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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第2章 自由都市ベイル
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第34話 スキルの確認

 シアン・ハントフィールド 獣使いLv3

 ハーフエルフ 14歳 女性

 スキルポイント 2/3

 特性 夜目 直感 促進

 同調 F級

 調教

 使役


 やや緑みの明るい青色の髪を持つ、青い瞳の少女である。

 顔立ちはリザにも似ているが、より幼くした印象を受ける。

 彼女のことはまだよく知らないが、大人しい少し周囲に対して警戒心のある娘のような気がする。


「獣使いか。初めて見た」


 獣使いは、かつては犬使いと呼ばれていた職業だという。

 放浪の妖精族ミゼットの他者と心を通わせる技を昇華させ生まれた職業らしい。

 ミゼットは小柄で彼ら自身は戦闘力の低い種族であったが、魔獣を使役することで安全な旅を続けることができるのだという話だ。


 ゲームでもよくある職業だよな。

 

 テイム系ってやつか。


 俺も昔オンラインゲームで、この手の職業でプレイしていた記憶がある。


 もしかしたら俺もスキルさえ修得すれば、そういったプレイがこの世界でも出来るかもしれない。


「……もういい?」


「え?ああ、ありがとう」


 シアンはそう言うと、足早に自分の部屋へと引き上げていった。




>>>>>




 料理の仕込みも終わり、夕飯まで時間があるため手持ち無沙汰になった俺は、家から出て近くの空き地へ来ている。

 

「なんじゃ、こんなところで?」


 ワイン瓶を片手にラッパ飲みする子供というのも、ひどい絵面だ。

 この国には飲酒に対する年齢制限は無いらしいので、問題無いとのことだったが。


「ああ、いろいろ確認したくてね。スキルについてはアルドラが1番詳しそうだったから」


 あの家で1番の年長者で、元冒険者ならそれなりに詳しいだろう。

 いままで落ち着く暇が無く、後回しになっていたが


「まぁそれなりにはな」


「気になるところがあったら聞くから教えてくれ」


「あい、わかった」


 アルドラはそう言うと、地べたにあぐらをかき、酒を煽った。 




 ジン・カシマ 冒険者Lv1

 人族 17歳 男性

 スキルポイント 1/14

 特性 魔眼

 雷魔術 C級(雷撃 雷付与)

 火魔術 F級(灯火 筋力強化)

 土魔術  (耐久強化)

 闇魔術  (魔力吸収 隠蔽)

  体術

  剣術

  鞭術

  闘気 F級

  探知 F級(嗅覚 魔力)




 俺は改めて自分のステータスを確認してみた。


「あれ?漂流者から冒険者に変わってる?いつの間に……」


 レベルも1に戻っている。

 これは冒険者に職業が変わったせいだろうが、いつ変わったんだ?


「あ、そういえばギルドで転職したんだったな」


 そうか、そうだった。


 転職すれば、このステータスも変わるのは当然だ。

 就職という意味ではなく、転職は自分の能力を変更するということになるのか。


「そもそも職業って何なの?」


 ステータスに記載されている職業とは、はるか昔に人がまだ多くの魔物に蹂躙されていた時代、人族の魔術師が生み出した付与魔術の1つらしい。


 獣人のように優れた身体能力も、エルフのように優れた魔術も、ドワーフのように頑強な体も持たない脆弱な人族は、ただ1つの武器、繁栄する力によってなんとか滅びの時を迎えずに、そのか細い生を繋いでいた。

