第159話 遠征艦隊始動
第159話投稿します。
ハイエルフが新大島での奇妙な現象の解明をします。
ここは、防衛省地下3階、指揮指令所。
立川統合幕僚長が確認する。
「ハイエルフさん達の訓練は順調か」
副官が答える。
「うーん。どの様にご報告するか迷っていたのですが・・・」
「なんだ。何か問題があるのか」
「いえ。訓練自体は順調ですし、耐圧スーツを使用した高耐圧訓練も全員が合格しています。ですが・・」
「なんだ、状況を客観的に報告して欲しい」
「はっ。畏まりました。ハイエルフさん達10名の耐圧訓練は全て合格です。
しかも・・耐圧の為の耐Gスーツは不要でした」
「えっ耐圧スーツ不要とは、どういうことだ」
「ええ訓練装置で最大Gの9Gまで実施しました」
「えっ通常、同乗者は5G程度ではないのか」
「はい。ハイエルフさん達10名を入間基地に集まって頂き、高G耐圧訓練を実施していましたが、
体の構造が人間と違うのか、高Gに晒されても血液滞留が起きないのです。
つまり、耐Gスーツなしで戦闘機に乗れると言う結果が出ています。
入間の航空医学実験隊も興味を示していまして、つまりハイエルフさんの体にGを加えても
何一つ影響を与えないと結論を出しています。
ただ、実際に乗りこむときにはフライトスーツは付けて頂きますが、戦闘機がどの様な挙動を行っても
ハイエルフさんにブラックアウトは考えられません」
「うむ。改めて神の使徒であるハイエルフ族の凄さを思い知ったな」
「そうですね。戦闘機乗りの最大難関である耐圧試験を簡単にクリアするとは考えもしなかった事です。
しかも・・・戦闘機乗りで最大7Gに10秒間耐える事が要求要件なのですが、ハイエルフさん達は最大Gを作り出せる装置の安全限界である9Gの状態で30秒以上も耐えています。
それも・・全員です。
航空医学実験隊もこれ以上の耐圧訓練は不要と結論付けています」
「凄い事だな。まだ我々も知らない事が多くあるのだな」
「全くです。空自出身の私としてはうらやましい限りです」
「もし戦闘機乗りならば、機体分解直前までの挙動が可能と言う事だな」
「ええ。設計上一瞬ですが12Gまでの耐圧性が機体にはある筈ですが・・それを越えても耐られそうです。機体は分解し、危険ですが」
「了解した。訓練不要ならば即合流を図ってほしい」
「はい。すでに入間からC-2で南西諸島新大島航空基地に向かっています」
「そうか。ハイエルフさん達は神秘に包まれているのだな」
「はい。予定の1週間をくり上げて、2日で耐圧訓練は終了しています」
「だが艦隊やその他の準備は間に合わないのだろう。暫く新大島で休憩して頂くとするか」
「はい。その様に手配します」
「頼む。ハイエルフさん達あっての作戦なのだから。
それと例の特殊潜水艦は発見できたのか」
「報告します。佐渡島沖に戻って来た特殊潜水艦については、舞鶴地方艦隊とP-1が2機で追い詰め、相手方に多少の被害はあるようですが、佐渡島沖から新潟港に誘導して鹵獲し、海上自衛隊新潟基地分遣隊と艦艇装備研究所にて分析を開始しています。また乗組員85名と物資についてはC-2により厚木基地に移送中です」
「上陸隊の様に自爆の可能性は無かったのか」
「ええ。懸念されていましたが、厚木よりナナさんが現地に飛んで頂き、思念で降伏を勧告し至っています」
「大人しく鹵獲されたと言うのか」
「はい。思念は海中でも届く様で、P-3Cに同乗して頂き勧告を実施しました」
「P-3Cに影響はなかったのか」
「現在の所大丈夫です」
「海中でも思念が通じるのか。だとしたら南大陸に展開されているであろうUボード群に対し、大きくけん制出来る事になるな」
「その可能性は大きいです」
「どんな兵器よりも強力な武器となる」
「ええ。耐圧試験と言い思念と言い、神秘的存在です」
「慎重に対応して欲しい。最大限の待遇を頼みます」
「了解。その様に手配いたします」
ハイエルフ元族長以下10名はC-2に搭乗して、南西諸島新大島に新しくできた「新大島空港」に併設された「新大島航空基地」に到着している。
