第108話 帝国崩壊 その8 ドーザ大陸平定計画素案
第108話を投稿します。
日本によるドーザ大陸平定計画の始まりです。
政府内部の話なのでここだけで1話としました。
読み飛ばしても構いませんのでよろしくお願いします。まだ素案の段階ですので・・・
「失礼します」
「おっ高野防衛大臣まっておったぞ」
「総理、至急ご報告がありまして直接報告及びご判断をと思いまして」
「うむ秘書官から聞いているが、自衛隊に何かあったですか」
「いえ、当壁総理、佐野官房長官と共に防衛省か官邸の防災対策室にお越しください」
「ここではダメなのか。判ったいこう」
当壁総理は秘書官に佐野官房長官を総理官邸地下にある防災対策室に集まるように連絡をする。
高野防衛大臣は防衛省幹部にも集まるように連絡をさせる。
「高野君一緒に行こう」「はい同行させていただきます」
高野防衛大臣はドーザ大陸で進行している作戦の状況を簡単に車内で説明する。
「対策室ではもう一度説明する様になると思いますが、詳細は作戦図を用いて説明させていただきます」
・・・・
一同は内閣総理大臣官邸の地下2階にある「災害対策室」に集まる。
「情報担当官、防衛省との回線を確保して作戦図を出してほしい」「直ぐに出ます」
「当壁総理、佐野官房長官、お忙しい中ありがとうございます」
「硬い事は良い、状況を説明して欲しい」「はい」
「ドーザ大陸における「特別時限立法、スルホン帝国制裁に関する法」につきましては予定通り第3段階迄進んでおります。ここまで自衛隊員の死亡はありません。負傷者は56名で予定の範囲内と思います」
「大きな負傷を負った者はいないのだな」
「はい、全て軽傷であります」
「高野防衛大臣、すまないが作戦の第3段階を説明して欲しい。どこまで進んだのか」
「佐野官房長官すいません。説明させていただきます」
「こちらの図をご覧ください。
第1段階はチロルの森で第2師団によるスルホン帝国軍団の殲滅捕獲を行いました」
「うむ陸自第2師団は良くやった。褒めて当然と思うぞ」
(地図は縮小率が大きく拡大して見て頂ける事をお勧めします:スマホでは・・すいません)
「当壁総理ありがとうございます。これで帝国3個師団が壊滅しました。
その後、制裁法案成立し、帝都の警備兵と親衛隊を攻撃、大部分を排除し、帝都の守りはかなり薄くなっています。これも予定通りです」
「うむ」
「その後、制裁法の第2段階として「きつつき作戦」を実施し、ドーザ方面隊を構成し陸自3個師団で帝都周辺都市の制圧を行っております。
図の赤い丸は協力頂けてる領主の街です。そこには良い関係を築けていると思います」
「して、作戦はどの程度まで進んだのだ」
「はい佐野官房長官、「きつつき作戦」は第1段階はチロルの森周辺都市の制圧、第2段階は帝都周辺都市の制圧、第3段階はドーザ大陸西側都市の制圧と段階を作り実施しています。
現在は第2段階が修了して、第3段階に移行中です。
第5偵察隊がムリナ街からトロル街を包囲しています。
第2偵察隊はソミリア街の包囲と帝都への検問を行っています。
第7偵察隊は小規模要塞都市ハリタとの交渉中です。
残りは西側要塞都市3つと街が2つあとは要塞化した港が2つですが、要塞港は艦砲射撃により要塞砲の無効化を実施しています。実質問題ないと思います」
「なるほど、もう帝都周辺は制圧でき、西側も武力的には無効化できていると言う事ですね」
「その通りです佐野官房長官。これからはドーザ方面隊も遠征となりますので、補給と休養に補充が問題となります」
「うむ、帝都を睨みながら西側の街を制圧するのか、過去にない作戦であると思う」
「当壁総理、その通り戦後の自衛隊には全てが初めての作戦となっています」
「高野大臣、勝算はどうなんだ」
「はい、佐野官房長官。慎重にかつ大胆に進めていますが、補給拠点確保が課題となっています」
「その通りだと思うが、補給拠点は領主の協力が無ければ進まないのではないかね」
「はい、現在は日本の立川、入間の各航空基地と横田の在日米軍基地を集積所として使用しています。
また中継地として、ドーザ大陸で最初の直轄地である宗谷特別行政区空港を集積所とハブとして活用しています。更にドフーラ・・ここです。ドフーラに集積所を作っています。
見て頂ければお分かりになると思いますが、ドーザ大陸帝都の手前1000Km程度までの輸送手段しか確保できていません」
「うむ遠いな。もっと帝都に近い場所や、西に行くならそれなりの場所確保が必要と見えるが。どうなんだね」
「当壁総理、おっしゃる通りです。現在の状態では帝都攻撃は可能なのですが、その先西側には難しい状態となっています」
「それで? 案はあるのだろ」
「はい、帝都を過ぎたここ、ハリタ街北側に広大な荒れ地があり、さらに北部は帝国軍地演習の地となっています。ここをドフーラに次ぐハブ空港を作る計画を作成しています」
