第132話 ドーザ大陸平定への道 その2
第132話を投稿しました。
いろいろな話題が出てきます。
「第1回ドーザ大陸平定の為の会議」が開催されている中、皇帝は長崎田陸将補の説得を受けて日本行きを承諾していた。特に帝国国政はトーマス宰相代理と帝国臣民でハイエルフが問題ないとした33名が、ムリナ街に第5師団が作った鉄筋の建物を使い臨時帝国政府を作り日々奮闘している。
日本陸上自衛隊による皇帝宮調査が終われば帝都に戻る予定となっている。
なお、トーマスの腹心であるリエラとサリエルについては、サリエルはハイエルフの調査を受け帝都に戻されている。
リエラは皇帝暗殺未遂にも立ち会い、陸上自衛隊の帝都攻略時には、帝都警備兵と騎馬隊を率いて帝都の治安維持に活躍していたが、サリエル解放に伴い、リエラはサリエルに状況説明を行い、トーマスの元に戻って行った。
今度はサリエルが帝都治安を陸上自衛隊と共に行っている。
リエラがムリナ街に戻って来た。
「トーマス男爵、老けましたね」
「リエラか助けろ。儂はこんな事務仕事得意ではない。そなたに宰相代理をくれてやる」
「謹んでお断りさせて頂きます」
「不敬だな。断頭か」
「ははは。トーマス男爵自分が不自由だからと私に当たらないでください」
「いやこの際だ、なんでもリエラに振る事にしよう」
「ははは。無理です」
「無理でもやるのだ、儂がこんなに・・・」
「解りました。トーマス男爵泣かないでください」
「泣いてなどおらぬわ」
「そうですか・・うっすらと涙が」
「はぁーどうしてこんな事に、いっそ暗殺事件の時死んでおれば楽な物を」
「しかたありません。武人としての矜持なのですから、性と言うべきものです」
「あーもう。帝国全ての行政をここで、この小屋で行っているのだぞ」
「それにしては日本自衛隊が作っただけあって立派ですよ。多少の攻撃ではビクとも・・」
「そういう意味ではない。いいか宰相代理で皇帝の印を預かっているのだぞ、なんでも命令が出せる立場なのだぞ、耐えられるかこんな立場」
「まぁ男爵の普段の行いが悪かったと諦めてください」
「ううう、リエラ真っ先に首を刎ねてやる」
「自衛隊によって禁止されています。ははは」
「ううう」
「それよりお仕事しましょう。まだ西方面は相当に貯まっているのでしょ」
「そうなんだ、西方面に強い者が儂しかおらん」
「手伝いますから、機嫌を直して」「はいはい」
いつものトーマスが戻って来た。
「ところで皇帝は何処に行かれました」
「おお、そうだった。日本政府の要請で日本の東京に向かっておるぞ」
「日本の東京、それは日本国の首都ですよね。私も見て見たかった」
「そうだな儂も見たかった。その前に仕事で死にそうだが」
「男爵、頑張って東京見に行きましょう」
「はいよ。仕方ない頑張るか。リエラは書類事前に読んで決済か不決か決めてくれ。内容読んで判断しているから時間がかかる」
「はいはい、解りました」
皇帝は5日前に第5師団の長崎田陸将補に説得され、参謀長田森1等陸佐と共に6名でドーザ方面隊のあるドフーラ駐屯地にV-22(オスプレイ)で来ていた。
「長崎田とやら凄い乗り物だな、ムリナから1100kmをたった2時間半で来てしまったぞ」
「皇帝、これが航空機と言う物でして、これは垂直上昇機能があるので遅い方です」
「これでも遅いのか。いったい日本は」
「一番早いのがジェット戦闘機でだいたいマッハ2.5ですね。マッハとは音の速度です。最大速度ですとムリナからここドフーラまで約20分です」
「なんと申す、1100Kmがたった20分だと」
「ええ、皇帝の城を攻撃した戦闘機はF-2Aと言いまして、それでも最高速度マッハ1.7程度、巡航はマッハ1.2程度になります」
「あの空飛ぶ機械か、すごいな」
「皇帝、窓をご覧ください。あの小さいのがF-2Aで、隣の大きいのが輸送機でC-2と言います」
「大きいな、あんな物が空を飛ぶのか」
「ええ飛びます。しかも皇帝の日本入国は極秘なので、あの輸送機で日本へ行きます」
「そうか、あれか」
「では要員交代しますので、ドーザ大陸方面隊を紹介します。こちらが中野総監。ドーザ大陸全陸軍の将軍となります。こちらが殿山幕僚長に林幕僚副長です。ドーザ方面隊の作戦参謀ですね」
