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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第2章 自由都市ベイル
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第52話 まだ死ねない

 危ないところであった。

 探知に反応しない魔物がいるとは。


 話によればこの世界の全ての生命には大小の差あれど、少なからず魔力を体に宿しているのだ。 


 俺の探知スキルは魔力と臭いを探るものである。例えば臭いもせず魔力を隠せる能力がある者ならば見つけられない。



 

 ガス状の魔物シャドウは、俺に取り付くも衝撃を受けて体から分離した。

 その直後に意識を取り戻した俺は【雷撃】を浴びせて撃破した。


 隠密能力に長けた奴だが、耐久力はそれほどでもなく【雷撃】も普通に効いたので助かった。


 魔石(同調)


 シャドウからスキルを得られたのは、不幸中の幸いというやつか。


 リザは焚き火の傍で横になって眠り、俺も魔力の限界の為にリザの傍で座って休ませてもらった。

 その間アルドラには周囲を警戒していて貰う。


 彼は睡眠を必要とせず、疲れもないので問題ないようだ。

 ただ立っているだけで魔力は消耗し、蓄えた魔力が枯渇すれば幻魔石へ戻ってしまうのだが、魔石は十分あり魔力の補充は効くのでしばらくは問題ないとのことだ。


 アルドラが倒したスケルトンからも、いくらか魔石は得られた。


 魔石(盾術)


 俺は盾も扱うから丁度いい。

 これからの戦いにも役立ちそうだ。


 スケルトンは倒すと、その骨は砕け塵となって消えた。

 盾や錆びた長剣、ボロの鎧などが残ったようだが、売れるかどうかはわからんが念のため回収はしてある。

 損傷が激しいため売れても二束三文だろうが。


「お主も少し眠っておけ。何か有れば起こす」


 アルドラは焚き火の前にドカリと腰を降ろすと、剣を抱えて目を瞑った。

 その言葉に甘えて少し休むことにする。

 さすがに疲れた。




>>>>> 




 俺達は日の出とともに街に戻ってきた。

 俺が眠っている間に何度かグールが来たようだが、1体ずつであったので処理に問題は無かったとのこと。

 起こすまでもないということで、俺とリザは朝まで休むことができた。


 しかし休めたと言っても僅かな時間だ。

 落ち着いた安全な場所でゆっくり寝たい。

 今日のところは家に戻り、戦利品の換金等は後日にしよう。


 リザの水魔術【洗浄】で装備の汚れを落とし、汲み置いてあった水で濡らした布で体を拭いて、寝床へ倒れこむ。

 熱い風呂に入りたいところだが、贅沢は言えない。


【洗浄】で体も洗おうと思えば洗えるのだが、あまりお勧めはしないそうだ。

 この魔術は一定の範囲を霧状の水が覆い汚れを落とすものであるようだが、水は冷たく手の汚れ程度ならまだしも、体を洗うに適しているとは言いがたい。

 まぁ中には気にしない猛者もいるようだが。 


 それにしても疲れたが収穫は多い夜だった。

 ポーションの素材は予定通り手に入ったし、スキルは3つも得て、レベルも上がった。



 

 ジン・カシマ 冒険者Lv13

 人族 17歳 男性

 スキルポイント 2/26

 特性:魔眼

  雷魔術   (雷撃 雷扇 雷付与 麻痺)

  火魔術   (灯火 筋力強化)

  土魔術   (耐久強化)

  闇魔術   (魔力吸収 隠蔽 恐怖)

 魔力操作 F級(粘糸)


  体術

  盾術  

  剣術  C級

  鞭術

  闘気  E級

   

  探知  D級(嗅覚 魔力)

  解体 

  繁栄

  警戒  E級

  疾走

  同調

  耐性   (闇)



  

