第48話 ビックフット
ジン・カシマ 冒険者Lv10
人族 17歳 男性
スキルポイント 0/23
特性 魔眼
雷魔術 (雷撃 雷付与 麻痺)
火魔術 (灯火 筋力強化)
土魔術 F級(耐久強化)
闇魔術 (魔力吸収 隠蔽)
体術 E級
剣術 C級
鞭術
闘気 E級
探知 D級(嗅覚 魔力)
魔力操作(粘糸)
解体
繁栄
ゴブリンを倒しまくった成果か、いつの間にかレベルが上がっていた。
アルドラが丁度いい獲物を探してくれていたお陰だろう。
ハードではあったが、着実に強くなっている実感もある。
それにいつ覚えたのか、新たなスキルも修得していた。
バタバタしていて気付かなかったのかもしれない。
まぁ効果については、戦闘系でもないので詳しい検証は後回しにすることにする。
とりあえず使う予定も無いしな。
魔獣グラットンの討伐はまだされていないようだが、アレの出現域は森の境界ということなので、森の中での狩りであるならば出会うこともないだろう。
【隠蔽】であれば欺けるであろうし、たとえ遭遇してもアルドラなら普通に対処出来そうでもある。レベル的に見ても問題無さそうだ。
そうして、その後もゴブリン相手の修行という名の実戦が繰り返された。
ゴブリンを狩り続け、そろそろゴブリンが嫌いになり始めたそんなある日の事だった。
D級 討伐依頼 魔獣ビックフット 推定Lv12~15
ザッハカーク大森林、浅層域リナン川付近にてワイルドラビットの希少種ビックフットの存在を確認。
これの肉、可能ならば毛皮の入手を求める。
特に後脚には傷をつけないように注意。
報奨金 3000シリル
冒険者ギルドの掲示板を眺めながら、適当な依頼をアルドラに読み上げてもらう。
その中に聞きなれない名を聞いた。
「希少種か」
ゴブリン狩りにも飽きてきた。
ゴブリンのスキルも入手済みなのだし、他を狙ってみるのも良いかもしれない。
希少種というのならばレアなスキルを持っていそうだし、運が良ければすぐに手に入る可能性もある。
それにゴブリンではレベルも上がらなくなってきた所だ。
というか10から上がってない。
森の境界より近い部分である浅層域では、レベルの低い魔物が中心だ。
探せばもう少し強い魔物もいるだろうが、数は少ない。
レベル上げの効率を考えて、ある程度の数の群れで俺のレベルと近く、厄介な能力を持っていない魔物となると選択肢は限られてくる。
もう一段階上の魔物となると中層域となるが、それだと強い魔物も格段に増えるため、まだ乗り込むには早いというアルドラの判断だ。
それならばスキル収集を軸に動くのも、1つの手だろう。
「俺達でも狩れるか?」
「ただのデカイ兎じゃからの。問題無いじゃろう」
ならば決まりだな。
ビックフットはワイルドラビットから派生した希少種だ。
森の滋養のある薬草を食べ続けた結果、体は大きくなり後脚が肥大化したらしい。
強靭な後脚から繰り出される飛び蹴りは脅威らしいが、戦士が臆するほどではないようだ。
薬草の滋養が肉に移っているせいか滋養強壮の妙薬として人気があり、貴族から求められることもしばしば在るという。
「それに旨いしな」
兎の肉は脂身が無く、あっさりしているのが特徴だが、このビックフットは脂が乗っていて非常に旨いらしい。
その味わいは同じ野兎種とは思えないほどだという。
「それはいい土産になりそうだ」
徒歩で片道3時間ほどの道程。
平坦な街道を進む訳ではないため進める距離はそうでもないが、魔装具の靴が歩みを補助してくれるお陰もあって苦痛は少ない。
だがそれにしても、アルドラの歩く速度は尋常じゃなく早い。
「現地までの移動もまた修行よ」
