第14話 青龍教7聖人貪食の席代理666s『変異』の零面相死亡
最近活動報告の投稿サボってるわー
まぁ魔王の花やってる間は更新しないでいいか。
スープを引っ被ったルミアが風呂と夕食を済ませ、すっかり日が沈んだ頃。ヘレンは城の自室でスマホの充電をしていた。想像以上にルミアがスマホに興味を示したので明日も少し触らせてあげることにしたのだ。
充電と言っても当然この国の文明力では電気など通っている筈もない。なので充電器の金属部分を握って自分の手から直接電気を流しスマホを充電している。
久々ということもあり電圧の調整が非常に難しい。以前使っていたスマホはプラグを差し込むのを横着し今やっている方法で充電したら爆裂四散した。
それ以降可能であれば必ずプラグを差し込んで充電していたのだが今回は不可能。スマホも買い替えが出来ないので慎重に充電中である。
誰かの気配がこちらに向かっていることに気が付き電流を止めてスマホと充電器を隠す。
ドアがノックされるとヘレンが返事をする前にドアを開けてズカズカと兵士が一人で入ってくる。マイリアンという名の兵士である。
「ヘレン殿、話があります」
「・・・こんな夜更けにですか?」
マイリアン・ヘクター・バール、この二ヵ月でコイツがあの襲撃を計画したことを突き止めた。嗅ぎまわっていたのがバレたようだ、しかしそんなヘマはしてない、断言できる。どうせ預言士が知らせたといったところだろう。
間違いない。手段はわからないが預言士の未来を予言する能力は本物だ。
「・・・大方要件は分かってんだろ?奴隷風情が」
「今この国に奴隷は存在しないんですよ?知ってました?情弱さん。で?どこまで連れてく気ですか?」
召使いは元奴隷、エア国王が奴隷制度を撤廃したが兵士の多くは納得していない。10年以上経った今でも。
「いいから来い、随分あのガキに入れ込んでるらしいな?従わないなら・・・わかるだろ?」
「・・・」
ヘレンがマイリアンを睨みつけ立ち上がる。マイリアンはヘレンの静かな憤りに気圧され冷や汗をかく。
「こっちだ」
冷静を装うマイリアンだったがヘレンを案内し終わるまで後ろから首を跳ね飛ばされるのではないかと心臓が破裂せんばかりに脈打ち汗で全身をぐっしょりにしてしまった。
―― ルミアの部屋 ――
「おいルミア起きろッ!!」
「うぶッ!!」
ゲバルトの乱暴な声で起こされたのではなく腹部を殴られた痛みで眠りから叩き起こされた。
「テメェ!ただでさえショボい飯だってのにお前が遅れたせいでボクちんは5分も待たされたんだ!!呑気に寝てるんじゃねぇ!!」
「あ、・・・ぐぅッ・・・」
いきなり腹部を殴られた強烈な痛みは声にならないほどだった。しかし、そんな事はゲバルトからしたらどうでもいい事だ。
「ッ~!! さっさと起きろこの愚図!!」
ゲバルトはルミアの髪を引っ張り上げてから頬を全力でビンタした。
「あぐっ! ごめん、なさい・・・許、して・・・」
痛みを堪えてなんとか謝罪を言葉にする。
「『許して下さい』だろうがよ!!謝る気あるのかよこのカスがよぉ!オイ!!」
今度は両手で髪の毛を掴まれて激しく揺さぶられる。
「う・・・うわああぁぁあ!!!!!!!」
その時の瞬間、ルミアが叫びながら自分で取った行動は、よく覚えていない。
ただ我に返った時に、お兄ちゃんは私の髪束を両手に握ったまま後ろの壁に震えながらもたれかかっていた。
「お前・・・なんでそんなモン持ってやがる!!」
