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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
160/251

第155話 当壁総理記者会見

いよいよドルツ国遠征艦隊の話が具体的になりました。


 佐渡島、現地0700となった。

 各特殊部隊及び包囲網を形成していた第2普通科連隊、第30普通科連隊の幹部も集まっている。


「諸君ごくろう。想定以上の対処内容に感謝する」と第1空挺団長の橋本陸将補が挨拶を行う。


「「「はっ」」」


「特に「フォース・リーコン」とSAT合同隊の対処に対して高野防衛大臣も感謝をしている。後日感謝状を贈るそうだ」


 つづいて空挺団高級参謀の冴島1等陸佐が説明する。


「諸君ご苦労様です。人質を含めて全ての対処は残る陸上自衛隊で実施します。

 皆さんには撤収準備をお願いし、準備完了した隊より順次撤収お願いします。

 

 なお、皆さんが拘束したドルツ国兵士ですが、厚木基地にてハイエルフが尋問をする予定となっています。

 SATの皆さんをお連れしたギャラクシーC5が佐渡空港1200に来ますので、SATの皆さんと空挺団の本部中隊より臨時編成の移送隊が捕虜を連れて、厚木基地まで同行いたします。


 尋問の結果は防衛省から法務省経由で警視庁と神奈川県警に、また同時に米国大使館経由で海兵隊に送る約束となっています。

 また、今回鹵獲した兵器・武器については、研究機関に持ち込み、仕様を今回参加頂いた各隊に公開されます。ただし、第2次世界大戦初期の性能であると大まかには分析しております。

 なお、上陸潜水艦については米国大使との取り決めによりまして、沈没潜水艦を引き上げて渡す約束となっています。

 また同時に自衛隊もサンプルとして引き上げを実施します。

 幸いなことに上陸隊を運んだ特殊潜水艦は浅瀬でP-1による攻撃を受けて沈んでいるので引き上げは容易と判断しております。

 この特殊潜水艦の分析結果も、ここにお集まりの各隊にも連絡されます。


 以上ですが、なにか質問ありますか」


 ・・・

「無いようですので、解散します。各隊は撤収準備をお願いします」



 同時刻、立川統合幕僚長自室。

「やれやれ、やっとまとめ終わった。寝ようと思ったがこれだけは・・」

 立川統合幕僚長も徹夜である。

「起きてらっしゃいますか」副官がノックと共に入る。

「うむ。大丈夫だ。総理原稿を作れば終わる」


「了解です。仮眠している様なら起こしに・・」

「気を遣わせてすまない」

「いえ。緊急時以外電話等連絡をさせない様にしておりました」

「そうか、すまない」


 立川統合幕僚長は総理が記者会見で発表する原稿を仕上げて、メールで高野防衛大臣に送る。

 高野防衛大臣は原稿を見て手直しをして総理官邸に送る。


 当初総理の記者会見は1200の予定であったが、1時間遅れて、1300に開始する事となった。


「本日は日本の危機に関する報告をしなければなりません」冒頭から重い空気となる。


「実はドルツ国からの攻撃が幾度もあり、日本は水際で防いでおりましたが、先の対馬に続き佐渡が島にもドルツ国上陸隊が上陸し佐渡では民家を乗っ取り、人質迄取りました。

 上陸に使用した特殊潜水艦は上陸専用に改装がなされ、まるで第二次世界大戦の日本海軍イ400シリーズを彷彿とさせる内容でした。

 現在民間会社の協力の元に海上自衛隊が中心となってその特殊潜水艦を引き上げしている最中です。

 現地監視カメラに写っていた船体を元にイラスト化した物はこれです」


「おお」記者たちのどよめきが起こる。


 それは、船体の前部に上開きのハッチを持つ潜水艦であった。 


「総理質問です。毎々新聞の飛田です」

「毎々新聞どうぞ」司会の補佐官が指名する。


「総理。この様な潜水艦は何隻あるとお思いですか、また今回の上陸に際して自衛隊としてはどの様な対処をされましたか」


「はい、お答えします。

 先の対馬上陸でも使用された特殊潜水艦ですが、対馬では1隻。ただし残念ながら逃がしてしまいました。

 今回の佐渡では5隻が投入され、3隻は上陸前にP-1による対潜攻撃で沈没させました。2隻での上陸を許してしまいましたが、後で2隻もP-1が沈めております。


 今回佐渡に上陸した部隊は2個中隊程で、軽戦車4両を含む重装備であります。

 これを上陸直後にF-15やF-2による精密誘導爆撃により、兵士の半数と軽戦車全てを破壊しました。

 

 しかし、残念ながら、残った兵士約20名がドルツ国の作戦通り民家3軒と寝たきりであった老人1名を人質に取り膠着しておりました。

 日本としては、空挺団とSAT及び海兵隊特殊部隊の3隊合同による奪還作戦を本日0400に実施し、当初の予定通り、ドルツ国全員の拘束及び人質の救出を実施しました。

 これによる人質及び参加各隊の負傷者はおりません。

 また、作戦中に逃げる事の無いように陸上自衛隊普通科2個連隊が包囲網を作り、その中で3隊合同の作戦は実施されました」


「はい。読読新聞、田中です。

 ドルツ国兵士などの取り調べは何処で行われますか」


「お答えします。

 現在ドルツ国兵士は関東圏内の施設にてハイエルフさん達による尋問・・・と言うより思考読み取りを実施しています。場所は明かせません」


「はい。産業新聞の茂木です。

 今後もドルツ国による攻撃は続くとお考えですか」


「難しいご質問ですが、ハイエルフさんが集めて頂いた情報を集約いたしますと、ダークエルフなる指導者の命令により、南大陸にあるドルツ国は日本に対して攻撃する事が指示されている以上、今後も攻撃は続くと考えられます」