その言葉を実行するかのごとく、それほど密度の濃くはない森の木々を縫うように突き進んでいく。
まるで通い慣れた小径の如く、なれた足取りで進むアルドラに俺は付いて行くのが精一杯だった。
途中で何度かゴブリンの襲撃に遭うも、危なげなく撃退した。
奴らの動きの癖もだいぶわかってきたように感じる。
油断するわけではないが【雷撃】に頼らずに戦える事は俺の1つの自信にも繋がっているように思えた。
そんな移動中に捉えた1つの反応。
魔力の量や質から推測するに人族だろう、しかも1人。
ここは既に森に入って1時間以上は経とうかという地点だ。
森は魔物も多く、腕に覚えのある者でも油断ならない場所である。
冒険者ならば通常複数人でパーティーを組んで、互いに補佐しつつ慎重に進むようなところなのだ。
そのため1人で森にいるというのは、かなり珍しいのである。
「ふむ?まぁわしはどっちでも良いが。主の判断に任せよう」
余計なお世話になるかもしれんが、一応確認だけしておこう。
別に正義感とか、人助け的な考えと言うわけでもない。
単に気になっただけだ。
気になったことを、そのままにしておくのも気持ちが悪いので確認するだけだ。
他意はない。
50メートルほど離れた場所に、大きな立ち枯れた巨木があり、その虚の中で身を震わせ縮こまる人影を見つけた。
「おーい、大丈夫ですかー?生きてますかー?」
装備から推測するに冒険者だろう。
30代後半から40代くらいの人族のようだ。
アルドラは俺から少し離れた所から周囲の様子を伺っている。
こいつが盗賊の類か何かで、困ったふりをして馬鹿な冒険者を誘い込みだまし討にしようとする奴とも限らないからだ。
アルドラの直感もあるし、俺の探知も周囲を探っているためそれを掻い潜るのは難しいだろうとは思っている。
俺は油断なく男に近づいた。
状態:毒
毒か。
もし騙すために服毒したなら大した根性だ。
タイミングを間違えば最悪だろうし。
「ううぅ……」
よく見れば、かなり顔色が悪い。
額に汗を流し、小刻みに痙攣している。
これが演技なら俳優で食っていけそうだな。
「キュアポーションです。飲めますか?」
リザ手製のキュアポーションE級。
浅層域に出るような魔物の毒なら大抵解毒できるという優れものだ。
毒の種類を選ばず治療できる便利なものである。
俺はポーションの口を開け、男に飲ませる。
ケビン 冒険者Lv38
おぉ、けっこうレベル高いなこのおっさん。
ケビンはポーションを飲み干すと、即座に顔色が良くなった。
実際に回復するには少し時間が掛るのだが、これで毒の痛みや違和感も拭えたはずだ。
「助かった……すまない、恩に着る」
うめき声をあげていた呼吸も、だいぶ良くなったようだ。
状態が安定したのが見て取れる。
状態:正常
「たまたま通りがかっただけです」
回復するのをしばらく待っていると、おっさんはゆっくりと体を起こす。
「冒険者か?貴重な魔法薬を使わせてしまった様で、申し訳無い。何にせよ助かった。ありがとう」
おっさんは俺に向き直り、丁寧に礼を述べる。
盗賊では無かったようだ。
おっさん、いやケビンは3人組の冒険者で森へ採取に来ていた所、とある襲撃を受けて逃げる際に仲間と逸れてしまったらしい。
「仲間の一人が背後から奇襲を受けたんだ。まぁそれは上手くやり過ごして、事無きを得たので問題ないのだが、慌てて逃げる際にうっかりマーシュバイパーの棲家を踏み抜いてしまったようだ。最近ポーションの値段が高騰していて買うのをケチったのがマズかった。面目ない……」
狩りに出る際には、薬の類は十分に用意して行くようにギルドの講習でも言ってたぞ?
「襲撃って魔物ですか?」
「いや噂の魔人だと思う」
魔人。
っていうか噂って何?
