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第6話 インスタ映えしそうな名店?

大掃除で心の汚れまで落としてはいけない

その醜い部分も紛れもない貴方だから。

捨ててはいけない、落としてもいけない

ただ真っ直ぐ向かい合わないと人生という暗闇を

正しく歩んでいくことはできないんだよ。

貴方のその汚い部分を認めてあげればそれは

汚れではなく明かりになる。

その明かりを頼りに人生を歩んでいくんだよ

このことを忘れないで。


どうか大掃除で心まで綺麗に偽らないで。


だから俺はこのことを忘れない為に大掃除をしない!!

って家族に言ったら


ふ く ろ だ た き に さ れ た


外に可燃ごみとして放り出された。

なんとか家に戻ったものの寒かったせいで風邪ひいた。

そんでもって家族が「お前の体調を崩す菌だぞ!!俺達にうつったら死ぬだろうが!!」

って現在隔離されている。

財布からは金が抜かれている始末だし

家族ってやつはマジで血も涙もない連中だぜ!!


誰か助けてぇぇえぇえぇえぇぇえぇぇえぇえええぇぇぇぇえぇぇえ!!!!!

年明け前から既に厄年の兆候が!!


俺がいったい何をしたというのだ!!

むしろ何もしていないのになぜこんな仕打ちが!?

「わあ・・・」


ルミアがため息にも似た声を漏らす、こればかりは珍しく溢れた本心だった。無理もないのかもしれない。彼女が町に出たのは初めてである、こんなに大勢の人々が行き交っているのを圧巻にも感じた事だろう。何も感想を抱くなと言う方が無理な話だ。


お城の窓から外の様子を見ているのと実際にその場に立つのではこんなにも印象や空気が違うものかと実感する。実際窓から見るのと間近に見る人の流れは全くの別物に感じている。


レンガでできた家が並び、それぞれが形が違う。これは窓から毎日見ているので知ってはいる、知ってはいるのだが実際にその場に立つ日がくるとは夢にも思って居なかった。正直現実味がないのでこれは夢ではないかとも思ってしまうのが正直な所であった。


「初めての町はどうですかルミア様!!」


ヘレンがニコニコしながらルミアの顏を覗き込んだ。


「すごい・・・人も家もいっぱい」


すれ違う人々はお城の人達のように同じ格好ではない、みんな服装が違う。服の種類が多いのも驚きの一つだった。


「なんでみんな服が違うの?」


正直な疑問をルミアが口にする。


「あぁ、お城の人は基本的に仕事用の服を着てますから、私たち召使いならメイド服、兵士は甲冑ってところですね。それがお城の仕事の服です」

「ふーん」


実に簡素な返しだ、疑問には思ったもののそこまで興味が無かったらしい。ヘレンも察したのだろう、何かしなければと頭を軽く捻る。


「そうだ!服屋さんに行きましょう!!初ショッピングです!」

「しょっぴんぐ?服屋さん??」


ルミアがお城で聞きなれない単語に首を傾げるがヘレンはお構いないしにルミアの手を引き歩き始めた。ルミアを昔から観察してるルミアは良く知っていた。ルミアは本心を隠して遠慮する事を。だからこっちが引っ張ってあげないといけないのだ。


ルミアはルミアで楽しそうに笑うヘレンの顏を見ると抵抗する気なんて起きるはずもなかった。ヘレンが笑ってくれてるならそれでいいから。


しばらく手を引かれている間に景色は流れ町並みは徐々に変わっていく。民家はどれも似たような雰囲気だが、それぞれ色合いや屋根の形などが違っていて個性があった、そして歩いていると家の雰囲気も少しずつ変わっていく。よく見れば歩く人々の服装の雰囲気も、きらびやかな服からやや地味な服装に変化していた。そんな光景が新鮮で、ほんのわずかに楽しい時間だった。


「あれですよ!あの店!!」


ヘレンが指を刺した赤い屋根のこじんまりとした建物、どうやらこれが服屋さんというものらしい。

数人がその建物から出入りしているのが見える。


「うわぁ!思ったより小さい!!早く中に入ってみたい!!」


と、明るく声を出したが本当はこのまま歩いていきたかった。遠くに、どこか誰も居ない遠くまで、知らない景色と誰も居ない場所を探して。独りで、どこまでもどこまでも。

 

