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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第1章 漂流者
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第8話 狩りの時間

「これすごいイイですね」


 アルドラの地下倉庫から、手に入れた魔杖、カシラの杖。

 この森の奥深くに自生するカシラと言う木を加工して作られた長さ130センチ前後の杖だ。

 魔杖と言うものの、見た目は何の飾り気もない無骨な木の棒である。


 俺は杖を正眼に構え魔物と対峙している。


『カシラの杖は魔力操作への補助効果があるとされている。魔術師見習いの為にあるような杖じゃ、お主にはピッタリじゃろう』


 距離を保ち、油断なく構える俺に痺れを切らしたのか、魔物は正面から突っ込んでくる。


 それじゃ当ててくれって、言ってるようなもんだろ。


 バァンッ


 杖の先から、紫電のの閃光が迸った。

 その一瞬で魔物の上半身は消し飛んだのだった。


「あー、もうちょい威力セーブしないと、魔石もろとも消し飛ばしちゃうな……」


『どうでもいいが、魔術の威力もさることながら、魔力量も相当じゃのう。かれこれ3時間は撃ちっぱなしじゃろ』


「自分でも多いかなとは思ってたんですが、やっぱ多い方ですか?」


『相当多いな。エルフ族よりも数段上じゃろう』


 魔力量、つまりゲームで言うところの最大MPである。

 これは個人差はあるものの種族によって大方決まっていて、レベルが上ってもほとんど上昇しない。

 仮に人族を基準にMP100とするとエルフ族でMP1000、ドワーフ族でMP30、獣人族でMP50位だという。

 どの種族も生まれた直後は、非常に低いが年齢とともに増加し、遅くても成人する前までには、それぞれの種族の基準値くらいにはなるようだ。

 もちろんMPは魔術を扱う上で、非常に重要なステータスなのは間違いない。

 大規模な魔術や、複雑かつ高度な魔術は大量のMPを消費するため、そもそもMPの低いドワーフや獣人では発動させることさえ出来ないのだ。


 したがってMPの少ない種族が魔術師としてやっていくには、非常に高価な最大MP増幅効果のある魔装具や魔導具の利用か、魔石を触媒にしてMPの補填を行うしか無い。

 どちらも大金が必要になるため、簡単ではないようだ。


「そういえば、アルドラさん村から出られるんですね」


『あまり遠くまでは行けんがの。この辺りまでは大丈夫のようじゃ』


 俺は地下倉庫で手に入れた装備を身につけ狩りに来ている。

 アルドラさんも暇だからと言ってついてきてくれた。

 この森を知り尽くしているアルドラさんが一緒だと心強い。


『む、大物がきたぞジン。その向こうの岩陰におる』


「了解」


 ウッドゴーレム 魔導兵Lv6

 

 ウッドマン 魔導人形Lv3


 木の蔓をより集めて作られたような、ヒョロっとした木の人形がウッドマン。

 それのボスっぽい巨大なやつがゴーレムだ。

 どちらもこの近くの遺跡内部に住み着いているやつらしいが、たまに表に出てくるものもいるんだとか。


 ウッドゴーレムに引き連れられて、大量のウッドマンがワラワラと襲い掛かってくる。

 なんだかヒョロヒョロとしていて、見てくれは滑稽だが、その腕は鞭のようにしなり、防具を付けていない箇所で攻撃を受ければ相当なダメージを食らう。

 俺も一度食らって手痛い思いをしたため、油断はできない。


 雷連撃


 杖先から連続で放たれる雷撃にウッドマンが次々と倒れていく。

 威力を抑えつつ、連射速度を上げてみたがうまく行ったようだ。 


 撃ち漏らした何体かのウッドマンが俺に肉薄する。

 その腕が鞭の様にしなり、襲い掛かってきた。


 俺は杖を縦に構え、攻撃を避ける。

 多少ダメージを受けるが、直撃は回避できた。

 疾風の革靴が効いているのか、足が軽い。

 俺は杖を構え直し、雷付与した杖を正中線に突き入れる。


 ダァンッ


 ウッドマンの体に15センチほどの穴が開く。

 そしてそのまま糸の切れた操り人形の様に、その場に崩れ落ちた。


「ウッドマンに雷はよく効くみたいだね」


 離れた相手には電撃。

 近づいてくれば雷付与した杖での突きか打撃で捌いていく。

 ウッドマンは僅かな時間で、その数を瞬く間に減らしていった。


『油断するでない』


 ゴオォォォォーーーッ


 ウッドゴーレムが地響きのような唸り声を上げながら迫り来る。

 後方で状況を静観していた巨兵は、まるで怒りに震えるように体を揺らし、その豪腕を振り下ろした。


 ドォンッ


 振り下ろされた拳が大地を揺らす。

 