「うむ、ドーザ大陸西側のハブ空港にする予定だな」
「はい、その予定ですが・・・どうやらハリタ街は協力的でないとの報告があります」
「そうか・・順調にはいかないものだな」
「はい、ハリタに航空基地ができれば、次は西側空港がフマラ要塞港町の東側に作る計画をしています。これが完成しましたら、アトラム王国まで6000Kmの距離になりますので空路による輸送が可能となります。
最終的に今言ったハブ空港をドーザ大陸に4つ、小規模空港を7つ作れば人物の流通が積極的になると予測をしています。
今回、集まり頂いたのは、ドーザ大陸の今後についてお考えを聞きたいと思いまして」
「つまり、高野大臣が言いたいことは、ドーザ大陸、いや帝国に対して占領して統治するのか、それとも民主政権を発足させて協力関係を作るのか、他に方策があればと言う事だな」
「当壁総理、その通りです。このまま帝都を占領して皇帝を捕らえる事は可能なのですが、その後を考えますと少し・・・、それに旧王国のルミナス王朝復活の動きも見えています。施策次第で第2次世界大戦時の失敗も挽回できると思います」
「なるほど、K国など国民性を見極めないと日本が非難の対象になると言う事か・・難しい選択だな」
「ええその通りです。台湾も同じ施策をしたにも関わらず、台湾は感謝、K国は恨みと極端な結果になっています。当時の首脳陣の考えを聞く事は無理ですが、歴史書などには経緯と反応が書かれています。
そこで・・・帝国及びドーザ大陸に対してどの施策を取るのが良いかと言う事になります」
「当壁総理、高野大臣、私としては日本に負担なく、ドーザ大陸に民主主義と経済を発展させたいと思っている」
「はい佐野官房長官。私も思いは同じですが、プロセスの問題です。防衛省ではその為の人材もいませんし、各省庁の協力無しには難しいとの結論が出ています」
「高野大臣、その通りだと思う。防衛省だけに任せるにはとても重い仕事となる事は予測できる。
だが、各省庁も人手が不足している筈と思う。のう佐野官房長官」
「私は当壁総理と同様にドーザ大陸にも新しい民主主義国家を作り、それを協力あるいは教育していく事が、日本に発展をもたらす事になると考えます。
その為には各省庁から人手を募り新国家建設に当たらせてはと思います。
この世界では対外国部署はアトラム王国と帝国、その周辺小国や衛星国ですから人員も余裕があります。
どうでしょ、政府機関で国家建設プロジェクトを発足させて、政府や警察、裁判所を作り国家としての機能が動き出すまで日本が支援をすると言う事で宜しいのではと思います」
「高野大臣。儂も日本が統治する事は無理があると思っておる。それに危険だ。防衛も警察も余力は無かろう。幸いスルホン帝国兵士の捕虜もいる事だし民主主義を根付かせて建国の手助けをするのが一番と思うが」
「はいありがとうございます。その方向で内閣での承認と国会説明をお願いしたいのですが、
我々防衛省としては帝国、帝都を崩壊させる事は比較的容易と見ています。下命あればすぐにでも作戦発動できます。
ですが、その先を考えませんと進められないとの考えでした。
さらに報告しますと、皇帝のトルフェイ妃とルミア姫が自衛隊保護下にあります」
「ぶっ后妃と皇女が自衛隊に保護されているのか」
「佐野官房長官、その通りです。どうも奴隷にされる直前に自衛隊に保護され、現在ドフーラに向かっている所です」
「なぜにそんな事に・・まっいいか。してどう使うつもりだ」
「皇帝を説得する切り札として使えると思いますが、日本の方針には合いません。逆に佐野官房長官から外務省に計画を立てさせて頂くと助かります」
「つまり、皇帝や帝国を崩壊させる為に必要はないと言う事なのだな」
「はい、人質とか人聞きが悪すぎます」
「そうだな、国民も納得せんだろう。判った外務省に計画を立てさせるとしよう」佐野官房長官は約束をした。
「それからアトラム王国ですが、南ロータス港を出港し、航路半分まで来ております。順調にいけば、後14日で到着します」
「そうだった。忘れてはいないが到着するのだな。しかも留学団を連れて。佐野官房長官外交文書類の用意はどの様な状態だ」
「当壁総理、外務省は素案を出してきていますが、留学団については文科省の範囲なので調整が必要だと思います」
「既存の法律で対応はできぬものか」
「総理、考えてみます」「佐野官房長官頼むぞ」
「では佐野官房長官。その件も含め、5日後に内閣を招集して方向の承認を、またアトラム王国と帝国についての基本方針策定と帝国については建国プランを各大臣に素案だしを依頼して欲しい。
文科省には特に留学団の受け入れの責任と・・あれだ、魔法学校の創立プランもだ」
