第162話 南大陸北部沖戦 その1
お待たせしました。
腰痛で遅くなりすいません。日曜日は3分が限界でしたが月曜日は5分程度、本日水曜日は30分も続けて書くことができました。相変わらず左足のしびれは取れませんが・・・
書き足しを何度も重ねて書いたので、辻褄が合わない箇所がありましたら、ご指摘お願いします。
何度も読み返しましたが・・・(それでもいつも誤字脱字があるので・・)
よろしくお願いします。
「南司令、南大陸まで250海里となります」
「そろそろ敵も欺瞞通信に気付いて、偵察機を飛ばす頃だと思う。対空対潜警戒」
「了解。僚艦に伝えよ、対空対潜警戒を厳となせ」
南大陸遠征艦隊は、便宜上先行の航空機動艦隊をA艦隊、遅れて上陸部隊、地上部隊を輸送しているB艦隊、そして補給船を中心とするC艦隊に分別されている。
今、A艦隊が南大陸250海里(約463Km)に接近していた。
この距離ならば、VHF波(50MHz帯)を使用したドルツ国レーダーにも捉えられている筈だと南海将は思っている。
だが、ドルツ国の地上配備型VHFレーダーでは最大半径200Km程度(実際にはそれより劣る)が限界であり、まだ南大陸遠征艦隊のA艦隊を捉えてはいなかった。
それは偶然にやって来た。
「機長、海上に出ました、予定コースを進んでいます」
「了解した副機長。コースこのまま」
それはドルツ国空軍が偵察に使用している、多目的機のフィゼラーFi167であった。
フィゼラーFi167は複葉機だが航続距離が1300Kmもあり、第二次世界大戦前期のドイツで、偵察機と言えばこの機体であった。
フィゼラーFi167は乗員2名で、7.92mm機銃が2機(前方固定1、後方旋回1:乗員は背中合わせに搭乗)である。
偵察任務の為に航続距離を犠牲にする爆弾は積んでいない・・ただし最大速度325km/hと、自衛隊にとっては止まっている様な速度であり、複葉機であるがゆえ、運動性能は抜群であるが、低速での旋回性能が優れているだけで逃げ足は遅い。
「ウイスラー君、あれはなんだ」突然の事に驚いたバルリー機長が指さす。
そこには水平線にかすかに見える艦隊のシルエットがあった。
「機長、艦隊発見です。通信します」
ドルツ国空軍は長距離通信をしない為に、1MHz帯で平文モールス通信である。
(▴▴▴ ▲▲▴▲(トトト ツーツートツー 意味SQ:ドルツ国呼び出し符丁:書き取りの場合は大小の三角をつなげて書く:ベテランは聞いただけで頭の中に電文が浮かび上がる)
我、空軍シューゲル基地所属偵察201、地点11010敵艦隊北北西にて発見。敵艦総数不明、接近を試みる)
(司令部了解、接近し続報を要請)
(偵察201了解)
これはシューゲル航空基地で行う、定期偵察であり、レーダーの届かない範囲を補完する為に、定時に12機の偵察機が30度の偵察範囲を飛び、異常を報告する為の定期飛行であった。
それから5分後・・
ドルツ国司令部では大騒ぎである、なにしろU-Boot60の報告では、南大陸にまだ北方700Kmの海上であったはずが、一気に460Km程度に接近していたのである。
ドルツ国司令部はダークエルフに報告をすると共に、一番近いシューゲル航空基地に対し、Ju87シュトゥーカ25機の待機を命じた。
Ju87シュトゥーカは急降下爆撃機Ju87A-0であり、航続距離約1000Kmである、ドルツ国では艦隊攻撃の要である。
ただし、まだ敵艦隊の正確な距離がつかめていないので、燃料を無駄にすると墜落の危険があり、出撃準備状態での待機を命じていた。
「敵相対距離400で発進させる」
「了解、150kg爆弾装備で待機」
・・
それより15分前、偵察201が電文を発信する5分前。
「司令、レーダーで機体接近を確認。まだ420Kmあります」
「10分後に中短波帯スクランブル。直上F-35に連絡、一仕事頼む」
「航空参謀、聞いた通りだ」
「了解。向かわせます」
A艦隊「いずも」飛行隊の2機が直上警戒を離れ、偵察機に向かう。
・・10分後
「こちらタイガーシャーク01、偵察機を捉えました。複葉機です」
「CIC了解。複葉の偵察機はドルツ国Fi167と思われる。攻撃許可」
「タイガーシャーク01了解」
