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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
174/251

第169話 ドルツ国首都攻防戦 その1

第169話を投稿します。

なんか忙しく・・・例の時期ですね。

メインのパソコンが集計に使われ、小説を書けるのは夜中となっています。眠い・・・

なんとか20日までには一段落させたいと思っています。(ええ今週ですよ。間に合うのかな・・トホ)

 ドルツ国首都「ハイデルバーグ」の近郊に作られた陸軍「フールト」基地。

 これは主に東の海岸からの侵攻に備える為の基地であり、陸軍航空隊にメッサーシュミットBf109Bが20機配備されていた。ただし飛び上がると東から異様な高速の機体が迫り、撃墜されてしまう事が何度もあり、現在は必要以外温存している。その数12機である。


 基地概要は兵士数約4000名、2号戦車50両、移送用トラック20台。

 他にけん引式の75mm歩兵砲5門、トラックに乗せた20mmFlak38(機関砲)が4台。

 パンツァービュクセ対戦車ライフルが2門、そして新兵器のMG81機関銃(7.92mm機関銃)が20丁。

 歩兵はKar98k(小銃:7.92mm、有効射程350m、最大射程500m、弾倉5発)を携帯している。


 先ほどから、「ドルーデン」校外の上空には陸自第1空挺団のパラシュートが開き、圧巻であった。

 フールト司令官のドリア・シュナイザーは警告を鳴らし、基地で働く民間人を先に避難させている。


「くるぞ、備えろ。訓練の成果を見せて見ろ」と拡声器で怒鳴る。

 兵士達は一斉に車両に飛び乗ると、基地から2km北東に作られた防衛拠点に向かい、迎撃の準備を始める。

 ドリア・シュナイザーも車両に乗ると、基地を副官に託し、防衛拠点に向かう。

 「拠点が攻撃に晒された時は、残った全機体を上げて迎撃して欲しい」と命令を残す。


 拠点に到着した小規模師団は、各自の持ち場に着き、2号戦車や歩兵砲に88mm対空砲を整備して、防空ネットをかけ、擬装する。


 ・・

「我降下完了。予定行動に移行する」

 第1空挺団から連絡を受け取ると、「かが」内に作られた陸戦司令部から、水陸機動団戦闘上陸大隊に対して、「ドルーデン」攻略の指令が出される。

「水陸機動団戦闘上陸大隊了解。市内内部は無人。抵抗もありません」と連絡する。

「了解。そのまま占拠を続け、物資拠点とする」

「了解。待機します」


 こうして、ドルツ国がある南大陸に初めての物資集積所を作る事になった。

 第1輸送船団から、水陸機動団の通信科、後方支援の各中隊が物資中継所の「ドルーデン」に向かった。

 また、陸自西部方面隊から第5施設団第9施設群より、第391施設中隊が同じく「ドルーデン」に向かう。

 第345高射中隊「345高射」も03式中距離地対空誘導弾を「ドルーデン」に運び入れる。

 プロペラ戦闘機相手ではホークもオーバーキルなのであるが、なにしろ未知の大陸である為に、なにが襲ってくるか解らず、移動が容易い最新の機材を投下していた。


 こうして抵抗なく「ドルーデン」を集積所化した上陸隊ではあるが、施設中隊の活躍により、「ドルーデン」郊外に航空基地を開設した。

 これで首都「ハイデルバーグ」に対して65km地点でのF-35B運用は非常に有利であり、索敵範囲も狭く細部まで観察できるようになった。


 臨時航空基地には管制塔は無いが、簡単な待機場所と水陸機動団の通信科のアンテナ群が立ち並び、「かが」を経由しなくても戦術偵察及び攻撃は可能となった。

 まもなく、航空基地には、「いせ」と「ひゅうが」航空隊も合流する予定である。

 なお、集結地である東海岸の警備はワスプ飛行隊が、第1艦隊直上警戒は「いずも」航空隊がそれぞれ担当している。


 ・・

 フールト司令官のドリア・シュナイザーは参謀達に、「ドルーデン」奪還の可能性を探らせている。