「当壁総理、魔法については何処に誰がいるのか、適性が解りません。魔法については各小学校や幼稚園を巡回して頂き、人材をピックアップするのが早いかと思います。都内であれば集められますが地方は地理的問題が大きいのではと思います。習いたいと言ってきても素質が重要らしいので」
「そうか、素質か・・文科省にはそこも含めて素案出しをさせて欲しい」「わかりました」
「そして高野防衛大臣、帝都占領とドーザ大陸輸送網の構築について案だしをお願いする。現在持っているとは思うが、各省庁と建国を前提に作戦建てして欲しい」
「わかりました。例のトルフェイ妃とルミア姫はどうしますか」
「外務省にお願いするとしよう」
「ですが当壁総理。帝国が解体されると一般市民となりますよ」
「うーん。そうだな。帝国に対し効果的な利用方法が無い物か・・もし建国に役立つなら良いのだが」
「防衛省としては外務省に引き渡し出来るならその方向でお願いします。他にもアトラム王国交渉団の護衛も考えなければなりませんし、日本国内のテロリストも警戒しないといけませんし。
一番は帝国を解体するとして治安維持にどれだけ国内から隊を移動できるか考えなければなりません。
ドーザ方面隊だけでは無理だと思うので、警察庁や海上保安庁にも協力を取り付けなければなりません。
それに国内から師団を2つ追加が必要だと試算が出ています。治安維持だけですので、他にあれば更なる追加投入が必要と思われます」
「そうだな、帝国民には奴隷制度と人種差別が根付いているから大変だな」
「その通りと思います。それに民主主義と言うなら健全な選挙が必要です。その監視も含めませんと」
「PKOが必要だと言う事だな」
「はいその通りです」「当然ODAも考えなければならない」
「当壁総理、王国も帝国も自主防衛にどこまで力を貸すかという問題もあります。自衛隊の治安維持は長くしたくありませんし、なるべく自分達で守る方向にしたいと思いますが、他国迄派遣して戦うのかと言う問題もあり、相互安全協定はしばらくお待ち頂きたいと思います。
国内の隊を動かすにも、自衛隊自体人員不足です。今は例えばドラゴンが来襲しても戦える状況を作っていますが、例えばドラゴンが複数・・もし5匹も来たら自衛隊は戦えるのか不安があります。
過去来襲がありましたが、現在は来ていません。防衛省としては「運が良い」と思っており、いつ来襲されても不思議ではありません。いまより国内防衛を薄くする事は実に不安があります」
「そうだった、ドラゴンや大ウミヘビなどがいるのだった。人員増員して防衛するしかないのか・・」
「はいその通りです。ですので帝国兵士達から希望者は訓練を行って治安維持に協力して頂く計画はあるのですが、人数が不足しています」
「そうか・・例えばスルホン帝国の希望者をチロルの森に集めて訓練をして部隊編成をさせるのは如何だ」
「そうですね、可能と思います。潜在的テロを起こす者や差別主義者など不適格者はハイエルフに選択してもらう事が可能なので比較的スムースに進みそうです」
「では防衛省として、そこも考えて欲しい」
「わかりました」
「佐野官房長官も宜しいですか」
「はい、早速各官庁との調整に入ります。5日後ですね。尻を叩かないといけませんな」
「頼むよ。国会に戻ろうか」「はい」
・・・・
この後国会に戻り、佐野官房長官は各大臣及び省庁との調整を始め、高野防衛大臣は自治を主にドーザ大陸の計画を総合的に見直しを実施。各関係省庁との個別打合せを行っている。
日本はスルホン帝国崩壊後の世界を思い描き、その方向での調整を始めていった。
基本路線はドーザ大陸を1つの国または複数の国として民主主義国家の建設。スルホン帝国周辺国(島しょ群)については主権を取り戻し独立かドーザ大陸新国に属するのか方針を決めさせる。
アトラム王国については国交条約を締結し、日本として協力国へとなる事を希望している。
ドーザ大陸に作った日本の直轄地は、当分その機能を維持するとともに、ドーザ大陸発展の為の拠点とする方針である。
また、ハイエルフ等の割譲地については自治権を委譲しており、従来通りハイエルフ自治区として機能させる。
大三角地を含むドーザ大陸東側については日本の直接統治として更なる開発を続け行くことが決議された。
一部の在日各大使より、国として割譲を求められたが魔獣等が闊歩しており大変危険であるとして、米国以外の軍事力を持たない諸国の割譲はしばらく認めない方針である。
米国についてはその軍事力を使う事を前提にドーザ大陸東側地区の北側(未開地)を将来割譲する事にして開発を委託している。
ここに、ドーザ大陸の勢力図が大きく変わる事になる。
ありがとうございます。
急いで次の話を上げたいと思います。
誤字脱字ありましたら報告お願いします。
タイトルだけで8話が投稿を待っていますので早めに仕上げていきます。