第170話 ドルツ国首都攻防戦 その2
第170話を投稿します。
キーボードに故障の前兆があり、一瞬遅れて文字入力されます。
シフトを押すとシフト前の文字が・・遅れて大文字になったりしますので、フィーリングが合いません。
買い替えをします。
空挺団本部要員が砲撃を受けていたその時、上空をF-35Bが偵察していた。
赤外線監視では、熱が発生しない限り発見は困難である。
幸い、街道の15km先を砲撃した88mm砲4門を発見できた。
「こちら「いせ」飛行隊ハンターウルフリーダー。座標188.355に敵砲及び砲撃を発見。爆撃要請」
「「いずも」フライトコントロール了解。「ひゅうが」飛行隊に爆撃要請。座標188.355」
「ひゅうが飛行隊ワイルドホーク発進します」と連絡が入る。
スクランブルで飛び立ったひゅうが飛行隊ワイルドホークのF-35B、4機は座標に向かっている。
「ワイルドホークリーダー、座標到着。爆撃開始する。アタック2、4」
「ワイルドホーク02、コピー」「ワイルドホーク03コピー」「ワイルドホーク04コピー」
上空を旋回するF-35Bから8発の22式500キロ焼夷弾が、Aモードの焼夷モードで投下された。地上500mで22式500キロ焼夷弾は燃焼剤を振りまくと、高度400mで爆発し全ての燃焼剤に引火する。
ドルツ国の誇る88mm砲周辺では、上空に大きな火の玉が現れると同時に、地上に落下してあたり一面を焼き尽くしていく。
物凄い熱量だ。近寄る事も出来ない。
88mmの砲身は溶けて曲がり、爆薬には引火して小規模爆発が続いている。
「退避しろ。炎に巻き込まれるな。にげろ」将校が叫ぶ。
ドルツ国兵士は知った。
上空を旋回している高速の戦闘機は、砲撃するとその位置を判定して、爆撃機が正確に燃やしてしまう。
残された2号戦車や歩兵砲も同様な運命であろう。
撃ったら敵爆撃機が来る前に移動するしかない。
「できるのか。そんな事」ドルツ兵士は自問自答する。
しかも爆撃機も早い。
「ワイルドホークリーダー。攻撃目標破壊確認。帰投するRTB。
「02コピー」「03コピー」「04コピー」
「了解。いずもフライトコントロール。帰投後ワイルドホーク隊は22式500キロ焼夷弾装備にて待機」
「ワイルドホークリーダー了解」
東海岸近くのドルツ陸軍飛行場にワイルドホーク隊は戻る。
同飛行場にお客がやってくる。
「おおすみ」に分解して積み込まれていた、陸自コブラが2機である。
武器弾薬と燃料を搭載した整備小隊が大型トラックや燃料車共に到着した。コブラも実戦に投入できる体制となった。
・・
「よし慎重に進め」空挺団隊員達は、本部隊員が砲撃を受けた事を情報で伝わっている。
「第1中隊、休憩する。5分」
隊員達は急いで食事をする。自衛隊の戦闘糧食を冷たいまま、かじりつく。
今日は幸いレトルトの飯とシチューである。汁物は冷たくても食べられる。
「中隊長。敵88mmは沈黙させたようですが、2号戦車と歩兵砲があると思われます」
「そうか。時間はかかるが慎重に進もう」
「迫撃砲小隊と対戦車分隊の進行が遅れています」
「深い森だからな。仕方あるまい。普通科に応援させよう」
「了解しました」
「敵歩兵砲の射程はどの程度だ」
「はい。端末に記載されている数字では約3.5Kmとあります」
「2号戦車は37mm機関砲だったな」
「いえ、20mm機関砲で射程は1Km以下です」
「20mmか記憶違いしていた、迫撃砲と対戦車弾があれば敵では無いな」
「ええ。排除は簡単です」
「なら、斥候をもう少し先行させよう」
「発見できれば良いですが、上空からの発見は困難らしく撃った後で発見しています」
「だと思う。我が方も同様だからな」
中隊長と先任士官の会話である。
・・
突然無線が入る。
「第3中隊。座標153.402にて敵兵力と交戦中。敵歩兵と確認。数約100以上」
「本部了解」
・・
本部内
「第3中隊か、どこを応援に出せる」
「第2中隊から2個小隊程度ですが」
「敵勢力が勝っているが戦闘力では同等だから2個小隊でも優位に出られるな。よし行け」
「本部より第2中隊。2個小隊を座標153.402に迂回。敵側面から圧力をかけて欲しい」
「ピッ第2中隊了解」
やがて第2中隊2個小隊が敵の右側より圧力をかける。
「第3中隊。敵は分断され個別に撃破」
