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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
168/251

第163話 南大陸北部沖戦 その2

遅くなりました。投稿します。

ハイエルフ対ダークエルフ・・・どのような結果に

腰の状態よりは左足のしびれが辛いです。

ですが、2週間経過してようやく少し動けば痛みが少なる事が解りました。無理はできないですが・・

現在は朝起きた時が一番ひどく、夜には痛みとしびれが弱まります。

書けそうな気がする・・・アハ

「隊長待機命令ですが、なにを待っているのでしょう我々は」

「そう焦るな、司令部にもなにか考えが有る筈だ。信じて待機しよう」

「はい・・・」

 ドルツ国ハイフォン航空基地でテスト中の長距離爆撃機ハインケルHe111-V2に搭乗しているテストパイロットは待機命令に、じらされていた。

 司令部の指令では「敵艦隊の偵察」と言うだけであったが、偵察位なら試作のハインケルHe111-V2でも充分であったし、航続距離2000Kmをすでに達成しており、速度も最大420Km/hを達成していた。

 ドルツ国が誇る最新長距離爆撃機である、偵察なぞ朝飯前であったのだが、なぜかの待機命令。

 この試作機は爆弾を搭載しない代わりに、測定者、検査者を4名乗せて試験飛行していたのである。

 ハインケルHe111-V2のV2は試作2号機の意味であった。

 ハインケルHe111の最終性能は、搭載爆弾2000Kgを積み込んだ状態で最高高度8300m、最高速度400Km/h、最大航続距離は2,800Km(1,750マイル)を要求諸元としていた。


 ・・

『ミーナ呼びかけを始めましょう。』

「はい、族長。機内の皆さまも気分が悪くなりましたら、横になってください」

「了解」

「開始します。私たちの思念は約30m半径での到達が限界です。これ以上強くしますと機体や皆様に影響を及ぼすので自重しております」


 ハイエルフの族長とミーナは協力して思念を海上に向けて放つ。


『私たちはハイエルフ。勇敢に戦ったドルツ国兵士の皆さまを助けに来ました。

 ドルツ国は日本の艦隊に近寄る事もできません。

 日本国艦隊は、皆さんを救助する為に沢山の航空機を出して捜索しています。

 ドルツ国兵士の皆さん、救助を受け入れて反撃しない事を誓ってください。

 お約束します。必ず、いつかドルツ国に送り届けます。どうぞ受け入れてください。』


 波間を漂うドルツ兵はハイエルフの思念に強く反応して、大きく手を振る。

 なにしろハイエルフからの呼びかけである。ダークエルフの様に思念に邪悪な意思が入っていない非常にクリーンな思念である。

 殆どのドルツ兵士は恭順し、波間で救助を待っていた。


 A艦隊「ひゅうが」はドルツ国捕虜を想定し、その100名以上収容可能な多目的室を捕虜収容所として区画を作り変えていた。

 元々は陸自隊員や被災民を受け入れる為の設備であるが、今回は捕虜収容施設として区画を区切り、密閉空間を作っていた。

「ひゅうが」には医療区画もあり、手術にも対応している為に負傷したドルツ国兵士は全て治療されて収容所に入る事になった。

 