私の居場所はどこだろう?世界のどこかにはあるだろうか?見つけられるだろか、そしてそれは許されるのだろうか。答えなんて考えても出るわけなかった。


「ではでは、入りますよー!」


ルミアの気も知らないでヘレンが再び手を引く。だがそれはある意味で当然だった。ルミアは本心を隠すのが上手過ぎる、彼女の心を見抜くのは至難の業なのだ。


「うん!」


本当の感情をいつも通り潰すように殺して笑顔の仮面を被る。今はヘレンと一緒、余計なことは考えていてはいけないと自分に言い聞かせた。


店の中に入ると店主であろう顎髭を蓄えたダンディズムな男性がこちらに会釈してくれる。


「こんにちは!」


ルミアが元気に挨拶で返すと微笑みで返してきた。優しそうな顔からは善人オーラが溢れているように感じる。


「ねぇヘレン、あの人なんでしゃべらないの?」


ヒソヒソとルミアが尋ねる。ルミアからしたら初めて遭遇したタイプの人間だ。少なからず警戒心を抱いたらしい。


「この店の主人は変わり者なんです」

「ここしかお店無いの?」


別に店主が嫌という訳ではないものの純粋に疑問に思ったのだ。でもまぁ喋らない人は少し不気味ではあるし、全く持って嫌じゃないってわけでもないのだが。


「他にもありますよ~でも、ここ小さいですけど服の取りつかいが丁寧で意外といいお店なんですよ。たまに貴族なんかも立ち寄ったりする店ですし、隠れた名店ってとこですね!インスタあったら間違いなく口コミで・・・」

「いんすた?」


ルミアがまた首を傾げるとヘレンはあからさまに『やらかした』という顏をしている。なにかよろしくないことを口走ってしまったようだ。慌てて「いえ!なんでもないでせう!!!」と言葉を足した。


どうみても「なんでもないでせう」ことはない、断言できる。でも困ってるし余計なことは聞かないでおこうと話題を変える。


「ここのお店は変わってるけどいいお店ってことなんだね」


ヘレンを安心させるためにポツリと呟く。ヘレンの顏を直視しにくかったので店主の方に視線を向けると店主はルミアにウインクしながら親指を上に向けていた。いい笑顔である。


どうやら地獄耳の様子、会話が全部聞かれていたらしい。あまりにも気まずい、視線が泳ぎまくる。ヘレンにも店主にも視線を向けられない。逃げ場を無くした視線は改めて店内を見渡す事になった。


当然お城に比べたら地味な内装ではあるが外壁のレンガと違い、店内は木造で落ち着いた雰囲気を

醸し出している。


掃除も行き届いているようで壁や天井、角に窓、どこを見ても汚れは見当たらない。

清潔度でいったらお城よりも小綺麗にしているかもしれない。


この小さい店に貴族がくることがあるというのも納得ができるほど清潔にはされているのだ。まぁこんな所にわざわざ来る貴族なんてそれこそ変わり者なのだろうが。


並んでいる服も眺めてみると店の奥にある紫の地味なドレスに目が留まった。


理由はよくわからない。大した装飾もされていない安そうなドレスだった。でもこれがいいなと思う、ルミアにしては珍しい反応だった。


気が付いたら足が動き出していて体をドレスの前に連れてきていた。明らかにルミアのサイズには合わないがそれでも心が惹かれるのだからしょうがない。


夢中でドレスを見ていると後ろから誰かが肩を指でトントン叩かれた。ビクっと肩を上げるて振り返ると店主が物凄い笑顔で立っていた。


近い。距離が近い事が気になる、襲われる0.3秒前位の距離だ。この店主はどうやらパーソナルスペースがぶっ壊れているらしい。喋らないクセに。


「きゃあ!」と驚いて後ずさりする。流石にこれは怖い。心臓がバクンバクンと跳ね上がっている。ビビリまくるルミアを他所に店主は一着のドレスをルミアの前に差し出した。


「わ・・・」


紫のドレスだ子供サイズの同じデザイン。この日初めてルミアの目がぱぁっと煌めきが灯った。

今回で世界観壊れたと思う方いるかもしれないですけど

時間軸は前作「狐につつまれて」と被っている部分があります

地域によって文明力が極端に違うんです。


理由は

星母マリア初の人類の国「超人工過密都市:エデン」が

関わってるんですけどそれはまた次回作ですかね~

今作、「魔王の花」は「狐につつまれて」よりは短い話になる予定ですよ。

あくまで予定なのですがね。


因みに次回作は「星誕記」の予定です。

広がり続ける宇宙に飲み込まれてしまった宇宙外生命体が

地球をマネた星と神を創造する「星誕編」と 神々の争いにより人類が誕生する「天界戦争編」

そして世界に魔族が誕生してしまった理由を描く「愚者の咆哮編」の3部作です。

魔王の花がまだまだ続くので先の話ですけどね。

まぁそれまでには読者は0になっていることでしょう。


あ、最後にイラストが完成しましたのでツイッターに上げていますよかったら見て下さい

クソ画力ですが。

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