第24話 共闘
燃える砦を後にして五人で街へと戻った。
「本当に信用していいんだな?」
相手に訊いてもしょうがないことだったが聞かずにはいられない。
「そうしてもらうより他にはないかな」
そう言って、つかみようのない笑みを浮かべた男は名前を明かさなかった。
それは、相方の女性も同じだった。
「僕らは、今ここに逗留しているから。何かがあったらここに連絡をくれないかな?」
そう言って男が、紙に止まっている宿の名前をしたためた。
自分たちの居場所を明かしたんは、向こうがこちらを信頼していることの確証と言ってもいいだろう。
「わかった。だが随分と情報を俺らに与えるんだな」
「だって、君たちのことを信頼しているからね」
そうか、と言い残して俺らは一応警戒しつつも彼らに背中を向けてその場を後にした。
すでに夜半を過ぎていた頃だったが、砦で火事が起きたことによって騒がしくなり多くの人がその光景を見ようと通りに出ていた。
丘陵から吹き下ろすような風が吹いているわけでもないから街へ飛び火することは無いだろう。
ただ、消火は大変だろうな。
山の上には水が少ない。
「よく燃えますね」
「肉でも持ってって焼くか」
ルカは、不謹慎なことを言いつつ燃え上がる砦を見ていた。
「仮設で木造の部分も多かったからな」
石造りなら燃えにくいが、何しろ仮設の状態であったがために木造の部分は、それなりに多かった。
砦から脱出するときも兵舎の戸に細工を施しておいたために兵士たちは即応できなかったのだ。
他の見張り台や兵舎にいる兵士らが気づくまでに時間がかかってしまいその頃には火は大きくなっていた。
「こんだけ騒げば、他の同業他者にも気付かれそうだな」
場合によっては、早くこの街を出たほうが得策なのかもしれない。
「でも、成果が無きゃ帰れねぇんだろ?」
ルカは、俺の思ったことを見透かしたように言った。
「そうだな……このままじゃ依頼未達成で報酬ももらえそうにない」
現状の成果は、内乱を遅延させただけに過ぎない。
依然として内乱の火は燻り続けている。
火種を潰さない限りは、この任務に終わりはない。
「それもそうですが、あの二人の所属によってもこちらの取るべき態度が変わってきます」
イゼリナの言うことはもっともだ。
敵に有用な情報を流すわけにはいかない。
反乱を止めたいという彼らの言葉を信じるのなら、東部諸侯の手も者ではないのだろう。
「この辺じゃ聞かない訛りだったな」
ルカが思い出したようにそう言った。
確かに同じ大陸公用語を話していたが訛りが違った。
マルクシャンの(マルクス人)訛りではなくもう少し西の方の訛りといった感じだった。
「国内の人間ではないな」
国外と言われても思い当たる節がない。
「あいつらと付き合ううえであいつらの目的が分かればいいんだがな」
相手に謀られないためには、相手に関する情報ぼうえいを知ることが一番の策なのだ。
目的が分かれば対応はしやすい。
「いよいよダメになってきたら、このルカ様が斬り倒すから安心しろ」
ルカが思いもしないことを言ったのでイゼリナと目を合わせて笑ってしまった。
「な、何が面白れぇんだよ!?」
ルカが、その態度に食って掛かる。
「いや、ルカが珍しく頼りになるようなことを言ったから」
「はぁ!?それじゃぁ普段頼りにならないみたいじゃねぇか?}
イゼリナの言うことは、的を射ていたので思わず俺も笑ってしまう。
「レナードも笑うんじゃねぇ!!」
やっぱりさっきのは取り消しな、とルカはへそを曲げた。




