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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
110/251

第107話 アトラム王国 留学団設立 その1

第107話を投稿します。

二人の姫様、状況が違いすぎます。

ルミア皇女は如何なのでしょうか。

あっ上の「あらすじ」少し追加しました。

 皇帝の一人娘ルミア皇女はオスプレイの中で目が覚めた。拘束され口も塞がれている。

 昨日はホテルの大きなベッドで寝ていたはずなのに「ここはどこ」と言うが「もぐがぐ」としか聞こえない。

 やがて奴隷達を警護して移送をしている、第7飛行隊と第11普通科連隊第3中隊の一部が乗りこんで警戒している姿が目に入る。異様な姿だ。


 奴隷達の保護は勿論なのだが、第11普通科連隊第3中隊の車両は要塞都市ミルドに置いてオスプレイによるラペリングにより降下したので、一度ミルドに戻り車両をリリコネに運ぶ役目である。


 奴隷達は、ミルドからドフーラに送られ、ドフーラから自衛隊が借り上げた民間機で大三角州に向かい、精神ケアと奴隷紋の完全消去、それに生活できるように仕事を探す事になる。大三角洲には教習所や職業訓練校や職業相談所も開設されている。働き収入を得る事で、税金を払い日本国籍を取得する事も可能である。


 もうすぐミルドに到着する。


 この頃になると、トルフェイ后と副隊長サリエルも目を覚ましている。

「副隊長お目覚めですか」「もぐもぐもぐ」「あっ猿ぐつわしてます。聞くだけ聞いてください」

「もぐおぐだ」解ったようだ。


「お后様もお姫様も目を覚ましています。我々護衛班はサリエル班長はじめ、お后様、お姫様も眠り薬をユリナリスに飲まされ全員ホテルから奴隷市場に連れていかれたそうです。先に馬車改造に行っていた8名も同様に眠らされたとの事です。副長は・・最初に競りにかけられようとしてました。そこに日本軍が急襲してきて、奴隷全員を解放して、この「ひこーき」と言うのに乗せられもうすぐミルドに到着します」

 騎馬兵士は寝ている3人に聞こえる様に頭の近くで大声で伝える。

 

 サリエルは「眠り薬なのか、不覚だ。それにしても皇后と皇女様を奴隷市場で競りにかける等と言語道断。必ず皇帝に報告して断罪してくれよう」と考えている。


 トルフェイ后は「あらまー、大変ね。日本で売られるのでしょうか・・・若くてお金持ちが良いわ、まぁどうしましょ」と考えている。えっ。


 ルミア姫は「ひこーき、なにそれ、わらわも欲しいが、拘束痛い。口に何か貼られている。恥ずかしい。お嫁にいけない、王子様ー」などと考えている。


 皇族に危機感はないのか・・・・


 やがてミルドに作った大型ヘリポートに到着した。隣には短距離用滑走路も見える。輸送機用なのか・・

 要塞都市ミルドはその名の通り帝都の出城として帝都防衛の要の一つであった。第7師団第7偵察隊が交渉を行ったのだが、領主の攻撃に晒されて、第7偵察隊は武力による占拠と治安維持、そして第7師団本拠地をここに作り上げていた。つまり要塞都市ミルドは丸ごと陸上自衛隊第7師団の駐屯地化している。

 領主は拘束され地下牢に幽閉されている。


 一応第7師団本部にて奴隷達の聴取を行う事になっている。簡単な聴取はリリコネでマリアが行っているのだが、長くなるので出身地、名前、奴隷になった経緯などを聞き取りリストにしていた。

 眠っていた者達に聴取は行っていない。

 ハイエルフの「マリア」はリリコネの後始末で戻ってこれない為に、急遽、要塞都市バロッサの第5師団から「ひなた」を空路で送り込んできた。距離は約1000Kmである。


 奴隷達は第7師団本部に連れていかれる。元領主ルキラ伯爵が住んでいたミルドで一番大きな屋敷である。ここを接収して師団本部としているのだ。


 領主の屋敷だけに使用人も多く、そのほとんどは元領主に仕えていたのだか、第7師団が接収した時に「マリア」による全員面接を行い。暗部や帝国に繋がりのある者は全て牢に入れ、純粋に仕事をしてくれる者達を再雇用している。しかも前より給料は良くなった事もあり、皆一生懸命である。優秀な者は日本での研修もできると聞き一層仕事に励んだ。勿論、日本は差別も許さないので潜在的な差別論者は全て追い出した。


