第105話 アトラム王国インフラ建設 その2
第105話を投稿します。
捕らえた商人達からいろいろ聞けます。
アトラム王国の真の姿が露わになります。
ハイエルフ様は神様です。本人は使徒と言ってますが・・
「うふ、人を化け物の様に言わないでくださいね。ユリナリスさん」マリアは笑いながら言う。
「なっ頼む。この化け物を近づけないでくれ」と染谷にお願いするが、無視された。
「マリアさん、眠り薬で眠らされている者達の思念は読み取れますか」
「それは無理なの。夢と現実が現れるのでどちらが現実で真実なのか判らないのよ。そ・れ・に・少し間違うと、一生起きなくなるから止めておきましょう」
「わかりましたマリアさん、では、隣の倉庫地下に客と思われる集団を捕らえていますが、ご協力して頂けますか」
「はい、少し回復してきたら、やりますよ」
「では、本部に食料と飲み物がありますので休憩してください」
「ありがとう」
マリアは拘束されている者達を無視して外に歩き出す。
染谷はチロルの森駐屯地での打ち合わせの時、黒いスズキのVストローム650XTでハイエルフの里から来たマリアを見ていた。その時は逃げて来たエルフ達の奴隷紋を消す為に来ていたのだが、黒のジャンプスーツで650に跨り走り抜けていくマリアを見て。外国のモデルとも違う何かを感じていた。
しばらくして、検問所から応援の第11普通科連隊第4中隊が22式装輪装甲車と幌付き特大型トラックで到着して来た。
「第7偵察隊の野田だ、ここにいる者は全てミルドに運んで欲しい。最初は奴隷達を東門郊外に待機しているオスプレイまで運んで欲しい。後は中で眠っている者達も奴隷らしいのでお願いする」「寝ている者達は22式装輪装甲車での移送になります」「任せる」「了解」
続いて拘束した悪党を載せて大型トラックが3台と護衛の22式装輪装甲車2台が出発する。
奴隷を買いに来た商人達は調査本部でマリアによる尋問を開始した。
「さて、しゃべって下さると私の精神力が減らなくて済みますので、おしゃべりしてくれるかな。うふ」
「ハイエルフなのか・・儂はハリタの商人ユリテスだ、領主ユシリスに依頼されてエルフを買いに来た」
「まぁ、領主からですか、いけない領主ですね」
・・
「偵察隊本部、染谷だ、第3戦闘偵察小隊の位置を知らせて欲しい。送れ」
「副隊長、感度良好。第3戦闘偵察小隊と斥候小隊は現在小規模要塞都市ハリタ東門にて交渉を開始しています。送れ」
「了解、拘束した商人からハリタ領主ユリシスに依頼され奴隷を買いに来たと聞いた。真偽を確かめ、他にも奴隷がいれば解放して欲しいと連絡。送れ」
「本部了解、隊長に確認します。待て」
・・・・
「野田だ、内容了解、交渉隊に交戦裁量権を委譲する。染谷3等陸佐もそれで良いか。送れ」
「野田隊長お願いします。調査本部以上」
「偵察隊本部了解した、引き続き情報収集をして欲しい。本部以上」
奴隷市場倉庫に作られた調査本部は、その地下に商人達を集め待機させ、一人一人を調査本部で取り調べしていた。
「次を連れてきてほしい」
聞き終わった商人は裁判の為に大型トラックに載せられ待機している。
マリアは次々と尋問し、答えない者は頭の中を見て報告する。ミルクティーを飲みながら尋問する華麗なマリアに誰もがくぎ付けになり、素直に答える。
ただし、一人だけ素直でない者がいる。
「あらま、帝都の大商会アリマスナリムの番頭サリスネさんですね」「はっハイエルフなのか」
「素直でない子はお仕置きよ。さてと、宰相?また宰相から依頼で、逃走資金の貯蔵を担当していたのね。で奴隷代金の20%を持って帰る、ついでに良い奴隷がいれば買って帰り転売すると言う事かしら。悪い子。