 エリザベス・ハントフィールド 薬師Lv23

 ハーフエルフ 16歳 女性 

 スキルポイント 2/23

 特性:夜目 直感 促進

  調合 D級 

  採取 E級

 風魔術 C級

 水魔法 F級




 確認してみるとリザのレベルも1つ上がっていた。

 難易度の高い採取を行ったからだろうか。




「ん……ジン様……」


 当然のようにリザは一緒の寝床へ入る。

 まぁいいのだが、ちょっと困る。

 体が疲れているときは……


 リザは寝巻き用の薄手のワンピースのみを身に纏っている。

 下に一枚履いているだけだろう。


 抱きつくように体を密着させ、足を絡めてくる。


 あの時は厚手のローブであったから感触は今ひとつであったが、今は薄手の布一枚だ。

 その奥には何も身につけていない。

 体に触れる感触が……


 俺はそっとリザの背中に手を回し、抱きしめる。


「……もっと強く抱きしめて下さい」


 俺の胸に顔を埋めながらポツリと呟く。


 腕に力を込め、リザを抱き寄せる。


「泣いてるのか?」


 僅かに肩を震わせる。

 ゴーストの攻撃の影響がまだ残っているのだろうか?


「いえ、大丈夫です」


 そう言うリザの声は震えていて大丈夫とは思えない。


 光に属するエルフは闇の魔術に対する抵抗が低いらしい。

 光の力は闇を払う大きな力になるが、闇もまた光を飲み込まんとする危険な力を持っているのだ。


 闇魔術【恐怖】は対象に恐ろしい幻覚を見せたり、辛い記憶を呼び覚ましたりするなどして恐怖を与え、身を竦ませる弱体系魔術である。

 魔術のランクや対象の精神レベルによっては、対象をショック死させるほどの威力があるという、強力な魔術である。


 リザはぽつりぽつりと語りだす。

 あの攻撃を受けて蘇った記憶。


 最初に思い出されたのは冒険者であった父の死。

 

 ほとんど家に居なかったために、顔もはっきり思い出せず、一緒に遊んだような思い出も無いが、大好きだったという記憶はあった。


 そしてアルドラの死。


 居場所のないハーフエルフの自分に、居場所を与え、生きる術を教えてくれた恩人であり、父親代わりの存在。

  

 そしてジンの死。


 ハーフエルフは売れば大金になる。人族の男が私を見る目は人を見る目では無く、奇異の視線を孕んでいたいたという。

 エルフの男にしてもそうだ。わざわざ忌み子に言い寄るような男は居ない。

 リザは男性からまともな接し方をされた記憶がなかった。

 

 1人の人間として、1人の女として、接して頼って優しくしてくれたのはジンが初めてだったという。


「まて!俺まだ死んでないけど!?」


 どうも俺の死のイメージを叩きこまれ、精神を揺さぶられたようだ。

 もし居なくなったら、父と同じように死んでしまったらどうしようと、不安が止まらなくなったみたいだ。


 まぁあの化け物みたいに強いアルドラでも死ぬのだ。


 医療の発達した地球でも事故や病気、昨日元気だった人が今日はもういない、なんてことは幾らでもありえる。

 

 人は死ぬ。

 

 地球だろうが異世界だろうが、それは変わらない。


 いずれは皆死ぬのだ。


 あたりまえのことだ。


 だけど俺はまだ生きてる。


「大丈夫だ、俺はまだ死なない」


 リザは涙を拭いて、顔上げる。


「……実は俺はけっこう強いっぽい」


 え?という表情で俺の顔を見つめるリザ。


「魔眼は隠された魔物の術も見破るし、魔物を倒してスキルも増やせる、能力も操作できる」


「はい」

 

 改めて聞くとすごいと関心した様子で聞き入る。

 その顔は感心した様子である。


「だから心配するな。俺を信用しろ。俺は死なない」


 もし俺が死んだら、たぶんリザは泣くんだろうな。

 アルドラはどうなるんだろうか。

 俺が死ぬと、アルドラも消えるのだろうか。


 父親を失って、父親代わりのアルドラを失って、やっと仲良くなった俺も居なくなったら、リザはどうなるのだろうか。


 寂しい思いをするだろうか……


 リザの泣き顔は見たくない。


 どうせ見るなら嬉し涙を見てみたい。 


「それにこんないい女を残して死ぬなんて勿体無い。まだまだ死ぬには早過ぎる」


 リザの顔が赤く染まる。


 俺はリザを強く抱きしめた。   


「だからもう泣くな」


「はい」


 リザは俺の胸の中で小さく頷いた。


    

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