 大型ヘリポートからトラックに乗せられて大きな屋敷に連れてこられた奴隷達は恐縮して小さくなっている。トルフェイ后は「あらあら、ミルドのルキラ伯爵お元気かしら」と思う。

 ルミア姫は「まだ来ていないミルド、どんな楽しい事があるのかしら」

 サリエルは「拘束を解かれたら、姫様達をお守りしなければ」と考えている。大丈夫なのか・・


 一行は大型トラック2台に分乗して師団本部に到着していた。

 奴隷達は不安感でキョロキョロして落ち着きがない。


 やがて玄関が開かれ執事達と女中達に本部を警備する自衛隊員が迎える。


「皆さんお疲れさまでした。元奴隷の皆さんは広場に案内します。元帝国兵士のお二人も広場にお願いします。・・さて帝国騎馬隊の皆さんは会議室1にお願いします。抵抗すれば容赦なく排除します。

 トルフェイ后とルミア姫とお付きの女中達は第5会議室にお願いします。

 ・・・忘れていた拘束を解いてくれ」大陸語で第7師団参謀長の守屋1等陸佐が指示をだす。


 師団本部員は拳銃を持ちながら参謀長の指示に従って班別けをして、執事達に連れて行くように言う。

 最初に奴隷達が大広間に集められた。「ひなた」が待っている。

『皆さんお怪我はありませんか、ある方は自衛隊が手当てしますから前に出てください。』

 エルフ達はしゃがみ込み「女神様」と言いながら涙を流す。帝国には「マリア」一人しか来ていないと思っていたエルフ達は「ひなた」を見て、ドーザ大陸はまだ見捨てられていないと思い涙したのだ。

「女神様、ありがとうございます」

「あなた方の仲間は、日本により東の地に大きな街を作り、そこで保護されています。亜種族全員そこに保護されています」

「女神様、私たちも神の国に行けるのですか」獣人の虎族の一人が聞く。

「もちろん、エルフもドワーフも獣人族もみんないますよ、平和に暮らしています」

「有難うございます。女神様」ヒナタは少し照れる。


「では皆さんには、帝国について知っている事をお話ししていただきたく集まっていただきました。お食事と飲み物を用意していますから食べながらで良いのでお話しくださいね。自衛隊員が6名で相手します。それから、エルフの3人は衣装がボロボロですね。用意させますので先に食事してくださいね」


「倉庫地下でも食事頂いて、ここでも食事・・・感激で涙がでる」

「女神様が替えの衣装を用意して頂ける・・・・」エルフはもう泣いている。


「みんな泣かないの。幸せになるのはこれからですよ。私は他の部屋に行くので自衛隊の方々にお話ししてくださいね。噂話でもいいのよ。ではいきますね。あっ元兵士の皆さんも食べてね。みんなも奴隷仲間なんだから仲良くしてね。争いは私が許しません。なんてね」ひなた・・・


 大広場から廊下に出た「ひなた」は次にトルフェイ后とルミア姫とお付きの女中8人の待つ第5会議室に向かった。第1会議室は武装した本部隊員8名で警備している。抵抗は直ぐに排除と命令されている。