『長い空路でした。やっと合流地に到着しましたか。』
『族長。予定より早く到着しましたが、これからの予定は如何なのでしょ。』
『担当官が来ると思いますよ。』
「いらしたようです」ミーナが日本語で言う。
「遠い所をおいで頂きありがとうございます。本日より出港迄をお世話させて頂く、佐村3等陸尉です。よろしくお願いします。
防衛省よりハイエルフの皆さまには優先待遇を申し付けられています。
まだまだ設備が整っていない新大島ですが、ホテルは完成していますので皆さんをご案内させて頂きます」
「ありがとう」ミーナが日本語で返答する。
思念に長時間晒されると人間は脳に異変を生じる可能性があるとの研究成果があり、気遣いとして日本語の話せる「ミーナ」と「レイナ」に交渉係を任せていた。
ハイエルフ同士は、手を繋ぎ身体に直接思念を流して、外に出ない様にしている。
「おっバスが到着したようです。こちらにどうぞ」案内係の陸上自衛官は誘導をする。
ハイエルフは手を繋いでいる。
『族長。』
『わかっています。4日間の自由時間ですね。』
『担当官の記憶では、南大島の中央山で・・』
『扉があるのですね。』
『4日間ですが、行って見ましょう。ミーナ、レイナ交渉を頼みます。』
『畏まりました』とミーナとレイナの思念が届く。
「担当官さん。南大島に不思議な現象があると聞きます。
一番高い山頂でなにか光るとか、調査はしていますか?」
「知られていましたか、実は南西諸島で海戦があった際も、山頂に強い光が確認されています。機密でしたが・・」
「担当官さん、我々に関係あるかも知れません。行って見たいのですが」
「うーん。2000m級の山道も整備されていない山頂です。かなり危険ですよ」
「ええ、知っています。ですが4日間も時間があるのなら調べてみたいのです」
「解りました。許可が出るかどうか交渉してみます」と担当官。
一行は完成したばかりの真新しいホテルに宿泊する。
新大島には空港と基地に駐屯地が作られ、ヘリや航空機の簡単な整備もできる。
結果、ホテルには南大陸遠征艦隊、臨時作戦会議室も作られ、自衛官や米国海兵隊と思われる者、それに民間輸送船も含めて大勢の人がいる様だった。
南西諸島は、「手前島」と言われる2番目に大きな島に獣人達が帝国の迫害から逃げて村を作り暮らしていたが、自衛隊が簡易港や、南西諸島に眠る天然ガスや希少鉱物採取の為の基地となって、獣人達も翻訳機を借り受け働いている。
それが次第に拡大し、新大島に空港と巨大備蓄基地が作られ。日本に向けて採取したガスや原油、そして採取の際の副産物として、いろいろな種類のガスを新大島に集められていた。
その概要は巨大な工場施設群その宿舎に獣人達が働く姿が見える。
獣人達も日本語を覚えた者がちらほらといるらしい。
文化的生活により清潔感が増した獣人達は、いまや南西諸島全域の開発に対して重要な働き手である。
人間至上主義の帝国、弱肉強食主義の帝国から逃れて、海を渡った獣人達は手前島を本拠地として細々といくつかの種族による村に別れて生活していたが、日本国が開発に着手してから、手前島に群生していた果実を効率よく栽培する為の大規模果樹園や日本から持ち込まれた家畜達を育てる農場に野菜などを栽培する農園が至る所に出来て、その温暖な気候も幸いして、今では南西諸島の特産物として日本にも出荷されるほどになっていた。
特に新大島には天然ガスや原油精製プラントが出来て、その結果として巨大備蓄基地まで作られている。
ここに集められた天然ガスや原油は、大三角州を通じてドーザ大陸へ、そして日本へと、今の世界で生活する上での重要施設となっている。
そして現在は、南西諸島の各島には、小さな街迄作られ、獣人達も仕事の報酬として、日本と大差ない給料が支払われ、その貴重な労働力は日本の為にもたらされている。
また、大三角州からは非力な獣人やエルフも海を渡り、南西諸島での仕事をしている。
