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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第2章 セカンドインパクト(神々の戯れ)
146/251

第141話 威力偵察

第141話投稿しました。

ドルツ国駆逐艦隊との戦闘になります。

何時も誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かります。

 ドルツ国を出港した駆逐艦隊と思われる艦隊は南大陸から150Kmの地点で潜水艦隊と思われる隊と情報交換してから、北北西に進路を取り進んでいる。

 ただし、合流前の30ノット近い速度は合流後に18ノットまで落ちている。

 この艦の巡航速度は18ノットらしい。


 再計算の結果は、18ノットでは81時間後、つまり3日と9時間後である。


「立川統合幕僚長、報告です」

「何事か」

「はい南大陸北側より艦艇が2隻出港。例の駆逐艦隊と合流する見込みです」

「2艦?補給か」

「解りませんが、どうやら戦闘艦ではない模様。なら補給と考えます」



「それより、港は見えないのだろう?いくつ洞窟港があるのだ」

「それは上空からでは無理です」

「それは判っている。潜水艦での偵察は可能か」


「偵察目的で潜航させて近づくのは得策ではありません。機雷や対潜網などが通常張り巡らせてあります」

「だが、ドルツ国は貿易もしていたのだろ、なら通商に機雷は邪魔ではないのかね」


「ええ、第二次世界大戦でも通商用には航行ルートを設定してそれ以外は機雷で防衛しております。

 我が国も米国が終戦直前に「飢餓作戦」と称し約1200機のB-29によって計1万発の沈底機雷を海上交通路に投下敷設して、港湾や海峡で船舶の被害が増大して日本の海上物流は麻痺状態となりました。