「おじゃま」ひなたが第5会議室に入る。女性自衛官4名で警備している。中は女性ばかりだからだ。


「どちら様」トルフェイ皇后が聞く。「ひなた」とぶっきらぼうに答える。ハイエルフは帝国に迫害を受けて山越えした経験があるから、良く思っていない。

「んっお母さま。あまり良く思われていない様です」

「日本に頼まれて・・仕方なくきているだけよ」相変わらず取り付く島がない。

「それは感謝してますが、しつれ・・」「あなた方は日本が保護した帝国皇族ですよ。ある意味捕虜です」

「捕虜・・・」姫は噛みしめる。「捕虜なのですか・・皇帝との取引材料にされるのかな」と姫。


「それは自衛隊次第ですね。私には関係ない」

「あなたは何しに来たの」

「自衛隊に言われてあなた方の頭を覗きに来たのよ」

「・・・・まさか・・・・ハイエルフ!!」

「そうよ。あなた方が絶滅させようとしたハイエルフよ」


「私たちは決して・・・・言い訳しても無駄なようね。焼くなり奴隷にするなり好きにすると良いわ」

「あれ、居直りですか。つまらない」

「ただ私たちも皇帝一族に生まれて、いつかこうなる事を考えた事もあるわ。

 お母さまは違うと思うけど、娘として考えた事があるの。

 帝国はいつまで続くのだろうと、帝国より強い軍が現れて私たちは奴隷に落ちるかもしれないと。いや公開処刑されるのかなと。

 その為に眠れぬ夜もあったのです。

 チロルの森でスルホン帝国が負けて、いよいよ近いと思っていました。

 まさか奴隷市場で自国民に売られるとは思っていませんでしたけど、多分ですが帝国の断末魔の一つだろうと思っています。

 だから断罪されてもいい訳しかできません」


 あれ、お姫様・・実は深く考えている?さっきのお姫様は何処に行った。


「わかったわ、日本は公平で平和な国だから個人の恨みは心に仕舞っておきましょう。つづけます。帝国に関する情報が欲しいだけです。この後の事は日本が決めます。私は協力しているだけ」


「わかりました。私たち皇族は皇帝が中心で仔細を聞く権利が無いの、だからあまり知らないし、状況についてはメイド達から漏れ聞く程度です」


「なるほど、本当らしいですね。なにも知らない・・・そのまま報告しておく。メイド達の奴隷紋は私では取れないからそのままにしておく。ここにいる自衛官が対応するけど王宮の様な対応はしないよ。大人しくしていてね」


「まってひなたさん。チロルの森での出来事は知っています。私にも謝らせてください。皇族として」

「謝ってもらっても・・・今は日本に協力しているので謝るなら日本に協力してください」

「わかりました。でも機会があればハイエルフの皆さんに謝りたい。本心です」

「本心なのはわかったわ。ではね」

 ひなたは部屋を出て行った。


 トルフェイ皇后が聞く「ルミア、そんな事を考えていたの。気づけなくてごめんなさい」

「いいえお母さま、いつかこうなると考えていただけです。いつまでも続かないと・・・」


 ひなたは少し重い気分で、第1会議室に向かう。

「すこし言い過ぎたかな」ひなたはハイエルフの中でも一番若い。でも110歳なのだが・・族長は516歳・・



 ・・・・

 アトラム王国王宮殿では、日本に留学希望する者の選考が始まっていた。

 日本側と交渉して100人の枠を確保して貰った。


「スメタナ王様、提案なのですが」

「富沢臨時交渉団長殿、遠慮なく申してほしい」


「はい、実はアトラム王国から冒険者が日本に行ったことはご存じですよね」

「おお知っている。ロレンシア家のお転婆・・ご令嬢のミソラ妃だな。ちょっと待ってくれ」


「ロレンシア、ロレンシア公爵は居るか」

「おおロレンシア公爵。こちらは知っていると思うが富沢臨時交渉団長殿だ、ミソラの事で話があるそうだ」


「おお富沢臨時交渉団長殿、ミソラの事ですか?うちのお転婆娘は元気ですか」

「初めまして、ロレンシア公爵。ミソラさん達は日本に協力頂いて日本の西の方を中心に(東北)冒険話を聞かせてくださり、大災害にあった子供たちに夢と元気を分けて下さりましたよ」