ハイエルフ達が宿泊しているホテルの従業員達もエルフ族や獣人(ウサギ族や犬族、猫族などの非力な獣人)にドワーフなどが中心となって運営をしている。
因みになのだが、このホテル支配人だけが日本人で、他の従業員は日本人以外で構成され、よく訓練されたエルフや獣人が丁寧な接客をする事で有名であった。
日本政府は新大島(伊豆諸島「大島」と比較にならない大きさの島:九州とほぼ同じ大きさ)を新観光地とすべく、海岸整備や美しい砂浜と海を整備している。
ハイエルフからの要請を受け取った日本政府は、出来るだけハイエルフの要望を叶えるために、現地基地、駐屯地に要請をして、海岸や市中整備の為の施設大隊から1個施設中隊による山までの道整備と開発を開始している。
だが、今まで手付かずであった山に対して登山道を作る所まで行かず、途中に物資集積所を作り、ヘリで送る事を計画した。
族長たちは、新大島空港に併設された新大島駐屯地からヘリで、問題の山に向かう。
問題の光る山は、ドーザ大陸東にあった神秘の洞窟から南東方向に500Kmの距離にあり、新大島中央にそびえる大山であり、光が目撃されたのは、その大山の中腹から山頂にかけてである。
「新大島大山」と名付けられた問題の山周辺は開発されておらず、急遽途中まで施設中隊が道と簡易ヘリポートを作り、上空から観察できるように配慮されていた。
森林の先に岩肌が連なり、どこかに洞窟でもあるのかも知れない。不思議な事にその強力な光はドーザ大陸側でも確認されており、結果、島の3方から光が確認されている。
通常なら大学や研究者が中心となって調査を開始するのだが、新大島自体は最近まで立ち入り禁止期間と情報制限があり、最近になって空港建設や付帯施設建設が進み、やっと不思議な現象が日本に伝わっていた。
もちろん、不要な混乱を避ける為に自衛隊や自衛隊に協力している民間会社従業員には、厳格な口止めを行っていたので、今まで情報が漏れる事は無かった。
ハイエルフ達も、出迎えた担当官の記憶によって知ったわけである。
ハイエルフ元族長と1名はヘリに乗りこみ、不思議な現象が目撃された場所の上空を旋回し観察していたが、ハイエルフだけに感じる特別な波動を感じて、山の麓にヘリが到着できる簡易ヘリポートを依頼していた。
作業を請け負った施設中隊は、最初に作った物資集積所と簡易ヘリポートをそのまま残し、さらに前進して、山の麓迄道を切り開き、簡易な道を切り開いていった。
だが、時間が4日では到底間に合うはずもなく施設中隊による作業は続けるが、ハイエルフは元族長と1名だけが、そのへりが着陸できそうな地点を探し出し、陸自のサポート6名と共に歩いて近づく事にした。
一行は無言で登っていく。
ヘリが着陸した地点から500m上方に洞窟が見える。
一行はそこを目指して登る。
ハイエルフは軽やかに登って行くのだが、こんな状況に慣れている筈の陸自隊員の方が疲れている様だった。
やがて洞窟に達して、8名でゆっくり探検を開始する。
「ここに、何か文字らしきものがあります」と隊員がライトを照らした先に、「神秘の洞窟」でも見られたような文字が書かれていた。
元族長は表情を変えずにそれを読み、『先に進みましょう』と思念を送る。
文字があった場所から洞窟の内部がごつごつした自然の洞窟の様な所から、質感が人工的な物に変化してきた。道も広く緩やかになり整備された街中を歩く程度の気軽さになって来た。
一行は静かに進み始める。
洞窟の入り口は2m×2m程度の大きさがあったのだが、中に進むほどに広くなっている。
途中からは、ほんのりと洞窟の人工的な壁面が光り、ライト不要でも歩ける程である。
族長は予想通り、制御卓を発見して、『予想通り神秘の洞窟でした』と言いながら、その書かれた文字を読んでいる。
『詳しくは言えませんが、ここの場所は3方に出口があります。そして光があふれだす時は、誰かがここを使用した形跡です。』
「解りました。ここは立ち入り禁止にして、入り口全てを封鎖します」
『よろしくお願いします。そしてこの扉は3方向への中間点となっていますのでハイエルフは洞窟の外に出なくても目的は達成できます。封鎖をお願いします。』
