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第1話 ボクちんは素敵な王

99.9%の皆さま

はじめまして、クソ作者ガチ勢のχダニャンです!

3作品目になります。

(1つは超更新遅い、まだ見なくていい)

前作の「狐につつまれて」もよろしくねー!

今作も前作も相変わらず付箋とか0なので白目で

ご愛読お願いいたします。


俺が書く作品は全て宇宙外生命体が地球に

憧れ創造した惑星「星母マリア」での物語です。

なので俺の別作品とうっすら繋がっていたりもしますので

よかったら「狐につつまれて」も見てみて下さいねー


「狐につつまれて」に名前だけが出てきていた彼が登場しますよ。

ついでに前作のテーマを明かし忘れたのでここで紹介します。


「狐につつまれて」

テーマ「親心」


魔王の花

テーマ「破滅」


キーワードを見ればわかるでしょうが

救いなどありません。


※全話修正完了しました。大分見やすくなって誤字等のミスも減った筈です(撲滅は出来てない気がする)ただし私は重篤な三点リーダーアレルギーを持っているのでそれは治す気が無いです。

アレルギーが完治したら修正するかもしれないけど。

「う~、もーちょい・・・」


ピンクのおさげに紫のシンプルなドレスを着た少女は赤い果実、とどのつまりリンゴに興味を持って木登りに興じているらしい。今、必死に木をよじ登ってなんとかに果実に手を伸ばしている。


ソバカス顔が特徴的な彼女の名はルミア。今年で19歳になる。せっかくの服が汚れることなど眼中にない様子は世間知らずの現れのようである。


さて、彼女が登ってるリンゴの木は崖の縁に生えており真っ赤な果実は地上から手が届く位置には生えててはくれない。欲するのであればよじ乗るしかなかったのだ、落ちれば崖の下真っ逆さま。そんな位置にしか実は生っていなかった。


真下は崖だと言うのに不自然な程臆することなく果実との距離を縮めていく。その様は余程の愚か者のように写る事だろう、なんにせよあと一息で果実に手が届く。この下は樹海となっていて崖の下には鬱蒼とした緑が一面に敷き詰められている。


「よぉし、届く・・・とど・・・」


ミシミシと嫌な音をたてる枝。それはそうだ、枝は先端になるにつれて先細っていくのは世の常と言ってもいい。


その手に果実が触れた時だ、余りにも予想通りにボキリと怪奇音を奏でた。


一瞬心臓がフワッとした感覚、ほぼ同時に始まる自由落下に目の前の果実の事も頭からこぼれ落ちた。

しかし果実はガッチリ握っていた。


「きゃあぁあああああぁぁ!!!」


数秒の後、バスン!!っと勢いよく尻が地面に叩きつけられる、臀部からの強烈な痛みが「いったぁぁぁい!!!」とルミアに口を開かせる。ジ~ンっと尻の辺りが痺れている。うっすらと涙が滲む程度には痛い。


運が良かったのは茂みに落下したおかげで痛い程度で済んだ事である。硬い地面に落ちたのなら骨にまでダメージが出ていたかもしれない。葉っぱを払いながらガサガサと茂みから出てくる。


「あ~あ、落ちちゃった・・・。この崖登るのは辛そうだなぁ・・・どうしよ・・・(グゥ~)お腹すいた・・・・そいえば昨日から何も食べてないや」


手に入れた果実をじっと見つめる。


「いやいやいや!!毒かもしれないよ!?

食べない食べない!食べるわけが・・・(ぐぐぅ~)


 ―― 0.5秒後 ――


「おいし~!!シャリシャリしてる!!

あぁ!!中が白い!?なにコレ!?うわ~!!面白い!!」


崖の上にチラリと視線を向けるが誰かが来る様子はない。当然だ、こんな所に人が来る筈ないのだ。ルミアはガッカリしたような安堵したかのような判別の難しい顔をすると齧りかけの果実に視線を戻した。


だが崖から落ちてまで手にした果実の事は次の瞬間どうでも良くなる。木々が作り出す薄暗い闇からガサガサと音が聞こえ始めたからだ。


「!? 何!??」


音はみるみる近づいてくる、落下した音を聞き付けてこっちに向かってきているのは明白であった。何かが、得体の知れぬ何かがやってくる。


ルミアは護身用に貰ったナイフを構えるが恐怖で体が竦んでしまったのだろうか?固まって動かない。


音が近づくのに比例して心臓の鼓動にも拍車が掛かる。あせが滲む・・・いや、吹き出すと言った方が正しいか。樹海の闇から来るそれに向けた切っ先はしかし震えている。そしてついにその音の正体がルミアの目の前に飛び出した。


