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第14話



  第14話





 「あいつらなんだったんだ?」


 ルカは首を傾げた。


 「完全に私たちの敵ならおそらく私たちを殺したでしょう」


 頭脳明晰なイゼリナもこればかりはわからないといった様子だ。


 「おそらく……あいつらも麻薬の取引に一枚噛んでいる。おそらくどこかの貴族に雇われたんだろう」

 

 俺らを殺さない理由はおそらく王家直属の諜報部隊に探られることや、俺らが帰還しないことで王女に怪しまれることを警戒してのことか。

 俺らが任務を終えて帰還しなければ、ユリアナ王女殿下がいぶかしむはずだ。

 そして、おそらくは王家直属の諜報部隊などに調査を要請する。

 

 「お、船が来たぜ?」


 さっきまで俺らがいた倉庫付近の岸壁に一隻の貿易船が滑り込んできた。

 

 「さっきの荷車に積んであった箱がないか見ていてくれ」


 順調に荷の積み下ろし作業が進んでいくが一向にそれらしい荷が積まれることなく船は出船していった。


 「なかったか……」

 「別の箱に積み替えられたって話は考えられないか?」


 ルカは去っていく貿易船から目を離さずそう言う。


 「ここにあの荷が届いた時間的に考えても積み替える時間はなかったはずだ」

 「私も同意です」


 荷馬車だからどんなに早くても俺らとほぼ同時か、それより遅くにソーウェンに着くはずだ。


 「そうか……普通に考えたらこのルカ様達の方が早いもんな」


 俺らと同着だと考えたとしてもさっきの船に積み込まれていない様子から察するに、まだここに着いていないと考えるのが正しいということになるか。


 「多分、ここにはまだ到着しちゃいない。おそらく連中は夜を待つつもりだ」

 

 今から探すといったところで、範囲は広い。

 おそらく、このあたりに待機して夜を待つのが無難だろう。

 さっきの襲撃してきた奴らは少し気になるが……俺らがここまで再接近しても出てこないのならおそらくもうここにはいない。

 あとは夜を待つだけだ。

 細心の注意を払うことは大事だがあんなのにいちいちとらわれていては大事に差支えがあるだろう。


 「とりあえず、その辺の倉庫にでも入ってブツが到着するまで待つぞ?」

 「昼飯はどうすんだ?」


 ルカはそんなことを言っているが


 「一応、携行食は持ってきてあります」

 

 イゼリナが腰のポーチを開いて持ってきたものを見せる。


 「うへぇぇっ……。港町まで来てこんなものを食べるとかおめえら……大丈夫か?」

 「大丈夫じゃないのは任務の最中であることを忘れているお前の頭だろ」


 夜にブツが来るとは言え、それは可能性にすぎない。

 無論、白昼堂々とやる可能性だってあるのだ。


 







 深夜―――ドゥーム王国の船の入港する港の岸壁。

 異国の貿易船が港内に滑り込んできた。

 そして静かに停船。

 停船した船からは、ほんのわずかな明かりがこぼれていたがよく見ないとわからない程度の明るさだ。

 しばらくすると、縄梯子や縄などが船から投げられた。

 それをどこから見ていたのか、数台の荷車が船の前にやってきて何人かが縄梯子を登り乗船していく。

 後方の荷車からは用心棒として雇われたのか八人余の傭兵が降りてくる。

 堅気ではない空気感を持っている男たちだ、傭兵というよりは傭兵崩れといった方が正しいのかもしれない。

 傭兵の中でも犯罪行為に手を染める者たちのことを傭兵崩れと言う。

 その姿を倉庫の中に入って壁にある小窓から見ている者たちがいた。


 「いくぞ」


 小声で黒色のジャケットを羽織った青年がわきに控えている同じような服装の少女たちに告げる。

 二人の金と銀の髪は月に照らされて光り輝く。


 「はい…」

 「イエッサー!!」


 二人の少女の片割れの銀髪は静かに、そして一方の金髪少女は、ビシッと敬礼をして応じた。


 「静かにしろ……声がでかい」


 そんな少女を青年はたしなめる。

 そう、これは極秘任務なのだ。

 完全に縄梯子を登り切って乗船したタイミングを見計らって隠れていた倉庫の中から影を闇を伝って荷車へと近づく。


 「御者ぎょしゃは殺やるなよ?」

 「ああ、わかってるってばよ!!タイチョーさんの分も殺っとくからよ安心して荷車の中身を調べな」


 金髪は舌なめずりしながら剣を鞘から抜いた。


 「私も行ってきます。すぐに片づけて船に乗り移れるようにしますから」

 「ああ……頼む」


 銀髪は金髪とともに傭兵崩れの中へと飛び込んでいった。

 闇に剣の銀が輝く寸刻の間の剣戟―――二人はジャケットを血で汚して戻ってきた。


 「あんなに弱いとつまらんな、タイチョーさん、暇だったら相手してくんねーか?」

 「今、俺が何をしているかを見てから言え」


 荷車の運んでいたブツは大量の粉だった。

 目の前にあった袋に剣先を当て破り中の粉を少量、指にのせて舐める。


 「美味いのか、それ?」


 金髪は青年をまねて指に少量の粉をのせて舐める。


 「麻薬だな」

 「これが麻薬の味なのか? 初知りだぜ」


 青年はそのうちいくつかを服の内側にしまい込んだ。


 「家で楽しもうってか?」

 「証拠品として提出するためだ。無駄口たたかずにさっさと船の中の人間を始末するぞ」


 青年は長剣を片手に縄梯子を登っていく。


 「今度こそはマシな奴がいるといいな」

 「後がつかえてますよ」


 銀髪は金髪の尻を剣先でちょんちょん突ついた。


 「ばかやろーあぶねーじゃねーかよ」


 青年は甲板のへりから注意深くあたりをうかがい甲板上へと上がった。

 そのあとに続いて金髪の銀髪も甲板上へと上がる。

 さすがに騒いでいれば気付かれるか十人ほどの異国の見慣れぬ武器を手にした男たちに前方を塞がれた。


 「なるべく早く済まして帰還するぞ」

 「あいよ」

 「はい」


 彼らは各々の得物を手に突っ込んでいく。


 

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