「中野です。初めまして皇帝ガリル3世殿」「やめてくれ、今は皇帝ではない」
「こちらも初めまして、殿山に「林」です」「よろしく頼む」
「本日は皇帝に日本の収容施設に入って頂き、翌日朝に日本に向けて出発します」中野が説明する。
「牢獄か」
「いえ、そこらの宿泊所よりは豪華ですよ。将来VIP用に改装しましたので」
「VIP・・よくわからん」
「そこは気にしないでください。偉い人用とでも理解願います」
「了解した」
「なお日本での予定ですが、我々も聞いておりません。現地に着いたら説明があると思いますのでよろしくお願いします」
「了解だ」
「ではご案内しますので、ゆっくりお休みください。夕食は19時から建物1階の食堂で取れます。
それから滞在中何か必要な物はありますか」
「そうだな、ムリナ街で自衛隊から貰った歯磨きと歯磨き粉が欲しいな。それに石鹸」
「はい部屋に備わっています」「そうか、何から何まですまんな」
「いえいえ、戦争が終わり、皇帝はお客として日本に招待されていますから気になさらない様に。ただし逃亡はダメです。逃亡したなら帝国との終戦は延期されます」
「うむ。理解しておる」
「結構です。では林が案内しますので」
「皇帝こちらにどうぞ」
林幕僚副長が皇帝を駐屯地隣の建物の最上階に案内をする。
ここは将来ドーザ大陸を訪れるであろう政治家や経済人の宿泊施設として急遽作られた建物である。
つくりはホテルに似せて、部屋には浴室とトイレがそして大きなベッドが付いている。
ホテルで言えば普通のダブルベッドルームであった。
最上階の部屋はそれに簡単な会議用の部屋が付いたコネクトルームとなっている。
それでも内装は質素でバランスが取れている。
自衛隊の外部者用宿泊施設なので、豪華な設備はないが、2階には大浴場が男女別にある。
1階はカフェ兼レストランで、7時から20時まで食事ができ、20時以後はワインバーとなる。
ただし食事とソフトドリンク以外は有料となっている。
今回の皇帝宿泊に際してはアルコール類はドフーラ駐屯地持ち出しとなっている。
「中野総監、引き渡しが完了いたしましたので、私共はこれで戻ります」
「うむ、ご苦労であった。後日報告書と必要な物があれば帝都に近い第5師団には優先して送るからな。一緒に出してほしい」
「有難うございます。では失礼いたします」
「ご苦労であった。長崎田陸将補、田森1等陸佐。気を付けて戻ってくれ」
「はい、失礼します」
こうして無事皇帝をドフーラ駐屯地に送り届けた第5師団の精鋭たちは、V-22に搭乗してムリナ街郊外の大型機ヘリポートに戻って行った。
・
「長崎田陸将補案内ご苦労であった」
「いえいえ慣れていますから」
「そうだった広報の長も兼任しておったな。適任だった」
「はい」
「だが、日本政府は・・考えないでおこう」
「ええ、中野総監、面倒事に巻き込まれますから、危険でなければ静観しましょう」
「幕僚副長の言う通りだな」
「ええ」
「まっ夜は時間あるから皇帝と飯でも行くか」
「ははは、なにか嫌な予感がします」
「なにも企んではおらない。一人で食べさせるのも可哀想かなと」
「そうでしょうか。でも皇帝などと言う職種はいつも孤独なのかも知れません」
「そうだな、当壁総理や高野大臣も孤独であると思うよ。儂みたいに方面隊を預かれば孤独が逆に欲しいのだが」
「中野総監、それは贅沢ですね。ですがお供します」
「そうか、では皇帝に19時に食事に行こうと伝言を頼む」
「了解、フロントの隊員に伝えます」「うむ」
・・・
一方ムリナ街郊外の帝国臨時政府建物。
「トーマス男爵。自衛隊からの要請です」
「財政難なのに何を言ってきた」
「ああ、ついに。トーマスさん、皇帝発布の指令書発行願いです。「皇帝名による命令書を発行願う。内容は・・爵位の廃止。奴隷の所有及び売買の禁止。なお、治安を乱すものは自衛隊及び元騎馬隊、親衛隊、帝都警備隊、各都市警備隊により逮捕される」とあります。ついに男爵も平民ですね。ふふ」
「リエラ楽しそうだな」
「いえいえ、元々平民ですから何も失う物はありません」
「そうか、そうだな。元々平民だな」
「複雑な心中お察しします。ですが注釈として臣民の職種については従来通りとあります。つまり宰相代理は宰相代理のままかと」
