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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
17/251

第16話 外務省とハイエルフ

第16話を投稿します。

なにやら第4偵察小隊が発見したようです。

ハイエルフはアイドル扱いされるし、日本はまだまだ平和です。

 第2偵察小隊、第4偵察小隊の動向である。

 第4偵察小隊は施設作業車を先頭に第3偵察小隊と並行した道を作り、山麓まで別ルートを作っていた。

 平行と言っても50kmは離れている。


 第4偵察小隊は第2偵察小隊を引き連れ、第1偵察小隊と同様に、海岸が見えるところで、海岸への道路を作り第2偵察小隊と別れた。

 第2偵察小隊の話をすると、海岸線を北に進行していったが、途中に川があり、幅が2kmで深さがなんと30mもある。すごい流れであり渡河はあきらめた。

 河川の状態を確かめるべく、川下から川上まで調査の為に進めた。

 上流付近では川幅は広いが沢山の支流があり、深さも浅くなったので渡河できる様だったが、向こう岸は森林である。施設作業車がなければ向こう岸に行けたとしてもそれ以上進めない。

 本部と連絡の上、流域の撮影とOP-3Cによるマップ作製支援を行った。

 ただし、ここの地区は『ドラゴン』が飛んできた方角であり、緊張感が強まった。


 やがてOP-3Cが上空に飛来。するとしばらくして『ドラゴン』が来た。『ドラゴン』は第2偵察小隊に気づかず、なわばりに入ってきたOP-3Cを威嚇している。OP-3Cはそんな『ドラゴン』をからかうように、デジタルマップ作製を行いながら、『ドラゴン』と追いかけっこをしている。

 『ドラゴン』は時速400km/h程度、一方OP-3Cは巡航で600km/h最大で750km/h出せる。勝負になってない。

 一つだけ判明したのは、「ファイヤーブレス」を放つとき、『ドラゴン』はホバリング、つまり空中で停止しなければならない事であった。OP-3Cに火をふくときには停止していたため、OP-3Cと距離が離れ、『ドラゴン』は有効な攻撃を与えられないでいた。第2偵察小隊は冷静に観察を続け、本部とOP-3Cに報告をしていった。前に現れた時は、常に冷静な陸上自衛隊も混乱していたのだ。なにしろそんな怪獣がいるとは、ましてや襲ってくるとは思ってもみなかったからだ。


 デジタルマップ作製中のOP-3Cは第2偵察小隊の調査地区を終えると、『ドラゴン』を引き連れ、宗谷岬の特別高射地区まで連れて行った。後日聞いた話では、第2師団第2高射特科大隊が展開している宗谷岬公園まで『ドラゴン』を引き連れて行って、高射群の上で引き離し、あとは高射群が87式自走高射機関砲、81式短距離地対空誘導弾、93式近距離地対空誘導弾を次々試して威力判定と仲間の仕返しを行った。実に容赦がなかったそうだ。なぜなら前回はある程度姿が残った状態で駆除できたが、今回は『ドラゴン』らしき破片が一帯に散らばっていただけであった。高射特科の隊員が文句も言わず拾い集めたそうだ。


 因みに前回の『ドラゴン』はある程度裁断されて、稚内空港からC-2輸送機で米軍横田基地に運ばれ、各大学の研究施設に分配された。その生態と特質を知るために。


 『ドラゴン』と追いかけっこしたOP-3Cは稚内空港で給油したのち、2機で飛び立ちハイエルフの里の上空で2手に別れ、それぞれ山岳を北と南にマップ作製を行った。

 このころには宗谷岬の西の森林を『ドーザ大森林』または『ハイエルフの大森林』と呼ぶようになった。

 第2偵察小隊は一通りの調査と報告を終えると本部に戻っていった。


 第4偵察小隊は施設作業車を先頭に山の麓まで進めていった。第3偵察小隊より遅い時速15km/hであった。

 第4偵察小隊のルートは森林が深く生い茂り、行く手を阻んだ。特に前回『ドラゴン』が森林を焼いて捕食した場所を通るので、消火活動を一部行い進行した。ただし火災現場は燻っている程度で、燃えてはいなかった。途中『いのししもどき』に新種の『くまもどき』これは後で解った事だが『森の悪魔ドラフマ』より小型で、元から日本にいる『つきのわぐま』に似ていた。大きさも同様に1.5mから2m程度である。違うのは目が赤く、胴体が黒く足がパンダと逆で白かった。パンダは胴の一部が白く足は黒い。