 なんとかその状況を変えようとしたある人族の若者が、さるエルフの娘に懇願し魔術を修得、やがてその魔術を仲間に伝え、人族に魔術が浸透していった。

 しかし魔術を僅かに使えるようになったとしても、状況はあまり変わらなかった。

 人族の魔術師の始祖である男は、長い間研究に明け暮れやがてある1つの魔術を完成させた。


 それが後に職業と言われる付与魔術であった。


 それぞれ人の得手不得手によって、成長の指針を指し示す。

 魔術の適正が高い者には魔術師の職業が発現するようになり、肉体に自信のあるものは戦士の職業が発現するようになった。

 やがて魔術師の始祖となった男はエルフの娘と夫婦となり、エルフと人との交流は活発になった。

 それにともなって魔術師の適正を持つ者が大きく増え、やがてエルフの得意とする治癒術を使えるようになった治療師の職業が発現するようになった。


 エルフと人との同盟がきっかけとなり、やがてドワーフ、獣人とも交流を活発化させるようになる。


 それにより戦士の職業が増加し、狩人の職業が発現するようになった。


 好奇心が強く、欲が強く、貪欲に知識を求め続ける人族は、その後も多くの多種族との交流を持ち、多くの技術や文化を手に入れていった。


「冒険者がいるような街の酒場に行けば、たいてい吟遊詩人がこのような詩をやっておる。人族の中では、それなりに有名な神話の1節じゃ」


 他にも魔術師の男とエルフの娘のラブロマンスだったり、その息子である世界で最初のハーフエルフの英雄が魔竜を打ち倒すまでの冒険譚であったり、ルタリア王国建国に携わった王を支えた黄金騎士の話あたりが、ルタリアでは人気の物語らしい。


 ただし何処までが真実で、何処までが虚構なのかは定かではないようだ。


 ちなみにステータスに表記されている職業と、実際に仕事として給与を貰っている職業は必ずしも同じではない。

 ステータスに表記されている職業は、あくまで先人たちが残した人が生き残るために生み出された力である。


「なるほどな。でも職業については真実なのだろう?」


 戦士に向いてる奴は戦士に。

 

 魔術師に向いてる奴は魔術師に。


 そいつの成長の指針が示される。


「そうじゃ。戦士に向いてるものは、それ相応のスキルが身につきやすい」


 スキルは後天的に覚えるもの。

 

 剣の稽古を続ければ剣術スキルを。


 魔術の修行を続ければ魔術スキルを。


 戦士の職業を持つなら魔術を修行するより、剣術の稽古を行うほうがスキルを得る可能性が高い。

 また戦士、魔術師、狩人が全員剣術C級のスキル所持していた場合、一番より強くスキルの影響を受けるのは戦士となるらしい。


 スキルとは能力の補正。


 元々在る才能を更に引き伸ばす力。


 元が無ければ意味は薄い。


 剣を見たことも聞いたこともない男が剣術S級を持っていても、強くはならない。


 剣術スキルを持たない男でも、その生涯を剣のみに費やし研磨させた技は、やはり強力な武器となる。


 重要なのは、下地とスキル両方。


 いやそれだけでは無い。


 経験や知識、あらゆる物が合わさり、1つとなることで人としての強さが決まる。


 レベルは1つの目安に過ぎず、真の強さはその先に在る。


「レベルを上げ、スキルポイントを得る。それも強くなる1つの要素。だけどそれで終わりじゃない」


「そうじゃ。スキルを理解し、その利用法を知る知識。様々な人生経験。柔軟な感性。鍛えあげられた肉体と精神。その全てが合わさり人の強さとなる」


「つまりは勉強して体を鍛えて、いろんな経験をしつつ己を磨き、レベル上げしろってことか」


「うむ。強くなりたいのならな」


「すげえ大変じゃん……」


 この世界の人の強さは、本人の力量+スキル+装備で決まるようだ。


「あたりまえじゃろ。苦労せず手にした力に何の価値がある?」


 アルドラはさも当然とばかりに正論ぽい言葉を吐いた。




 体から赤いオーラが立ち上る。

 