「日本のお役に立ってるのですね。ありがとうございます」


「はい、私の情報は少し古い物ですが、ミソラさん達は冒険者船団と別れ、日本を冒険旅行しております」

「富沢殿、それは知っておる。許可したのも送り出したのも儂だからな。ただ船団だけ戻って来てがっかりしておったのだよ。のうロレンシア公爵」

「はいスメタナ王、戻ってくるとばかり思って、婚礼を用意していたのですが・・・あいつめ」


「ははは、どの国でも父親は苦労しますね。同じです。私にも今年30になる娘がいます」

「はは、富沢殿も苦労していると思われる。ははは」スメタナ王もソフィア王女で苦労している様だ。


「はい、そのミソラさん達冒険者が各地で講演をして頂いて、日本の子供達に魔法がブームになっています。

 なにしろ実演して子供たちの目の前で不思議な事が沢山見れました。ネットで動画にもなっています。

 そこで子供達も魔法が使えるのではないかと、いろいろと・・」


「ネットと言う物は知らないが、魔法か、それは女神教の教会でミサをすると牧師が魔素を見て適性を判断し、後日王立魔法学校から招待が来るぞ。

 たしか3年間は国立魔術学園で修業しなければならないが。それが?」


「ええ、スメタナ王様、日本でも魔法が使える者がいないか見て頂きたいと思います、学者もこちらに来て魔法などの研究をしていますが、子供達なら本当に使えるのではないかと」


「なんだ簡単な事だよ。牧師と学園の教師を連れて行けば使える子を見つける事は容易で教える事もできる」

「はい、ありがとうございます。そのご手配頂けたら日本政府もより一層の感謝ができると思います」

「わかった。儂の権限で手配するぞ。任せてくれ。どうせ儂も行くのだからな」


「富沢殿、ミソラ達は今どこで何をしているのか教えてくださいませんか」やはりロレンシア公爵は親である。

「はい、知っている限りですが、日本の半分を歩いて冒険し、北海道と言う所からドーザ大陸に渡りました」

「帝国の・・・」ロレンシア公爵は絶句する。


「ええ、日本がドーザ大陸東側に作った宗谷特別自治区と言う日本の領土があります。そこに向かいハイエルフの村に挨拶をしています」

「女神様に挨拶・・・・」ロレンシア公爵は言葉が出ない。スメタナ王も驚いている。

「それから南下しまして、ドーザ大陸南の港町ドルステインに向かうと聞いています」

「敵国ではないか・・・」


「ロレンシア公爵大丈夫です。今ゾーマ・ラシアス城塞都市ソミリア伯爵と日本は協定を結び、実はラシアス領港町ドルステインには日本の艦隊が母港としています」

「えっっっ帝国領の一部を占領したと申すのか」


「スメタナ王、正確には海上自衛隊艦隊が港町を母港として借り上げていると言う事です。それだけソミリア伯爵との関係ができていると言うお話です」

「日本は凄い事をする。のうロレンシア公爵。そなたの娘も日本とアトラム王国の懸け橋となってくれている。自慢して良い事だぞ」「はあ、スメタナ王。出れば婚礼・・・・えーい諦めた」


「ははは、お転婆娘で名が通っていたが、凄い事だな。儂も送り出して鼻が高い」

「スメタナ王。少しだけ恨みますぞ。はははは」


「あはは、いやそなたの娘は、ロレンシア公爵家の自慢となろう。文句はなかろう」

「スメタナ王のお役に陰ながら貢献できている事、ロレンシア公爵家としては認めざるを得ない事です。

 しかたありません」


「そうだ、これだけアトラム王国にそなたの娘が貢献しているのだ。儂が日本に行き戻れば受爵を考えよう」

「王よ・・・結婚させない気ですね。仕方ありません」

「もっと喜べ、ロレンシア公爵家に貴族が増えるのだぞ。ロレンシア家は安泰だろうが」

「はーー」ロレンシア公爵はため息しか出ない。

「わかった、わかった。フォン・アルトハイム・ロレンシア公爵。王家から正式に魔道通信具をミソラに授け、受爵も行う。これで良いか。いつでも会話できるぞ」


「わかりました。スメタナ王。長男ロバートが王立上級学園を卒業しましたら王家家臣団に加えてください。さすれば家名をロバートに渡す事ができ、長女のミソラは受爵して側面からロレンシア公爵家を支える事が出来ます。不本意ですが」

