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今日から学校と仕事、始まります。①莞

男の金で一度は言ってみたい

作者: 孤独

「相場、せっかくの夏なんだからよ、海に行こうぜ」

「唐突だな、舟」


高校生活。

それはとても暑い夏だろうと、貴重な夏だ。

団扇を仰ぎながら、舟は旅行計画を立てる。


「1泊2日で海を満喫して。坂倉と四葉も誘って、いっちょ思い出作りに海だ。バイトしていたのもその日のためだ」

「あー。そんくらいなら良いな。でも、男4人っておかしいだろう?女も誘うべきだぜ。そーでなきゃよ」


そんなわけで


「坂倉。迎ちゃん経由で大天使の川中さんを旅行に誘ってくれ。それと人数的にバランスが悪いから、追加で2人。誘ってくれ」

「俺にそれを言う!?言うの!?2人きりでプチ旅行の予定あるんですけど!?」

「迎の彼氏で俺達の友達なのはお前しかいないだろ。四葉、お前からも頼む。お前の顔と高身長、残念な性癖を持ってすれば、女子の数人は誘えるだろ?」

「別に構わないが、女子達を誘わなくてもいいんじゃないか?男4人で思い出作りだ」

「怖いこと言うなし、悲しいことを言うな、四葉。夏のホラーよりゾッとしたわ」


やはり旅行に必要なのはイケメンである。

さらに話せるムードメーカー、3枚目役、幹事役。これらが揃っていれば、楽しい旅行の予感はするものだ。


「海かー。それとあと2人?じゃあ、御子柴さんと嶋村さんに当たってみるよ(いつもの)」

「悪いな、迎。」

「四葉くんからの誘いなら行きます!」

「ありがとー、川中さん」

「相場ー、舟ー。あんた達の金で海を楽しんでいいって?それなら行くわよ」

「誰もそんな事は言ってないが、……まぁ少しは俺達が負担してやる」

「お前等も女なんだから、少しは水着に期待するぞ!残念だったら、払わん!」

「丁度、夏らしい動画を挙げたいんでいいですよ。撮影係もやっちゃいます」


アッサリと決まる8人、海旅行。

夏は魔物と、人を大人にさせるのである。



◇        ◇



「はい、あっと言う間に海に来ました!!」

「泳ぐ準備もとい、女性陣と戯れる準備は出来たな!?」


照りつける日差し。ちっと混んでいる海水浴場に男4人が、誘った女性達の水着姿を待っている。


「それにしても、相場も舟も、坂倉も。良い腹筋するね」

「なんでお前は俺達の腹を見る。別のところを見ろ」

「触って良い?」

「止めんか」

「?坂倉、サーフボードなんか持ってどうした?」

「やるからだが?」

「できんの?」


男前アピールかよ。クソが。とも思ったが、まぁ。坂倉には彼女がいるから、少しはカッコイイところを見せたいのは分かる。我慢してやる。

だいたい、女性達と遊ぶことが目的なのだ。


「おー、準備できてるわね」

「お待たせー」


先にやってくるのは、成長中の良い体を見せているというビキニ姿の御子柴と川中。


「ちょっと持ってくださいよ」

「私もカメラを持ってるし」


小道具を持って現れる、可愛い系の水着で登場する迎と嶋村。

おおーって、4人の男性が声をあげる程の事だ。

やっぱり誘って正解だって分かる。


「川中さんの水着見れて良かったー。やっぱり可愛いー」

「えっ、か、可愛い?あ、ありがとう」

「もちろんもちろん!」

「当然、川中さんは光り輝いているね。一方で、御子柴も魅惑な水着姿だ。月みたいだ」

「四葉に褒められるのはなんか意外で嬉しいわね」



2人のスタイルが良いから、こーいう事は当たり前と分かっている迎。だけれど、


「迎には迎の良い所があるよ」

「坂倉くん」

「まぁ、なんだ。みんなといるけど、今日も俺と楽しもうぜ」

「………うん」

「おやおや。お熱いですね。思い出作りは任せてください」

「楽しめる気がしないから、少しはフェードアウトしてくれよ。嶋村」


そうして始まる海の思い出作り。

今も嶋村のビデオカメラが回っていて、御子柴は迫真の演技を見せるかのように


「さーっ。海に来たし、まずやることは」


『せーのっ』て、掛け声を3人はした気がする。ぎこちない、川中と迎のためだった。

ドッキリにしてはとんでもねぇけど、男達に海へと誘われたら一度は言ってみたい。意地悪な仕掛け。

川中と迎はドキドキした心が、声になって現れて。


「「「男共の金で、イケメンをナンパしに行くぞーーー!!」」」



ズコーーーーッ


とんでもねぇ宣言かつ意地悪な言葉に、舟と相場、坂倉は砂浜でひっくり返る。

それをしっかりと撮影する嶋村。


「まずは思い出一枚。ゲットです」

「お前等、俺達の金をなんだと思ってる!?」

「私の財布がなんなのよ?」

「お前には一円も払わんわーー!」


ひっくり返りながら、慣れた抗議をする舟と相場。


「む、迎!?」

「じょ、冗談冗談。御子柴さんが一緒に言おうって。坂倉くん、一緒に遊ぼう」

「はははははは。今のは良いジョークだったね」

「あはっ。はははは。四葉くん、ビーチバレーでもしよー」


思い出の大半は、自分達で作っていくものである。



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