第36話 偽りの裏側
どうも、いよいよ第一話に帰ってきました。
今回の話は第一話がベースになっています。
一回戻って貰って第一話を見直してからこの話を
読んで頂くのがオススメです。
ルミアの隠ぺい能力をご覧ください。
そうそう、どうでもいいと思いますけどこの話の同日別の土地では
コンというキャラクターが魔族化した熊に追いかけられてます。
今はまだ関係のない物語です。
(お得意の閲覧数稼ぎが目的なんだよね~デュフフフ)
「そこのアンタ、ちょっと来なァ・・・」
「あ、預言士様なんでしょうか?」
預言士が手を掲げ怪しい光が兵士を包む
「今日ルミアが樹海に向かうのさぁ・・・
お前は後ろからルミアを尾行しな
何もしなくていい見てるだけでねぇ・・・」
「・・・はい、わかりました」
「ヒヒ!!長かった、これで準備は全て終わったよぉ・・・
後は待つだけ、もうすぐさねぇイヒヒヒヒヒヒ!!」
樹海に向かう途中の平原。
誰かが後を付けている気配がある。
多分兵士だ。町から出る時見つかってしまったようだ。
目的はなんだろう?
町から結構離れた場所だ。
引き留めるならもっと手前で止められたはずなのに。
止められたら刺したかもしれないけど。
とりあえず気が付いてないフリして昔のように『何も知らない良い子』のフリをする。
簡単なことだ、心を隠すのはずっとやってきた。興味を持った風に崖際の生えた木に登って赤い果実に手を伸ばす。
この木が崖際に生えていなければ登っていない。
登った理由なんて一つだけ。
崖の下を覗き茂みに落ちれば死にはしないと判断した。果実を掴むと同時も全体重をかけて自分が乗っている枝を折る。もし高さを読み違えて死んだならそれはそれでいい。
「きゃあぁあああああぁぁ!!!」
偉そうに死んだならいいとか思っていたのに、つい声が出てしまった。流石に崖から落ちるのは怖かった・・・
ルミア19歳、崩壊しかけた心で落下の恐怖を知る。
でも、これならわざと落ちたなど誰も思わないだろう。
なんにせよこれで尾行は撒ける、一人で樹海に誰かを助けようとするバカなんていないから。
何より私を心配する人も心労で私どころではない。
「いったぁぁぁい!!!」
念のため声を発し私を見張っていた人物の出方を伺う。
少し待ってもこちらを覗く様子はない。城にでも知らせに行ったんだろう。
でもまだ判断には早いか、もう少し馬鹿でいよう。
「あ~あ、落ちちゃった・・・この崖登るのは辛そうだなぁ・・・どうしよ・・・お腹すいた・・・そういえば昨日から何も食べてないや」
腹の虫は流石に狙っていない。偶発的だ。本当の馬鹿みたい。
手にした赤い果実を見る。そういえば昨日ガーダーとのゴハンは出てくる前に帰っちゃたし、お城じゃ食べ物貰えないから昨日から何も食べてない。
毒はあるだろうか?あってもいいか、死んだら死んだだ。
自然に育った痩せた果実がそんなに美味しいわけもなく、酸味の強い味は普段なら食べるのを若干躊躇うだろう。(出たなら食べきるけど)しかし空腹なのですんなり食べられる。
全部食べてしまおうと思ったけれど木々の奥から覗く闇から何かがガサガサ音をたててこちらに近づいてくる。
「何!?」
果実を投げ棄てる。高揚感と緊張感で体が固まる。
何も知らない人がこの状態を見たら恐怖に体が竦み動けなくなったように写るのだろう。
魔族?さぁ来て・・・殺し合おう・・・!
ルミアの顔に冷や汗と数年ぶりの本当の笑顔がこびりつく。
闇から飛び出したのは巨大な蜘蛛。
サイズを見れば一目瞭然、魔族に間違いない。
「大丈夫!?今落ちたよね!?毛がない!?あっ違う!!これって禿の人を怒らせる呪文だった!!許して!足8本あるし!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「あれ!?怒った!?もしかして禿の人だった!?ゴメンネ!