「わかったロバートの成績と試験の結果次第だが、合格したならば家臣団に入れる事を約束しよう。これで良いか」

「納得しました」

 あれ、なんか王様相手にロレンシア公爵ずるくないか。


「さて、日本に行く者のリストに女神教牧師と王立魔法学園の教師を加えるか。ところで富沢殿、王立騎士学園の教官は要らぬのか。剣術ができるぞ。ロレンシア家のロレンシア流には敵わないが、正統派のオーマス流の教官は強いぞ。国技だからな」

「はいスメタナ王様、日本の剣は独特に進化いたしまして、「日本刀」と言います。日本も150年以上昔には剣を持ち歩き戦闘行為を行っていた歴史があります。違う剣種の流派は参考になります」


「そうかそうか、では連れていく事にしよう」

「ええ、本国からは留学者全員の宿泊等の滞在と勉強は認められています。できるだけ役立つ人物をお選びください」

「わかっておる。儂も楽しみだ。王族全員で行こうと思う」

「・・あっはい・・」思ったより大掛かりになる事に富沢は少しだけ心配してしまった。


「ロレンシア公爵、儂が留守の間、3公爵家で宰相と話し合いしながら進めて欲しい。頼んだぞ」

「はい、フルトハイム・デ・スメタナ王、心得ております。タイラグ宰相と3公爵家により王の代理を務めさせていただきます」「うむ」


 ・・・・

 慌ただしく時は過ぎ、アトラム王国から日本留学団と王家が出発する時を迎えた。

 南ロータス港には100人を超える留学団を見送る人々が溢れ、別れを惜しんでいる。


 王都ブリシアシティーの王宮中央広場では王家が家臣との別れをしている。

「皆の者行ってまいる。儂が不在の間はタイラグ宰相と3公爵家にて策を決め元老院に策を提案して欲しい。

 大きな問題は魔道通信で呼び出してほしい。良いな」


「はい、3公爵家を代表してフォン・アルトハイム・ロレンシア、国民に幸せをアトラム王国に繁栄をお約束します。国王も日本を見て頂いて国の繁栄に寄与できるものは積極的に政策に反映をお願いいたします。勿論大きな問題があれば宰相を通じてご判断をお伺いする事もあるやもしれませんが、極力邪魔にならぬ様にいたします」


「タイラグ、そなた達がいれば心強い。行ってまいるぞ」

「はいスメタナ王。心置きなく漫遊頂ければ必ずや国力に返りましょう。お気をつけて」


「おっスメタナ王。「いせ」からお迎えが参りました。ご準備をお願いします」

 遠くから海上自衛隊MCH-101が飛んで来た。

「皆さん風が強くなりますので気を付けてください」海上自衛隊士官が大声で叫ぶ。


「妃よお付きの者と一緒に行ってくれ」「王様は何処に」「儂はハイラムで「いせ」とやらに行こうと思う」「はいお気をつけて」王妃スフィーナは慣れている様だ。

 大型輸送ヘリのMCH-101が王宮中央広場に着陸して、王族と牧師、教師、教官と家臣団の一部、そして執事にメイドが乗りこむ。結構な人数である。


 大型ヘリはスメタナ王以外の搭乗者を確認して飛び立つ。

 みるみる見送る人々が小さくなっていく。「まぁ凄い。日本わくわくだわ」「ソフィア王女、はしたないですよ」王妃は窘めるが王女のわくわくは止まらないらしい。


「ハイラム」スメタナ王が呼ぶと大型国王専用ワイバーンが飛んで、王宮広場に着地する。

「ハイラム、共に日本に行こうぞ」「ワギャー」ハイラムは飛び立ちMCH-101を追いかける。

「スメタナ王。お気をつけて」皆は見えなくなるまで見送っている。


 南ロータス港からアトラム王国第1艦隊に乗りこんだ日本留学団がまだ手を振っているのが見えた。

 王たちは「いせ」に作った応接室に通され王国第1艦隊と共に日本に向かう事になっていた。

 日本交渉第2艦隊はその役目を終えて帰投するだけであったので、旗艦「いせ」に王を乗せて日本に帰る事になるのは必然であった。


 アトラム王国第1艦隊が出港したアトラム王国を守るために、日本交渉第1艦隊の旗艦「かが」を中心とする8艦と10隻の潜水艦隊、補給艦2隻が残る。


 一方日本に帰る第2交渉艦隊は「いせ」を旗艦とする12艦に補給艦2隻に役目を終えたDDG-179「まや」、DDG-180「はぐろ」が随行し、アトラム王国第1艦隊半数以上の200隻に石炭や食料を運ぶ王国補給船が約100隻の大船団を組んで西へ日本へ向かっている。