「現在、大隊規模がドルーデンに集結中。例の落下傘部隊は車両を駆り、こちらに向かっています。現在余裕がありません」


「そうか。ドルーデンが物資集積に使われると我々にとっては不利だ。なんとかしたいものだ」

「ですが司令。制空権を日本に奪われている現状では、陸戦による奪還しか手がございません。

 しかし、この防衛拠点で余分な人員もありませんので、現状は無理だと申し上げます」


「んっ例のドライ型戦車はもうじき配備されると聞いた。こちらには来ないのか」


「司令官がご存じの筈では、生産された10台は全て首都防衛に配備されています。こちらには・・・」


「そうだった。期待していたのだが・・ならば現有兵力で敵を迎え撃ち、しかる後「ドルーデン」を占拠、そして敵を東海岸に押し返す事にしよう」


「了解しました。では防衛計画について説明します」


 ドルツ国フルート基地に託された首都前防衛前線の概要が説明されていく、特出すべきは鶴翼の陣形で持って、攻めてくる敵を絡めて左右の羽を閉じ、必殺殲滅の陣形である。

 つまり、街道だけでなく、森中にも複数の伏兵を入れて、防衛拠点を中心に約1kmの防衛ラインを形成している。

 これにはドルツ国陸軍の意地が見え隠れする。


「では司令。森を中心に斥候偵察を出します。御許可を」

「了解した。例の防衛ラインに対して8組の斥候だな。見つけ次第88mmの速射で灰にしてやろう」

「はいその為の斥候です。15kmラインを第1次防衛とし、次に10kmを2次防衛。そして最終3kmを最終絶対防衛としています」


「敵は車両での移動だろう。容易いのでは」


「はい我々もその様に考えています」


「直ぐに斥候を出して、有線で繋げ」


「はい手配します」


 ドルツ国陸軍は、街道脇に電話線を地中に這わせ、上から土をかけるだけの簡易擬装である。

 日本国が妨害している無線機は使えない為に、野戦電話を持ち出したのだ。

 ドルツ国では有線電話も貴重な情報通信手段である。


 ・・

 一方、「ドルーデン」郊外に降りた第1空挺団は、

「肩透かしだな。ドルーデンに敵兵力が無い等と言うのは」

「本当にです。このまま首都まで行きますか」

「最終的にはいく事になると思うが、先の報告でもあったように地雷も砲撃も覚悟しなければならない」

「ええ、ドルツ国としては首都・・「ハイデルバーグ」が最終防衛でしょうから容易く行けるとは考えていません」

「そうだな。首都を取られれば他の都市で臨時政府を立てると思うが、それまでは兵力を削ぎ取ってしまいたいところだな」

「ええ。ドルツ国も必死でしょうし、こちらにも損害があると思います」

「そうだな。こちらの装備もトラックに高機動車、軽装甲機動車(LAV)と01式軽対戦車誘導弾(LMAT)、81mm迫撃砲L16に中距離多目的誘導弾だからな。圧倒的火力とは言えない状況だな」

「ええ、ですが隊員の士気は高いです」


「では、首都までの侵攻計画を練ろう。状況的に判明している点は」


「はい。先の偵察により、首都まで1km手前に防護陣地が形成されているらしいです」

「となれば、特科も存在していると考えるは筋だな」

「はい。歩兵砲や88mmなどが備えていると思います」


「射程は如何だ」


「はい。ドイツ軍に準拠していると見ると、歩兵砲で75mm。ほぼ水平撃ちです。射程は3.5Km程度。

 最も恐れる対象は88mm高射砲ですね。対地に使うと水平やりゅう弾軌道も可能で、水平なら2kmで72mmを撃ち抜く性能があります。またりゅう弾軌道では最長15km程度飛びます」


「うむ。強敵だな」


「はい。ただし88mmは移動を考慮していないので、7.5トンありますが据え付けが一般的です」


「他は注意する武器兵器はあるか」


「はい、東海岸での捕虜達からの情報では、車両に乗せた20mmFlak38(機関砲)、これは元々対空砲でしたが自走砲としてトラックに乗せて運用しています。射程は2km程度ですが・・元々対空機関砲の為に1分間で150発も撃てます。

