表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/43

プロローグ



  プロローグ 




 

 ―――ソーウェン港―――



 深夜、港の倉庫裏。

 異国の貿易船が港内に滑り込んできた。

 そして静かに停船。

 停船した船からは、ほんのわずかな明かりがこぼれていたがよく見ないとわからない程度の明るさだ。

 しばらくすると、縄梯子や縄などが船から投げられた。

 それをどこから見ていたのか、数台の荷車が船の前にやってきて何人かが縄梯子を登り乗船していく。

 後方の荷車からは用心棒として雇われたのか八人余の傭兵が降りてくる。

 堅気ではない空気感を持っている男たちだ、傭兵というよりは傭兵崩れといった方が正しいのかもしれない。

 傭兵の中でも犯罪行為に手を染める者たちのことを傭兵崩れと言う。

 その姿を倉庫の中に入って壁にある小窓から見ている者たちがいた。

 

 「いくぞ」


 小声で黒色のジャケットを羽織った青年がわきに控えている同じような服装の少女たちに告げる。

 二人の金と銀の髪は月に照らされて光り輝く。


 「はい…」

 「イエッサー!!」


 二人の少女の片割れの銀髪は静かに、そして一方の金髪少女は、ビシッと敬礼をして応じた。


 「静かにしろ……声がでかい」

 

 そんな少女を青年はたしなめる。

 そう、これは極秘任務なのだ。

 完全に縄梯子を登り切って乗船したタイミングを見計らって隠れていた倉庫の中から影を闇を伝って荷車へと近づく。

 

 「御者ぎょしゃるなよ?」

 「ああ、わかってるってばよ!!タイチョーさんの分も殺っとくからよ安心して荷車の中身を調べな」

 

 金髪は舌なめずりしながら剣を鞘から抜いた。

 

 「私も行ってきます。すぐに片づけて船に乗り移れるようにしますから」

 「ああ……頼む」


 銀髪は金髪とともに傭兵崩れの中へと飛び込んでいった。

 闇に剣の銀が輝く寸刻の間の剣戟―――二人はジャケットを血で汚して戻ってきた。

 

 「あんなに弱いとつまらんな、タイチョーさん、暇だったら相手してくんねーか?」

 「今、俺が何をしているかを見てから言え」


 荷車の運んでいたブツは大量の粉だった。

 目の前にあった袋に剣先を当て破り中の粉を少量、指にのせて舐める。


 「美味いのか、それ?」


 金髪は青年をまねて指に少量の粉をのせて舐める。

 

 「麻薬だな」

 「これが麻薬の味なのか? 初知りだぜ」


 青年はそのうちいくつかを服の内側にしまい込んだ。


 「家で楽しもうってか?」

 「証拠品として提出するためだ。無駄口たたかずにさっさと船の中の人間を始末するぞ」


 青年は長剣を片手に縄梯子を登っていく。


 「今度こそはマシな奴がいるといいな」

 「後がつかえてますよ」

 

 銀髪は金髪の尻を剣先でちょんちょん突ついた。


 「ばかやろーあぶねーじゃねーかよ」

 

 青年は甲板のへりから注意深くあたりをうかがい甲板上へと上がった。

 そのあとに続いて金髪の銀髪も甲板上へと上がる。

 さすがに騒いでいれば気付かれるか十人ほどの異国の見慣れぬ武器を手にした男たちに前方を塞がれた。


 「なるべく早く済まして帰還するぞ」

 「あいよ」

 「はい」


 


 青年の名はレナード。

 金髪はルカ、銀髪はイゼリナという。

 三人が三人ともに裏の世界では名のある者たちだった。

 


 彼らは各々の得物を手に突っ込んでいく。


本シリーズに興味を持ってくださりありがとうございます。

遅速気味では、ありますがよろしくお付き合いください。

ポイントやブックマーク、感想などいただけると執筆の励みになり幸いです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