第166話 南大陸東海岸強襲その2 そして上陸開始
第166話投稿しました。
お待たせして申し訳ありません。
今回は南大陸侵攻第1号計画(改)の続きと南大陸侵攻第2号計画の最初だけとなります。
いよいよ南大陸侵攻が開始されます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
何度も書き直しているうちに助詞の訂正を忘れる事が・・・それと変換ミスが多いです。トホ
自衛隊及び米国海兵隊の事前準備は完了した。
「南司令、事前上陸班から対処準備の完了報告です」
「了解した。下準備はできたか・・いよいよ発動だな」
「はい、作戦概要及び各侵入隊には事前説明を実施。目標の割り振りも完了しています」
「そうか。いよいよ上陸作戦の準備戦闘か・・後戻りはできんな。我が隊員にも負傷者が出るかもしれない。
だが、横暴な「神の遊び」とやらを何としても止めなくては我々が望んでいる「平和」が保たれない。
ドルツ国兵士には厳しい試練となろうとも作戦は貫徹せねばならない。
よし、覚悟はできた。これより「南大陸侵攻第1号計画(改)」開始を宣言する」と南司令。
「潜水艦隊は東湾内で沈底。航空隊の発進を開始します」
「各艦に通達。対空および対潜警戒を厳となせ」
「各航空母艦は発艦準備優先。直ちに発進」
「了解。いずもフライトコントロール、各機発艦準備、完了次第発艦する」
「タイガーシャーク01から04即時待機。用意でき次第発艦」
「タイガーシャーク01、準備完了」
「警報。甲板要員は退避せよ。飛行甲板解放。発艦許可」
「タイガーシャーク01発艦します」
「武運を」
戦闘爆撃担当のタイガーシャークが4機飛び立つ。
タイガーシャーク隊は東艦隊が停泊しているドック兼係留場所にかかる防空ネットの支柱を潜入した観測班と協働して10本の支柱を破壊する。
その為にペイブウェイEGBU-10:Mk84 2,000ポンド爆弾を米軍より供与されている。
各機はペイブウェイを3本にAIM-9Xサイドワインダー4基搭載して「いずも」を飛び立ち、目標に向けて飛行する。
「飛行甲板、次機発艦を準備。即時待機。用意でき次第発艦」
いずもはエレベータ2基をフルに動かし機体を飛行甲板にセットする。
「シャーク隊4機は目標予定通り」
「了解。シャーク01、準備完了」
「警報。甲板要員は退避せよ。飛行甲板解放。発艦許可」
「シャーク01発艦」
シャーク隊は東艦隊停泊ドックに向かい、帝国に使用した新型22式500キロ焼夷弾を6発にAIM-9Xサイドワインダーを2基搭載している。
その戦闘目標は、ドルツ国東艦隊の対空ネット支柱をタイガーシャーク隊が破壊後に東艦隊に対し焼夷弾による攻撃を目的としていた。
「飛行甲板、次機発艦を準備。即時待機。用意でき次第発艦」
続いて「いずも」はシャーク隊05~08を発艦させると各機はMk82無誘導爆弾を6本とAIM-9Xサイドワインダーを2基を積み込み、港湾施設破壊や対空機関砲陣地の破壊を担当していた。
同様に「いせ」「ひゅうが」から各4機、続いて2機の地上攻撃隊が発進する。
これは作戦計画に基づいて、割り振られた攻撃対象に近隣の陸軍飛行場を破壊する任務であった。
同時刻「かが」と「ワスプ」から飛び立った飛行隊8機はABCの各艦隊護衛を担っている。
やがて全機発艦して、「いずも」上空を旋回しながら各隊は編隊を組んで目標に向かって飛び去る。
「では地上先遣全班に連絡。予定通り実施せよ」
各上陸班は本部指令の10分後に起爆する様に指示されている。
やがて東の入り江後部に広がる山頂で、幾度も爆発が起きる。
計画どおり、レーダー塔を倒壊させ、それにつながるケーブル類が爆薬により切断される。
同時に隣の山頂にある対空砲群が爆発し、その営舎も爆発する。
ある対空砲は飛び上がり、鋼鉄の塊として落ちてくる。
営舎はテントなので、ひとたまりもない。
対空砲陣地が完全に破壊され、動くものがいない事を確認した潜入班は、集合地点に移動を開始する。
観測班は、東艦隊ドックにかかる大きな防空ネットの鉄骨の柱に対しレーザー照射を実施する。
10分後、F-35Bがペイブウェイをぶら下げて飛来する。
レーザー反射を確認すると次々と切り離す。
先陣として防空ネット支柱を狙ったタイガーシャーク隊のEGBU-10:Mk84 2,000ポンド爆弾は次々と支柱を破壊し、ついに防空ネットが燃え上がってしまう。