 なお、ハイラムは「いせ」の飛行甲板端に駐機して、時々スメタナ王を乗せて艦隊上空を飛び回っている。

 たまに、王国旗艦「スターシア三世」に降り、ワイバーンに餌を与えている。


 本来の王国第1艦隊旗艦「コルグ・スメタナ」は日本に向けてアトラム王国使節団を乗せて行っているので、予備の旗艦三番艦「スターシア三世」を出してきたのだ。「スターシア三世」はコルグ・スメタナ級の3番艦で、日本に沈められた「エコーリア2世」より最新艦である。なお、アトラム王国最新の全通甲板を持つワイバーン空母も第2艦隊に随行して日本に沈められてしまっている。


 勿論、王国第1艦隊の残りはアトラム王国使節団と共に現在は日本に駐留している。日本にてアトラム王国第1艦隊は集結し、条約締結後には、使節団と王族と捕虜になっている王国第2艦隊の水兵を王国に連れて帰る予定である。日本も多分護衛を付けると思うが。


 大船団はアトラム王国艦隊に速度を合わせて、時速16ノットで大海を航海中である。

「気持ちいいわね。この広い甲板も素敵」ソフィア王女は初めての航海にわくわくしすぎて眠れない。

「王女様、夜の海は危険ですからお部屋にお戻りください」とお付きのメイドが催促する。

「あと少し見させて。こんな経験できませんから、少しでも見て聞いて覚えておきたいの」


「王女も眠れぬか」「お父様」

「儂もさんざん船で帝国とやりあったが、こんな清潔で揺れない船は初めてだ。興奮して眠れん」


「お父様。アトラム王国の船は不潔で揺れるのですか」

「姫よ、そうなのだ。外から見ても解らぬが、アトラム王国の船と大きく違う。日本艦艇に乗せてもらって心から良かったと思っておる」


「そうなのですね。日本の技術は凄いのですね」

「そうだ、儂も学び国の発展に尽力したと思っている。こんな揺れない船が作れるようになれば、アトラム王国と日本の間に航路が開設できるであろう」


「でもお父様、海には魔物が住むと言います。魔物が現れ沈められてしまうのは悲しいです」

「そうだな、知っている限り「大ウミヘビ」や「ドラゴン」も飛んでくるであろう。あっ」

「どうしましたお父様」


「ドラゴン・・・連れてくればよかった」「まぁ、お父様自慢のドラゴンを忘れたのですか。あらま」

「ハイラムと日本に行けるのが楽しみで、「ドラクン」をすっかり忘れてしまった。まっ秘密兵器だから良いか」「あれを、お父様は見せびらかしたかったのですね。うふ」「言うな」


「うふふ、お父様、お母様と一緒に日本に行けて、ソフィアは幸せです」

「ソフィア、日本は凄い所だと聞いている。幸せは日本に着くまで取っておいてくれ」

「お父様ったら」「さっ、もう寝よう。日本の水兵に無様な姿は王族として見せたくないからな」

「はい、お父様。戻りましょう」

ありがとうございます。

スメタナ王のドラゴン「ドラクン」見てみたいです。

いつか見る事ができるのでしょうか。楽しみです。

誤字脱字有難うございます。本当に感謝です。これも9000文字以上・・この小説どんどん長くなっています。「はー」ため息。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] スメタナ王一行を日本にお連れするなら、海自の護衛艦ではなく、陸自の輸送船「はくおう」の方が適任だと思います。 はくおうなら、スィートルームやデラックスルーム等、賓客対応ができる自衛隊唯…
[一言] 更新お疲れ様です。 思った以上にまともというか、普通の感性だった皇妃&皇女・・・・(^^;; まあ、作中の彼女たちの話から察するに、国政には関与していなさそうで、貴族の婦人&令嬢との交流が…
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