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第15話

  


  第15話





 見慣れない異国の武器は、鎌のようなものでそこに鎖とその先端に分銅がついていた。

 それは、剣の間合いよりもはるかに遠くから分銅を放ってくる。

 ――――――速いっ。

 想像していたよりも分銅の速度は速かった。

 俺も、走る速度を落としているつもりはないが、相手に未来位置を予測されないような動きをとらざるを得ないために、敵との間合いはあまり変わっていない。


 「タイチョーさん、苦戦してるねぇ」


 ルカの声が左前から聞こえてくる。

 ルカは、小ぶりな体を活かして攻撃を回避しつつ自分の間合いに敵を入れて短剣をふるっていた。


 「お前ほど小ぶりじゃないんでな、回避にも一苦労だ」


 飛んできた分銅を剣で払い落とす。


 「失礼なっ。ルカ様は、もう二人撃破してるぜ?」


 ルカは二人撃破。

 俺とイゼリナは、まだ一人として殺っていない。


 「イゼリナ、右側面の敵は頼んだ」

 「はい。ルカに負けるわけにはいきませんからね」


 そう言って俺とイゼリナは、短剣を抜く。

 敵の攻撃を受ける一本、敵に攻撃をする一本。

 敵は八人。ルカが相手取る二人。俺の正面に三人。

 イゼリナの相手取る三人……殺れるな。


 「三つ数えて、突っ込む」


 タイミングがずれればどちらかに攻撃が集中しかねない。

 

 「三、二、一、―――――― 〇」


 イゼリナは、右へ。俺は正面へと走り出す。

 三人同時か、単体で仕掛けてくるか――――果たして単体での攻撃だった。

 

 「これならっ」


 やれる―――と思ったとき、違和感を抱く。

 飛んできた分銅は、二つだ。

 もう一つはっ!?

 左手の短剣で、飛んできた分銅二つの軌道を逸らしつつもう一つの分銅の行方を捜す。

 もう一つの分銅は、ルカの方へと向かっていた。


 「届けっ!!」


 左の短剣を何も迷うことなくルカに向かう分銅の未来位置へと投げる。

 投げた短剣は狙いあやまたず分銅へと当たり、ルカへ向かう軌道上から分銅は逸れた。

 

 「おるぁぁぁぁっ!!」


 正面の敵が吠えた。

 咄嗟に体を後ろにそらした直後、耳元を飛翔音がかすめる。

 

 「あぶねえっ」


 もう一人が攻撃動作に入る。

 短剣を投げた左手には、何もなく受ける手立てがない。

 攻撃用だが長剣で受けるしかないか。

 飛んでくる分銅のひとつを剣の側面で弾く。

 

 「もう一つ!!」


 それは今までとは軌道が違った。

 俺を巻くような軌道で迫ってくる。

 

 「くっ!!」


 かろうじて姿勢を低くして躱すが剣を巻き取られてしまった。

 絡みつく鉄鎖。

 一投目の分銅を放った敵がニヤリと嗤った。

 単体攻撃に見せかけて連携した攻撃だったのか。

 嗤った敵は攻撃の予備動作に入る。

 分銅が不気味な唸りをあげている――迷っている時間はない。

 剣の鞘を腰元からとり左手に持ち右手の長剣に絡まった鉄鎖をたどるように敵との間合いを詰める。

 あと少しで剣の間合いだ。

 

 「そろそろか」


 絡まった鉄鎖を思いっきりこちら側へと引き寄せる。

 敵は、予想外の俺の動きに不意を突かれて前のめりになり体勢を崩した。

 隙だらけの体勢になった敵の首元に、剣の鞘で重たい一撃をたたき込む。


 「ぎゅえっ!?」


 鈍い音とともに断末魔の声を上げて敵はこちらへ倒れ掛かる。

 それをこちらに攻撃しようとした敵に向かって蹴り飛ばす。

 敵の放った分銅は俺の蹴った奴にあたり、こちらへの攻撃は無くなった。

 そこに、突貫して鞘で首に一撃を見舞う。

 ルカの方に向かって攻撃をしていた一人が俺に気づいて分銅を飛ばしてくるが、それも剣の鞘で横に払った。

 

 「オイオイ、よそ見してんじゃねぇよっ!!」


 その敵も俺が二人を仕留める間に同じく二人を仕留めていたルカによって横から斬り払われ血潮を噴いて倒れた。

 イゼリナの方も無事、戦闘は終了している。


 「あとは、捕縛だな」

 

 甲板上の血だまりを見ながら指示を出す。

 

 「さすがに疲れました」


 イゼリナがそう漏らしたが、それは俺らの総意だろう。


 「レナード……」


 いつもとは違って真面目な雰囲気でルカに呼ばれる。


 「どうした?」

 「その……あたしが危なくなった時に自分の武器を捨ててまで助けてくれてありがとう……恩に着るぜ」


 それは久しぶりに聞いた真剣なときのルカの声で『あたし』という一人称だった。


 「部下をサポートするのは隊長の責務だろ? 気にすんな」

 

 月明かりに照らされた金と銀の髪。

 こんなにも綺麗なのに、彼女たちを血で汚し続けなければならないことを残念だと思ったのは今日が初めてかもしれない。


 「夜が明けるまでに、この仕事は片付けるぞ?」

 「おうっ」

 「はい」


 船内にいる人間の捕縛、しかるべき場所への身柄の引き渡し。

 まだ、やらなければならないことはいっぱいあるのだ。

  

一章はこれで終わりとなりました。私が遅筆過ぎて長きに及びましたが付き合ってくれた方には感謝です。

この後もレオナードやルカ、イゼリナの活躍は続いて行きますのでどうぞ、お付き合いください。

また、よろしければ感想や評価などもくださるとなお一層の励みになりますのでよろしくお願いします。

重ね重ね、お付き合い有難うございました。

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