 そして、戦後すぐに始まったのは機雷の除去です。当時の警察予備隊に掃海艇が貸与されて機雷除去をしていたのが自衛隊の始まりです」


「それは判っておるが、ドルツもそうだと言う事か」

「ええ当時の戦時国の全ては同様な手段で海上封鎖をしていました。安価で成果の出る手法です」

「そうか。危険か」

「リアルタイムでの出港監視が出来れば安全な航路が解るかもしれません」

「そうか、それは静止偵察衛星を打ち上げるまで無理か」


「最終目的として、南大陸への上陸などを考える場合は必要だと思いますが、現在は「もぐら叩き」の様に出てくる船舶や航空機を撃退する事が効率が良いのではと思います」


「そうか、だがいつか上陸してドルツ国の活動を停止せざるを得ない、その時には・・・」

「はい、了解しています。それまでには打開して見せます」


「うむ」


「200海里、約370Kmまでに接近してきた場合の対処は、通常警戒に則って良いですね」


「うむ、それで頼む」


「では、動向を衛星にて確認し、領海800Km程度でE767を発進させて電波偵察を実施します。

 その後領海から500Km程度でP-3Cによる警告を発信します。

 そして従わない場合は、EEZに入り次第、警告射撃から応戦してきた場合は戦闘になります」


「良いが、対空火器を積んでいるのだろ、無理をしない様に伝えてくれ」


「了解です。37mmなら2000m程度ですが主砲を対空で撃って来たなら8000m+爆発範囲を想定し、高度10000m以下にはならない様に注意します」

「主砲で対空近接信管弾とかあるのか」

「解りませんが、我が国にある物は「ある」と定義して対応します」

「それが良い、墜落でもしたら大変な事態になるからな」

「ええ、最大の注意を払います」


「もし戦闘になった場合の相手戦闘員救助も組み入れておいて欲しい」

「了解しました。ただし抵抗する場合が想定されます。前回の潜入兵士達も爆殺を計画していましたから、

 それなりに救助いたします」

「こちらに被害が出ない程度に頼む」


「それにしても3日後か、長いな」

「全くです」

「我が国が対処する事で、手の内を晒すことなるのが不安だな」

「ええ、攻撃側はどこからでも行けますからね」



 必要な情報は全て内閣に連絡している。高野防衛大臣を通じて対処計画についても当壁総理に許可を受けている。




 そして運命の3日後である。

 敵駆逐艦隊は洋上での燃料補給を受けて北上を続けている。

 補給船らしき艦艇は南大陸に戻っている。結果6隻による強行突入の形になっていた。



 ここは防衛省地下3階、指揮指令所。

「立川統合幕僚長、報告します」

「何事だ」

「はい、ハイエルフのナナさんが九州福岡に到着しました」

「外務省の要請なのか」

「その様です。言葉が通じないので特別に・・その・・」

「ああ、わかった。春日基地からV-22で第2護衛隊 DDH-182「いせ」に乗艦させる様に手配をお願いする」

「了解です。戦闘になりますが宜しいですよね」


「しかたあるまい。ただし直接戦闘は禁止する。止む得ない場合は長距離攻撃を主にしてほしい」

「了解しました。攻撃に移行する際は広域ジャミングをかけます」

「うむ。情報を連絡されない様に注意して欲しい。また、近くで監視する潜水艦等は注意だぞ」

「ですが、降下できないのであれば磁気探知も効果が薄くなります」

「解っているが、対空射撃を封じる手立てが無いとすれば仕方あるまい」

「了解です、対処が終わりましたら低空での対潜警戒を実施します」


「今はそれで頼む」


「了解、長波を含む広域無線妨害を実施します」

「先に長波を捕らえれば、それが潜水艦ではないのかね」


「ええ、第二次世界大戦では海中にも伝わる長波を使用していたと資料にあります。ですがモールスでも電文に時間がかかり効率的では無いと思います」


「だが、それしか手法が無ければ使用するのではないかね」

「確かに。それでは長波を含む電子偵察を実施します」

「多分、現場は判っていると思うぞ」

「そうですね。ですが念のために指示しておきます」


 ・・

「報告。E767が指定区域に到達します」

「了解、全ての周波数に対して記録を頼む」

「了解対処します」


「報告、艦隊通信は短波帯を使用、いまだ長波は確認できない」

「まだ領海まで400海里(約740Km)だから安心して隊無線を使用しているらしいな」

「音声通話なのか」「はい。ただし内容不明です」


「了解した。潜水艦でも引き上げが間に合っていれば何かわかると思うが、まだ無理か」

「あせりは禁物ですよ」

「そうだな」


「岩国と鹿屋からP-3Cが上がりました」

「了解。対空砲警戒を厳とせよ」

「了解。対空砲警戒を厳とせよ。連絡しました」


「沖縄からF-15JDが2機E767のエスコートで上がりました」

「築城のF-2が2機、各93式空対艦誘導弾4基で待機に入りました」

「了解」



 ・・

「EEZの手前50海里に入ります」

「了解。警告を発信」

 潜入兵士から伝えられた「引き返せ」とのモールスを記録してP-3Cから無線周波数50MHzで流す。

 これは敵艦隊無線として使用している周波数である。


「これで引き返すと良いのですが」

「悲観的で申し訳ないが、ダークエルフから戦闘を命令されている以上は強襲するだろうと思う」

「そうでした。私の方が楽観過ぎました」


「ああ、今頃敵はどうしているのか。E767に感あるか」

「現在、周波数14MHzで本国との交信を行っています。そして30ノットに速度を上げました」


「長距離用の短波通信か、しかも14MHzとはな」

「ええ、7MHz程度だと思っていましたが、進んでいますね」

 無線周波数は15MHzを中心とした短波が一番距離が飛ぶために長距離用として重宝されている。


「レーダーは発信しているか確認したい」

「E767からレーダー波らしき物は無く、反射効率の悪い450MHzの指向性電波が確認されているそうです」


「そうか、レーダーらしき物が存在するのか。しかし効率は悪そうだな」

「ええ、450MHzとは周波数が低すぎて反射方向がバラバラですので、かすかに認識できる程度ですね。

 これで対空砲連動とかは無理ではと思います」

 450MHzはアナログ時代のテレビ電波の周波数である。

 この周波数帯は障害物に回り込みを行うため、直接反射せずにかすかな反応となってしまう。

 センチ波(cm波)と呼ばれる周波数ではレーダーとして機能しにくい。

 現在では40GHz~75GHzの周波数がレーダーとして使用される。40GHzは約7mmの波長である。(通称ミリ波)

 直進性が強く、まっすぐ反射する為、相対位置計算が容易である。



 警告信号を発信してから10分が経過した。

「どれほどでEEZに入るか予想して欲しい」

「はい現在の方向と速度を維持すると、後3時間ほどです」

「そうか、わかった。速度と方向は変わらないか」

「変更ありません」

「そうか、して到達地点は推定できているか」

「今のところ進路は佐賀県唐津市馬渡島となります」

「住民の避難は完了しているか」


「はいすでに、反対側の唐津市立馬渡小中学校に避難しております。市内をパトカーと消防車が巡回しております」


「もし馬渡島なら、南側に町はありません」

「しかし油断はしないで欲しい、少しでも進路がズレると福岡か長崎が目標となる。この場合の被害は甚大である」

「了解です。現在の進路に変更はありません。速度も18ノットのままです」


「海幕長、島影は見える位置だと思うが」

「はい、今日は佐賀県は快晴ですので見えていると思います」


「敵依然進行中、あと30分でEEZに入ります」

「よし、敵の意図を確認する。慎重に行って欲しい。

 まずは広域ジャミング開始。続いてE767のエスコートについているF-15DJに指示して、敵艦上空をフライ・パスして反応を見て欲しい。最高速度で高度は5000mをキープ。通過後は高度12000まで上昇。その後エスコートに戻れ」