悪気はないんだよ!!痛いとこ無い?大丈夫!?ねぇ!!ねぇったら!!」
蜘蛛が喋った・・・
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
虫が喋るのはなんかキモチワルイ!!いやだ!相手にしたくない!!
「そんなに痛いところがあるんだね!?もしかしてコッセツってやつかも!!!一回僕達のお城に行こう!!!さぁ!僕の背中に乗るんだ!!さぁさぁ!!」
蜘蛛魔族がこちらに背を向けてズイズイお尻をこちらに突き出してくる。いや、待って?もしかして私の事を騙して巣に運ぼうとしてる?
いいな、それ。絶対に死ねる、誰にも見られないで。
死ぬ前に何体殺せるかな一体は殺してみたい。
心の浅い所でそう思った。深い場所ではきっと別の何かを期待していたのかもしれない。
「そ、そう?じゃあ連れていって?」
「ガッテン!僕の頭の触角みたいなやつしっかり握ってて!僕は速いよ!足8本あるし!!!」
言われるまま蜘蛛の背中(頭?)に乗る。
「わぁ・・・」
意外、以前ゴライアススコーピオンに生えてる毛に触ったらゴワゴワしてたけど、この蜘蛛の毛はやや長くフワフワの手触りだった。モフモフした犬のような手触りに近い。
掴るように言われた頭の触覚のような物は触れてみると長い毛だった。髪の毛を引っ張られると痛いけどこの毛は引っ張っても痛くないの?
「よし乗ったね!?しっかり掴っててよ!よ!いっくよー!!」
ボッ!!
走り始めた瞬間空気の塊が耳に打ち付けられて普段聞くことのない音が聞こえた。
「あばばばば・・・・・・・!!」
発した声が後ろに流されていくのがわかる。速い、速すぎる!
余談だがルミアが神器を持ってなかったら振り落とされて木に頭を強打して死んでた。
「きつかった言ってね!止まるからね!!」
「とばばばばば・・・・・!!!」
声が出せないから止まってなんて言えるはずもない。
殺す!!目的地ついたら真っ先にコイツ殺す!!絶対殺す!!
余談だが止まったら前方に放り出されて首の骨折って即死してた。必死にしがみ付いて5分かそれとも10分か?はたまたもっと短い時間だったのか、皆目見当もつかないが蜘蛛の速度が段々落ちてきた。
「ほら!到着だよ!!ここが僕たちの城!!誰かに怪我を観て貰おう!!」
「うわぁ・・・」
目の前に広がるのはいつ崩れてもおかしくなさそうなボロボロになった城だった。
スラムとはまた違った自然に浸食された建物はルミアの目には異色に映る。
城の外観にドン引きするのは後にして、なんかフラフラする・・・?この・・・コイツ殺してやる・・・!
静かにナイフを握りしめて蜘蛛に近寄る。
「死・・・・うっぷ・・・げえぇぇえぇえぇえ!!」
さっき少しだけ齧った果実が逆流してきた。
ルミア人生初の乗り物酔いを経験する。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!?なんか吐き出した!?誰か来てぇぇぇ!!禿げの人がコッセツで死んじゃうぅぅ!!」
蜘蛛がルミアを置き去りにして猛ダッシュで城の中へ消えていった。
「あ・・・頭グワングワンする・・・あと・・・ハゲじゃない・・・ハゲは大臣・・・・」
ルミアの意識はここでいったん途絶えた。
魔族チームはルミアの出会ったことのあるどのタイプとも異なる集団です。
空気は吸う物、読む物ちゃうちゃうと、人の心に陽気にズカズカ入り込んできます。
ハエトル見ればわかりますね。あんな連中です。
人の心の傷を癒せるのは人だけとたまに聞く。
笑止千万、そんなんだったらアニマルセラピー存在しない。
寄り添おうとしてくれる何かは心の傷を癒してくれる。
理由は至って単純明快。寄り添ってくれる心を持っているからだ。




