第11話 国家安全保障会議3 (改)
第11話を投稿します。
磁気嵐から第3回目の国家安全保障会が開かれ、謎大地については所有者確認できなければ自国領土とする取り決めがなされます。
また武器兵器の増産計画、新兵器の開発(間に合うか不明)に現行・旧式を問わず使用工夫など、急激に状況は動いています。
2020/05/29 改訂
本日深夜25時、首相官邸では、三回目の国家安全保障会議が開催されようとしていた。
メンバーは総理大臣、総務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣、内閣官房長官及び国家公安委員会委員長。
それに防衛省統合幕僚長、内閣危機管理監、国家安全保障局長、国家安全保障局次長などを含めた大会議である。
国家の非常事態に、正式メンバー35名に加え各省庁の副大臣に大臣政務官を加え約100名になろうとしていた。
当壁高雄総理大臣が冒頭宣言を
「深夜にもかかわらずよく集まってくれた。
異例ではあるが国家安全保障会議と官房長官主管である事態対処専門委員会を同時に開催する。
現在日本が置かれた状況について佐野官房長官が説明をする」
佐野官房長官はマルチモニターを使いながら、釜山調査のOP-3C画像データを最初に表示して、韓国、中国、北朝鮮、ロシア等々の大地が発見できない旨を説明。
さらに、東南アジア各国、それにアメリカ、EU諸国等の連絡が今もって不通である事を時系列的に説明していった。
「
また、自衛隊は未知の動物との戦闘で殉職者17名重傷者11名を出しており、対象物の観察を主としていたために、向かってきた場合の対処が遅れた事が原因と思われます」
記者会見に使用した写真画像ではなく動画で説明した。
「結論を申しますと、いろいろな議論はありますが、現状の認識として異次元に日本が巻き込まれたのではないかと思います。これを踏まえての対処を検討してほしい」
各参加者は断片的には聞いてはいたが、詳細内容を並べられて日本が転移した事は疑いようもなかった。
海上保安庁長官が手を挙げた。議長でもある当壁総理大臣が指名する。
「海上保安庁は海獣と遭遇した場合の有効な対処方法を持ちません。
沿岸の巡視は従来通り実施しますが、遭遇した場合は、連絡後逃げるという事で考えています」
「わかりました」
「はい。国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策担当としては、民間の漁船、商船、運搬船の安全は担保してほしいところです」
高野防衛大臣が続ける、
「だが、現在の自衛隊艦艇で戦闘できる海上艦艇は約50隻であり、民間人に船団を組んでもらうしかありません。
短魚雷は有効と思いますが1発で駆除はできません。
潜水艦配備の長魚雷なら1発撃退も可能と思います。
現在潜水艦は30隻ありますが、新型りゅうぐう型により旧型のおやしお型を順次退役させる予定で最終的には24隻となります。
もちろん延命処置も可能ですが、人員が足りません。と言うより自衛官自体不足しています」
「はい。資源エネルギー庁としては各資源が、特に石油、石炭が半年分の備蓄となっており、早急に確保に努めなければならない為に、新大陸とやらの資源探査を優先的に実施して頂きたい。
当面の延命策として、資源エネルギー庁としては反発は受けると思いますが、原子力による発電再開を希望します。これにより火力発電所で使う重油や石炭を半年分から1年分に節約できます。
緊急事態における原子力発電所の速やかな全稼働を提案いたします」
当壁総理は考えた。
「よしわかった、フル稼働の方向で、資源の使用量を削減する方向で調整してください。
非常事態という事で地元住民の理解を得られるようにシナリオを考えてほしい」
「私からも報告があります」と佐野官房長官。
「各省庁衛星調整会議ですが、
6月予定のイプシロンロケットへ当初10基のマイクロ衛星を積み込む予定でしたが、追加で10基が調達できそうです。
中には資源探査に使える衛星と通信中継衛星、これは小型ですので広い周波数はカバーできませんが、1.6G帯のナローバンドなら中継可能です。これにより遭難信号帯である1.6Gの衛星中継が可能となる予定です。
さらに、6月の予定を5月初旬にする事が可能となります。
あと12日程度で打ち上げができます。
また完成しているマイクロ衛星ではAIをほとんどの衛星が使用しており、例えば地球の裏側のデータは中継衛星経由で送信するのですが、衛星が不足している現在の対応として、データを蓄積して、日本の地球局と連絡が取れた場合に、取得したデータを圧縮して一気に送信するそうです。