防空ネットを支えていた10本の高さ50mにもなる支柱は爆弾により折れ曲がり、艦隊にネットが覆いかぶさり、折れた支柱は重巡級の上部構造物を破壊してしまう。
そこにシャーク隊01~04が、A-1軽爆撃機用に開発された22式500キロ焼夷弾をモード1でドルツ国東艦隊に向けて24発も投下する。艦隊の戦艦1、空母1、重巡2が燃え上がる。
湾内では係留されていた駆逐艦が6隻もやいを解き出港して、F-35Bに対して対空砲を撃っている。
係留された重巡や戦艦も残留乗組員により一斉に対空射撃を実施したが、焼夷弾により弾に引火、誘爆してしまい、
対空砲からの砲撃は沈黙してしまう。
戦艦や空母では大きな誘爆が起き、巨大な炎となって燃え上がっている。
ドルツ兵は船から湾内に飛び込んで逃げる。
湾内では事前工作により防潜ネットを下げられていたので、簡単に入り込み着底して待機していた潜水艦隊により、駆逐艦が次々と雷撃の餌食となる。
一部乗組員だけ乗り込み、慌てて出港した駆逐艦ではあるが、操船と対空戦闘に目が行き、海に潜む怪物に気付かないままに次々と雷撃の餌食となった。
乗組員は防潜ネットを信頼しており、まさか潜水艦が抜けて湾内海底に6隻も潜んでいるとは思いもしなかった。
対処も出来ぬままに次々と雷撃を受け、気づく間もなく湾内で駆逐艦6隻は沈んでいった。
「いせ」飛行隊は港湾施設を次々と破壊していく。
「ひゅうが」飛行隊は海軍航空基地や近くの陸軍航空基地、車両保管所などを爆撃していく。
海軍基地や近くの陸軍基地より、メッサーシュミットBf109Bが20機上がって来たが、目標破壊を終えた「いずも」飛行隊の「F-35B」12機によって次々と撃墜され、残りは「いせ」「ひゅうが」飛行隊により爆撃に先んじて墜落させられていた。
メッサーシュミットBf109Bではマッハ2.5で飛来する対空ミサイルに対抗する手段を持っていない。
その間も港湾施設は次々と破壊されていく。
目標破壊を終えたタイガーシャーク隊およびシャーク隊全機は「いずも」に戻り、東海岸に対して脅威となる陸軍基地や弾薬集積所などを追加破壊する為に再びMk82無誘導爆弾や22式500キロ焼夷弾を積み込み出撃する。
近くの陸軍駐屯地や対空機関砲陣地、戦車をはじめとする車両集積地や弾薬、燃料等の集積に爆弾や焼夷弾が空から降ってくる、地上では大騒ぎであった。
・・
この隙に乗じて、ASR-403「ちはや」(潜水艦救難艦)より11メートル作業艇が2隻、機雷が敷設している場所に近付き爆薬を仕掛けていく。
東湾外の次は湾内である。
作業艇から信号を受信した南司令の「いずも」では潜水艦隊に着底退避を勧告する。
約30分後に東海岸一帯の海が一斉に爆発する。海に次々と水柱が立ち上がり機雷群は爆破処理されていった。
こうして東湾入り口までの航路が確保された。
F-35B飛行隊は、少し離れた無線設備や陸軍航空基地に、物資集積所や車両基地などを破壊していったが、すでに何台かの2号戦車が東湾に向かって発進している。上空を警戒していたF-35Bの爆撃隊が、Mk82無誘導爆弾を投下して無事吹飛ばされ、2号戦車は鉄くずに変わり果てていた。
ドルツ国司令部では混乱が続いていた。
突然音速より早い戦闘機が現れ、艦隊決戦用に残していた東艦隊の戦艦や空母に重巡が燃え上がり、船体に穴まであけられた。
対空戦闘を受け持っていた駆逐艦は謎の攻撃を受けて6隻全てが沈んでしまう。
事実ドルツ国には、日本艦隊に対抗できる海上艦隊は壊滅してしまった。
残るはUボートなのだが、その90%の21隻からは応答がなくなって久しい。
現在確認されているのは3隻のみである。
ドルツ国司令部では、日本軍による上陸作戦が開始されるとの予測の元に、中央部から東海岸地区に向けて部隊移動を命令したばかりであった。
ただし、移動準備に1時間、道程200kmで7時間近くも掛かる計算であった。
潜入していた第1水陸機動連隊選抜志願の12名は観測装置を仕舞いながら下山準備を始める。
アメリカ海兵隊武装偵察部隊フォースリーコンの6名は陸上施設から防潜ネットに向かってくるドルツ兵を待ち伏せしていたが、誰一人くる事なくもて余していた。
その時、指令が入りディスプレイに表示される。
静かに6名はゴムボートまで戻ると繋ぎを外して乗りこんだ。
次は上陸先遣偵察隊として後から合流するフォースリーコンの14名と共に各港湾施設でのドルツ国兵士監視任務に就くためだ。
・・