1年ほど前に、森に魔人が出るという噂が流れたそうだ。
証拠もないため噂の域を出なかったわけだが、ボロの外套に赤い目を輝かせた姿を数人の冒険者に目撃されているという。
「数人の冒険者のうちの1人が鑑定持ちだったんだ。それでステータスに魔人と出たらしい」
その魔人は突然背後から現れて、剣で斬りつけてくる通り魔だという。
しかしその鑑定持ちもとっさのことで情報に確信が持てず、更に憶えていたのはその項目だけだったため見間違いという判断で落ち着いたそうだ。
その噂の魔人もごく短い期間に数例の目撃があっただけだった事もあってか、すぐに冒険者の間でも忘れられることになった。
「襲われたという人も魔術で保護されていたようで、怪我もしなかったということもあってか、誰もその情報を重要視してなかった」
それが最近になってまた、目撃例が出たということらしい。
「何人か怪我人が出ているらしい。まだ噂の魔人なのか、繋がりはあるのかどうなのか、そもそも魔人なのかギルドも情報は掴んでいないと思うが、注意喚起はされているみたいだ」
注意喚起?
されてたっけ……?
朝ギルド寄ってるんだけどな、そんな話を聞いた覚えはないが……
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俺たちはケビンと別れ、ビックフットの目撃場所を目指して再出発した。
「あの魔人の話、ウルバスってことは無いよな?」
「ウルバスが剣を使っているところは見たことが無いのう。それに何となくじゃが違うと思う」
アルドラの直感は当たるからな。
違うと思うなら、違うのだろう。
ケビンたちを襲ったのが本当に魔人かどうかはわからないし、過去に目撃された件も含めて情報が少なくて判断できない。
まぁ俺がどうこう考える話でもないのだが。
ケビンは体力の回復を待ってから街に戻るらしい。
戻るだけなら1人でも問題無いそうだ。レベルも高いし大丈夫だろう。
それにしてもマーシュバイパーの毒か。
あんな高レベルになっても死にかける毒ってどれだけ強力なんだよ……恐ろしいな。
「マーシュバイパーの毒はそれほど強力ではないぞ。放っておいても死ぬような毒ではない。ただ3日間は高熱と痛みにうなされ眠れぬ夜を過ごすだろうがな」
レベルもそれほど高くなく、特別強力な魔物でもないそうだ。
噛む力も強力というほどでも無いため、俺達が装備している黒狼の装備の防御力なら防げるのではないかとアルドラは言う。
それでもあのケビンの姿を見ると、かなり苦しそうだったがな。
「そうか今まで気にもしていなかったけど、毒の対処も考えておかないとな」
幸いにリザがキュアポーションを大量に持たせてくれているため、その点で言えば安心だ。
目的の場所にたどり着くと、そこには大量のワイルドラビットが潜んでいた。
土に穴を掘って潜んでいたり、藪に隠れているためぱっと見は分からないのだが、俺には探知と魔眼があるため余裕で発見することができる。
ちなみにどちらも持っていないアルドラだが、彼もまた余裕で発見していく。
直感便利過ぎる。
「ワイルドラビットも狩りつつ、ビックフットを探すか」
ワイルドラビット 魔獣Lv3
レベルが低いためにレベル上げにはならないが、売れば金になるし晩飯に丁度いいだろう。
ギルドでは毛皮は買い取ってくれるようだが、生肉はたしかダメだったような気がする。
その場合はギルドで肉屋を紹介してもらおう。
アルドラのS級の【収納】であれば時間経過がしないようなので、生肉も大量に保存して置けるようだ。
あまり大量に入れると出し入れが大変らしいので、アルドラはいい顔しないが、狩っておきながら肉を捨てるようなことはしたくない。
日本人的なもったいない精神が、それを許さないのだ。
ワイルドラビットは警戒心が強く近づくと逃げてしまうが【隠蔽】で近づき【麻痺】で拘束するコンボで捕まえ放題である。
しかも無傷で捕縛出来るため、その後の利用価値も高い。
アルドラはというと、剣の腹で殴り倒して気絶させて捕縛している。
力技だ。
「よし!魔石ゲットだぜッ」
レベルの低いワイルドラビットは魔石持ちが中々居なかった。
でもようやくちらほら魔石が見つかるようになってきて、ついにスキル付きを発見した。
魔石(警戒)
警戒か。
警戒心の強いワイルドラビットならではの納得のスキルである。
【警戒】を修得すると、その使用法が理解できる。
どうやら危険を察知するようなスキルのようだ。
死角から、例えば目の届かない背後などへの攻撃を察知して対処できるといったような能力らしい。
ランクを上げれば効果範囲が拡大し、より感覚が鋭くなるようだ。
これはいいスキルを手に入れた。
「見ろジン」
アルドラが手に乗せた粒を見せてくる。
「何だ?」
「ビックフットの糞だ!」
汚え!