頭の中焼いてしまおうかしら、うふ」
「たったったのむ、それだけは止めてくれ。なにでも言う、何でもする」
「あらま、悪党でも怖いの?そうねいろいろ聞かせてくれるなら考えても良いわよ」
染谷はやり取りを見ながら笑っている。「鬼女って本当にいるのだな」と思っている。
マリアは笑いながら染谷を見た。「まずい」と思ったが諦めた。
「さて、いろいろ聞きたいわ、しゃべってくれるのよね」
「はい、なっなんでも言います」
「宰相は何をしたいの?」
「詳しくは解りませんが、逃走資金を集めています。どこに逃げるのかはわかりません」
「宰相の事を教えて下さる」
「知っている限りですが、宰相は皇帝と同郷で、幼いころから皇帝の面倒を見て来たと聞いています。
皇帝がミルダ島の領主に就任してから左腕として裏と表をそれからずーと支えたと聞いています。
皇帝が計画的に大型船を建造させ入り江に隠して、50隻になった時に隣の島を攻撃し、領民の前で領主を惨殺して領民全員を戦闘兵にして次々と島を占領していったと聞きます。
その後、ドーザ大陸西側の島々を次々に占領して島民を全て戦闘兵にして、ついに「スルホン島しょ連合」を作り、ルミナス王朝との直接交渉を行い、海軍力の乏しいルミナス王朝艦隊を撃破してドーザ大陸西側から上陸、次々と街を占領して行って今の帝都、当時のルミナスシティーに宰相が交渉して領民と王族の安全を保障したのです。宰相は平和協定と言い王族をルミナスシティーに近いソミリア街に呼び寄せ、皇帝との調印をさせました。その時に王族一族を惨殺して「交渉相手が死んだから条約は無効になった」と宰相が宣言して帝都に攻め込み、今があると聞きます。
皇帝を裏で操っているのがサイネグ宰相で皇帝の遠縁だと聞いています。帝国ができた時に公爵を受爵したと」
「それは解ったけど、宰相は今何をしたいの」
「それは良く判らないですが、我々がしたのは、ツール要塞港に大型民間船を用意。逃走資金を用意。護衛用の人員確保程度で、何をするのかはわかりません」
「それだけ聞けば逃げる気満々ね。ありがとう、次の方宜しいかしら」
「第101特殊普通科連隊本部、こちら第7偵察隊染谷、送れ」
「第101特殊普通科連隊本部です、感度良好、染谷副隊長ですね、送れ」
「命令系統が違うのだが協力して欲しい。リリコネで捕らえた商人に帝都のアリマスナリムの番頭サリスネがいた。彼が言うにはアリマスナリム商会は宰相逃走の手助けをしているとの事、できる限り調査をお願いしたい。送れ」
「第101特殊普通科連隊本部了解。こちらの調査でもアリマスナリム商会は不審な動きをしているとの事、現在調査対象にしています。依頼により厳重調査対象に上げます。送れ」
「第7偵察隊染谷了解、帝都に不穏な動きが多数あるらしい、調査頼んだぞ。染谷以上」
「了解、商会付近と商会倉庫に監視カメラと音響マイクを設置監視します。第101特殊普通科連隊本部以上」
「マリアさん体調は大丈夫ですか、のこり10名程度ですが」
「うふ、染谷さんお優しいのね、まだ大丈夫ですよ。早く終わらせましょう。「鬼女」って誰の事なの?」
「うっっっではお願いしますが、疲れてきたらいつでも言ってください。おい次だ」
商人達は意外と素直にしゃべり、裏も取れつつある。
商人は帝国の各街から来ており、連絡はエルフの魔道通信によるらしい。と言う事は商会にも奴隷エルフがいる事になる。全てを救出できる物なのか。何か策はあるのか。
奴隷や逮捕者をミルドに護送する。特にユリナリスとミサイアは舌を噛み切らない様に小さなタオルを口に詰めてガムテープで塞いでいる。第11普通科連隊第4中隊が使用する22式装輪装甲車に乗せられ、周りを隊員に囲まれて運ばれていった。
