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終焉していく世界で生きる孤独な人間の近未来小説。
君は世界の終わりの日に林檎の種子を植えるのか?
荒れ果てた荒野を往く一人の旅人。
その男はこの世界パンゲアにおいて孤高の旅人であり、かつ名の知れた存在であった。
その知名度からすり寄ってくる人は数知れずいたが、彼はその全てを拒絶した。彼においての全ては、彼と共に旅を続ける一匹の翼竜であった。
彼とその翼竜との出会いは、もう10年ほど前になる。
当時の彼は、既に無類の強さを誇ってはいたが名の知れた存在ではなかった。
なぜならば、彼を知る術が世界にはなかったからだ。
このパンゲアにおいて世界的に大々的に仰々しく行われた大陸間大会に出場した彼は、見事優勝を果たした。
初代王者として与えられたものは、なんの為にもならない称号と、この翼竜の幼体であった。
それまで一人であった彼はそれ移行、翼竜と共に旅を続けそして力をつけていった。
ただ最近、彼には大きな気がかりがあった。
それは、世界の様子がおかしいことだった。
日中だというのに空が暗くなり、惑星が光ったと思えば山脈からは火を噴き、砂漠では竜巻が発生したと思えば大雨が降ったりする。
まるで終末の世界へと突入したような感覚に陥ったのだった。
人と接し情報のやり取りをしない彼であったが、今回ばかりはさすがに情報収集へと町へと赴いた。