「別に汚くないぞ。奴らは薬草しか食わんから、この糞の主な部分は未消化の薬草なんじゃ」
そう言われるとそれほど臭くはない。
草の匂いだ。むしろいい匂いかも。
でも、う○こはう○こだろ?
「これは薬草丸といって、街では乾燥させて薬として売られておるぞ。コップに入れて湯を注いで飲むんじゃ」
なんでも整腸作用があるらしい。
う○こ茶にして飲むのかよ……
俺なら絶対飲まん。
「これがあるということは近いな」
糞は湿り気があってまだ新しい。
近くにビックフットがいるのは間違いないようだ。
こっそりアルドラが糞を回収していたのは、見なかったことにする。
まさか家で使う気じゃないよな?
「いたぞ」
川沿いの草むらで、むしゃむしゃと草を食んでいる兎を発見した。
「ものすごいデブだな……」
ビックフットっていうか、全部ビックなんだけど。
あれならビックラビットで、いいんじゃないかな。
いろんな部分の肉がたるんで、肉塊と化している。
長い耳があるお陰で、かろうじて兎と認識できそうだ。
ビックフット 魔獣Lv10
依頼書の推定レベルよりも低いようだが?いいんだよな?
「あれはあくまで推定であって確定ではないからのう。まぁ多少の違いがあっても仕方の無いことじゃ」
ギルドの手配した斥候が調査を行っているが、誤差が生じることも多々ある。故に推定なのだ。
俺は念のため背後に回り込み【隠蔽】を付与して接近した。
気づかれる様子はまったくない。
草地を歩けば歩く音くらいはするのだが、食うことに夢中で気がつかないようだ。
ゆっくり慎重に歩いて、距離を詰める。
雷魔術【麻痺】の有効射程に入ったと同時に、魔術を発動させる。
ピシリッ
極細の紫電の帯が、蛇のようにうねり、獲物へと襲いかかる。
一瞬紫の雷光が兎の肌を滑るように走ったかと思うと、その光が消える頃には地面に醜く転がり口から泡を吹いて痙攣する魔物の姿があった。
「余裕だな」
無事依頼を達成することに成功した。
後は自分用のビックフット捕獲大作戦だ。
川沿いの草むらを探しに探した。
薬草が餌というので、まずその群生地を探す。
この川沿いには薬草が沢山生えているようで、それほど時間も掛からずに見つかった。
活力草 素材 F級
日陰草 素材 F級
癒やし草 素材 F級
知らない種類の薬草もあって少々気になるが、今日の目的はビックフットだ。
薬草採取はまたリザと来た時にしよう。
そんな事を考えつつ、捜索を進めると見つけた。
ビックフットだ。
【隠蔽】+【麻痺】の最強コンボが炸裂する。
安心の効果である。
その後もビックフットを狩り続け、合計7匹狩ったところでスキル付きの魔石を発見した。
魔石(疾走)
あの体で【疾走】かぁ。
とても軽快に走れる容姿では無いけども。
動けるデブってことか?
