃に参加せよ。副官タイミングは任せる」
「ですが司令。新たな部隊が応援に来る可能性を残した方が宜しいのでは」
「ばか言え。この戦闘最大のチャンスだぞ。やらなくてどうする」
「ですが・・・」
意見具申した副官であったか、即却下され司令の作戦がごり押しされてしまった。
副官は内心。多分新たな部隊が投入されたのだろうと思っている。
だとすれば、第1中隊と第2中隊に戦車中隊は後ろから新勢力に攻撃され壊滅するだろうと。
だが、それでも指令を伝令に託していた。
先ほどの迫撃砲中隊もトラックを使い街道5Km先で横から砲撃を行う事にした。
・・
第31海兵遠征部隊地上戦闘部隊(GCE)はAAV7を駆って東海岸から海岸線を迂回してドルツ国陸軍基地5km地点に移動していた。
先頭は「フォース・リーコン」(アメリカ海兵隊武装偵察部隊)第5武装偵察中隊(沖縄)の1個小隊が森を先行している。
第31海兵遠征部隊地上戦闘部隊(GCE)は基地手前6Km地点までAAV7を走らせると下車して徒歩で森を進行していた。
先行する「フォース・リーコン」が木の上で双眼鏡にて索敵している斥候を2名発見。
彼らは静かに木に近寄ると、タイミングをハンドサインで合わせ、消音機付のピストルで下から狙い、2名とも倒してしまう。
基地本部に敵中隊移動を知らせた斥候は、頭に銃弾を受けて、絶命して木から落る。
アメリカ海兵隊武装偵察部隊は木の葉で死体を隠すと、着ていたギリースーツ(重迷彩)をお互い点検して、再び静かに進み始める。
ドルツ国陸軍兵士の斥候は次々とアメリカ海兵隊武装偵察部隊によって排除されていく。
すでに基地右翼5km地点において5組いた斥候は一人残らず排除されてしまった。
海兵隊本部に敵斥候が木の上で監視していた事を端末で連絡する。それは陸戦本部にも伝わっていた。
・・
「南司令、各隊は敵首都基地5Km手前付近で待機に入りました」
「予定通りだな、さすがだな陸戦隊は、南大陸侵攻第2号計画2項(改)第2段階に移行する用意はできているな。
陸戦本部に下命。
各隊は予定に従い、陸軍基地および首都包囲を実施せよ。
なお、タイミングは陸戦本部に任せる。以上」
いよいよ自衛隊が練った南大陸侵攻作戦は、ドルツ国首都包囲を実行しようとしていた。
「ドルーデン」を完全掌握した水陸機動団は、いよいよ空挺団を支援すると共に、首都に通じる街道を全て閉鎖して、AAV7で敵基地まで5kmに接近中である。
「フルート」基地所属のドルツ国兵士は、本部からの変更指令に戸惑っていた。
しかし、基地警備隊第1中隊は基地右翼から指示通り左翼へ攻撃するべく移動を開始した。
同様に基地警備隊第2中隊と戦車中隊も街道から左翼攻撃を指示されている。
本部からきた伝令たちは、真意を言う事も無く指示だけを伝えていく。
「移動指示が来た。基地警備隊第2中隊は3.5km地点から森に入って行き、基地警備隊第3中隊と合流する。
なお戦車中隊は街道5km地点まで行き、左翼に対する攻撃をせよ。なお5km地点では基地警備隊第1中隊が攻撃を開始している」
フルート基地ドリア・シュナイザー司令から直接の指示は各隊に伝わり、指示通り行動を開始する。
なお、「フォース・リーコン」は基地警備隊第1中隊が移動し始めた事を連絡していた。
ありがとうございました。
白熱する攻防戦。
どうなるのか楽しみです。