これにより地球周回の衛星も可能となるとか。衛星が増えれば以前の様なリアルタイムも可能と考えます」
他には、出入国管理庁と厚生労働省から在日外国人、訪日外国人の保護については、期間限定の滞在ビザ発給と国民健康保険加入を行い、日本で働いてもらうようにしたいと。各住居については難民扱いとして自治体に確保をお願いするとの事。
警察庁警備局長としては、「各公安に対し宗教法人等がこの状態を利用しておかしな活動しないように監視を強化しています。一部に不穏な動きがありますので、極秘につぶすように指示しています」
恐ろしいことを冷静につたえる。
みんなの意見が出ている中で、当壁総理は素早くとりまとめを始めた。
「一通り懸念事項は出そろったかな。では大きな方向性として、・・・
指示した方針についてはその方向で検討、実施してほしい。
また謎の大地については、所有者不在の放置地として日本が調査管理をする。
自衛隊には『宗谷大地』からの謎大地について早急に調査と早めの領有権主張を行い、可能であれば港や町建設、現地人の探査、交流を行ってほしい」
すうっと息を吸い込み、続ける。
「現地人がいた場合の交流は自衛隊に任せるが、交渉は全て外務省にて担当してほしい。
その為の特別チームを用意する事。
各資源については活動母体である自衛隊が優先して確保してほしい。
産業については原子力発電の電気活用を促進してほしい。
この資源不足の状況での資源探査については優先事項として、自衛隊による安全領域を確保して、その後専門家チームによる調査、可能なら試掘まで進め、有望であればプラント建設やパイプライン建設を民間企業と共に検討してほしい。海底についても自衛艦の護衛の下、探査を行い資源調査してほしい。
最後に未開の大地は魅力的であり、産業の観点からも経済の観点からも歓迎すべき事ではあるが、民間人では対処できない獰猛な動物や未知の細菌等、自衛隊の防御力に大きく頼らなくてはならない。
そこで、本国会開催中ではあるので、緊急に未開地資源探査の法的根拠と整備、自衛隊における探査・警備の為の防衛予算の策定。
資源探査施設建設の為の資材調達予算、そしてなにより、武器兵器の増産計画と特別予算を組んでほしい。
国内に向けては不穏組織の徹底的排除。
後ろから撃たれてはかなわないからな。在日外国人の救済法案と予算案。日本国籍希望者への帰化条件の緩和、防衛省と外務省は在日米軍の日本に残った部隊。知っている限りでは米海兵隊と空軍が3隊だったな・・・」
「総理、強襲揚陸艦は残っています」と高野大臣。
「第7艦隊揚陸部隊/第7遠征打撃群がグアムに行かず、有事待機をしており、揚陸艦は5隻残っています」
「そうか、では先ほどのつづきだが、防衛省と外務省は在日アメリカ大使をアメリカ代表として、自衛隊作戦行動に対する支援をお願いしてほしい。
元の世界へ帰れない場合の領地をちらつかせて」
まだ確保もしてない土地を餌にするとは・・・と高野は思うが顔には出さない。
なにしろ海から謎大地に上陸するにしても自衛隊ではおおすみ型が3艦で現在1艦が建造中である。
ほかは輸送艦のみである為、自衛隊の倍近い数の支援が欲しい。
高野はさらに、アメリカから兵器武器の輸入ができない為、自国で開発製造を積極的に増やすしかないか、特にオスプレイやC-2の様な輸送力は必要になるし欲しいな・・・地上打撃力も必要だし艦艇も・・・と、日本限定の防衛であれば現存数でも足りるが、謎大陸までの防衛となると想像もつかない。
わかっていることは、現在の自衛隊はフル装備で5回出撃するだけの装備備蓄はあるが、米軍との共同作戦が主体である為に自衛隊単独の作戦遂行能力に不安がある。よって可能な限り装備の増産、特に銃弾、砲弾、魚雷、ミサイルの国産化と早急な換装。
それから動物相手にミサイルは費用効率が悪いはずなので、違う駆除手段の研究が急がれるなと思いを巡らせた。
・・
『宗谷大地』への架橋が本日24時頃、予定通り車両による侵入が可能となった。
深夜ではあるが、第2師団は事前の作戦立案による防衛配置を次々下令して、翌朝の探査偵察準備を進めていた。
高野防衛大臣は防衛省に戻り、防衛省統合幕僚長、防衛省防衛政策局長、防衛省統合幕僚監部総括官に防衛施設庁、装備庁、および各防衛研究所に対し、予算の確保を約束して、武器、兵器の増産計画、C-2及び艦艇の増産計画、F-3開発計画の促進、なによりオスプレイの様な国産機の開発を指示した。
今の状況ではアメリカからも介入されずに研究できる環境であった。
また現行装備の改造による効果的な打撃・防御の研究も指示した。
日本が領土拡大に向けて動き出した。
なんか周りの国と連絡が取れない現状では、ある意味やりたい放題ですかね。
日本はどうなるのでしょう。