「本部了解。第3中隊は正面より圧力をかけ進行。第2中隊2個小隊は右からの圧迫を継続。
第3中隊、正面敵排除後に第2中隊と合流」
「第3中隊了解」
・・
「本部より第3中隊。損害報告をまとめて欲しい」
「第3中隊、軽傷25名、重傷2名。死者無し。以上」
「第2中隊損害報告。応援の2個小隊、軽傷5名、重症者、死者無し。以上」
「本部了解。重傷者は本部が回収に向かう。以上」
「第3中隊了解」
本部隊員が到着するまで、2名を4名が担ぎ、森が開けた場所で待機する。
やがて遠くからヘリの音が聞こえ、マーカーを2つ投げて位置を知らせる。
UH-60Jがマーカーを見つけて隊員と担架を降ろす。
担架に縛られ負傷した隊員は「かが」の手術室へと運ばれ治療される。
「こちら第3中隊。敵負傷者数の報告。現在約60名、全て武装解除済み」
「本部了解。本部隊員及び移送手配完了した。街道付近にて待機要請」
「了解。第2中隊に応援頼みます」
第3中隊と第2中隊は戦闘の結果、負傷した敵兵士の武装解除と収容で、遅れが出始めた。
ただし、上空では応援に来たF-35が轟音で飛び回っている。
多少の物音は聞こえない。
ドルツ国首都陸軍「フールト」基地
「ドリア・シュナイザー司令。先ほどから基地警備隊第3中隊からの連絡が途絶しています」
「第3中隊は右側森中での警備だったな。遭遇したのか」
「多分そうだと思います」
「だとしたら近いな。10Kmか。歩兵砲と2号戦車の用意だ。第3戦線に近づけるな」
「了解。第1、第2中隊はどうしますか。呼び戻しますか」
「第1中隊は左側の守りだ、動かす事はない。第2中隊は基地正面の守りに入る様に指示」
「了解しました。すぐに連絡を・・念のため。バイク伝令を出します」
「直ぐに来るぞ」
「はい直ちに」
空挺団はドルツ国陸軍基地に10kmと迫っている。
「本部、こちら第1中隊。敵勢力と交戦中」
「本部了解。押せるか」
「こちら第1中隊。敵は攻撃しながら後退中」
「本部。ついて行くな。罠だ」
皮肉にも第1中隊同士が対戦している。
ドルツ国基地守備隊第1中隊は攻撃しながら緩やかに後退し、歩兵砲の射程迄、誘うつもりであった。
途中には2号戦車も偽装して森に隠してある。
「第1中隊了解」
第1中隊は斥候を増やし、敵に回り込むように偵察を開始する。
第1中隊の圧力が弱くなった分、少し敵が押してきている。
「こちら第1中隊。敵圧力次第に強くなるが砲撃はなし。迫撃砲使用許可願う」
「本部了解。迫撃砲使用許可、了解。許可する」
「第1中隊了解」
第1中隊は直ちに81mm迫撃砲L16を準備して迫撃を開始した。
ドルツ国兵士のいるあたりに、次々と迫撃砲弾が炸裂する。
ドルツ国兵士は驚き一斉に基地方面に逃げて行った。
「迫撃砲小隊、迫撃やめ。第1小隊、第2小隊。状況確認」
・・
「本部、こちら第1中隊。ドルツ兵士死亡40名、軽傷5名、重傷2名。以上」
「本部了解。本部隊員をドルツ負傷者回収に行かせる。第1中隊の損害を報告せよ」
「第1中隊損害報告。軽傷2名、重傷、死者なし」
「本部了解」
戦術端末には戦況報告が入る。
第1中隊、第2中隊、第3中隊合わせて損害は1%と出ている。
「よし予定通り行くぞ、第4小隊は負傷者と捕虜の監視と本部引き渡しを実施。
街道方向に進み、街道付近にて待機。本部隊員が回収に向かう」
タイラップで後ろ手に拘束されたドルツ国兵士が第4小隊に連れられて森中を街道に向かって歩く。
ドルツ兵士の重傷者は担架に乗せ、ドルツ兵士に運ばせる。
第1中隊。
「中隊長、ドルツ基地5kmか歩兵砲の射程3.5Kmが最終防衛ラインと思われます」
と専任士官が報告する。
「了解した。各隊慎重に進め。第4小隊は本部に捕虜引き渡し後に所定位置に戻れ」
街道に一番近い第4小隊が捕虜護送を命じられた。
空挺団の第1普通科大隊第1から第3中隊は予定通り進行し、ドルツ国陸軍基地に対して強い圧力をかけている。
「各隊、本部。敵2号戦車が動き出す位置に入っている。充分注意して進行を続けて欲しい」
各隊はドルツ基地手前5Km以内に入った。
ドルツ国陸軍は森の中に2号戦車を偽装させ掩体壕に隠している。
相変わらず上空ではF-35が飛び回っている。
いよいよドルツ国陸軍基地の最終防衛ライン3.5Kmに近付いている。
ありがとうございました。
次は陸軍基地と正面の戦いとなります。