「そうか、疲れたぞ。宰相など貴族でなくとも出来る仕事だからな。帝国の財務省や商業省などもな。
日本政府もそのつもりなのであろう」
「ええそう思います。これからは平民とか元貴族とか関係ない世の中になると良いですね」
「そうだな有能な人材が派閥で埋もれていかない世の中が良いな」
「まっその第一号がトーマス宰相なのですがね」
「わしか、無理だ直ぐに投げ出したい」
「落ち着くまで無理ですよ」
「いつ落ち着く」
「宰相が一番ご存じのはずでは」
「ああ、言ってから気づいた。はは」
「乾いた笑いしてないで、皇帝名の命令書作りますよ。同じもの30近く作らないとならないのですから」
「はいはいリエラ様。では書いてくれ、儂は印を押す係だ。明日、早馬も用意してくれよ。書面の数だけ」
「そうですね。ムリナで良かった。早馬が確保できます。欲を言えばバロッサがもっと・・」
「どうでも良い」「投げやりですね」
「だいたいスルホン帝国が実質無くなって給料も払われないのだぞ、やってられるか」
「ですから、悪徳貴族や豪族の資産没収を自衛隊がしているでしょ、それに皇帝宮の接収も進んでいると思いますよ。そうしたら給料も入るでしょ。もう少しの我慢です」
「はぁ酒を飲む金も無いのだぞ」
「いざという時の為に貯めて置かないからです。全部飲むから」
「酒飲みたいぞ。奢れリエラ」
「いいですよ、後で倍返しでお願いします」
「それでも良い。酒をくれ」
「また散財するつもりですか。解りました。5本だけ買ってきますから、それで3か月はしのんでください」
「・・わかった」
「禁酒の方が良いと思いますが」
「寝る時、数字がちらついて眠れん。酒が必要だ」
「泥酔しないでくださいね。毎晩グラスに半分とか決めてください。それに・・自衛隊が入れてくれた設備。氷が作れるらしいですよ。贅沢ですね」
「なんでも良い」
「なんかトーマス宰相つまらなくなっています」
「はは。乾いた笑いしか出ないぞ」
「買ってきますから、まっていてください」
・
「トーマス宰相5本だけ買ってきました。し・か・も・陸上自衛隊が酒売ってました。驚きです」
「なに、日本の酒なのか」
「ええ、なんでもウイスキーとか変な名前でした」
「飲ませろ」
「今夜はダメです。皇帝名の命令書を作り上げてからです。徹夜ですね」
「まったく、目の前に酒があるのに・・ブツブツ」
「解りました。グラスに少しだけ味見しましょう」
「リエラ物分かりが良いな」
「ブツブツ言われれば気になって進みませんからね」
リエラは仕方なく小さいグラスに少しだけ入れて乾杯した。
「では、宰相に乾杯」「うえ」
「不味いのですか」「お前の乾杯が不味いだけだ」
「美味しいですよ」
「うん。旨い。これ程とは武力でも酒でも勝てない訳だ」
「酒は関係ないと思います」
「いや、大いに関係あるぞ。うむやる気が出て来た。リエラ朝まで頑張るぞ」
「ははは。酒の力は大きいと」
「遅い手を動かせ」「はいはい」
こうしてドーザ大陸の革新的命令が発布される。
ついで宗教の自由。15歳未満の成人していない子供達の学習に関する命令を発布する。
子供達は村では立派な労働力の為に都会で仕事している人々以外は学ぶ機会が与えられない。
そこで、村単位で学習の為の学校を設立し、日本政府の資金で午前だけ授業して給食を出してから家に戻ると言う仕組みを作っていた。
教師は元女神教牧師を中心に宗教色を廃止した教科書に沿って進めている。
教科は大陸語の読み書き、簡単な計算、そしてドーザ大陸の地理である。
地理については画期的で、いままで国策で秘密扱いされていた地図が公開され、誰でも閲覧が可能となった。これにより商人はルートを経験ではなく実際の距離で計算する事が可能となった。
週末には大人向けの学習塾が開催され、簡単なテキストを用いて読み書きや計算を、また社会として民主議会制について勉強をしている。
「トーマス宰相。大人も勉強がタダで受けられるらしいです。それに大都市には大学と呼ばれる学校も、以前の帝国高等学校みたいなものですかね」
「なぁリエラ、儂が解るわけないだろう」
「ですが発布したのは宰相ですよ」
「日本からの要請だからな。民力をあげたいらしいぞ」
「何ですか民力って」
