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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第2章 自由都市ベイル
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第67話 エルフの秘薬11

 リザの小さな唇と重ね合う。



 情熱的に激しく求める動きに、リザもぎこちないながらも合わせてくる。


 永遠にこのままでいたいという誘惑に駆られるが、そうも言ってられない。


【魔力吸収】


 小型の蝙蝠系の魔物から修得した魔術。

 奴らは対象の獲物に噛みつき、魔力を奪い糧としている。


 これは相手に触れれば発動できるタイプの魔術だ。


 だが使い方によっては、もっと効率的に魔力を吸い上げる方法があるのではと考えていた。


 まぁ実験はしなかった。というか出来なかったわけだが。


 舌を吸い上げ、甘噛みする。


「んッ、んんん~んっ……あっん」


 甘く切ない声が漏れる。



 

 ズズズズズズズズズ……




 ゆっくりと俺の体内に魔力が流れ込んでくる。


 エルフは妖精種の中でも特に魔力総量で多いことで知られている。


 魔力総量というのは、いわゆるMP最大値の様なものだ。


 魔術やスキルを使用すると消耗し、使いきれば動けなくなったり気絶することもあるという。


 しかしハーフだとエルフとは違って魔力総量はハーフだけに半減されているのでは?と思うが、そうでもないらしい。


 エルフより僅かに少ないだけで、ほぼ変わらず高い魔力総量を持つのがハーフエルフらしいのだ。


 ハーフエルフは魔術師として優秀なエルフの半端者ではなく、エルフの魔術師としての能力と、人族の柔軟性を併せ持つ2つの種の強みを併せ持った混血種ということなのだ。


 決して半人前というものでは無い。




 チュウ……ジュルジュルジュル……ゴク。


 


「ん、口開けて」


「はい……あんっ……んんっ……」


 俺の舌がリザの口内を蹂躙する。


 欲望のままにリザの甘い魔力を吸い出していく。


 やっべ止められない……




 ……少し吸い過ぎたか。


 リザは脚をがくがくと震わせ、立っているのもやっとの状態だ。


 枯渇に近い状態に見える。ここまでするつもりは無かったのだが……申し訳無い。


「リザ大丈夫か?」


 俺が肩を掴むと太腿を擦り合わせて、崩れるように地面にへたり込んでしまった。


「だ、大丈夫です。少し休めば回復しますので……」


 ほぅと溜息を付くように頬を赤く染めて、熱っぽい瞳で空を見つめている。 

 エルフの血を引くリザは魔力の回復を促進させる特性を持っている。

 このような森の中であれば、その効果も高まる。


「少し片付けてくる。ちょっと待ってろ」


 へたり込むリザに言い聞かせる。


「あっ、待って」


 リザが俺の腕を強く掴む。


「ん?」


 リザが俺を押し倒すかのように覆いかぶさり、唇を重ねてきた。


「いってらっしゃい」


 そう熱っぽい瞳で、彼女は呟いた。 




>>>>>




 この世界のポーションは飲めば瞬時に回復するというほど万能ではない。


 マナポーションだと飲んだ瞬間に幾らか魔力が回復し、更に一定時間徐々に魔力が回復していくと言ったような感覚だ。


 これはライフポーションもキュアポーションも同じである。


 だが闇魔術【魔力吸収】は別である。


 対象から魔力を直接吸い上げ、それを瞬時に自分の物にする。


 正確には不明だが還元率はランクによって上昇しているような感じだ。


 例えば対象の魔力を100減らしても、俺が魔力を100吸収できる訳ではないということだ。


 どの程度かは分かりかねるが、その辺りはリザにも協力してもらって検証を重ねるしか無いな。


 この辺りはゲームのような数値が見えないので、感覚で予想するしか無い。




「おおおおおッ」


 魔力が回復した俺は、手当たりしだいにゴーレムを破壊して回った。

 回収できる魔石も回収しておく。レベルもあがったようだが確認は後だ。


 マナポーションとは違い、一気に魔力が回復するというのは独特の感覚がある。

 体の中にエネルギーが満たされるような感覚。


 一種の快楽にも近い高揚感。


 今なら何でも出来そうな気がする。


「さぁどんどん行くかッ」




 目に見える範囲をゴーレムを掃討し、魔石を回収してリザの元へ戻った。


「リザ動けるか?」


 一応聞いてみるが、まだ時間的に僅かしか立っていない。ほとんど回復していないと見ていいだろう。


「すいません」


「いや、いい。ここでゆっくり座ってるのは危険そうだ。【隠蔽】を掛けて移動したいと思う。いいか?」


 俺はリザに了承をとり、彼女を背負って移動を開始した。




【疾走】は長時間使うと魔力の消耗が激しい。

 目的もなく使うのは危険だ。

 それにリザを背負って使うのは流石に躊躇われる。


 俺は靄の中、地形を確かめながら歩みを進める。


 何処をどう行くかは、リザが指示を出している。


 彼女の直感が頼りだ。


「私も自分が今何処にいるかは、把握しきれていません。なので街までの道を、見つけられるかどうかは……」


 リザの声は自信のないような、落ち込んだものだった。


 直感は別に万能の魔法という訳ではない。


 どうすればいいか選択に迫られた際に、限られた情報から感覚的に最善の手を選べるようにする能力である。


「どのみち俺では全く見当がつかない。ここで立ち止まっている訳にも行かないだろうし、リザの判断が今は最善の選択だ」


「……わかりました」


 リザは決心したように呟いた。




「……ゴブリンだ」


 茂みの中、何かを探るように徘徊するゴブリンの群れを見つける。

 