リリコネ東門の外5Kmに待機していたオスプレイ4機に次々とリリコネから元奴隷達が連れてこられていた。
帝国騎馬隊員も奴隷と言う事で一緒である。
特に眠らされている女たちと騎馬隊副長も目が覚めて暴れられると困るので拘束したまま担架に乗せられている。
奴隷達は初めて空を飛んでいる事に驚き、しきりに窓から外を眺めている。まるで空を飛んだ自慢話を組み立てるように、なにも見逃さない覚悟でみている。それだけ刺激的な光景である。
第7偵察隊は全ての見分と尋問を終えると、ユリナリス商会倉庫の完全封鎖をしてリリコネ倉庫街の第101特殊普通科連隊第3小隊本部に来ていた。
ユリナリス商会倉庫は見分を終えたのちに閉鎖して第7師団第7偵察隊第1戦闘偵察小隊に倉庫封鎖を任せた。
倉庫前に22式装輪装甲車が6台に90式戦車2台が止まり警戒している。他の倉庫の用心棒達も倉庫に篭り、外に出ない。リリコネの各商会も物流が止まり倉庫街はひっそりしている。
第7師団第7偵察隊第2戦闘偵察小隊と第11普通科連隊第3中隊はリリコネ市内にあるユリナリス商会本店を封鎖している。商店の前に戦車を止め通り過ぎる市民達は遠巻きにその様子を見ている。
昨日の騒音と鉄馬車の疾走に空飛ぶ機械、そして目の前の大砲が付いた鉄馬車。もう何があってもリリコネ街の住人は驚かない。
やがてリリコネ通商会議にも連絡が入り、代表のユリナリスが暴力団ミルタ団の会長兼ユリナリス商会会頭だと聞き、自分達の見る目が無い事を嘆いていた。
だが、日本の自衛隊に事実を確認しようと連絡を取る。
「後日説明をする」との連絡を受け通商会議は延期となった。
染谷は第101特殊普通科連隊第3小隊本部の倉庫を見ると「ここは使えそうだ」と言い、帝都本部はどういう状態だと聞く、「はい旧家を買い取り本部にしています」とアルタは答える。
「良い拠点となりそうだ」「有難うございます」
「さてとアルタ準陸尉、今後のリリコネなのだが、中枢に食い込んでくれるとありがたいと思う」
「染谷3等陸佐殿、どの様な意図ですか」
「うむ、今回の事で帝都周辺都市の腐敗が進んでいる事がわかった。そこで、日本がどうするかは別に統治するにしても自治権を渡すにしても、上が腐っていると碌な事にならんと思う。そこでリリコネの通商会議メンバーまでになり、リリコネ全体を良い方向に導いて欲しいと思っている」
「それは難題ですね。一朝一夕に叶う物ではありません」
「それはそうだ。だから第101特殊普通科連隊第3小隊は商人として成績を伸ばして食い込んで欲しい」
「うーん難しい作戦ですね」
「例えばだ、日本から何かを輸入して売り出すとかは如何なんだ」
「それなら行けると思いますが、輸送体制は大丈夫なのですか」
「そうだな、リリコネについてはこの状況だからミルド同様に治安を我々で行おうと言う考えだ。それに帝国の崩壊も近い。そうなれば今以上に治安が乱れる。それを阻止したい」
「その為の通商会議参加ですね。目的は解りました。やってみます」
第7偵察隊はリリコネの治安を第11普通科連隊第3中隊に引き継ぎ、更に西に向かい進軍していく。
・・・・・・・・
アトラム王国は南ロータス港から王都までの通商道路を完成させていた。
車幅は1車線3m以上で、16式機動戦闘車や22式装輪装甲車、23式偵察警戒車などの戦闘車両や大型トレーラーや特大型トラックなどが速度60Km以上で余裕に走る事ができる道路が完成し、その両サイドは低速車両用の車線、さらにその両サイドは徒歩者用の歩道を完成させていた。道路横断は地下に横断路を3Km毎に設置している。因みに車両は左側通行である。