 各護衛艦から発進した海難救助機UH-60Jブラックホーク3機は、波間を漂うドルツ国兵士を見つけるとホイストによる救助を実施。

 救助されたドルツ国飛行兵士は全て「ひゅうが」に集められている。 

 なお、陸上自衛隊からは捕虜管理の為に40名の武装隊員が乗りこんでいる。


 ・・

「ようやく指令の続きが来たぞ」

 待機中のハインケルHe111-V2に対して、指令が届く。

「なに、一人乗せ予定海域に飛び立てとあるが、危険ではないのか」

「いや司令部の意向だ、歓迎しよう」

 その時ハインケルHe111-V2の前に黒塗りのリムジンが止まる。

「お偉いさんじゃないのか。危険なのに」と副機長。

 ドアが開き、ダークエルフが姿を見せる。

「ダークエルフ様だ。光栄な事だな」

 ダークエルフは機に乗りこみ、測定員の座っていた椅子に座る。

『我はダークエルフ、日本の艦隊が見える所まで行きなさい。』

「ダークエル様、機長のドルフです。早速出発します。ベルトをお願いします」

『了解しました。』ダークエルフは席についているベルトを軽く締めている。


 やがてハインケルHe111-V2は飛び上がり、北北西の進路を取り、高度5000mを維持する。


 ・・


 呼びかけを終えたハイエルフは「いずも」に戻っていた。

 陸自のV-22オスプレイは「いずも」にて給油を受けている。


「お疲れさまでした。皆さんのおかげで18名のドルツ兵士を回収できました」

『そうですか、お役に立てて良かったと思います。』

「本当に感謝します。どうぞお休みください」

『感謝します』



 暫くして、DDG-179「まや」から報告が入る。

「まやCICから入電、大陸より航空機1機400Kmに接近」と艦橋に流れる。

 A艦隊の先鋒を務める最新艦「まや」は多目的レーダーAN/SPY-1D(V)の最新バージョンを搭載し、そのレーダーにより高度5000mを飛行する機体が発見されたのだった。

 

「聞いた通りだ、航空参謀」

「はっ直上機を向かわせます」


 艦内通話機が突然鳴る。

「艦橋、東野副司令だ」・・・


「南司令、ハイエルフさんから艦内通信です」と副司令。

「スピーカーへ。こちらは南です」

「ハイエルフのミーナです。族長からの伝言です。近寄っている機体に接近はしない様にお願いすると言う事です」

「どういう事です」

「族長が申すには、ダークエルフの思念を感じると言う事です。

 ダークエルフの思念が届く範囲に入ってしまうと、のろいの思念をかけられ、体は硬直し脱出も困難になると言う事です。そして、乗って来たオスプレイを飛べる状態で待機させてくださいと」


「ダークエルフですか、報告は読んでいます」


「ダークエルフの思念を中和出来るのは、我々ハイエルフだけ」


「了解しました。友軍が半径200m以内に入る事を制限しましょう」


「ご理解ありがとうございます。先鋒の艦にも退避行動をお願いします」


 航空参謀からOkを貰う。


「それはお任せください。オスプレイについては準備が出来ました」


「有難うございます。早速出発いたします」


「早々に来たか、ハイエルフさん達が居て良かった」と南司令は漏らす。


「ええ、ですが、目的は何でしょう」


「多分だが、ハイエルフがいるか偵察に来たのではないかと思う。

 なにしろダークエルフの思念を中和できるのはハイエルフだけだからな。その為の偵察かも知れない」


「そうですね。艦隊位置だけなら普通に偵察機を飛ばせばよい話ですから」


「だが、偵察機を含めてダークエルフを墜落させるのは容易いかと思いますが」


「ダークエルフは思念で追尾ミサイルを操る事も考えられる。これが砲弾なら無理だと思うがね」


「ダークエルフがミサイル群の慣性誘導の方向を変えると言う事ですか」


「わからん。ただし思念の研究は始まったばかりだ、不明な事も沢山ある」


「艦隊航空打撃艦隊(A艦隊)に下命、敵偵察機より最低200m以内の接近禁止、各航空機も同様。ダークエルフが搭乗の可能性あり、近寄れば思念の呪いを受ける。航海長」


「北北東に転進75度速力25ノット、転進」

「転進、北北東75度転進ヨーソロー」


 A艦隊は南大陸に平行(東方面)に進んでいたが、艦隊陣形による一斉転進は見事である。

 南司令は一旦ダークエルフから離れる事を決断した。

 同時にB艦隊、C艦隊にも連絡が届く。


 発着甲板では燃料補給されたV-22オスプレイが待機し、ハイエルフ達を待っていた。

『さぁ行きましょう。』

「はい」族長とミーナを含む10名のハイエルフはオスプレイに乗りこむ。


『ダークエルフが見つかりました。私たちの出番です。日本の方々に邪悪な思念を浴びせてはいけません。

 それが私たちハイエルフ族の役目、皆覚悟をお願いします。』


『ミーナ、自衛隊の方に戦闘機に長距離迎撃できるミサイルを積み込み、後ほど出発をお願いします。』

「族長、ミサイルでダークエルフを打ち落とすのですか」

『うまくは行かないと思いますが、ダークエルフにも恐怖を与えたいと思います。これが戦争だと。』

「畏まりました」


 ・・

「いずも」航空司令に通信を入れる。

「こちら、ハイエルフのミーナ。族長から戦闘機に長距離迎撃可能なミサイルを積み込み待機をお願いします。私たちがダークエルフに近寄れば、注目は私たち、長距離ならば気づかれにくい筈」