「今は構ってる場合じゃないな。静かにやり過ごそう」


「はい」


 ゴブリン 妖魔Lv8


 餌でも探しているのか、地面に意識を集中させて十数匹の群れが動いている。


 ギギッ


 ギャィ


 ギギギッ


 時折仲間内で会話をしているような様子を見かける。


 ゴブリン語だろうか。


 人型ではあるし、それなりに知性もありそうだ。


「ギャアアアァァァァァァーーーッ!!」


 1匹のゴブリンが耳を劈く悲鳴を上げた。


 茂みの中から、俺達の目の前に転がり飛び出してくる。


「な、何だこれ?」


 ゴブリンは激しく苦しみもがいて転げまわる。


 グシュグシュグシュ……


 俺はその苦しみの正体を発見する。


 キャタピラー 魔獣Lv10


 背中に取り付いた大型の毛虫が、ゴブリンの首元に齧りつき肉を貪り食っている。


 辺りに血の匂いが広がる。


 ゴブリンは程無くて力尽きたようだ。


「肉食毛虫の魔獣ですね……」


 ふと見上げると空中に無数の毛虫が浮かんでいるのが見えた。


 いや浮かんでいるのではない。


 巨木から広がる枝に糸を付け、そこから垂れ下がっているのだ。

 

 糸が細く靄もあってか視界も悪いため、何もない空中に浮かんでいるように見える。


 彼らの体表に広がる毛は、空気の微妙な振動を感知して獲物を察知するらしい。


 目的の対象が眼下に来た時、糸を切り落下する。


 そして獲物に取り付き襲うのだという。


「……刺激しないように慎重に行こう」


 微かな風に揺られる毛虫。


【隠蔽】を施しているとはいえ、この魔物にどれほど効果があるのかはわからない。


【隠蔽】では音や気配まで隠せない。


 あくまで視覚を欺く魔術なのだ。


 


「……洞窟だ」


 地面に穴が開いている。


 少し盛り上がった地面に、地下へと続くように闇の世界の入り口が開かれていた。


 穴は直径10メートルほどもあり、かなりの大きさだ。


 円形に近く、自然に出来たようなものには見えない。


 坑道と言えなくもないが、木材で補強されたわけでもないので人の手によって作られた物では無さそうだ。


 まるで突然地面に穴が開いたような形跡をしている。


「……危険だと思うか?」


 入り口に立ち尽くす俺はリザに意見を求める。


 周囲を見上げれば、毛虫がゆらゆらと揺れている。


 あれがいつ下りてくるかも分からない。


 魔力を失ったリザを抱えては、多数の魔物に囲まれるのは危険がある。


「何かいる気配はありますが……」


 リザは空を見上げる。


「ここにいるよりは、まだ良いかも知れません」




【灯火】火魔術の熱も持たない火球が、洞窟の闇を照らしだす。


 土壁のようだが意外としっかりしていて、今にも崩落しそうというといった様子でもない。


 とはいえ慎重に進む。


 リザは壁に手を付き、足場の悪い道をゆっくりと進んでいく。


 彼女を背負いながらでは、この場を移動するのは難しい。

 

 それに何か居た場合、咄嗟に対応するにも難があるだろう。


 申し訳ないが、ここは一旦自分の足で歩いてもらうことにした。


 俺は彼女の歩く速度に合わせて【探知】を使いつつ、周囲を油断なく探りながら進んでいく。


「風が流れていますね」


 洞窟内に空気の流れがある。


 ということは、この先が何処かに繋がっているということだ。

 

 道は緩やかだが徐々に下降していっている様子だ。


 やがて俺たちは大きな空間に出た。


 


 巨大な地下空間。


 暗くて先が見えないが、かなりの広がりを感じる。


 生物の気配はなく、あたりは不気味なほど静まり返っている。


 大きな岩がごろごろと転がり、歩きづらいが特に危険な様子はない。


 天井もかなり高いようだ。


 明かりが十分に届かないほどの高さがある。


「不自然ですね……これほどの場所なら、魔物が入り込まないはずは無いかと思うのですが」


 森の中には風雨に長年晒されたり、地下水に侵食されたりと自然現象によって作り出される洞窟などは幾らでもある。


 それらは大抵何かしらの魔物の棲家となっている場合が多い。


 他にも魔物自体が穴を掘り、巣穴を作ったりもする。

 何かの事情で巣穴を放棄する場合、いちいち埋め立てて放棄するなんてことはない。

 打ち捨てられた巣穴は、また別の魔物の棲家となるだけだ。


 このような広大な地下空間で、魔物が1匹も存在しないというのは不自然なことであった。


 もしかしたら地下から毒ガスなどが噴出し、住むに住めなくなった場所なのかも知れない。


 だがそれなら人族よりも感覚の鋭敏な、エルフの血を引くリザが異変を感知するかと思うのだが……  

 

「……なにかいるな」


 地下空間を進むうちに、この場所に何かが潜んでいるのを【探知】で補足した。

 


  


   

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