アトラム王国によって魔獣除け魔法を組み込んだ魔石を一定距離で埋め込んで動物や魔物が道路に飛び出さない工夫がなされていた。
ここはアトラム王国王都ブリシアシティーの王城。
港貫通道路完成パーティーが日本政府主催で開かれている。
「富沢臨時交渉団長様、お久しぶりです。貴国の建設と言うのですか、凄い早く驚いていますわ」
「いや王妃スフィーナ様、アトラム王国が日本を認めてくださった結果です。日本政府は全力でアトラム王国を応援させて頂きます」
「いえいえ、神の国と言う噂は本当だったと思います」
「日本に神は沢山いますが、作ったのは自衛隊員です。あそこに並んでいますから後でも褒めてあげてください。喜ぶと思います」
「ええ、日本は技術力もケーキの様な芸術品も非のつけようがない程です。これが神の国でなくてなんと言うのでしょ」
「王妃ありがとうございます。ここだけにして欲しいのですが、日本はアトラム王国民が「女神様」と呼んでいるハイエルフの皆さまとも良い関係を築いています。いつかお連れしたいですね」
「えっっっ」王妃は息をのんだまま止まってしまった。
「お気に障りましたか」富沢はおろおろする。
「いまハイエルフ様とおっしゃいましたか」
「はい、そう申しました」
「なぜそれを早く言わないのですか」
「はぁ、日本としても秘密でしたもので。先日、相互安全協定が結ばれた事で、言う事ができたのです」
「えっ女神様と協定迄結んだのですか」「はい」
「陛下陛下」「どうした王妃よ、普段沈着冷静な王妃らしくない」
「陛下聞いてください。これが落ち着いていられません」
「スフィーナよ、深呼吸してから教えて欲しい、そなたが取り乱した理由を」
「ふぅ・・。大丈夫です。陛下日本はハイエルフ様と協定を結んだそうです。相互平和協定との事です」
「なに・・・・それは本当かスフィーナ。本当だとすれば日本は自衛隊は神の軍隊だぞ」
「本当です、富沢臨時団長様よりお伺いしました」
・・・・
「富沢団長、妻からハイエルフ様と協定を結んだと聞いた本当なのか」
「はい国王閣下、事実でございます」
「ほっ他には何か協定や条約は結んだのか」
「はい他には相互活動協定で日本に協力頂けるかわりに報酬と地位と自治権を結びました。一帯はハイエルフの国となります」
「そっそれは本当なのか」
「はい、ハイエルフ様との最初の接触で我々も排除されかかったのですが、ハイエルフ天敵の魔獣討伐を自衛隊が行い信頼関係が築けました。それから何かと日本に協力頂いており、ハイエルフのお嬢さん達も日本の大学で勉強したり、日本国民の憧れになったりしています。日本にとってハイエルフさん達は身近な存在です」
「なっなっなんと。日本に留学もしているのか」「はい」
「そっそれを早く言ってくれ」
「すいません。諸外国には秘密にしておりまして、それはご存じと思いますがハイエルフさん達は帝国から迫害を受けていたので公表する訳にはいかなかったのです。ご高察頂ければありがたいです」
「うむ、解る。わかりすぎる程だ」
・・・・
「我が国の歴史を語って良いか、富沢殿」
「ええ、時間はありますからお願いします」
「一部の日本の学者には説明しているが、おとぎ話も含まれているから信じてもらえないと思っていた」
「大丈夫です。我々交渉団は交渉相手の国の情報はできる限り欲しています。それがおとぎ話でも何かヒントがつかめると思います。そうでなくても考え方とかいろいろ解ります。宜しければ座ってお話聞かせて頂ければありがたいと思います」
・・・・
スメタナ王とスフィーナ王妃に富沢が喧噪を抜けて応接に入った。