まぁ何でもいいけど。
レベルも1つ上がった。
帰る時間には少し早いが、帰りもまた3時間ほど掛るのだ。
成果は十分だし、今日のところはこれで切り上げるとしよう。
「この【疾走】がどんなものか試してみるか」
【疾走】は文字通り早く走れるスキルのようだ。
「アルドラついて来れるか?」
「ぬかせ」
アルドラは顔では笑っていたが、目は笑っていなかった。
>>>>>
俺はきた道を疾走スキルで駆け抜けた。
地形はだいたい頭に入っている。大地を蹴り、木々を縫うように走り抜け、途中出くわしたゴブリンの群れをぶっちぎる。
岩を飛び越え、風を切って進んだ。まさに【疾走】これスゲー。超いいスキル手に入れた。
しかし、しかしだ。
なぜ、ついて来れる?
「ありえねぇ……疾走スキル持ってったっけ?」
「ない」
アルドラは短く答えると、余裕の笑みを見せる。
「くそっ、化け物め!」
「地力の違いじゃろ」
アルドラは意外と勝負に拘るたちらしい。
いや、意外でもないかけっこう子供みたいな所あるしな。
街へ近づくと、俺は疾走スキルを解除した。
スキルを誰彼へと見せびらかすつもりは無いからである。
切り札は隠しておくものだからな。
まぁ魔力が切れかかっているという理由もあるが。
どうやら疾走スキルは燃費がすこぶる悪いらしい。
時間経過で消費量がどんどん上がっていく感じだ。
それに疲労感も相当なものだ。これは慣れのせいもあるかもしれない。
短時間の散発的使用なら、それほどでも無いのかもしれないが、長時間使い続けるのは割にあわないかもしれない。
よほど緊急のとき以外は避けたほうがいいだろう。無駄に魔力を大量消費してしまうようだ。
「ん?また反応が」
「何じゃ?」
ベイルへ帰る途中の街道沿い、大きな木の根元にへたり込む人影が見えた。
盗賊Lv12
そして近くの草むらにも。
盗賊Lv16
盗賊Lv17
盗賊Lv17
「アルドラそっち頼める?」
「まったくお優しいことじゃのう」
アルドラはやれやれと溜息を吐きながら、草むらへ近づいていった。
俺は木の根元へと歩み寄る。
「ううううぅぅぅ……あっ、冒険者の方ですか?すいません、助け、ぶべらっ!?」
盗賊が俺の近づく気配に気づいて立ち上がり長台詞を語り出すも、最後まで聞くのが面倒くさかったので【麻痺】を撃ち込んでしまった。
弱っているフリで騙すつもりだったのかどうかは知らんが、演技が下手すぎる。
起き上がるのも早すぎるし、元気すぎるだろう。
アルドラのほうも片付いたようだ。
問答無用のグーパンで気絶させたらしい。さすがだ。
ギルドの講習では盗賊を殺害しても罪には問われないと言うのは聞いている。
盗賊に人権はなく、国民でも無いため死のうが生きようが知らんということらしい。
また盗賊には更生する余地が無いとも言われている。
そのためなのか、捉えて罪を償ってもらうだとか、裁判にかけるといった考えには及ばないようで、大抵の場合その場で斬首になることが多いようだ。
ベイルまで近いというのに、馬鹿な奴らだ。
普通街の近くで盗賊が潜むことはないとされている。
何か有ればすぐに追手がかかるからだ。リスクが高過ぎる。
となれば盗賊が街の近くを彷徨くのは、よほど何か理由があるか、救いようのない馬鹿のどちらかであろう。
アルドラは4人の盗賊を担ぎ上げる。
気絶しているだけで死んでは居ない。
「悪いな」
「まぁ良い。それがお主の美徳でもあることじゃしのう」
そんな大したものじゃない。
ただ臆病なだけだ。




