表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/43

第28話 



 「なぜ、ここに来たんだ!?」


 ここに来れば、どうなるか簡単に想像がつくはずだ。

 俺は、ルカとイゼリナの手を引いて人垣から王城に向かって走る。

 

 「急にどうした!?」

 「何かあったんですか?」


 ルカとイゼリナが不思議そうな顔でこちらを見た。

 

 「あぁ、走りながら説明はする。とりあえず砦へ急ぐぞ!!」


 俺の脳裏に回避したいいくつかの事態が浮かぶ。

 一つは、王女殿下が捕らえられ殺されるというもの。

 他には、王女殿下が捕らえられ交渉の材料として使われるというもの。

 

 「東方諸侯の貴族は、独立を企図し、反乱のために資材を集めていた。だが集めた資材は、どうなった?」


 走って人垣を抜けたところで説明を始めた。

 誰かに聞かれるのは、なるべく避けたいからな。


 「私たちが焼いてしまいました」


 イゼリナは、そう言うとハッとしたような顔になった。

 気づいたらしい。


 「そうだ。そこにきて王女の訪問。奴らにとってこれは、渡りに船だとは思わないか?」


 説明しながら、考えると王女殿下が殺されるという可能性は薄い気がしてきた。


 「捕らえて交渉の材料にするということですか?」


 イゼリナの理解は、追いついたらしい。

 問題は……


 「よくは分かんねぇけど、きな臭い匂いがするぜ」


 ルカは、さっぱり説明をわかってくれていなかった。

 まぁ、いくら懇切丁寧に説明したところでわかってもらえそうにないが……。


 「そうだな。一戦交えることはあるかもしれないな」


 イゼリナにわかってもらえばいい気がして説明は諦めた。


 「俺らは、王女の身を奴らに渡すわけにはいかない」

 「でも……なんの策もなしに行くのですか?」


 それは危険だとイゼリナは言った。

 砦の中に入って即座に戦闘を開始すれば無論、多勢に無勢だ。

 なら、砦の中に入れなければいい。

 

 「王女に付き従っていた騎兵の数は分かるか?」

 「大凡、五十くらいだった気がします」


 王宮警護騎士が五十。

 最精鋭の騎兵隊が五十騎――――――騎兵は平原での突撃時の破壊力、移動時の速力こそ優れているが行軍速度の遅い状態では、ただの動く的でしかない。


 「砦の兵力を相手取るよりかは、はるかにマシだな」


 砦の中にいる東方諸侯の兵は二千五百ほどに膨れあがっている。


 「それは、そうですが……」

 「でも、それってよー」


 そこにルカが口を挟んだ。


 「ルカ、どうした?」

 「賢い王女サマは、それに気付いた上で来てんじゃねぇのか?」


 俺でも考えつくことだ、きっと王女殿下も考慮しているだろう。

 そのうえで、来るということは反乱を起こされることによほどの危機感をもっているのだろう。


 「それはそうだろうな。だがそれは、王女の正義感が身の危機感より先に行ってしまっているからじゃないか?」


 王女殿下の隊列が通る大通りと並行して走る通りを走り隊列を追い越した。

 

 「僕たちも手を貸すよ」


 そこに後ろから声をかけられた。 

 振り向くと、そこには二人の男女。

 所属不明の二人だが猫の手も借りたい今、その提案は、ありがたかった。

 

 「助かる。ちなみにこれは貸しにするのか?」


 正直なところ、そこまで信用していない彼らとは貸し借りの関係にはなりたくなかった。

 そう訊くと


 「うーん、そこまでは考えてなかったよ、でも僕らの目的は同じだから、そういうのは無しで構わない」


 貸し借りはいらないと答えた。


 「助かる」

 

 そろそろ砦は近い。

 コートの中のリボルバー式拳銃を握った。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