「さようか。我々の恥の歴史である。国民は知っているのだが、さわりだけだ。真実は王家にしか伝わっておらない。それは王家の恥、女神教会の恥だからだ」
「ええ覚悟して聞き、日本政府以外他言しない事を誓います」
スメタナ王は富沢にアトラム王国の恥について、ハイエルフに対し何をしたか話し出した。
「話は前後してしまうが、大昔の話だ。
昔と言っても約1000年前、アトラム王国は女神様のご加護で建国し、儂の先祖が初代国王となり平和に土地を治めていた。女神教は本人がいる事で国民に強く根付いていった。当時はアトラム王国は小さな町の様な物で、各地に豪族の街が点在し争っていた。それがたまに戦争に発展したのだが、アトラム王国は女神様が相手を説得して戦いを行わずに大きく領地を拡大。各街の領主は当時の豪族がそのまま領主として統治している。アトラム王国はある意味連邦国家なのだ。その中心は女神様を崇める女神教でまとまっていた。
今から400年前には全ての大陸を女神教で統一できたのだよ。勿論ドーザ大陸もルミナス王朝が元々女神信仰で協力体制を取っていたのだが・・50年前に帝国が現れ覇権主義を掲げ、ドーザ大陸を支配してしまったのだ。
ここまでは知っていると思うが、問題はこの先だ」
「ええ、私も聞いています」
「そうか富沢団長も聞き及んでいるのだな。
ここまでが国民も知っている事実であり隠してもおらない。
ではなぜ、このアーリア大陸とアトラス大陸にサービウエル島。ここにハイエルフ様が居ない事を不思議に思わないか。女神教の本山であるサービウエル島中央の女神教大教会も偶像があるだけ。
これは儂ら王族と女神教会か悪いのだよ。
400年前、当時の王族は女神様、つまりハイエルフ様のお力で大陸統一を果たし、大国を作る事に成功し、女神教を全国に伝える事で、国民たちの信仰を女神教会が受け持っていた。
ある日の事、強大な組織となった女神教教会は御触れを出して、朝晩2回女神様にお祈りを強要し始め、次にお布施の額により加護が与えられると始めてしまったのだ。王族は急いで辞めさせようとしたのだが、全国組織にまでなった女神教会に権力が発生してしまい。自分達の思う通りに信者達から搾取を始めた。
しかも王族の一部を取り込み私腹を増やす手伝いをさせていたとの事実。
本物の女神様はお怒りになり、「人間は愚かだ」と結論を出してしまわれた。
当時ハイエルフ様はここ王都の東にある山脈に20人程の村を作り自給自足の生活をしていたから、お布施など要らない。供物もいらない。と全てを拒否された。
そこで女神教の牧師達はそれでも女神様は偉大だと言う伝えを各地の女神教教会で広め、サービウエル島に大神殿を作らせ、ここにお参りする事で「しあわせ」になれると、意味のない事を始めてしまったのだよ。
しばらくその状態が続き、ハイエルフの村にも巡礼が訪れる様になって、全てを把握したハイエルフの皆さんはサービウエル島の大神殿に出向き、神官達の脳を焼き、ここは穢れていると禁忌地区に指定されて、その後ハイエルフの皆さんはどこかに旅立たれてしまいました。
今でも大教会には呪いがかけられ、近づくだけで吐き気がして動けなくなってしまいます。
そんなハイエルフ様が見捨てた国なのですが、女神教は原理に戻って俗欲のない、祈るだけの宗教に戻りました。言いたくないのですが、我々は女神教を崇めているのですが、元々女神様に見捨てられた国なのです」
「良く判りました。つまり先にハイエルフが日本に協力している事実があればアトラム王国との全ての戦闘は無かったと言いたいのですね」
「はいその通りです」