「02、旋回して上空から攻撃する」
「02ラジャー」
F-35Bの2機は上空8000mに位置を取り、高度2000mのFi167を狙う。
その時、艦隊に300Kmまで接近できた偵察201は続報を発信しようとしていた。
「機長、電離層ノイズが酷くて通信不良です」
「そうか、肝心な時に、高度3000に上昇して艦隊全体を見通せるところで写真撮影する」
「了解」
偵察201は上空に敵が待ってとも知らずにゆっくり上昇を始める。
「タイガーシャーク01、タリホー、ターンアヘッド、フォックス02、ファイヤー」
「02、コピー」
F-35Bは上空からFi167を視認すると旋回し急降下して、AIM-9Xサイドワインダーにレーダーデータを入れて発射した。
AIM-9Xサイドワインダーは一直線にFi167に吸い込まれ、まだ防爆処理されていない燃料タンクに引火、一瞬で爆発する。
「タイガーシャーク01、ミッションコンプリート」「02コピー」
F-35Bの2機はA艦隊直上警戒に戻る。
「見事だ。救助を用意」
「南司令、敵偵察機の脱出者はいません」双眼鏡を覗いていた副司令は答える。
「そうか、黙祷」
電離層異常はシューゲル航空基地を飲み込んでいた。
電離層異常で通信が途絶えたと思っているドルツ国司令部は、待ちきれず偵察201が報告した位置にJu87シュトゥーカ25機を飛ばす。
隊内無線が使用不能の為に基地司令は伝令を走らせる。
「基地司令より隊長機、位置不明なれど400Km程度には近づいていると思われる。航続距離ぎりぎりだが奮闘を祈る」
「こちら隊長機、了解」と伝令は持ち帰った。
シューゲル航空基地を飛び立ったAdler(アドラー:英語でイーグル)隊25機は、基地上空で編隊を組むと、北北西に進路を取り、敵艦隊を発見しようと飛行している。
第二次世界大戦前期においてサイレン急降下爆撃として有名なJu87シュトゥーカA-1の諸元は以下の通りである。(サイレンは装備していない・・急降下時風切り音によってサイレンが鳴ると言われている)
全幅:13.82m、全長:10.80m、全高:3.84m、最大装備重量:約2,000kg(新型のA-2は高出力エンジンに換装し約3,500Kg)
最大速度:約300km/h、実用上昇限度:7,000m、航続距離:1,000km
基地から50Km離れた所でA艦隊先鋒のDDG-179「まや」に発見されてしまった。
「CIC、大陸北部から飛行編隊、25機」
「直上隊は行けるか」と南司令。
「いえ、交代の時間です。対処機はすぐに発進させます」航空参謀が答える。
「了解した。まだ距離があるから賢明な判断だ」
「恐れ入ります」
「いずも」から6機のF-35Bシータイガー隊が対処の為に上がる。
「いせ」「ひゅうが」から直上警戒機交代の為に、2機が待機し、交代の為の準備に入った。
「航空参謀、対処は6機で十分か」
「はい。対空仕様ですので、サイドワンダー8本を積み込みました」
「そうか、予備を入れても余るほどだな」
「はい」
F-35Bはレーダーに映っても構わない為に、翼下ポッドにAIM-9Xサイドワンダーを6基、格納ポッドに2基の計8基を装備している。なお機銃ポッドは積み込んでいない。
シータイガー隊は高度8000mを維持して、いずもCICから指示された迎撃ポイントに向かう。
「各機、こちらシータイガー01、敵機発見と同時に攻撃に移る」
「02ラジャー」「03ラジャー」・・・
いずもCICでは、戦術レーダーの画像をいずも船橋にも流して、南司令は艦橋で見ていた。
「まもなく会敵します」副司令の声が響く。
「6対25か、戦中ではありえない状況だな」
「司令。ミサイルは48基あります」
「そうだな。敵機は何だと思うか」
「はい。九州沖海戦でも飛んでいた、スツーカ急降下爆撃機ではと思います。メッサーは陸地からの飛行距離不足です」
「そうか。護衛機も連れずに・・・」
Ju87シュトゥーカの日本語読みはスツーカである。
・・
「シータイガー01、レーダーコンタクト。サイドワンダー射程まで接近します」
「いずもCIC了解」
AIM-9Xサイドワンダーの射程は40Kmである。
大陸での戦闘を想定して、AMRAAMは温存してある。
