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虹色の街  作者: 潮月夜
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後編(BE)-喪失編-

朝、スマホのアラームを止める。眠たい目を擦る。葵の事が気になって一睡も出来なかった...。制服に着替え、傘を持ち、急ぎ気味に家を出る。葵の近くに何となく居たいと思ったからだ。


今日も街は雨が降り続いていた。


あっという間に学校に着き、自分の席に座る。気がつくと、朝のチャイムの音が響いていた。ぼーっとしていたのだろう...。しかし葵はまだ来ていなかった。担任が入って来た。しかし違和感があった。いつもなら大声でおはようと言いながら入ってくるのだが今日は無言で入ってきた。いつもと様子が違う担任に気がつき、教室はシーンとなった。担任は大きな深呼吸をして言った。

「葵は転校することになった。心当たりのある奴は直ぐに来い。」

そう言うと担任は直ぐに教室をあとにし職員室へ向かっていった。

僕は頭の中で大きな矛盾が生じた。転校と言いつつ心当たり?僕の中で最悪のピースが組み合わさった。葵が死んだのでは......。急に僕は意識が遠のき目からは涙が溢れ出た。気がつくと僕は自分の机をなぎ倒し担任の所へ走っていた。


職員室をノックもせず開けた。僕は担任の元へ向かい強い口調で確かめるように言った。

「葵はどうしたんですか?教えてください!」

担任は悲しそうな表情をして言った。

「お前は葵と仲良かったからな。話さないとな。」

僕は小さく頷く。それを確認して担任は話を続けた。

「昨日、葵は死んだ。自殺だった......。」

僕は衝動的に涙を流しながら担任に

「何でだよ。何でなんだよ。教えてくれよ!」

と強い口調で言ったと同時に全身の力が抜けて床に倒れこんだ。悔しさのあまり床を思いっきり殴った。何度も何度も。そのうち周りの先生たちに引っ張られ僕は職員室を出た。そのあとの事は良く覚えていない。


気がつくと見慣れない天井があった。体を起こすと保健室の秋本先生が心配そうにこちらを見ながら言った。

「大丈夫?落ち着いた?」

僕は何を言っているのか分からなかった。不思議そうな顔で見ているとすべてを察した様に言った。

「もう少し寝てていいわよ。疲れてるでしょ。」

僕は横になった。そうすると秋本先生は廊下に出ていった。担任と何かを話して居るようだった。相当、疲れていたのだろう。僕は飲み込まれるように直ぐに眠った。


目を覚ますと天井は夕日色に染まっていた。良く眠っていた様だ。大きく伸びをしながら起き上がる。横には心配そうに見つめる囲碁将棋部の先輩2人がいた。部長が心配そうに言った。

「大丈夫か?あぉ........」

副部長がかき消す様に大声で言う。

「お前がぶっ倒れて学校中大騒ぎだったんだぞ。あんまり心配かけんじゃねーぞ!」

副部長は笑いながらこちらを見る。対称的に部長は複雑な顔をしていた。

「そうだったんですか。心配かけてすみません。今日の記憶が全く無くて.......」

先輩達はそのあと少し話をしてそのまま帰った。入れ替わるように担任と一緒に母が入ってきた。僕を見るなり涙を浮かべながら抱きついてきた。

僕は担任が見てる気恥ずかしさもあり言った。

「倒れただけで大袈裟だな。大丈夫だから。」

母が落ち着くまでかなりの時間僕はそのまま待たなくてはならなかった。担任は複雑な顔をしながらこちらを見ていた。倒れただけでここまで心配する親はそうそう居ないだろう。僕は一言担任に告げた。

「すいません。うちの親、心配しすぎですよね。」

担任は悲しそうに言う。

「良いお母さんだな。大事にしろよ。」

僕はそれから母と一緒に帰ることになった。その頃には雨が止んでいた。


帰り道の最後の信号で視界に何とも言えないノイズが走る。僕は少し立ちくらみがした。

雨.....傘......

色鮮やかな何かが失くなった事に気がつく。でもそれが何か思い出せずに居た。そして街からは虹が見えた――。


こちらの作品はマルチエンディングで制作されています。

前編に関しては共通ですが後編は2つ(BE・HE)あります。

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