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第7話  暗殺者、手掛かりを得る



  第7話 暗殺者、手掛かりを得る




 「どうしたら向こうから仕掛けてもらえるのでしょうか?」


 俺たちは、何のあてもなくルーバンの街を歩いていた。


 「さっきのじゃ不完全燃焼だぜ」


 ルカは、さっきので、まだ不完全燃焼らしい。

 どうしたら、向こうから仕掛けてもらえるんだろうか……。

 俺もさっきから悩んでいる。

 渡世人たちに訊いたが麻薬について有力な証言を得ることはできなかった。


 「ごめん、考えてはいるが妙案はない……ただ、さっきので一つ手掛かりが生まれた」


 思い付きだけれども。


 「なんですか、それは?」

 「さっきの奴ら、二方向から現れただろ? 俺らがこの通りを歩いていることをだいぶ前から知らないとそんなことはできない」


 曲がり角のところから、あいつらは現れた。

 

 「つまり事前に俺らが歩いていることを知っていて待ち伏せをしていた。と考えるべきだろう」


 ルカとイゼリナは、ほぉーと唸っている。

 

 「ということは、誰かが私たちが歩いていることをあいつらに連絡したということですか?」


 さすが、イゼリナ。

 こちらの言いたいことを察してくれる。

 それに引き換えどこぞの大量虐殺者は……おつむが弱い。


 「なんか今、失礼なこと考えただろ?」


 おっと、勘だけは鋭いらしい。


 「なんのことだか……イゼリナの言うとおりだ」

 「リステリカたちなのでしょうか?」

 「そうだろうな」


 刺客あいつらは気配を隠すことに長けているらしくなかなかその姿を見せない。

 それに、奴らの潜伏場所がわからない。

 手がかりが生まれたとしてもここまでだった。

 どうしたものかとため息をしながらしばらく歩くと目の前に荷車が置かれたお店があった。

 その荷車の積み荷は麻の布で覆われているためわからない。

 そしてその積み荷の周りには、見張りと思しき男達が四人いた。

 お店の中を覗いてみる。

 店の中には客も店員もいない。

 その代わり奥の部屋から明かりが漏れていた。

 

 「何者だ?」


 荷車の周りにいた男に誰何される。

 

 「……いや、この店に用があったんですがね、誰もいないようなので帰ります」

 

 きわめて落ち着きながらその声にこたえる。

 嘘偽りを言うのにはもう慣れた。


 「なんだ、警戒して損しちまったじゃねぇか」


 そんな声が男たちの中から聞こえてきた。

 ヤバい積み荷なのか…。

 これは、もしかして目的の麻薬か?


 「行くぞ」


 俺は男たちに怪しまれないために一時立ち去るよう二人に指示を出す。

 そして、近くの曲がり角を曲がって足を止める。


 「あれは、おそらく麻薬だ」


 麻薬であるかの確証はないが、厳重に警戒している辺りその可能性は高いだろう。

 

 「そんなにおいがするぜ」

 

 ルカがニヤニヤしている。 


 「お前、やったことあるのか?」

 「いや、そういうにおいじゃなくてだななんつーかこう、きな臭いにおいっつーか」

 「さて、どうする?」


 あの店が取引の場所なら、あそこからどこかへ運び込むはずだ。

 ここで、あいつらを殺って荷を奪ったとしてもそこから先の手掛かりがなくなってしまう。

 あいつらは泳がせておくべきだろう。


 「荷を追いましょう」


 イゼリナも同じように考えたらしい。

 

 「今、殺れると思ったのによー」


 説明しなくてもルカは何となくわかってくれたらしい。


 「あいつらの背後に誰がいるのか、主犯を突き止めるためには、あそこに運び込んだ人間よりもその荷を追うほうがよさそうだな」


 ルカとイゼリナは頷いて同意を示した。


 




 しばらくすると、店の中から小太りの男が出てきて辺りを見まわした後、荷車の護衛とともに積み荷を次々とおろして店内に運び込んでいく。

 そして、すべての積み荷を降ろすと荷車とともに足早に去っていった。


 「さっさと、荷物をどっか次の場所に運び込んでくんねーかな?」


 ルカは、待ちきれないといった様子だ。

 すると、ルカの気持ちにこたえるように馬車と荷車が到着した。

 まわりには何人かの騎士がいる。

 

 「なぜ騎士が!?」

 「馬車のエンブレムをよく見てください」


 イゼリナは落ち着いていた。

 馬車の側面についているエンブレムを見るとレッザーラ教会の紋章だった。

 

 「なぜ教会が!?」


 予想外の展開に事件は発展していく。


事件解決に向けて一歩前進です。

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