 次に、対戦車ライフルもあると聞きます。パンツァービュクセ対戦車ライフルは射程こそ400m程度ですが、装甲25mmも貫通すると聞いています。ただし単発です」


「こちらの装甲車は全て穴があけられると言う事だな」


「はい」


「ではそのデータを元に侵攻作戦を修正しよう」


 岩井陸将補と参謀達はドルツ国兵器を考慮して作戦を修正していく。


「よし。それで行こう」


「空挺団偵察小隊先行出発。つづいて第1普通科大隊、空挺特科中隊、そして通信中隊。準備せよ」


 空挺団は戦術情報システムに作戦の変更を入力。完了すると各隊に準備命令を発し、行動を開始した。


 空挺団の作戦概要は次の通りだ。


 街道を南下し、敵射程圏内の手前20km地点で森中に散会し、各小隊ごとに目標に向かって徒歩で侵攻。

 正面からの撃ち合いは避けて、迂回して各拠点を個別撃破、最終的には敵防衛拠点の壊滅を図ると言う物。


 その間。

 水陸機動団は「ドルーデン」に作られる物資拠点及び航空基地周辺の警備を担当する。

 ただし、空挺団が防衛拠点突破した場合には、集合して首都になだれ込む予定である。


 首都攻略作戦は開始された。

 修正された作戦内容に従い、空挺団は移動を開始する。


「偵察小隊第2班から連絡。50km地点で敵斥候と交戦中。第1班、第4班は予定通り森中から防衛拠点に移動。第3班は第2班の援護に転進」

「了解した」


 ドルツ国防衛拠点から出発した斥候とバイク偵察班が交戦している模様。


「偵察第2班より報告。敵斥候は排除。武装解除の後拘束して偵察を続行。第3班は予定ルートに戻る。以上」

「本部了解」


 空挺団は車両で移動を開始。

 防衛拠点20km手前で全車両を降りて徒歩で森に入っていく。

 本部要員の数名が、拘束されているドルツ国斥候を回収しに車両で5km先に向かう。


 しばらく行くと木に括りつけられたドルツ国斥候を発見。

 何かを喚いている様に見える。


 突然、88mmによる砲撃を受けた。

 88mm砲での極大射程の様だ。


 街道上に止めた車両に目掛け正確に砲弾が飛んでくる。

「全員退避。街道反対側に観測員がいる筈だ」

 前線は混乱する。


 個人携帯無線が飛び交い、何を言っているか不明である。


 やがて、「我襲撃を受け、車両大破。隊員負傷3名。ドルツ国斥候死亡2名。斥候か観測員が潜んでいると思われる」と連絡が入る。


 木に縛られた斥候は車両が破壊されると、巻き添えを受けて木事燃えてしまった。


「空挺団中隊本部。制圧射撃要請」


 要請を受けた中隊本部では、第1普通科大隊に対して座標から街道左側1kmの範囲を制圧射撃要請。

 81mm迫撃砲L16による面制圧を開始する。


 しばらくすると甲高い音共に砲弾が街道の反対側を面制圧していく。

 木々が燃え、倒れ、ドルツ国斥候の安否は不明である。


 1分間、座標から1kmの範囲に迫撃弾がばら撒かれ、森の周囲は燃えている。

 それでも本部要員は慎重に小銃を構え、街道の反対側を監視している。


 その時応援の車両が到着した。


 生き残りの本部要員はハンドサインで30秒留まり、後退1km、5分後戻れと指示する。

 

 街道の反対側にいると思われる斥候が生きていれば、再度砲撃が来ると読んだ。


 5分経過しても砲弾は飛んでこない。


 応援車両は本部要員回収の為に襲撃地点に戻り、要員を回収戻って行く。


 一方森中を移動している第1普通科大隊は各小隊ごとに慎重に前進していく。

 まだ敵陣地まで17kmもある。


 突然本部から迫撃要請が送られる。

 第1普通科大隊は迫撃砲を用意して、約3km先の座標とその周囲1kmに対し砲撃を開始する。

 携行しているL16 81mm迫撃砲は全部で10門である。その5門を要請のあった地域に対し制圧射撃を行う。


 携行弾数の半分を使用して面制圧を実施した。

 特科班を置いて普通科小隊は先に進む。

「各小隊、ドルツ国斥候が確認された。注意して侵攻して欲しい」


 各小隊は500m毎に後ろから来る友軍に判るように木にマークを付けていく。


 各小隊は街道の左右に分かれて進行するが、先ほど面制圧要請のあった場所は、まだくすぶっている。

 それを避けながら森中を慎重に進むと、突然銃声がする。


 ドルツ国Kar98k小銃である。

 自衛隊が使用する5.56mmより音が独特で、すぐにわかる。

 第3中隊第5小隊は直ぐに全員伏せを指示。音の方向を感じ取っている。


 森の樹木間から発射の炎が見える。

 小隊長はハンドサインで4名を向かわせ、排除を命じる。


 4名はある程度広がりながらドルツ国兵に向かうと、伏せたまま89式5.56mm小銃を構え、炎を見た地点に対し一斉に射撃を開始した。


 手ごたえはあった。


 4名は慎重に進むと、腹を撃たれ横たわるドルツ国兵士が2名いた。

 慎重に武装解除すると衛生兵を呼び、痛み止めと止血をする。


 その間に周囲を観測していた隊員が、枯れ葉に隠された野戦電話を発見した。

 森中に電話線を引いてきたようだ。


 本部に野戦電話の事とドルツ国兵士の負傷を報告する。

 やがて、本部から隊員が来て、野戦電話と負傷したドルツ兵士を連れて戻って行った。

 なお、電話線は切られている。


 各隊に本部より連絡が入る。

 88mm射程と歩兵砲などの注意である。


 各小隊は慎重かつ大胆に森を進み、陣地手前10kmまでに達した。


 所々に敵斥候が見える。

 時には木に登り、時には木を障害物にして斥候を続けている。


 数が多いので、情報を総合すると敵の第2防衛ラインである事が判明する。


 機関砲や88mm弾が飛んでくる可能性があるので慎重に対処する様に通達。


 各小隊は狙撃優秀者が、敵斥候を排除する。

 音は聞かれるために、本部からのカウントで同時に射撃する。


 ただし未発見の斥候もいると思われるが、発見した斥候はすべて排除し、その後判明した野戦電話の配線をたどっていく。


 いよいよ本格戦闘が開始される。

ありがとうございました。

自衛隊は第2防衛ラインまで到達しています。

戦闘は激化すると思っています。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 地の利を生かしたドルツ側の用兵・・・・ 揚陸の規模が限られている上にテクノロジーの恩恵の差が少ない陸戦では思わぬ所で脚を取られるかも(><) まあダークエルフが引き篭も…
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