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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
150/251

第145話 ドルツ軍上陸隊

第145話を投稿します。

人質で膠着しています。

活路は見つかるのでしょうか。

 ドルツ国上陸隊

「シュルツ、点呼を取れ」

「了解しました。第1小隊テルベン、第2小隊ルシュラ各小隊人数確認だ」

「シュルツ中尉、第1小隊確認15名相違なし」

「第2小隊確認。15名異常なし」

「よし各小隊行くぞ、上陸だ」

「いけー進め」


 特殊揚陸隊の為の特殊潜水艦のゲートが開かれた。

 全長200m以上にもなる特殊潜水艦は、敵国潜入または上陸の為だけに作られた。

 前方下部にはドルツ国が最近開発した厚い高張力鋼材が使用してあり、砂浜などであればそのまま海中から浮上しながら突っ込んで行ける。

 敵国港であれば、そのまま乗り上げて兵士を上陸させてしまう。

 特殊潜水艦は前方に大きく開くゲートを付けており、兵員60名または兵員30名+軽戦車2台が積み込める。

 その特殊構造の為に水深深度75mが限界であり、また機動性が悪いために発見されてしまえば機雷などにより簡単に排除できるのだが、潜水艦による揚陸作戦など過去に聞いた事が無い。

 この特殊潜水艦は輸送「Transport」と潜水艦「Unterseeboot」を合わせて「TU-boot」と呼ばれている。

 (ドイツ語読みでお願いします)


 なお浮力の関係で軽戦車を積み込む場合は前と後ろに配置して、中間に兵員を収める。

 動力はドルツ国最新のディーゼルエンジンとバッテリーの組み合わせで航続距離は増槽タンクを使用すると4000Kmもの航海が可能である。途中で補給船による補給も可能であり、とんでもない戦略兵器である。


 ゲンガー少佐が率いる日本上陸第1中隊が、特殊潜水艦「TU-boot」を使用して、ドルツ国艦隊を囮にして対馬上陸を果たしたのだった。

 

「シュルツ特殊無線で信号発信」

「はい準備できています」


「よろしい、では「我予定地点上陸成功。以後予定行動に移行する」

「暗号変換完了。発信しました」

「うむ」

「では行くとするか」

「中隊長報告です。この島には住人はいません。無人島でした」

「なんと言う事だ。情報部め、偽情報掴ませやがって。急いで対岸の大きな島に向かうぞ。

 シュルツ積み込み指揮を頼む」

「了解しました。簡易固定で宜しいですね」

「そうだ、すぐに上陸するからそれで良い。安全より速度を優先させろ」

「了解いたしました」


 すぐに「TU-boot」に軽戦車と兵士達を積み込み直ぐに後退して対馬本島を目指して浮上したまま前進航行していく。


 ・

 海栗島にある航空自衛隊海栗島分屯基地第19警戒隊のJ/FPS-7レーダーが不審な行動をする船舶を捕らえていた。

「先ほどは沖ノ島に点が付いただけで見逃しましたが、これは船舶が沖ノ島から後退して対馬本島に転進しています」

「向かう先はどこだ」

「はい、豊玉町小綱と思われます。200m級が突然現れました。潜水艦と思われます」


「警戒警報発令。対馬警備警備所(海)及び対馬駐屯地(陸)に至急情報を伝える」

「了解。回線開きました」

「こちら海栗島分屯基地第19警戒隊より緊急発令。対馬市豊玉町小綱に向けて正体不明艦艇が接近中。概要は不明。先ほど沖ノ島に上陸したと思われる。現在航行中警戒をして欲しい」


「こちら防備隊本部、我々も確認した。至急確認を向ける」

「こちら対馬駐屯地了解した。緊急配備中」


 海上自衛隊対馬防備隊は主に対馬を中心とした海上レーダーの運用である。

 本部及び上対馬、下対馬には海上レーダーとその操作員が常駐しているだけである。

 防衛戦闘は陸自の対馬駐屯地に託されている。

 すぐに対馬駐屯地から対馬警備隊の本部中隊所属、対戦車小隊と情報小隊が、高機動車と73式小型トラック数台で現地に向かう。

 追いかけるように普通科中隊が出発した。中隊本部と第1小銃小隊、第2小銃小隊、第3小銃小隊、第4小銃小隊に迫撃砲小隊と狙撃班である。

 対馬駐屯地から小網地区までは島内を迂回しなければならず、安全運転で50分以上かかる。

 島民が避難状態であるので、緊急サイレンを鳴らして30分で駆けつける。

 