「南司令、ハイエルフ達からの提案。乗りたいと思います」と航空参謀。

「了解した。なにか考えがあるのだろう。ハイエルフ達の言う通り準備して欲しい」

「了解しました」


「いずも」は攻撃隊F-35Bを2機用意して、サイドワンダーAIM-9Xを2基に、中距離対空ミサイルAIM-120 AMRAAMを2基積み込んで待機させる。

 AIM-120 AMRAAMはC型(C-5型)を使用しており、最大距離105Kmを飛翔する。

 中間誘導は不要であるが、一応F-35自身のレーダーリンクによって、目標に向けて飛翔後、自身のアクティプレーダーにより目標を探知して追撃する仕組みである。

 このサイドワンダーとAMRAAMは念のためにF-35Bの内蔵ベイに搭載した。


 やがてオスプレイより連絡が入る。

「偵察機まで、約50Kmに接近。ハイエルフの指示によりコースこのまま進行」

「気を付けてくれ」と航空参謀。


 ニーナは族長の指示を的確に受ける為、そして伝える為に族長と手を繋いでいる。

「コースこのまま、ダークエルフと接近してください。対空武器は乗せていますか」


「いえ、輸送機ですのでカーゴドアを開ければ、陸自が誇る12.7mmが2門使えます」


「では用意をお願いします」


「了解、高度と速力を落とします」カーゴドアが半分開き、陸自隊員が12.7mm機関砲を2門セットする。



「相対速度はどの位ですか」

「ドルツ偵察機は高度5000から3000に降下、速力約400Km/h、こちらは高度3500m速度500。約5分後にコンタクト」

「では、速力高度そのままで、偵察機を通過して、高度を3000まで落として、速力そのままで、旋回し再度追い越してください。ダークエルフがどの様に出るのか見たいのです。

 「いずも」に戦闘機発進を指示してください」


「了解」

「すれ違う時、中和思念を出します。気分が悪くなったなら無理せず引き返してください」

「了解しました」


 やがてドルツ国偵察機が見えて来た。

「来ます」


「みんな中和思念を」

 ハイエルフは一斉に思念を放つ。


 ダークエルフは偵察機から思念を放ち、ハイエルフが乗っているのか確かめる。


「きました」


 ハイエルフ10名による思念に対してダークエルフ一人の思念ではとても勝てない。

「ちっ5人以上もいる。機銃で追い払えるか」

「ダークエルフ様、可能でございます。前方と後方に対して攻撃ができます」

 ハインケルHe111-V2は機首についている7.92mmを副操縦士が操作する。

 また、下部にはゴンドラと呼ばれる吊り下げ式透明キャノピーに13mmMG131機関銃を後方に向けている。


「あの忌々しいハイエルフを打ち落としておくれ」

「ヤー」

 V-22オスプレイは族長の指示通り高度差500で通り越し、高度を3000にして横を通り過ぎる予定であった。


 ダダダ。


 ハインケルHe111-V2のゴンドラから後方に向けて機関銃が放たれる。

「我攻撃を受けている。速度を上げ前方に出る」

「いずもCIC了解。機体撮影の分析結果、ハインケルHe111と判明。前方7.92mm、ゴンドラに13mmか20mmを装備する。気を付けて欲しい」


「了解。最大速度で離脱する。乗員はベルト使用。追い越し上昇する。カーゴドアそのまま。

 追い越し、上昇に移る所で撃てるポイントがあるはず」

「後部カーゴ了解」


 オスプレイは速度を上げて、最高速度の565Km/hまで加速してハインケルHe111の横を通り過ぎると上昇した。

 突然12.7mm2門が吠える。


「当たらなくて良い、牽制してくれ」「了解」

 オスプレイは逃げに入る。


「あの機体を追いかけろ」

「ダークエルフ様危険です。先には艦隊が待ち受けています」

「うるさい。追いかけろ。艦隊がいれば全員思念で呪ってやる」

「ご命令通り」


 いずもを飛び立ったF-35Bの2機は大きく迂回して、ハインケルHe111をレーダーに捕らえた。

「タイガーシャーク01、タリホー、攻撃許可願います」

「いずもCIC、攻撃を許可する。事前策定した予定に従い対処願う」

「タイガーシャーク01、ラジャー、02敵機後方に付け、フォックス03、ファイヤー」

「02、ラジャー、フォックス03、ファイヤー」


 ハインケルHe111の斜め後ろと真後ろからAIM-120 AMRAAMを発射する。距離は80Kmもある。


 いずもCICにもAMRAAMの軌跡が映し出される。

 射出されたAIM-120AMRAAMはマッハ4(秒速1.3Km)と言うドルツ国にとっては想像すらできない速度で80Kmの距離を約1分飛び、ハインケルHe111に吸い込まれる。