「スメタナ王様、それは無理です。初めて会う相手に戦闘しかける帝国を相手にしているアトラム王国ですから、最前線の兵士達はそんな余裕はありません。アトラム王国と良い関係を築けた今だからわかる事です」
「富沢殿貴殿の言う通りだな、焦って意味のない事を言ってしまった。許してくれ」
「いえスメタナ王様、兵士達の命を守るための発言。聞かなかった事にします。アトラム王国兵士達に黙とうを捧げます」
「そうか、ありがとう。儂の失策で敵と思い、戦闘に突入した事は謝る。無駄に兵士達を死なせてしまった。もっと情報を得ていればと未だに後悔している。全ては儂の責任なのだ」
「ああ、スメタナ王様、第2艦隊の事をおっしゃられていると思いますが、一部の捕虜は日本で農業や工業に流通などを学んでいますよ。実は帝国で捕虜を返還した際、全て捕らえられ奴隷にされてしまったので、スメタナ王のお考えを聞いてからと思いまして、今まで内緒にさせて頂きました」
「なに、一部のアトラム王国兵士は生きて、日本で勉強までしているのか、、、ありがたい」
国王は感激と全員死亡で無い事を感謝して涙した。
「失礼でしたが、これで日本からアトラム王国兵士を連れ帰り返還交渉できます。私もほっとしています」
「ありがとう富沢殿。本当に感謝する。ありがとう」
王は深く礼をしている。
王妃スフィーナの目にも涙が滲んでいる。
「儂は決めた。ソフィア王女はいるか。呼んでまいれ」王室付きメイドが礼をして出ていく。
「のう、富沢殿、日本は何も見返りを先に求めず、我が国の発展を手伝ってくださった。お願いついでに頼まれてくれまいか」
「はいスメタナ王様、どの様な内容でしょうか」
「うむ、先ほども言ったが我々の先祖は調子に乗って、やってはいけない事を女神様にしてしまった。
そこで、信頼関係は今マイナスだと思っている。だからこそなのだが、ソフィア王女を日本に留学させてくれないか、またアトラム王国の優秀な人材も含めてなのだが」
「えっそれはまた急なお話ですね」
「ええ、将来的にはハイエルフの皆さんに「謝りたい」との意味も含んでいる。儂の世代は無くソフィア王女の世代には女神様と仲良くできたらと思っている。頼まれてはくれまいか」
「スメタナ王様、一存では無理ですが本国に打診してみます」
「おおそうか、国交個別条約がなされた今、儂は王女を連れて日本に行くぞ。正式国交条約を結ぼうではないか。女神に祝福された国に行けるのが楽しみじゃ」
「王様、なりませぬ」「なんだスフィーナ王妃」「スメタナ王それはダメです。条約がではなく、帝国と戦闘している現状では最高司令官がいない状況はダメだと申し上げています」
「そうだな、困ったな」
「スメタナ王様、帝国艦隊の事を仰っていますか?」
「その通りだ富沢殿、いや交渉大使殿。戦闘が起きた時に最高司令官は儂なのだ」
「うーん、すこし早いですが良いでしょ」
「何かあるのか富沢殿」
「えーとアトラム王国軍の司令官も集めて頂けると良いのですが」
「そうかパーティーに皆参加しておるぞ」
「そうですか、では戻りましょうか」
王と富沢達はパーティー会場に戻る。途中で呼ばれたソフィア王女も合流して、今までいた会場に戻る。
スメタナ王は壇上に登り、挨拶を大きくする。
「忠誠なるアトラム王国民並びに騎士たちよ、本日は日本国による南ロータス港と王都間の大きな街道完成の記念祝賀会なのであるが、富沢臨時交渉団団長より皆に報告があるそうだ。聞いてくれ」
「先ほど挨拶させて頂いた日本国交渉団臨時団長の富沢です。高い所から失礼します。