「なんでもドーザ大陸に住む人々の学力を引き上げて、無学で農業の跡継ぎ達に効率良い方法を教えて収穫を増やしたり、政治について考えたりするらしい」
「らしいって・・それでも凄い事ですね。これで大陸人が読み書きできて、簡単な計算も出来る様になれば、誤魔化されない買い物ができます。ただ、心配は罪人も学力が上がり、今までない詐欺や犯罪が増えると言う事ですかね」
「リエラ。そんな事が起きるのか」
「宰相。いままでも頭の良い奴が詐欺をしたりとあるではないですか。それがより巧妙になるかと思います」
「そうかそこまで考えなかった。単純に人々が読み書きできれば、契約書の全文を読んで不利な事は避けられると思っていた」
「ええ、その功績は大きくなると思います。ですがそれを上回る犯罪が起きる可能性があります」
「そうだな。人の罪は無限だからな。いつかそんな事も起きると思うぞ。でもな。人々の知力が上がると国も繁栄をするのではないかと思う。犯罪も頭の良い奴が取り締まれば抑えが効くのでと思うぞ」
「そうですね。ドーザ大陸に栄光を。そして人々には公平なチャンスを」
「なんだチャンスって」
「なんか日本人から教えられたのです。「機会」とか「好機」とか言う意味だそうです」
「そうか、面白い言葉だな。これから儂も使おう」
「ふふ。無理しないでくださいね宰相」
「ああ。お前がトーマス男爵とか呼ばなくなって「宰相」で呼び方統一した所で諦めた」
「よかったです「宰相」」
「はぁー。いつまで続くのだ」
「前にも言いましたが、それが解るのは宰相自身ですから」
「はぁーーー」「長いです」
・・
第1回ドーザ大陸平定の為の会議において、ドーザ大陸東側地区の代表者が決まっていった。
東側ドルステイン県については、元から海上自衛隊と交流がある、元ゾーマ・ラシアス領主のソミリア・ラシアス元伯爵にすんなり決まった。
元々ラシアスは行政手腕に秀でており、ゾーマ・ラシアスや港町ドルステインに東村など広大な領地と東側防衛の為の私的防衛艦隊ドルステイン艦隊を保有して、日本海上自衛隊とも一戦を交えたが、すぐに力の差を感じ、元帝国第3艦隊司令を退役してドルステイン艦隊司令となったトーマス2世元男爵と旗艦「エミリア」は、そのままドルステイン方面の沿岸警備隊としての任を与えられた。
「ソミリア殿、まだ老体をこき使うつもりですな」
「トーマス2世殿、帝国は無くなり新しい世の中になる。幸い領地は全てが県として更にトレルラ村までが併合された。それに海上自衛隊を港町ドレステインに受け入れてからは、周辺も急激な良い変化を見せているしな。断れないのだ。そして海上の警戒もドレステイン艦隊に任せなくてはならない。
それにはご老体が最適任なのですよ」
「なんでも、議会制民主主義とか言ってますが、ご理解できていますか」
「詳しくは説明されても良く解らない。だが、議会を作りこのドルステイン県の事は議会で決めなさいとの事なのです。私が今まで不満だったのは一人で決めて一人で悩んで、誰も褒めてくれない事です。
ですが、これからは私が長となり皆の意見をまとめ決断できます。
それは大きな事なのだと思います」
「そんなに悩んでおられましたか。少しは儂もお役に立てたのだと良いのですが」
「いやご老体には、直接言われなくてもいろいろ考えさせられた。組織の運用とか命令の仕方とか、ご老体は手本として十分に役立っていますよ」
「そうであるか、なら良かった。ははは」
「ところで海上自衛隊の艦艇は元のままで宜しいのですかな」
「うむ。海上自衛隊が港町ドルステインを駐留に決めてから、港町だけでなく、要塞都市ゾーマ・ラシアスの経済も回っておる。良いことずくめで、変える気はないぞ。
それに海上自衛隊からも10年の借地に対する支払いがあって、県としても予算が使える」
「そうですか、それでは外敵の心配はありませんね。我々も漁民の救助とかくらいしか動きが無いのですが」
「それは立派な仕事であるよ。ご老体頑張ってほしい。そして本日、自衛隊からの連絡でご老体の旗艦「エミリア」にはドレステイン艦隊で唯一の石炭動力船だから、改造して「むせん」と言う物を積み込むらしいぞ。
それによって、港町ドレステインに作られた本部と連絡が取れる様になるらしい」
「えっエルフではなく機械で話すのですか。それは不思議な」