「いやぁぁぁぁぁぁあ!!」


ルミアの悲鳴は樹海に少しばかり木霊しての闇に飲まれるように消えていった。


 ―― 城内・謁見室 ――


城の兵たちがバタバタと慌てふためき、いつも以上に甲冑から発せられる音がガチャガチャと煩わしい。


「ゲバルト国王!!大変です!!」

「はぁ・・・」


思わずため息が出てしまう、要件はわかりきっている上に王にとってどうでもいい事なのだ。


「ルミアだろ?いつものことだ放っておけよメンドクサイな。それよりも来週のダンスパーティーの準備でも進めておけ」

「え!?パーティーは昨日行ったばかりですが・・・」

「文句あるのか?」

「いえ・・・ただ資金はどこから・・・」


兵士の疑問も当然かもしれない、今月だけでもう既に3回は豪勢なパーティーが開かれていたのだ。しかも今回は予定に組まれていないパーティーだ。

資金の心配も当然といえば当然かもしれない。


「その為に税率を上げたんだろう?」

「また暴動が起きますよ!!」

「その為の兵士と勇者だろ?いい金貰ってんだからその位は働きなさいよ。とにかくボクちんは美しい女性と踊り明かしたいのだ」


ゲバルト国王は玉座から立ち上がりご機嫌に社交ダンスの素振りを兵士に見せつける。


「はあ・・・」


やや呆れた様子で返事をしたその兵士にゲバルトがそっと耳打ちする。


「頑張ってくれたら次の給料50%アーップ・・・」

「はい!このマイリアン・ヘクター・バール命に代えても国王のご期待に応えて見せましょう!!」


給料アップにつられたマイリアンはビシ!と敬礼してキビキビとした足取りで謁見室から出ていった。


「はッ!現金な奴だ・・・ま、金で操作できる人間は楽でいいな!!それでこそボクちんの家来!」


次のパーティーに心をときめかせているとマイリアンと入れ替わるようにして別の兵士がバタバタと駆け込んできた。


「ゲバルト国王!大変です!!」

「今度はなんだ、ルミアなら平気だ!あのマヌケヅラの穀潰しがレジスタンスと関わってるわけねぇだろ!」

「いえ、ルミア様は城下町から抜け出して樹海に入ってしまったと報告が!!」


辺りの兵士が樹海と聞いてどよめく。樹海には魔族が多くまともな人間ならば近づかない場所なのである。


「なんだ、いいことじゃないか。ほっといたら死んでくれるんだろ?」


ゲバルト国王の言葉を聞いて後ろに控えていた大臣が遂に怒りを抑えることができなくなり声を上げた。


「なんてことを!両親亡き今、たった一人の家族ではありませんか!」

「は!パパが国の予言を無視して育てただけの穀潰しじゃないか!しかもレジスタンスと組んでるとか言われんだぞ?死んで喜ぶ奴が居ても悲しむ奴はいないのさ」

「いい加減(にしな)いい加減にするのはどっちだ!?あぁ!!??何様だよお前?死刑だ、おいこの豚を連れていけ」

「な!?止めろ!離せ!!正気か貴様ら!?」


兵士が瞬く間に大臣と取り囲み連行していく。兵の動きに一切の躊躇や迷いはない。大臣は現国王とその傀儡と果てた兵士共を睨みながら最後の言葉を零す。


「・・・どうやらこの国はもう終わりのようですな。貴方が無様に死ぬ様をあの世から見ていましょう」

「立場がわかってないなぁ、おいそこのお前、それを貸せ」

「は!」


ゲバルト国王に声をかけられた兵士が持っている槍を手渡す。


「なにを・・・」

「決まってるだろ?」


大臣の腹部から背中にかけて激烈な痛みが走り血が吹き出す。その背中からは鮮血に身を濡らす銀が顔を覗かせている。


「ぎゃあああぁぁぁぁああ!!!」


断末魔を空間いっぱいに響かせる。もがくように、あるいはすがり付くようにも見えただろうか、自身を貫いた槍を握った。だが、そうした所で引き抜ける訳でもないし抵抗できる訳でもない。それはただの反射で、大臣の意思が介入する余地などなかった。


暗くなる意識の中、大臣が最後に目にしたのは自分の死の瞬間を狂気に支配された笑顔で待つ国王の姿だった。

「エア・・・国・・お・・・・・」

「お前はずっと嫌いだったんだ!パパに支えてたからって図に乗るな!!今はボクちんが一番偉いんだぞ!??」


ゲバルト国王が槍を引き抜くと大臣が血溜りの上に崩れ落ちた。


「これでうるさい老害も居なくなった!ようやくボクちんの好きなようにできる!

ウハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハヘハ!へハハハハ!!」


笑いながら肉塊になった大臣に

何度も、

何度も何度も、

何度も何度も何度も、

何度も何度も何度も何度も、

何度も、何度も、何度も、何度も、、何度も、、何度も、、何度も、、何度も、、何度も、、何度も、、何度も何度も、、何度も何度も、、何度も何度も、、何度も何度も、、何度も何度も何度も、、何度も何度も何度も、、何度も何度も何度も、、何度も何度も何度も何度も、、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

槍を突き立て続ける。


笑う王の足元で大臣は次第に原型を留めなくなっていった。とても謁見室とは思えない光景と血の芳香をいつまでも王の高笑いが装飾していた。


その狂気に周囲の兵士たちはただ固唾を飲み行為が終るのを待つだけだった。異論を唱える者や反発する者はこの日消えた。

 

―― 翌日 ――


「ゲバルト国王!」

「あ?お前は確かぁ・・・」

「マイリアンです!」

「あぁ!そうだったそうだった。で?会場の準備は進んでる?」

「はい!バッチリですとも!あと、預言士様がコレをゲバルト国王にと・・・」

「ボクちんに?」


マイリアンがゲバルトに手渡したのはボロボロの本であった。


「うわ、かび臭ぇ!」

「預言士様がしっかり読むようにと」

「チッ!わかったよ」


渋々本を読むと日記のような内容だった。大昔の勇者の血筋の物の日記らしい。


昔の日記など興味のないゲバルトだったが預言士からと言われたら読むしかない、奴の言うことに間違いなどない、それ程には心酔しているのだ。そして日記のとある記述に目が留まった。


「神器・ドラゴンスケイル・・・樹海の奥に居ると言われている魔王が持っているとされている伝説の剣だと?」


古く保存状態もよろしくない日記なのでページの後半は殆ど読み取ることはできなかったがゲバルトからすれば読む部分が減って万々歳である。


「欲しい、伝説の剣で神器!!!ボクちんにこそ相応しい剣に違いないぞ!ヲォルトを呼べ!!今すぐだ!!」

「はっ!!」


命令を受けたマイリアンがヲォルトを呼びつける為にガチャガチャと音を立てながら走っていった。


ルミアのやつめ、最後位は役に立って貰うぞ!!やはりボクちんは神様に好かれている!!


「国王殿、本は読んでいただけましたかぃ?」


ゲバルト国王は玉座の辺りを行ったり来たり、余程の伝説の剣に心躍らせているらしい。その姿は王を任せるには余りに稚拙か。


そんな王に薄汚いローブを着た腰の曲がった老婆が「どうだぃ、気になっただろぉよぉ?」とゲバルト国王に声をかける。見窄らしいその見た目は一見この場に不釣り合いであるが、誰もがそれを気にすることはない。


「あぁ、預言士か、見たとも!ドラゴンスケイルが欲しくなった!今その為に勇者を呼びつけているのだ!」

「そうですか、ではルミア様と接触したらコレを渡すよう勇者に渡しておいてくださいませなぁ」


ゲバルト国王に赤い宝石が一つ施されたティアラが渡される。


「これは・・・?」

「これはですねぇ・・・」


 預言士はごにょごにょとゲバルト国王に耳打ちした。

預言士の言葉を聞きゲバルトはとても、とても嬉しそうに笑ったのだった・・・。


 ―― 30分後 ――


玉座の前に跪く栗色の毛髪に赤いマントを身に着けた少年。彼が勇者ヲォルトである。


「・・・というわけでルミアが樹海に迷い込んでしまったようなのだ!ここはぜひとも勇者であるヲォルト、貴殿に頼むほかない!!」

「・・・ルミア様の為ならば命さえ惜しくはありません。必ずや姫様を連れ戻して見せましょう」

「良く言った!わかっていると思うがあの樹海には魔王が待ち構えているそうだ。倒して、武器を奪って戻ってこい!!さっき渡したティアラもルミアに付けてみてくれ!

「はい!必ず!!」


勇者が城を出て樹海へ歩みを進めていく、正義の歩みは決して揺るぎはしないのだ。


勇者ヲォルトは渡されたティアラを見る。

なんの装飾もされてないそれは傍から見れば不自然に写るだろう。何せ唯一の装飾である赤い宝石が外されていて未完の品にしか見えないからだ。


死にゆくルミアには勿体ないと思ったのかもしれない、勇者が来る前に宝石はゲバルトが外していたのだ。


しかしヲォルトはこのティアラをピンクの髪に飾りいじらしく笑うルミアを妄想し頬を紅潮させた。


これは、ありふれた物語。

勇者が魔王から姫様を救うよくあるお話。


これは、ありふれた物語。

魔族が人間を蹂躙するよくあるお話。


これは、ありふれた物語

愚者達が破滅するよくあるお話。


そしてこれは、国が終わる物語――――――

今回は週一回で投稿していこうかなーっと思っています。

よろしくねー!!!


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