道路を短期間に完成させ、物流を開始させた陸上自衛隊第8師団第8施設隊の皆さん、そして施設隊を守り魔獣討伐を積極的に行って頂いた第42即応機動連隊の皆さん、また2万キロもの航海を無事に我々を運んできて頂いた海上自衛隊第1海上補給隊の皆さんに「おおすみ」の皆さん感謝申し上げます。
日本のODAについては一歩が完成した所です。これからアトラム王国民を巻き込んで2歩目3歩目と進み続けたいと思います。
親切にして頂いたアトラム王国国民の皆様にも協力頂けてありがとうございます。
この良き日になぜ、日本国交渉団臨時団長が挨拶するのか不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
単純に言えば団長の唐沢交渉団長が不在なので副団長の富沢が代理を務めております。
唐沢はパーティーが苦手で逃げ出した。・・・(笑い声)・・・と言う訳ではありません。
アトラム王国から遠く離れているので、ここに間に合わなかったと言う訳です。
どこにいるかは機密なので言えません。(ざわざわ)
一言で結果をお伝えします。(おぉぉ)
帝国第1艦隊と第2艦隊は全滅しました。1週間前です。(おぉぉぉ)」
「とっ富沢臨時団長、何と言ったのだ」王が慌てて聞き返す。
「はい、もう一度言います。帝国第1艦隊、帝国第2艦隊は全滅しました。帝国第3艦隊は1年前に全滅しております」
「海からの侵略は無くなったのか」「まさか日本が・・ばかな」「神の軍隊なら・・」
「皆静かにしてほしい」スメタナ王が大きな声を上げる。
・・・・
「富沢殿、本当なのか・・貴殿が言うのだから本当なのだろう」
「はい、スメタナ王様、本当です。ついでに言うと先日帝国第1師団と第2師団も全滅しました。これで帝国に正規の師団は存在しません」
「そなたの発言は心臓に悪い」
「スメタナ王申し訳ありません。遅れて情報が届くものですから公表が遅くなりすいません」
「皆の者、神の国日本の軍隊が帝国を排除してくれた。我々は怯えなくて農業に精を出せる。良いな将軍達。裏付けは直ぐに帝国からの間者から報告が来るであろう」
「ありがとう富沢殿、日本に神の国に最大の感謝を送る」
「アトラム王国軍属の皆さん、最低限の守りだけ残して農兵は戻してください。そして国を豊かにしましょう。農作物や鉱物が集まれば日本が適正な価格で買い取ります。国民が豊かになればいろいろな物が発展します。そんな豊かな国になってほしいと日本の願いです」
「儂はここで宣言する。日本は神の国だ、ソフィア王女と学者達に日本の技術を学ぶ機会を与えようと思う。行きたい者もたくさんいるのではないかと思う。そこで今から1週間後希望者を送り出そうと思う。行きたい者は職業や地位に関係なく応募を3日後にして欲しい。その中から選んで日本に行ってもらおうと思う。どうだ」
「スメタナ王よ。軍属でも応募できますか」「どうだ富沢殿」「スメタナ王が望めば行けると思います」
「して、海軍将軍のトラリス男爵、誰を、何を学ばせるのだ」
「はい王よ、日本の軍についてと、魔獣やドラゴンもまだいます。我々も自衛がしたいと思います」
「うむ、トラリスよく理解した。魔道で追い払うだけでは魔導士がいなくなれば、また襲われる道理。その為に日本を学びたいと申すのだな」
「はいスメタナ王、優秀で若い将官を中心に選考したいと考えます。勿論海軍だけではなく、陸軍や空軍も参加させたいと思います」
「良い考えではある」
こうして道路開通記念パーティーは帝国の脅威がなくなった解放パーティー化していった。
ありがとうございます。
次回はどの方向にするのかまだ決定してません。入れる内容が帝国崩壊なのかミソラの冒険なのかです(笑)
お楽しみにしてください。
誤字脱字報告感謝しております。よろしくお願いします。