第25話 美しいもの
この話で登場する貴族は今の予定だと最終話付近まで登場しません。
ま、当てにならないんですけどね?
「ありがとう」
息を整えてからルミアは自分の事を助けてくれた同い年らしき少年、ヲォルトにお礼を言った。
繁華街まで走ってきたのにヲォルトは息を乱していない。
「怪我はない?」
繋いでいた手を離してヲォルトが訊ねる。
「うん、大丈夫」
「君みたいな身なりのいい人があんなところで何してたの?」
「え~・・・迷子になっちゃて」
「そうなんだ、よかったね捕まる前に僕に会えて」
「うん、ありがとう」
せっかく助かったのにルミアの心は曇り模様である。安全な場所まで来た今になって殺された彼らがかわいそうだと思った。
だって彼らは、必死に生きようとしていた、死んでも構わないなと思っていた私と違って。
私が逃げないで捕まれば彼らは死なずに済んでいたかも知れない。そんな思いがルミアの心を曇らせている。
「そういえば君の名前は?さっき答えてくれなかった」
「・・私はルミア」
「じゃあ改めて、僕はヲォルト勇者だ」
「 勇者なんでそんな人があんな所に?」
ルミアが首を傾げると嫌な答えが返ってきた。
「城の兵士に 依頼されてねほら、君と話していたあの男。あいつを殺しに来たんだ。探し出す手間が省けてよかった」
わずかにショックを受けたルミアの口が自然に動く。
「なんでその人は殺されなきゃいけなかったの?」
「う~ん、詳しくは知らないけど、貴族の襲撃を企ててたらしいよ」
それを聞いてルミアは少しだけ安心した。万が一いい人だったらどうしようかと心の片隅に思っていたのである。だがそれでも嫌な感情がなくならない。
「帰り道はわかる?」
ヲォルトが訪ねてきた。ルミアは無言で頷いて城を目指して歩き始める。
「さて、僕はマイリアンさんに報告しに行かないと」
ヲォルトはルミアと反対方向に進み、人ごみの中に消えていった。
秘密の場所まで戻ってきたルミアは力なくその場に座り込んでしまう。
今日で4回目。人の死を間近で見た回数だ。
1度目はヘレンに守られた時。
2度目はお父さんが病気に負けた時。
3度目はお母さんが首を吊った時。
そして4度目、ヲォルトに助けられた時。
幼い心を押し潰すには充分だ。
そっか 私といる人は皆死んじゃう、だからヘレンも出て行ったんだね。死ぬ前に・・・ルミアは両手で顔を覆い地べたに頭を打ちつけて大声で泣き喚いた。
そして日が傾きかけた頃。とある貴族宅―――
貴族の名に恥じない豪華な絨毯の敷かれた広い部屋、その中をユラユラ揺れるロウソクの明かりのみが頼りなさげに照らしている。
窓はなく、外の明かりは一切届かない暗黒の部屋である、豪勢なわりには不気味な雰囲気を醸し出してる。
「いやーマイリアン君よくやってくれたね」
「いえいえ!当然のことをしたまでですよ!」
ロウソクでは照らしきれていない部屋の中で二人の男が椅子に座り会話してる。明かりに照らされていない部屋の隅でいくつも黒い影が蠢いているのがわかる。
「ところでガマ様、なんでこんなに部屋を暗くしてるのですか?」
「あぁ、この部屋は誰に盗み聞きされることもないから選んだんだが、明かりは付けない方がいい」
「はぁ・・・」
ガマがテーブルのロウソクを拾い上げてゆっくり立ち上がる。
名前の通りの蛙のような顔立ちがクッキリ視認できる、横に広いその顏は特に口が蛙を彷彿とさせる形である。
そして、ふくよかな体つきはさぞ普段から贅沢なものをたらふく平らげて作り上げられたものだろう。
「まぁ、君はそのまま座っていたまえ」
ニヤリとガマが笑みを浮かべて部屋の隅まで足を運ぶ、するとロウソクの明かりが壁に掛けられた蠢くモノの正体を暴いた。
「ッ・・・」
マイリアンも腐っても兵士である戦場であらゆる惨状を目の当たりにしてきた。しかし、これは別次元。この光景は未知数。
絶句することしかできなかった。
「・・・君にこれの美しさが分かるかね?いや、わからないだろう、普通の人間にはコレの美しさは理解出来んよ」
壁に掛けられていたのはミイラと見まがいそうになるほどやせ細り声を出せないように猿轡をされた女性と思われる生人間だったのだ。全裸でなければ女性と認識することはできなかっただろう。
その程度であればマイリアンは絶句まではしなかったはずである。
マイリアンを絶句に至らしめたのは別の要因なのだ。
壁に掛けられたその人物は手足がもがれている、4本全て。
さらに肩を抉られた穴に鎖を通され壁に吊るされている。
骨と皮だけ、手足さえない。そして、もう一度確認する。
間違いない
彼女は生きたまま壁に掛けられているのだ。
「この芸術作品を作る過程もまた楽しいものだよ・・・いっきに全過程をやってしまうと死んでしまうから一工程ずつ施工していくんだ」
ひとつ作るのにどんだけ時間がかかるんだ・・?