「中間点・・・ですか。了解しました。あなた方以外のハイエルフ族の方々が使用していると言う事で間違いなですか」
『そうなります。我々も他のハイエルフ族との交流が絶たれて久しくなり、どこにいるのかは知りません。
ですが、ここが光ったと言う事であれば、誰かが扉を使用した証拠。』
「了解しました。最優先で一帯の封鎖を実施します」
『よろしくお願いします。先ほども言いましたが3方に道があります。』
言われた通り操作卓の先に2つの道が続いている。
「はっ全て閉鎖します」
『私たちは南大陸から戻りましたら再度調査を実施しますので、それまでは人の手が触れない様にお願いします。人には動かせないと思いますが、神のメダルを授けられた人間なら操作は可能です。』
「はい、前回「神秘の洞窟」での戦闘。聞いております。封鎖しますのでご安心を」
「神秘の洞窟」や「神の洞窟」と言われるドーザ大陸東側洞窟でのアトラム王国との戦闘があった記憶がよみがえる。
しかも何もない壁面に突然穴が開いて通路が繋がってしまったのだ。
ここは3方に通路が別れている、世界の3か所に通じる通路が現れる場所なのである。
通路を通って来たハイエルフは、操作卓を操作して、行きたい方向の通路を開けるのである。
通路自体は10分程度で戻るので、開いたままなどと言う事は無さそうだ。
『目的は達成されました。戻りましょう。』
内容を言わずに元族長とハイエルフ1名は無言で、きた道を戻り始める。
一行は、着陸したヘリの元迄たどり着いて、ホテルのヘリポートまで送ってもらった。
「では、我々は仔細報告に行きますので、皆さんはホテルでお寛ぎください。と言っても南大陸へ向けて、明日出発となりますが」
『道案内ご苦労様でした。』
と言い別れる。
ハイエルフ元族長は、その泊まっているビジネススィートにハイエルフ全員を集め、手を繋ぎ何があったのか説明した。
『回廊が発見されました。しかも3方向に向かう中間地点でした。』
『行き先は解りましたか?』
『書いてあったのは、北と西と南とだけ。』
『西と言うのはドーザ大陸の事でしょうか』
『そうだと思います』
『なら、南は南大陸、北は北極大陸ですか』
『実際行って見ないとわかりませんが、そうだと思います。それと言い伝えで回廊は幾つかの分岐点があって世界各地に行けると聞いています。今回発見したのは分岐点だと思います』と元族長。
『とすれば、ダークエルフが回廊を使用して動き回ったか、他のハイエルフが使用したと考えられますね』
『私は他のハイエルフが使用したと思っています、なぜならあの忌まわしい残存思念を感じませんでした』と元族長。
『ならば、生き残りのハイエルフ族は我々だけではないと言う事ですね』
『前にアトラム王国のハイエルフ族は消えたと聞いています』
『ですが、その話は500年以上も前の事です』
『もしアトラム王国のハイエルフ族が回廊を使用したとするのであれば、北極大陸か南大陸、または忘れられた回廊を使用して着いた土地でしょうか』
『可能性はあります』
『南大陸にも回廊があると言う事は、我々だけで南大陸内部に入れることになります』
『ですが、思念しか防衛手段を持たない我々が物理的な力には対抗できません』
『確かに、ですが自衛隊の方々と一緒であれば可能ではないですか』
『可能だと思いますが、どこに到着するのか見定めてからでも』
『それは重要です。到着地点が安全ではないのであれば行く事自体が無意味』
『そうですね、すこし南大陸にある回廊の情報を得てから考えるとしましょう』
『同様に北極大陸も調べてからが良さそうです』
『ならば、アトラム王国にあるとされる回廊も調べなくては、例の封印された島にあるのでと思います』
『多分そうでしょう、ですがそこに居たハイエルフ族は人間の欲深い行動に怒りを感じて神殿を封鎖し、神官たちを思念で全員死なさせしまったらしいと聞きます』
『私が調べた話では警告されたにも関わらず居残った神官と称する人たちが長期にわたる思念波に脳を焼かれたと聞いています』