ヘレンのナイフを両手で握りしめてゲバルトに突き付けていた。無我夢中でナイフを取り出し、自分の髪をバッサリ切ってその刃を実の兄に向けていたのだ。
「どっ・・・どうする気だ!!止めろ!!な、なんだよ、ぼぼ、ボクちんが悪いっていうのかよ!?」
「そうだよ死ねよ!!」って叫んでナイフでゲバルトを刺そうとした。でも悲しそうなお父さんとお母さんの顏が頭に浮かんで殺しに向かおうとした心を体が止めた。
「これ以上は・・・何もしないから私の事は放っておいて・・・お父さんとお母さんの前では今まで通りでいて・・・心配はかけたくないから・・・」
ルミアが幾つか荒々しい呼吸をおいてから、もう一度叫ぶ。
「分かったら私の部屋から出てけぇ!!!」
「ひ、ひぃいぃいぃぃいぃぃいいぃ!!」
ゲバルトがお漏らしして泣きじゃくりながらルミアの部屋から出ていく。
ゲバルトを脅したルミアはゲバルト以上に泣き、震えながら膝をつき、暫く罪悪感に苛まれ続けた。
―― 地下牢 ――
「ここ、地下牢ですよね?今、使われてない。私初めてきたかも」
ヘレンはマイリアンに語り掛けるが反応はない、いかにビビっているかよくわかる。
「ふん・・・」
真っ暗で埃臭い地下牢、薄っすらと古い血の臭いもする。ヘレンは目を閉じて辺りの気配を探る。
暗がりや物影に兵士が何人も居る。明らかに始末する気なのだろうが殺意や闘志は感じられないのが不気味だった。
「・・・!」
嫌な気配がある、この気配は預言士のものだ。後もう一つ覚えのない気配が。子供・・・?
「到着だ」
マイリアンがそう言うと地下牢にあるロウソクやランタン全て同時に明かりが灯り、兵士たちがヘレンを囲むように立つ。そして先ほどの覚えのない気配の持ち主が敵意を向けてきた。
「・・・現、勇者ね」
背丈に合わない赤いマントを引きずり、その小さい体にはどう見ても見合っていない不格好な剣を両手で持っている。
切っ先に向かうにつれて刀身が太くなる特徴的な剣は勇者の家系に代々受け継がれている伝説の剣である。この剣を受け継がれた者が選ばれし者、勇者なのだ。
「処刑ってところね?」
「随分と余裕そうだねぇ・・・ヒヒ」
勇者の隣に佇んでいた預言士が上機嫌にヘレンに声をかけた。
「アタイ一人が怖くって子供に犯罪の片棒担がせるんだ?」
「舐めていると痛い目に遭うよぉ?零面相さんや・・・」
預言士に零面相と呼ばれるとは。となるとアタイが青龍教7聖人というのもバレているだろう。教団から回収を命令された匣の事も。
「ヲォルト!やっちまえ!!」
「ヒーローヲォルト!期待してるぞ!!」
「イキった奴隷なんでぶっ殺せぇぇえ!!」
辺りの雑魚共が勇者をはやし立てる。その声援に押されるようにルミアと同い年の勇者、ヲォルトがヘレンに切りかかる。
子供の甘い剣閃だ、余裕で防げる。食堂から拝借した果物ナイフで勇者の剣を弾く―――
事が出来たならヘレンはルミアとの誓いを守れたのかもしれない。勇者の剣は果物ナイフの刃に喰らいついたと思ったがそのままナイフの刃事切り裂く。ヘレンの反応は間に合わなかったらしい。首に刃が食い込む、その刹那が過ぎた瞬間痛みを感じる間もなくヘレンの首と体が分離してしまう。
空中を何回か回転した頭部が鈍い音を立てて床に落ちる。首から下は血を辺りに撒き散らしながら膝から崩れ落ちた。兵士たちの歓声が新しく生暖かい血の香りが冷たい地下牢の空気を温めた。
ゲバルトとマイリアンは素敵なお方ですね。
僕は大嫌いです。
次回はエアとペンナです。