 当たる瞬間ダークエルフが「何か来る」と言うが間に合うはずもなく、ハインケルHe111は炎に包まれ、空中分解してしまう。

 乗員は脱出する時間もない。気絶して落ちていく。


 ダークエルフは落ちながら、その能力であるトランスポート(空間移動)で宮殿のダークエルフの間に戻る。

 ダークエルフには感情が表には出ない筈なのだが・・・なぜか鼓動が早くなる。

 しかも・・・左腕が無くなっている。


「くっ。日本軍を舐めていたわ」

 それは屈辱よりも、少し恐怖が勝っていた。

 ダークエルフは左腕をきつく縛り、止血して魔術式を展開、再生を行う。ただし冷静を装う。

「失礼します。ダークエルフ様」ドルツ国首相が謁見の間に入ってくる。

「ダークエルフ様。左腕どうしました」首相はオロオロしている。


「構わない。何用だ」


「はい。シューゲル航空基地の偵察機1機及び攻撃隊25機、それにダークエルフ様を乗せたハイフォン航空基地のハインケルHe111-V2と連絡が取れなくなりました」

「知っている。墜落させられた」

「それでその様な・・・」

「いまいましい日本め」

「後続の攻撃隊は如何致しましょう」

「敵う相手ではない。日本が大陸に上陸したなら攻撃する様に。それまで攻撃機と戦闘機は温存するように」

「畏まりました。では敵艦隊の位置偵察だけにします」

「うむ」


 ダークエルフは平静を装ったが、内心には少し「恐怖」が芽生えていた。

 生まれて初めての「恐怖」が・・・


 ダークエルフが「なにか来た」と気づいた時には墜落していた。

 ダークエルフもハイエルフも不死身ではない。ダークエルフは魔力による身体再生能力があるが、すぐに生えたりはしない、時間がかかるのだ。

 だが、ハイエルフは死ぬが、ダークエルフは死なない、正確に言えば魔界の管理者として生まれ変わる。

 生まれ変わりは魔力も強くないので、脆弱と言えるのはこの時しかない。


 ダークエルフは魔界の管理者として、神より空間移動、時空移動(魔界移動)、時間停止に時間停止解除そして「ヘルゲヘナ」などの能力と身体再生の魔法を受け継いだ。

 空間移動以外の能力を使うには、神のクリスタルが5つ必要であり、準備なしに時間を止める事は出来ない。同じ理由で時間停止解除も「ヘルゲヘナ」もクリスタルが無いと発動させる事は出来ない。


 神は、今回のドルツ国対日本の戦いを喜んでおり、いやどちらかと言えば神の意志によって戦いが開始された感が強い。

 そのハンディーとしてダークエルフの能力による介入を禁止していたが、ダークエルフは空間移動を2回使用してしまった。


 一度目は日本国を見たいと言う欲求から、皇帝ガリル3世が泊まっているホテルへの移動と日本の情報入手、そして今回は日本艦隊を見たい欲求により墜落した空中からの移動・・・


 神は知っているのだろうかと思うが、神が知らぬはずはないと思いとどまる。

 じわり左腕を喪失した痛みがダークエルフを襲う。


「ドルツ国に能力で介入してしまう、魔界に帰ろうかしら」と独り言を言うが聞いている者はいない。 


 ・・

「南司令へ連絡。ハイエルフのミーナです。ダークエルフの気配が消えました」


「戦死しましたか」


「いえ。残念ながらダークエルフはハイエルフの様には死にません。体があれば再生能力があります。

 もし、たとえ死んだとしても魂が転生して、ダークエルフは生まれ変わります」


「そうですか。少しは後悔してくれるとありがたいのですが」


「それは判りません。ダークエルフは神から魔界の主となる運命を背負って生まれています。

 それは絶対的力で魔界の者達を服従させるのです。

 しかし、ダークエルフ個人の感情は判りません。感情が無いと言う訳ではないと族長が言っています」


「はい。良い結果となれば良いですね。気を付けてお帰り下さい」


「了解した。と族長は申しています」


 陸自のV-22オスプレイは「いずも」に向かって飛行を続ける。

ありがとうございました。

1話に1週間かかりましたが、次回からは早めに投稿できると思います。

よろしくお願いします。

誤字脱字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 まずはダークエルフに少しばかりとは言えない『衝撃』を与え・・・・ 翻意させるか封印する手段有ればいいのですが。 先日、スカパーの長期視聴特典で戦時中のUボート基地の対…
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