 ちょうど「UT-boot」から上陸隊が上陸してしまった後である。

 上陸に使用した潜水艦は海中に戻っており、映像を取る事は出来なかった。


 ドルツ国上陸隊は小網港近くにある干物工場の占領を完了しており、そこで避難したはずの社長と従業員1名が捕虜になっていた。

 ドルツ国は民間人2名を盾として前に並ばせて後ろで隠れて待ち構える。

「シュルツ、こんなやり方は醜い。これしかないのか」

「ゲンガー少佐。日本は軍事も優秀だと聞いています。少しでも有利であれば使うべきだと思います」

「そうか、シュルツ任せる」

 ドルツ国でも兵士の矜持があるようだ。


 ・・

「本部対戦車小隊と情報小隊現着。相手国は不明なれど人質2名を取り、干物工場と思われる所を占拠している様子。なお、人質2名は工場前に盾として配置され、その後ろでは軽戦車2両、兵士20名以上を確認」


「こちらは対戦車小隊長、人質がいる手前手出しができない。なお軽戦車は旧ドイツ2号戦車にそっくり。以上だ」

 対戦車小隊長も戦車マニアだったのか。


「対馬警備本部了解した。念のため本土からの応援を要請。飯塚駐屯地より無人偵察機が現地上空を旋回する。注意されたし」


「本部中隊情報小隊了解」


「先行情報小隊より連絡。小綱小学校先400m、干物工場が敵戦力にて占領継続中。なお人質2名が前方に出され盾とされている。後続普通科中隊は小学校から500m手前にて停車し、狙撃班による索敵が可能か対処願いたい」


「普通科中隊本部了解。捕虜か厄介だな」

「中隊長。この地区は対馬市公会堂に避難している筈です」

「だが、現に捕虜が2名との報告。どうする・・・小柴狙撃班長、偵察を頼めるか」

「了解です」


「中隊長追加情報です。軽戦車は2号戦車ではないかとの事」

「2号戦車・・聞いた事無いな」

「中隊長、3号戦車、4号戦車は知っていますか」

「うん聞いた事がある」

「ええ、旧ドイツの戦車であるのですが、スペイン内戦でテストされ、第二次世界大戦開始時のポーランド侵攻にも3号や4号戦車の生産が間に合わず使用されました。

 たしか主砲は55口径20mm機関砲で副武装は7.92mm機関銃だったと思います。

 初期型であれば装甲は13mmであるはずです。何方にしろ捕虜の命が掛かっています」 


「了解した。軽戦車は1発で仕留められるが捕虜が危ないな。捕虜と戦車及び兵士の間隔はどの程度だ」


「戦車から前方約50m。兵士達は戦車の後ろですのでほぼ同距離かと思います」

「狙撃班長確認してくれ」

「了解。捕虜と戦車間は48.8mで間違いないです」

「彼らの小銃でも300m程度は届くのだろう」

「見た所、ワルサーGew41かワルサーGew43の様子。7.92mm弾を使用して、どちらも弾倉は10発。実用飛距離は300m程度です」

「89式5.56mm小銃と大差ないのか。油断はできないな」


「決死の作戦となりますが、小学校3階上から01式軽対戦車誘導弾と81mm迫撃砲で戦車撃破と戦車に隠れた兵士達を足止めします。工場の正門左右から事前アプローチして、攻撃と同時に2名を救助。そして正門に3トン半を止めて防御とします」


