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終わり往く世界、歩み往く男。  作者: 千代
砂漠の街パスアルカ
2/15

「まいったな……なんだこりゃあ」


 彼が来たのは、砂漠の辺境パスアルカだった。

パスアルカは、大陸最大の砂漠とそれに隣接する山脈の合間にある中継地点であり、そのため旅人が多く集まり、その地域の持つ不幸な環境に反して活気がかなりあった町という記憶があったはず"だった"。


しかし、彼の目に飛び込んできたのは、その記憶とはかけ離れた荒れ果てた町の姿だった。


町の中央を大きく縦断している大通りは、人が通った形跡がなく砂埃に塗れ、目が痛くなりそうであった。


まるで町という生き物の抜け殻のように思えたが、しばらく歩くと旅人と冒険者の情報交換の場でもある酒場が目に入った。


彼は砂から逃げるように小走りでその酒場へと近づいた。

酒場は閉まっているように思えたが、扉を押してみたところ砂の擦れた音とともにゆっくりと開いた。


どうやら砂が店内に入らないように扉を閉ざしていただけのようだった。

だが、店内は開店休業状態であった。


カウンターの中には、タバコを吹かして座り込み、こちらに目線すら向けない齢30近くの女性がいた。


「おい……ここはどうしちまったんだ?」


 その女へと声をかけると、女はタバコの煙を大きく吐き、明らかにこちらに聞こえる大きさで舌打ちをした。


「あぁ?見りゃわかんだろ。この町はおしまいだよ。あんたも早く消えな」


 気怠そうに答えた女に腹が立つところではあったが、ここで怒りに身を任せたところで物事が進展するとは思えなかった。


「……邪魔したな」


 そう言い、店を去ろうとした時「カーグエェ」と隣で寄り添う翼竜が一鳴きした。


どうした、と翼竜を見ると翼竜は酒場の角へと首を伸ばしていた。


その視線の先へ目を凝らすと、薄暗い店内のその更に暗い角の机に一人の男が座っていた。

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