 第4偵察小隊は予定より進行が遅く、ゆっくりとしていた。途中の木々の中に岩があったり難航していたのだ。偵察小隊の走行距離が臨時分屯地から300kmになろうとしていた時、進行右側に少し開けた所が見えた。油の様な匂いもしてくる。小隊長は全車停車を命じ、警戒しながら調査を行った。

 なんと自噴している油田であった。小隊長の出身は新潟の新津で、実は日本で有数の油田『新津油田』を知っていた。江戸時代から大正の頃まで油をとっていたが、硫黄分が多く精製に時間とお金がかかり、結果輸入したほうがコストが安いと、いまでは見向きもされない。しかし自噴油田はいまも原油を出している。

 因みに『新津油田』は現在寂れた公園となり訪れる人もいない。一帯は禁煙である。

 小隊長はサンプルを採った。調べて貰うためである。

 

 第4偵察小隊は少し後退して、自噴油田をエンジン等のスパークで発火しないように迂回の道を作った。本部にも連絡済みであり、少し広場を作ってカラースモークでOP-3Cに位置をマークしてもらった。

 後々これが最大の成果となった。自噴油田を迂回した第4偵察小隊は山麓に到着し、第3偵察小隊同様に動画と写真とサンプルを取っていた。麓を北に5kmほど進むと一面輝いている山を発見した。山道もないので行けるところまで施設作業車で行き、後に徒歩で警戒しながら進んだ、輝いている正体は黄鉄鉱のようだ、6面や12面の結晶体として採取できる。鉱石ラジオの鉱石ダイオードの原料である。現在でも世界中で需要がある。

 露出している鉱石のサンプル採りと、その後に山を横に移動していった。険しい道であった。

 いくつかの鉱石サンプルを採り、その後現れたOP-3Cにマークしてもらうと、帰路についた。

 ハイエルフの第3偵察小隊を除けば、最大収穫であった。のちに判るのだが。


 ハイエルフ達は、稚内のホテルで一泊したのだが、現地の服は少し露出も大きくそぐわないと思った女性自衛官2名は特別官費を貰い、朝早くから稚内市内で洋服、靴、下着をとりあえず5人分用意した。

 あまり可愛い洋服とは思えなかったが、現地の衣装よりはましであった。

 予定時間となり、自衛官と共に外務省職員に連れられて稚内空港から羽田行きの臨時チャーター民間機にて乗り込む予定をしていた。稚内→羽田13時の便の30分後にチャーター機が飛ぶ予定だったのだが、早く着いてしまって先の便の乗客に見られてしまった。ボーディングブリッジは1つしかなく、階段から徒歩で乗り込む予定ではあるのだが、出発階段には出発ロビーを横切らなければならない為に、羽田に飛び立つ乗客の目に触れてしまったのだ。

 まるでアイドルの様な容姿に現代風の洋服、大騒ぎとなった。「エルフだ」「エルフを見た」とSNSは炎上、失礼な客は写真を撮ってしまった。たちまちトレンド1位となった。隠したい外務省はあきらめた。


 大騒ぎの後、彼女たちは初めて空を飛んでいた。思念で会話しているので「わー」とか「きゃー」とかは無い。ただし操縦の邪魔にならないように思念は弱くハイエルフと外務省職員にだけ聞こえる範囲に抑えていた。もちろん一般客は乗っていない。ハイエルフを保護した第3偵察小隊長と女性自衛官2名、外務省職員2名とハイエルフ5名の貸し切りであった。約2時間のフライトである。