『相当はなしが違いますね』
『アトラム王国のサービウエル島と言いましたね。そこも調査をしないといけませんね』
『前回東京での会食に呼ばれた際はスメタナ王より謝罪を受けています、もし解放したとしても前回の様にはならないのでは』
『わかりません。しかしハイエルフが強い怒りを持って思念によるバリアをかけたと言う事は、その思念を増幅する装置と共に島に回廊がある事の証明です』
『確かに言い伝えでは3つの兵器と共に我々はあると言っています』
『思念増幅装置、回廊を作り出す装置、そして大地を焼き尽くす装置』
『アトラム王国では思念増幅装置が使われた様に聞きます。実際に見た人間はいない筈ですが経緯と現象から推測すると使われたようです』
『もし増幅装置が使われたのなら止められるのは我々だけ』
『そこまでして人間を助けて良い物なのでしょうか』
『少なくとも日本は信用できると思います』
『いえ、スメタナ王をはじめとするアトラム王国が同じ誤りを繰り返さない保証はありません』
『それも含めて我々が直接判断すると良いでしょう』
『わかりました。族長に賛成します』
『では当面南大陸の情報収集と機会があればマリアにアトラム王国の情報収集を依頼しましょう』
『わかりました』
ハイエルフ達の無言の会議は終了した様だ。
時は過ぎて、南西諸島の新大島沖に艦艇が集結している。
護衛艦を始め、米国海軍強襲上陸艦とその指揮艦。
そして旧式新式問わず多くの補給艦や燃料輸送艦(借り上げ船)が集まっている。
ひと際異様な姿のホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦「ジャーマンタウン」も混ざっている。ワスプ級強襲揚陸艦と同行すべく作られ、揚陸艇や水陸両用車両を積み込み奇襲揚陸、上陸などを支援する事ができる艦艇である。
これに海兵隊奇襲上陸隊と日本が誇る第1水陸機動連隊の車両が積み込んである。
南大陸遠征艦隊は、第1艦隊群と第2艦隊群に別けられ、「いずも」を旗艦とする第1艦隊群、そして「かが」を旗艦とする第2艦隊群。強襲揚陸隊は第2艦隊群に組み入れられている。
その圧巻の艦隊編成は参考の為に上空からの空撮映像として、日本のニュースでも流されていた。
何しろ日米合同の打撃艦隊は、戦後初の事であり、しかも総艦艇数も100隻を超える規模である。
見えないが、潜水艦隊ASR-403「ちはや」(潜水艦救難艦)も加えた、第1潜水艦隊群潜水艦隊全艦12艦も参加するのである。
出発前日、新大島のホテル会議室に将官が集められた。
防衛省からの回線も繋ぎ、防衛大臣からの再度の訓令や第1艦隊群司令、第2艦隊群司令の挨拶に続き、米国からはブルーリッジ指揮官と海兵隊強襲上陸隊隊長、補給隊からは大三角州での資材輸送を指揮した第1輸送隊司令 早良さわら1等海佐も同席している。
全員での各艦隊陣形と緊急時の取り決めや指揮系統の最終確認がなされ解散した。
また異例ではあるが潜水艦隊についてはASR-403「ちはや」(潜水艦救難艦)が指揮中継を行う事で合意した。
潜水艦隊は各艦が所定の作戦行動を実施して、通常は海上艦との連絡など行わないのであるが、今回は要所での指示をASR-403「ちはや」(潜水艦救難艦)の海中伝声システムを通じて連絡して貰う事となった。
いよいよ、大艦隊が動き出す。
ハイエルフ達はホテルのヘリポートから連絡ヘリで5名がDDH-183「いずも」に乗船、残り5名はDDH-184「かが」に乗船した。本来計画では10名がDDH-183「いずも」に乗船の予定であったが、耐G訓練の結果と海中思念波伝達の実績を考慮して2手に別けていた。
自衛隊打撃群にとっては大きな意味がある。
新大島のタグボート群に見送られてゆっくり南大陸遠征艦隊は動き出す。
未だに南大陸でドルツ国との戦闘に発展するのか、わかっていない。
いつも誤字脱字報告ありがとうございます。
本当に助かります。
次回はいよいよ南大陸です。