「了解、フライ・パスを含むOPS(Operations:作戦行動)を実施します」

 航空担当官による戦術入力が完了した。送信される。


 E767からの動画画像が流される。


 F-15DJの2機が急降下して高度5000で水平飛行に入り、アフターバーナーをふかし、マッハ2.5の最高速度で

艦隊上空を通過すると、急上昇して12000mでエスコートを継続する。

 敵艦は突然現れた航空機に唖然としたが、遅れて対空砲火が一斉に火を吹いた。


「敵交戦確認しました」

「よし、了解。全艦同時攻撃を行う。海幕長、空幕長同時着弾計算」

「了解。築城のF-2を2機上げます」

「了解、現在長崎沖の第2護衛隊に対処させます。しかる後「いせ」より救難機を発艦させます」

「了解。では全弾20分後に同時着弾。全艦撃破頼むぞ」


 ・・

 一時的にジャミングを解除しE767による各艦、各機に目標割り振りを行い、再度500MHz以下のジャミングを開始する。護衛艦隊無線やレーダー及び航空機無線とレーダーは使える。

「いせを除くDDG-178 あしがら、DD-102 はるさめ、DD-119あさひ から90式艦対艦誘導弾が12発発射確認」


「F-2Aより93式空対艦誘導弾が8基発射確認」


 両方とも約80Kmからの遠距離攻撃である。

 担当官がカウントダウンを実施する。

 上空のE767動画映像も流れている。


「30秒前、25秒前、20秒前、15秒前、10、9、8、7、6、5、4、3、着弾、今」

 動画画像でも確認できている。

 6隻の駆逐艦は護衛艦隊と航空機F-2による両舷からの攻撃に大きな爆発が起こり、中にはボイラーが水蒸気爆発を起こしたのか、壮大な爆発を起こして2つに折れてしまう船もあり、全てなすすべもなく沈み始める。

 ドルツ艦隊の使用周波数全てはジャミングの最中である。

 本国も何も連絡なく駆逐艦隊が音信不通になってしまう。


 ある程度時間はかかったが、6隻の駆逐艦は沈んだ。


 予定通りP-3Cが4機で低空での哨戒任務に入った。

 監視している潜水艦をあぶり出すためである。

 ただし、長波もジャミングの最中であり、通信ブイを上げての無線通信も妨害されている。


「立川統合幕僚長。うまく行きました」

「みんな良くやった。ただし次もうまく行くとは限らないと肝に銘じておくように」


「次は何処に来ますかね」


「この人命をかけた戦争ゲームである限り、次の攻撃もあるはずだ。決して1/3戦力消失は無力化したと判断してはいけない。最後の一人迄攻撃を諦めない筈だからだ」


「ええ心得ています」


「では、ハイエルフさんを乗せたヘリで周辺海域を飛んで例の思念とやらで抵抗しない様に説得をお願いしたい。また可能なら船体の引き上げを1隻で良い」


「はい、では救助に入ります。住人の避難解除で宜しいですか」


「良いが、前回みたいに漂流者が上陸する可能性もあるから用心は徹底して欲しい」


「了解です」


「第2護衛隊、第8護衛隊が沈没海域に向かいます」

「了解した。頼みます」


「海幕長、今回の様な事案がまた発生するかもしれない。「いずも」や「いせ」のDDHに陸自隊員の派遣を検討して欲しい。陸幕長もよろしく」


「了解しました。人数は多い方が安全でしょうし、なにより陸自さんの方が慣れていると思います」

「はい、要請次第送れるように手配します」


「海幕長、そろそろ日本版海兵隊も本格的に始動させてはどうかね」


「はい、島しょ奪還での訓練から、捕虜確保や拿捕してからの無力化等海上自衛官では持てあます事が多いですから、考慮します」

「うん、そうして欲しい。この事案が多くなると予測される。特殊隊員は多い方が安心だ」


「立川統合幕僚長、ハイエルフのお嬢さんがまだ東京におられるようでしたら、福岡に行って尋問に立ち会って欲しいのですが」


「そうだな、言語も通じない相手だから必要だな。それから一段落したら捕虜は東富士行で宜しいですか、陸幕長」

「はい、お受けいたします」

「海幕長、尋問は「いせ」ですか?」


「はい、それも考えていますが、佐世保がどうかなと思います」

「佐世保ですか、確かに宿泊所や独房もありますが・・」

「宜しければその方向で進めます」


「ハイエルフさんには佐世保で尋問と伝えて手配をお願いする」

「了解です」

「やれやれ、これから書類が大変だな」

「心中お察しします」

ありがとうございました。

すいません、グーグルクローンで表示していた資料が全て消えてしまい焦りました。

どうにか必要な所を復活させて書き上げました。

自衛隊の兵器・武器の性能や各自衛隊の基地地図など見ながら書いています。

なるべく正確にと思っての資料でしたが・・・・本も買っていますがいちいち探すのが面臭いので・・

すいません。最新2020自衛隊装備ムックも買いました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 対艦ミサイルの飽和攻撃(^^;; 駆逐艦6隻の小艦隊に対して、旧ソ連のお株を奪うかのような1隻あたり3発のオーバーキル・・・・ 次回はダークエルフの命令に慕わざる負えな…
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