「それは捕虜が2名だけの場合だな。それに距離が400m程度なら反撃されるぞ」


 ・

 捕虜の2名

「だから社長戻るのに反対したのです」

「すまない佐々木。乾燥炉のスイッチきり忘れていたのを思い出したんだ」

「退避勧告出ているのに、電気のスイッチ位で命かけているなんて、人には言えませんよ」

「佐々木殴られたところは大丈夫か」

「ええいきなりですから。痛いよりびっくりして。それより社長も蹴られていたけど大丈夫ですか」

「ああ、なんともないさ。しかしいつまでこうしているのかな」

「社長、後ろでは何人か解らない兵士達が本物の銃を構えて戦車迄きているのですよ。なに呑気なこと言っているのですか」

「いや、喉乾いて」

「そんなに喉が渇くなら糖尿を疑っては如何です」

「そんなか。でも心あたりが・・・」

「でも糖尿で死ぬ前に、銃殺されそうですけど」

「そうだな。今更言っても遅いが佐々木すまん」

「社長生きて家帰りましょう」

「そうだな」

 ・

 普通科中隊本部

「もう少し時間をかけて2名以外の捕虜が居ないのか確認しないとダメだ」

「小柴狙撃班長、事務所内は確認できるか、捕虜が2名だけなのを確認したい」

「すこし時間をください」

「了解した。慎重に頼む」


 それから無人偵察機が飛来。情報が持たされた。

「こちら西部方面無人偵察機隊。今わかっている情報を渡す」

「受信した。感謝する」

「引き続き事態終了まで旋回を続ける」

「了解した」


 データリンクを介して中隊指揮端末に情報が送られてきた。

 赤外線データから敵は全32名。3回の確認で建物内で拘束されている人物確認できず。

 情報部は捕虜2名と推定。更に8回偵察を実施後に再度判定し最終報告を出すと表示されている。


「90分まてか・・捕虜は大丈夫か、捕らえられて1時間以上は経過している様だが」


 ・

 防衛省地下3階、指揮指令所 

「立川統合幕僚長。捕虜人数確認の為に膠着しています」

「よろしい。民間人に怪我をさせては我々の負けだ。慎重に頼む」

「目達原駐屯地より観測ヘリOH-1とコブラが2機対馬に向かっています。対馬空港での給油許可でました」


「了解した。最初は偵察を、つづいて現地部隊と共同して作戦を立案して欲しい」

「現地対馬普通科中隊より作戦概要入っていますが、捕虜人数の最終確認で時間がかかっています」


「よい、人数確認を最優先」


「了解。OH-1現着。コブラは対馬空港での給油中。指示があれば飛びます」

「それで良い。下手に刺激してはダメだ」


「ドルツ国艦隊の方はどうだ」

「はい、全艦隊降伏しています。第2護衛艦隊が中心となって敵兵の救助行っています」

「そうか、手配はどうか」

「はい、人数が多いので重体の兵士は佐世保に、その他は春日から静岡にカーゴで移送します。

 その後東富士捕虜収容所に入れます」

「言葉は何とかなったのか」

「先に上陸したドルツ兵とナナさんのおかげで翻訳機に入力が進んでいます。もうすぐ実用化できると思います」


「そうか。人命は日本もドルツもない、大切に扱って欲しい」

「心得ています」


 ・

 ドルツ国上陸隊本部

「シュルツあれはなんだ」

「飛行機の様ですね。不思議な形です。昔読んだ本にあった様な」

「あれは上の羽の回転で浮力を出しているのか」

「少佐その通りだと思います」

「だとすれば、空中で停止できるのか」

「発生揚力が大きければ停止できると思います」


「なんと言う事だ。始めてみた。こんな国に戦争をしろなんて無謀過ぎる」

「少佐、大丈夫です。我々が日本を引き付けていれば・・・」

「そうだな、それに期待か」

「ええ最初からそういう作戦ですから」


「しかし、軍部も凄い作戦を考える物だな。艦隊の3/4を犠牲にして、特殊潜水艦による上陸作戦とは思い切った物だ」

「ええ、本国に攻めてこられても防衛もできませんね。攻め込むだけで我々の支援もできないとは、現地調達なんか出来るのですか??」

「良く解らん。情報部の情報自体に不信感があるからな」

「少佐、上空見えますか。なんか小さい機体が飛び回っています」

「あれはおもちゃか。人は乗れんだろ」

「ええ、小さすぎますね」

「いよいよ日本の目を引き付けられていると言う事だな」


「その様です。どうします。捕虜射殺しますか。その方がもっと注目されますよ」

「いや、戦士としての矜持としてダメだ。非戦闘員を殺してはドルツ国の名が廃る」

「ですが少佐。作戦遂行が最優先事項です」

「解っておる。だが日本は手も出せぬではないか。それで良いであろう。

 それに捕虜が居無くなれば、我々は全員死んでしまうのではないか」

「もとより死ぬ覚悟」

「解っておるが、作戦は日本の注目を我々が引き付ける事だ。捕虜を殺す事ではない」

「そうですね」


「わかれば宜しい。捕虜は日本が動き出すその時までこちらの切り札にさせてもらう」


「ええ、そのつもりです」


 ・・

 対馬警備隊から普通科中隊本部

「えい、膠着状態から2時間も経過ている、捕虜の人数確認はまだか」

「山田警備隊長からも人命優先だと念押しされています」

「解っておる。だが何か手は無いか」

「山口中隊長も理解している筈です。今は人数確認しか手立てが無いと」

「その通りだ」

「無人偵察機での5回目の確認が入ります。それからOH-1も観察していますし、応援のコブラも対馬空港に来ていますから。お待ちください」

「しかしな」

「焦ってはダメです。民間人の生命が掛かっています。安全な手がないと作戦は許可されませんよ」

「そうだな」

ありがとうございます。

誤字脱字報告も感謝です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 嵐の中で何が出来るわけでもない癖に、わざわざ田んぼを見に行って水死する老人が毎年、台風シーズンになると出現します。 同情したことはありません。 同類ですよ、この人質。 この先死んだとしても同…
[一言] 更新お疲れ様です。 人質『住民』、仕事熱心&うっかりの工場主と従業員でしたか・・・・(TT) ドルツ上陸部隊にとっては、何もかも隔絶した自衛隊に対抗するには丁度良い『盾』に(><) 世論…
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