「「「「はいはいはい」」」

「では毎々新聞どうぞ」

「はい。攻撃が続くと予測されているとの事ですが、日本としての対処は考えていますか、また考えているなら時機はいつごろになりますか」


「お答えします。

 先ほど申した通り、ドルツ国の攻撃は続くと想定されます。

 なぜかと申しますと、ダークエルフなる指導者が日本攻撃を命令しているからで、攻撃停止は「停止命令」が出るまで実現しません。

 今のところそのような兆候はありません。

 時間が過ぎれば、第7第8の特殊潜水艦を作り、再度上陸と占拠を試みると考えられます。


 それに対する日本国の対応ですが、個別自衛権を侵害された、いやこれからも侵害され続けると考え、

 日本国は南大陸に遠征艦隊と大規模上陸隊を組織して、送り出す所存です。

 

 それは、今まで自衛隊隊員の民間人への損害を皆無にする努力で、なんとか日本人の死傷者を出さずに済んでいますが、これからも続くとは到底思えません。

 なぜなら、攻撃するドルツ国は日本のどこでも自由に攻撃する事が可能であり、たまたま海岸沿いに遊びに来た家族や住民の方々にドルツ国の侵略が及ぶ事を危惧しています。

 そこで異例ではありますが、海を渡り南大陸まで自衛隊が遠征する事を計画しました。

 ただしそれにはハイエルフさん達の協力が不可欠です。

 

 ダークエルフなる司令官は思念で人を呪う事が可能だと聞いております。

 ですがハイエルフさん達ならそれを中和して、ダークエルフを無力化する事が可能だと聞いております。

 今回の遠征艦隊にはハイエルフさん達の同行が必須と考えています」


「はい」「読読新聞」


「当壁総理。おとぎ話のような内容なのですが、思念で呪うとか信じられないです。

 なにか被害にあった方はいるのですか」


「お名前は申し上げられませんが、ダークエルフなる人物が約5か月前に日本に上陸して、ある人を呪った経緯があります。

 ハイエルフさん達により呪いは解かれましたが、同じ事が遠征艦隊に起こらないとも限りません。

 そこでのハイエルフさん同行です。


 日本は突然の転移により異世界に来てから、今までで最大の危機を迎えております。

 ドルツ国は第二次世界大戦初期程度の武力ではありますが、民間人にとっては恐怖でしかありません。

 対処できるのは自衛隊だけだと思います。

 日本国民やドーザ大陸で平和に暮らしている人たちの為に、ドルツ国まで行き停戦の合意をさせたいと考えています。

 実施時機は作戦上の機密に当たりますので申し上げられませんが「近い内」とだけお答えします」


 この様なやり取りが2時間近く続き、記者会見は終わった。


 

 ・・

 当壁総理記者会見を見ていた。

「と言う事だ。立川統合幕僚長」

 ここは高野防衛大臣室。

「なんと言いますか、早く動かないとダメの様ですね」

「そうだな。時間が無いな」

「ええ。なにしろハイエルフ族長の許可も貰っていないですから、問題多すぎですね」


「走りながら対処して欲しい」


「ええ、慣れています。

 ですが上陸隊も出すと言う事は危険が多くなります。

 私は護衛艦隊による対地攻撃で考えていたのですが、上陸ですか・・・」

「上陸してダークエルフを捕まえないと、その「停戦命令」は出せないのではと思うが」

「そうですね。ドーザ大陸も皇帝の命令を代行させてようやく停戦しましたから、ですが、

 遠征艦隊は苦労すると思います。

 特に上陸隊は・・」


「うむ。米国から沖縄の海兵隊とワスプを含むブルーリッジを派遣するとの打診だ」

「F-35は多いに限りますから今回は歓迎です」


「そうだな。南大陸は上陸できる海岸も無いと聞いている。なら空からV-22などで降下する必要があると思うが」

「そうだと思いますが、南大陸にあるドルツ国基地の概要がまだ解析中です。その結果により作戦を立てたいと思います」

「概ねそれで良いが、行きながら情報分析して対処しては如何だ」


「はぁそれでは隊員が何人か死にます。

 そんな事の無いように出来る準備は全て行ってから行きたいですね」

「気持ちはわかるが、時間が経過すればドルツ国の上陸隊攻撃も加わる。その時防衛できる保証はないだろう。

 なら先に我々がドルツ国に行き、日本に向けられる全ての攻撃を止めないとならない。

 時間は1か月間。なんとか頼む」


「解りました。時間が不足していますが、現在の自衛隊の力と海兵隊合同で対処に当たります」


「頼むぞ」


「了解しました。失礼します」

 

 立川統合幕僚長は退室した。


「自衛隊の準備が出来るか・・各空母化した護衛艦と輸送船団・・おおすみを含む艦隊・・

 そして潜水艦隊・・必ず出てくるUボート」

 立川統合幕僚長は独り言を言いながら自室に戻って行った。

ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 研究に参加じゃなくて1隻を要求するって事は アメリカ軍は佐世保のドックで独自に研究って感じかな 将来的にアメリカの独立を目論んでるし
[一言] 更新お疲れ様です。 本格的な外征&上陸部隊編成。 米軍の蓄積された経験が、ぜひとも欲しい所で、海兵隊の参加は戦力以上に有難いですね^^ 果たして目論見通り件の人物を捕らえ、攻撃命令を下させ…
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