「よし。準備は完了したと見て良いだろう。反撃の連絡はあるか」と南司令。
「特に入っていません」
「上陸チームも撤退を開始しました」
「では次の作戦に入ろう。「南大陸侵攻第2号計画」開始を宣言する」
「了解」「いずも」の作戦指令室とCICでの騒ぎが大きくなる。
「0800南大陸侵攻第2号計画発令。各員所定の要綱に従い速やかなる行動を願う」
「こちら「かが」上陸指令室。作戦発動を確認。直ちに開始します」
B艦隊は東海岸に殺到して、最初に上空警戒用のF-35B隊をワスプ含めて15機も集結させる。
続いてまだ燃え上がっている東海岸上空警戒に飛ばして、上陸陸戦部隊の直上警戒を実施させる。
「さて諸君。いよいよ上陸作戦開始が発動された。気合い入れていくぞ」「おー」
第1水陸機動連隊はドック型揚陸艦「ジャーマンタウン」に乗り移り、積み込まれたAAV7を始動させる。
「ジャーマンタウン」に積み込まれている、64両のAAV7装甲兵員輸送車。
32両は第1水陸機動連隊第1中隊(1水機-1)から第3中隊(1水機-3)が使用する。
残りの32両は第31海兵遠征部隊が使用する。地上戦闘部隊(GCE)が主力だ。
なお、第1水陸機動対戦車中隊および水陸機動団特科大隊はLCAC(エア・クッション型揚陸艇)による上陸である。
ワスプからもLCACが飛び出していく。これはアメリカ海兵隊武装偵察部隊の第5武装偵察中隊(沖縄)とLAV-25を4両積み込んでいる。
各LCACは南大陸東海岸に車両を搬出するとピストンで次の車両や重火器を運んでいく。
中には高機動車や(新)73式小型トラック(パジェロ)に73式中型トラックに120mm迫撃砲 RTがけん引されている。これは水陸機動団特科大隊の重迫撃砲である。
上陸したAAV7は最初の予定通り破壊された港湾施設を警備していく。
中にはワザと攻撃対象から外した重油備蓄施設もある。
アメリカ海兵隊武装偵察部隊第5武装偵察中隊はLAV-25に乗り換え、東海岸から南側街道を警戒する為に注意しながら南に10Km行き、森と丘に囲まれた場所を発見し対戦車ミサイルなども準備しながら警戒待機をしている。
米国海兵隊のLAV-25は主砲がM242 25mm機関砲であり、100km/hもの速度が自慢である。
乗員3名ら兵員6名を輸送できる能力がある。
一方AAV7は12.7mm重機関銃M85×1に40mm自動擲弾銃Mk.19×1が主要武器であり、最高速度も72.42km/hと控えめである。ただし乗員3名と兵員25名を一度に移動させる事が出来る。
第1水陸機動連隊は予定通り、東海岸で生き残りのドルツ兵士を拘束して武装解除をしていく。
結果生き残りのドルツ兵士は全部で32名である。
これは「かが」からV-22オスプレイが飛来し、「かが」に作られた特別捕虜収容施設に運び入れる。
第1水陸機動連隊と第1水陸機動団水陸機動団特科中隊は共同して、首都らしき建物群がある場所まで街道を南下する態勢を取る。
途中の街らしき所には、V-22オスプレイに搭乗した第1空挺団第1普通科中隊が先行鎮圧をすべくおおすみの甲板から飛び立つ。
南大陸全体は森林が多く、その中に街道が作られてはいるが、上空からは視認しにくい。
ただし、首都らしき街までは東海岸から250Kmの距離である。
「ワスプ」などの揚陸艦は東海岸の内海に停泊し,西部方面隊第5施設団の第2施設群より第367施設中隊(367施)、第368施設中隊(368施)を降ろし必要な重機や資材をLCACで上陸させている。
「おおすみ」型「おおすみ」「しもきた」「くにさき」の3艦も同様である。
全ては揚陸指揮艦の「ブルーリッジ」により詳細な揚陸指示が流れていた。
目的はドルツ国東海岸に作られた重油貯蔵所を使えるまでに改修し、ついで東海岸に隣接したドルツ国海軍航空基地、並びに5Km離れたドルツ国陸軍航空基地の破壊した滑走路を使えるまでに整備して、物資集積所と緊急対応の為の臨時航空基地として機能を復活させる為である。
上空にはF-35Bが警戒巡回を実施しているが、東海岸の入り江に入ったDDG-179「まや」により、100MHz以下にホワイトノイズを流して、ドルツ国の戦術、戦略無線を全て無効化していた。
DDG-179「まや」から流れるノイズの範囲は東海岸を中心に200Kmまでに及んでいる為に、ドルツ国司令部では有線や伝令による通信手段しか残っていない。
ありがとうございました。
正月なしで続きを書きますのでよろしくお願いします。