 通常は軽食が出されるのだが、ハイエルフたちは完全にビーガンであった。ベジタリアンではなく完全菜食主義の様で昼はホテルで早めに摂ったが、念のために白米おにぎりを用意してもらった。飲み物はお茶とリンゴジュース、お茶は人気があった。

 現在稚内空港は以前の2,000m滑走路から3,000mに延長されているが、政府専用機のボーイング777-300ERには少し足りない。よって民間会社のA321をチャーターしたのだ。


 2時間後羽田についたが、着陸を待たされた。それと言うのも羽田はVIP用の特別ルートはあるのだが、SNSで拡散した為にVIP通路の出口も一目見たいファンで溢れていて、危険だと判断した羽田空港と外務省は、特別チャーター便をブリッジ使用することなく、タラップに特別車を横づけする体制をとった。

 その体制の為に少し、45分程度東京上空を旋回する事となった。

 初めての東京にハイエルフ達は声も、いや思念も出ない。


 外務省本省に招かれた後に本省に近いホテルの25階を貸し切り、万全の警備体制を陸上自衛隊がホテル周辺と客室階段周辺及びエレベーターを、警察は部屋までの通路と非常階段を警備した。どこのVIPより物々しい警備である。

 その後ホテルの美容着付室に頼み、彼女たちの服を一人3着ずつ用意してもらい。さらにアイドル感が出た様だ。そんな趣味のコーディネーターがいたのだ。外務省は目立ちたくなかったのにである。

 どこからか漏れてSNSに彼女たちの泊っているホテルや盗撮した様子が掲載された。困ったものである。

 

 外務省としては、ハイエルフの皆さんに大陸の言語や習慣、貨幣制度や常識などを学ぶ予定だった。

 特に言語については、民間会社と協力してポケット翻訳機までの制作を予定していた。これで外交官が言葉で困ることはない。ハイエルフ達は軟禁に近い環境であったが、文句なく見るもの全てが初めてなので、好奇心が爆発していた。彼女たちの為にホテルは完全無農薬で動物性油分を使わない食事やパンを提供していた。

 日本食も好評であった。特にゴマ豆腐を気に入り毎食食べていたようだ。

 ここまで来ると小隊長にできることはない、彼女たちと別れ、防衛省にて遭遇状況と交渉内容を子細に伝え、統合幕僚監部にて遭遇した怪物の状況を説明し、有効打撃のアドバイスをした。

 これを海上、航空、もちろん陸上自衛隊に情報として連絡がいった。

 また、東京大学に参考人として呼ばれ、生息動物や巨大生物の説明と採取した鉱石の説明をしていた。急遽第4偵察小隊長も同席していた。馴れない環境で仲間はありがたかった。

 東京大学の講堂でたっぷり3時間も説明させられた。もちろん動画や画像付きである。

 その後防衛省に呼ばれ、彼らは宗谷岬の偵察本部に戻っていった。


 一方SNSを抑えきれない外務省は、接続大地からの初めてのお客として、記者発表し、彼女たちの写真やハイエルフの里の様子、途中の獣や大型獣の写真を公開した。密かに『宗谷大地』に入らせないためである。

 ハイエルフの生写真はオークションで一時1枚15万もの値がついた。いやはやである。


 外務省は困っていた。ハイエルフに指導をお願いしていたのだが、名前が無いので個人を特定できない。

 ハイエルフ達は思念の質によって区別できている様だが、容姿も微妙に違うだけで、おじさん達には同じに見えてしまう。警備の自衛隊や警察も良くわからなかった。

 そこでハイエルフ達に幾つか資料を渡して、日本でだけ個別にニックネームを名乗ってもらうことを決めた。おじさんはつらいのである。

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ハイエルフを騒がしい東京にわざわざ連れてくる必要性が分からないな。静かなところで接すれば良いでしょう。
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