艦隊は対空陣形による回避運動をしながら、事前の打ち合わせでは、F-35Bからの攻撃を抜けた戦闘機や爆撃機は艦隊自慢の防空対処に移行する予定である。
その場合は直上警備機を退避させる予定である。
Ju87シュトゥーカのアドラー隊25機は事前の訓練通り、海上に出て高度5000mを編隊で飛行していた。
隊長のアドルフは必死に水平線に艦影を探している。
まもなく、偵察201が報告を入れた地点である。
突然上空から、物凄い速度の戦闘機が急降下してくる。
シータイガー隊は上空8000mから、爆撃機を視認すると旋回の後急降下して次々とサイドワンダーを放つ。
「タリホー、目標振り分け、8000から2000まで降下途中で放出後引上げて再攻撃。各機指示に従え。ターンアヘッド」「ラジャー」
目標を振り分けられたAIM-9Xサイドワインダー12基は、12機のJu87シュトゥーカにすい込まれて行き、近接信管が作動して、内蔵された金属を高速で放出した。
「隊長攻撃を受けています」一機が隊長機に並び上下運動した。
隊長のアドルフは水面ぎりぎりの飛行を選択した。
アドラー隊残り13機は降下し、高度500mをとる。
シータイガー隊は高度6000に戻ると、2回目のダイブを開始する。
各機に2基が割り振られ、隊長機は3基が与えられた。
「もう一度ダイブする、各機よくやった、二回目も失敗するな。ダイブナウ」
「コピー」
シータイガー隊は高度4000でAIM-9Xサイドワインダー13基を放出すると、高度2000で引上げた。
高度6000に戻ると海域を旋回して撃ち漏らしを確認する。
「いずもCICからシータイガー01、全機撃墜だ。救助チームは出発済み、帰投せよ」
「シータイガー01、了解。ミッションコンプリート、RTB」「02コピー」・・
圧倒的火力と速度によって、ドルツ国アドラー隊25機は消滅した。
彼らは自分が落とされたミサイルを視認したであろうか・・・
「まや」「みょうこう」「あしがら」から発進した海難救助機UH-60J ブラックホーク3機と周辺警戒の為に「おおなみ」、「てるづき」から発進したSH-60Jが2機、スツーカ急降下爆撃機が墜落した海域に到着して、漂流者を捜索している。
「救助者はどうだ」
「現在捜索中です。まだ発見に至っておりません」
「そうか。しかし捜索は念入りに頼む」
「了解しています」
ドルツ国司令部では、電離層異常によりシューゲル航空基地が通信不能である為、発見した海域での報告が必要であった。
南大陸中央のハイフォン航空基地にて、試作途中のハインケルHe111-V2に機銃のみを搭載して対象海域の偵察を計画している。
乗員4名の双発長距離爆撃として開発しているハインケルHe111は既に航続距離2000Km以上を達成しており、試験飛行の最中であったが、長距離飛べ、速度も400Km/h以上と最先端であった。
早速試作機のハインケルHe111-V2に偵察が指令された。
「機長、指令きました」
「そうか、一度基地に戻って給油し、試射した分の弾薬を積んで偵察だな」
「了解。旋回し、基地に戻ります」
「測定者、検査者は基地にて降りてもらう。長距離飛ぶからな、データは後日渡す」
「ヤー」
試作機ハインケルHe111-V2は大きく旋回して、ハイフォン航空基地に戻って来た。
・・
「遭難者の捜索に参加したいと族長が」とミーナ。
「族長が思念でドルツ国兵士を説得してくださるのか。よろしい許可しよう」
「はい。早速V-22を手配します」
副司令はB艦隊に連絡して、陸自のV-22をいずもに飛来させた。
飛来してきたV-22に族長とミーナが搭乗し、すぐに海域に向かって飛び立って行った。
・・
ドルツ国ハイフォン航空基地では、試験飛行から戻ったハインケルHe111-V2に対して、燃料と弾薬の補給が終わったが、待機が命令されていた。乗員以外の作業員は全員降ろされていた。
ありがとうございました。
次も頑張ります。
湿布と痛み止めでボロボロですが・・ハハハ
誤字脱字報告いつもありがとうございます。
皆さんもヘルニアやると、季節の変わり目とか、ふとしたことで再発しますので完全に治す事をお勧めします。私は20代に忙しくて、整体で無理やり誤魔化したので、今更こんな事に・・・・