「うおぉッ、あぶね」


 ゴーレムは5メートルは、あろうかという巨体だが、横幅はなく縦に長い感じだ。

 人間と比べると体の比率に対して、腕が長く、そのリーチを活かした攻撃を主体にしているようだった。


 これは魔術が使えない者が相対すると、苦労しそうだな。


 俺はバックステップで距離を取り、杖を構えた。

 雷付与で強化された杖からの、最大威力の雷撃を放つ。


 ズガアァァァーーーンッ


 激しい稲妻がゴーレムを襲う。

 左腕もろとも半身が吹き飛び、ゴーレムは沈黙した。

 ゴーレムを攻撃した余波で、周囲に居たウッドマンにもダメージが行ったようだった。


 ゴーレムを倒した為なのか、残ったウッドマンはそれぞれ撤退していく。


『その藪の向こうに、ウッドマンどもがねぐらとしておる遺跡の入り口があるが、入ってはならんぞ』


 遺跡とは言っても、既に遥か昔にアルドラさんたちが探索し尽くして、期待するような宝などは無いとのことだ。

 それに今だに稼働している罠も多数あるので危険らしい。


「何かいいスキル持ってる魔物がいるなら、いいんですけど」


『魔物はウッドマンくらいしか、いなかったと思ったがの』 


 魔石に付着しているスキルは、その魔物が有しているスキル。

 おそらくそれは間違いない。

 俺はスキルの収集のために、しばらくこの村に留まり魔物狩りを続けることに決めた。  


 そうこうしている内に3日が過ぎていた。


 


>>>>>




 鹿島仁 漂流者Lv8

 人族 17歳 男性

 スキルポイント 0/8

 特性 魔眼

 雷魔術 D級(雷撃 雷付与 雷連撃 雷刃旋風 雷双撃)

 火魔術 F級(灯火)

 闇魔術(魔力吸収)

  体術

  剣術

  鞭術

  探知 F級(嗅覚 魔力)


 周辺にいる魔物を倒し、魔石を得てスキルを順調に修得していった。

 夜間では出現する魔物の種類が変わると聞いて、夜間の狩りにも出かけた。

 俺は月明かりのせいで、夜でも周囲がよく見えていると思っていたのだが、どうも魔眼のおかげだったようだ。

 

 ちなみにエルフは夜目が効くそうなので、アルドラさんも問題ないらしい。

 まぁ亡霊なので、どうでもいいことだが。

 

「アルドラさん、この辺の夜の魔物ってワイルドドックとスティールバットしか居ないんですか?」


 俺はアルドラさんを連れ立って、夜の狩りに来ている。

 昼間の村周辺でのスキル収集という名の狩りは、だいたい終了したと思っている。

 そもそも強力な魔物は、村の戦士たちが狩っていたため、周辺には弱い魔物しかいないのだ。

 レベルを上げるためには、ある程度拮抗した相手でなければいけないようで、そのため俺のレベルもそろそろ上がり辛くなってきていた。


『わしも全てを把握しているわけでは、ないからのう』


 俺は夜の森を、周囲を警戒しつつ探索を続けた。

 インプから得た魔力探知とワイルドドックから得た嗅覚探知で獲物を探す。

 ポイントが足りないため、F級と低いが、無いよりかだいぶマシである。

 

 それからしばらく探索を続けたが、見つかるのはワイルドドックとスティールバットのみで、新しい魔物には出会えなかった。

 夜の間は敵に見つかりづらく、また見つかった後も、敵に捉われにくくなるという魔装具、影隠の外套。

 これのお陰で、魔物を発見後ほぼ先制攻撃できるし、魔物の群れに囲まれたとしても、ほとんど攻撃を受けることがなくなった。   

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