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「この方々に見覚えはありますか。」
サイトウはランサムへ問いかけた。ランサムは非常に強い衝撃を受けた気がしたがそれが何かは思い出せなかった。
「ない……ような気がするが、そちらの方にはどこかで会ったような気もする……」
ランサムの答えにサイトウは苦笑いをし、覚えている気がすると思った人間は少し悲しそうな顔をしたのをランサムは見逃さなかった。
「そうですか……やれやれ、当時のお姿に出来るだけ似せてモデリングしたのですがね。」
モデリング……
口には出さなかったが、さっきからよく分からない言葉が出続けているとランサムは感じていた。でもランサムはその言葉を遠い昔知っていたような気もするのだ。
「このお方は、あなたのお母さまです。」
サイトウは冗談を言っているのだろランサムは初め思った。なぜならランサムは親などいないと思っていたからだ。
「俺に……親はいない……はずだ」
「いいえ、この方は18年前の2058年当時のモデルである紛れもないあなたランサムさまのお母さまなのです。」
「18年前……だと?」
「左様です。本ゲームは、18年前の2058年に世界初の全感覚没入型仮想空間ゲームとしてサービスを開始したのです。」
「さっきから言っているゲーム……ゲームだったというのか?」
「…………頭が混乱している現在のランサムさまにいきなりご理解いただくのは酷かもしれません。」
「いや……そんなはずは……俺はあそこで孤高の旅人として……」
「ログイン時間が長期間に及ぶ方は、稀に現実と仮想空間の判別がつかなくなる場合がございます。それが社会問題ともなっておりました。特にランサムさまにおきましてはログアウトせずにログインし続けている状態であったため、あちらの世界が現実であると脳が錯覚してしまっているのです。」
「いや……それでも……」
「ここはご理解ご納得していただかなければなりません。ではないと、この後のお話に進むことができません。」
狼狽えるランサムにサイトウは冷静にかつ冷酷に伝えた。
ランサムは、納得できるわけがなかったが、話が見えてこないので無理に納得せざるを得なかった。
「わかった……納得はできないが言っていることを理解は、するよう努めよう。そして次はなんだ……」
「ここからは私が話そう」
サイトウが召還した二人の人間のうちの片方の人間が口を開いた。白いスーツを来ているが、髪までも白い。口ひげも白くまるで白を基調としているかのような老人だった。