数年かかるじゃねぇか?その間も苦しみ続ける・・・流石に気分が悪くなってくるぜ・・・。
口に手を当ててその生きた作品をみているとマイリアンの足を何者かが掴んだ。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
こんな状況では誰でも悲鳴の一つ位上げるだろう。
マイリアンは椅子から飛び退く。
「ん?どうしたかね?」
ガマが戻って来てマイリアンの足元を照らすと両足の無い裸の女性が縋りよってきていたのがわかった。
吊るされている女性よりも肉付きがある、手がまだ残っているので死なないように調整中なのだろう。
ギョロリとした死相の浮かんだ眼光がマイリアンに助けを求めている。
「うひぃ・・・キモチワリィ・・・」
「そうだ、これからこの子の片腕を切断するんだが見ていくかい?」
!?
冗談じゃねぇ!テメェみたいな狂人に付き合ってられねぇよ!!
「申し訳ないですけど、そろそろ警備に戻らないと・・・」
まぁ今日は休みなんだが。
「ふむ、そうかね。戻る前に報酬をやらねばな」
ガマがテーブルの上に金貨がギッシリ詰まった袋を置く。
「うひょお!すっげぇぇ!!いいんスか!?こんな大金!!」
「いいんだよ、儂を騙そうとしていた小賢しいネズミを殺してくれたんだ」
「・・・へへ、じゃあ遠慮なく!それにしてもよくそいつが騙そうとしてるってわかりましたね」
ガマはマイリアンにすがり寄った女性の上に重量のある腰を勢いよく降ろした。
血反吐を吐いたのを満足そうに見ると座ったままマイリアンの質問に答える。
「金を積めばできないことなどない、裏切らせて情報を貰うことも、君に殺しを依頼するのも・・・ね」
「なるほど!勉強になります!!」
「儂は君の事が気に入ったよ、金で動く素直な人間だ。これからは奴隷集めを手伝ってもらいたいのだが・・・どうかね?」
マイリアンの返答はやや食い気味に帰ってくる。
「もちろんですとも!!」
―― 同刻、秘密の場所 ――
「離して!離してよ!!」
ルミアがナイフを持った手を掴まれて振りほどこうともがいている。
「・・・」
隊長はルミアの腕をガッチリ掴み離そうとしないし言葉も発しない。
「邪魔しないでよ!!私は生きてちゃいけないの!!離してよぉ!!!」
ルミアは必死に蹴ったり叩いたりしているが鎧を着こんでる相手には微塵もダメージは与えられない。
「死ぬのは・・・よくない・・・」
隊長がルミアを優しく抱きしめて身動きを封じてしまった。
「!?」
硬い甲冑はトゲトゲしてて痛かったしなによりとても冷たかった。まるで、あの時のお母さんみたいに冷たかった。
でも・・・兜の隙間から零れてきた水は暴れようとする私の頬に当たって・・・
不思議なぐらい、温かく感じたんだ。
だから私は抵抗をやめてしまった。
「ねぇ、隊長さん痛いから離して?もう、大丈夫だから・・・ねぇ、隊長さん?」
「ZZZZZ・・・・・」
「おーい、刺すよ?ねぇ、ねぇってば、ねぇ、ねぇったら!!!」
ガッチリ抱きかかえたまま眠ってしまった、ルミアの力では振りほどくことが出来ずわめき続けて起きるのをひたすら待つことになるのだった・・・
忍者ゲーやってるんだけどクッソしんどい
ダークソ〇ルのほうが楽しく進める・・・
もうチョ〇ボに逃げてチョコ〇臭くなってくるしかない