「その様だ。近い内に海上自衛隊が改造するそうだ。それにドレステイン艦隊は名称変更して、ドレステイン沿岸警備隊となるそうだ」
「それが良いでしょ。エミリアだけが石炭船で他は帆船ですからね。活動にも無理があります。沿岸ならまだまだ活躍できます」
「そうだな。ご老体も後任見つけて港町で余生を送ってほしい」
「はは。早くそうしたいですな」
決まっていったのは、トルステイン県代表(知事とは呼ばない)のソミリア・ラシアス元領主。
ドミニク・トルマ県は、要塞都市ドミニク・フーラとトルマ要塞都市について陸自第7師団が交渉し平和的に市街地通過をしている。
当時のドミニク・フーラ領主のアルタ・フーラ伯爵とトルマ要塞都市のソムリ・アルフゥ男爵が日本に友好的であり、そのままドミニク・フーラを県首都としてアルタ・フーラ元伯爵が代表をおさめ、トルマ要塞都市はトルマが代表となった。ドミニク・トルマ県はトルマ、トリルト、スルケの各都市と街代表者とトラマ村村長が議員となり、各都市から3名の平民を集め首都ドミニク・フーラ議会での討議が始まる。
ミリム・バロッサ県については、中規模要塞都市ミリムソーマ元領主ドリトルテ伯爵、要塞都市バロッサ元領主ドリドル伯爵、小規模要塞都市ドフーラ元領主のトラーラ伯爵、ドリドル元伯爵とトラーラ元伯爵については帝国の命令を守り、都市を日本の攻撃から守ろうとして抵抗をしたが陸自に捕らえられていた。
よって、ドリトルテ元伯爵と交易都市ドミニクの代表トルールスだけは、陸上自衛隊への協力をしていた。
だが、反抗した2都市の中で、ドフーラのトラーラ元伯爵だけが帝国の命令に従って無意味に自衛隊に対抗した事を反省していた。
「こんな事なら・・・それにしてもドフーラ郊外の基地は凄かった。あっ言う間に巨大な石造りの建物が建ち、「ひこうじょう」とか言う巨大な街道が作られた。あんな技術があるのだから帝国なんぞ、子供みたいなものなのだろう。しかし・・相手を知らずに盲目的に命令に従った結果がこれか。残念だ」
ハイエルフの調査でもトラーラ元伯爵は犯罪等も無く、都市平民の評判も高く、一部市民からは領主解放の嘆願書が渡されていた。
「中野総監、各都市を治める代表者が不足しております。この際ですから自衛隊に対抗はしたものの平民に評判の良い元領主について、財産没収は2/3として釈放の上代表に復帰させては如何でしょう」
「殿山幕僚長そんなにひっ迫しているのですか」
「はい、まったく不足しております。特に帝都に近い都市については皇帝の命令を着実に実行した結果が、これに繋がっています。現在ドーザ大陸東側がこの状況ですから、西側の皇帝親戚筋では絶望的で、代表者となる者の選考は至難を極めます」
「そうか、では幕僚長のアイデアとして、捕らえた領主で復帰させたい者の見込みはありますか」
「はい、特に現在はこの地ドフーラの領主トラーラ元伯爵については解放の市民嘆願書が来ております」
「ハイエルフさんの調査結果は如何です」
「はい、特に犯罪等は認められません」
「そうですか、では私が会って直接話をしますので、手配をお願いします」
「はっありがとうございます。では3日後の1400に会議室で話の手配をいたします」
「そうかありがとう。それで代表者が一人でも増えれば助かるな」
「総監。よろしくお願いします。こちらが翻訳した嘆願書です」
「わかりました。手配よろしく」「失礼します」
執務室で一人となったドーザ方面隊中野総監は、「そうか足りないか」と呟いていた。
「だが、日本人が帝国領の代表となっても民意は政治に反映されないしな。帝国の人材は少ないな・・」
中野総監は独り言と言うには大きな声で言っていた。
「仕方ない、捕らえた人物で優秀な者で犯罪を犯していない元領主や元帝国貴族は復帰させるか、ただ民衆が納得せねばならないな。これをどう測るかだな」
・・・
「そうか民意による投票か、都市単位なら住人は大規模都市でも5千人程度、小規模なら1500人程度、なら用意してできるか。しかも事前に時間をかけずに即投票で宜しいな」
こうして帝国貴族の再利用を「第2回ドーザ大陸平定の為の会議」で中野総監自ら提案を行うのであった。
ありがとうございます。
まだまだ帝国内の平定には遠いと思います。