【筋力強化】を付与された俺の体は力に漲り、今なら重量挙げも余裕で出来そうだ。


 腰に差した鞘からショートソードを引き抜き【雷付与】を施す。


 剣肌を舐めるように紫電が疾走った。


 続いて俺はポイントを変更して【闘気】を発動させた。


「なるほどな。これが【闘気】か」


【闘気】を使用する際に、それが身体強化の類で在ることはわかっていたが、それ以上はわからなかった。

 アルドラに聞いて自分で使用して確認し【闘気】の全容が判明した。


【闘気】を使用すると、それまで肉体に付与されていたバフ魔術が強制解除される。

 だが武器に付与されている分は解除されないようだ。


【闘気】使用中は魔力を消耗し続ける。

 強力な身体強化スキルである。

 本来獣人族の限られた才ある者だけしか発現しないとされている希少なスキルであるという。


 魔力の消費を多くすればより強化の割合を引き上げることも可能らしい。

 スキルのレベルを上げることで魔力消費と身体強化の効率が上昇する。


【闘気】使用中は魔術が使用できなくなる。

 また体のあらゆる機能が上昇する。

 感覚が鋭くなり、筋力や耐久力が上昇し、傷の治りが早まり、軽い毒なら自然に治癒するのだとか。


「めちゃくちゃ強力じゃないっすか」


「うむ。獣人族は少ない魔力量故に考えて運用しなければ、あっという間に魔力枯渇で倒れてしまうが、その点お主の場合はあまり残存魔力に気を使わんで良いだろうから強力じゃろうなぁ」


 魔力、つまりゲームで言うところのMPはいわゆるスキルや魔術を使用するための燃料である。


 世界中に様々いる種族の中で、もっとも内蔵魔力量が豊富とされているエルフ。

 話しによればどうやら俺は、彼らの数倍の魔力量があるらしい。

 いくら魔術を使ったところで、大した消耗した気がしないのはこのためだったようだ。


 スキルや魔術に使用する以外にも、日常的な動きつまりは走ったり跳んだり泳いだりという行動にも僅かながらに魔力は消費しているという。

 カロリーみたいなもんか。ちょっと違うかな。

 

 魔力を使いすぎると、俗に枯渇と呼ばれる状態になり、一時的に運動能力の低下、集中力の低下、体力の低下を引き起こす。

 場合によって気絶、または強制睡眠という深い眠り状態となる。

 魔力枯渇で直接死ぬことは無いらしいが、心臓に疾患を抱えているなどした場合どうなるかわからないそうだ。


 これらの症状は個人差があり、あまり症状の出ない者や重症化する者など様々である。

    


 

【隠蔽】


 肉体に付与することにより他者からの認識を阻害し、見つかりにくくする。

 

 認識された状態で付与しても、姿を隠す効果は得られない。だがそれ以外の者には効果が発生する。


 例えばアルドラに見られながら俺自身に隠蔽を施すと、体に黒いオーラを纏っているように見えるだけで、アルドラには俺のことを普通に認識できる。

 だがアルドラ以外の者からは俺を認識することはできない。

 

 姿を隠すだけで、音や気配、匂いなどは誤魔化せない。

 

「これもかなり強力なようだが、最強というほどでもないようだ」


「鍛えられた獣人の鼻や感覚は誤魔化せんじゃろうな。雑魚相手なら相当強力じゃが」




【灯火】


 熱量の無い、火球を生み出す魔術。

 基礎魔術と呼ばれるほど、広く認知されている有名な魔術の1つ。

 火魔術に適正のあるものなら、多くのものが使用可能らしい。


 洞窟や夜間の光源に利用される魔術だが、使用する場所を考えないと魔物を引き寄せる場合もあるため注意が必要。

 魔力の消費量は微量で、長く持つため使い勝手はいい。


 特定の場所、空間に固定して設置することも可能。

 通常は使用者のいくらか上空を自動追尾するようになっている。


 使えるようになると炬火が必要なくなるため、初級冒険者にも有難い魔術の1つ。


 ちなみに炬火とは、いわゆる松明のことで木の棒の先端にボロ布を巻きつけ、スライムオイルを染み込ませた物で数時間火を灯し続けることができる。

 洞窟や夜間の探索には必需品の冒険者必須アイテムの1つである。


「俺は魔眼があるから、あんまり必要ないな……」




【雷撃】


 指先から撃ち出す紫の光を放つ雷。

 

 消費魔力は少なく、威力は高い。

 射程は短めだが光の速さなのか、ほぼノータイムで目標物に着弾する早さ。

 連射したり、両手から同時に打ち出したり、武器から打ち出したり【雷付与】を触媒として絡めたりと俺の命を繋いでいる頼れる魔術の1つだ。


 この魔術は威力が高いだけでなく【雷撃】によって相手の筋肉を弛緩させ、いわゆるショック状態という生物の動きを麻痺させる効果もある。

 この力を1箇所に留めたのが【雷付与】である。

 

【雷付与】は肉体に付与することも、武器に付与することも可能。

 雷のダメージを対象に与えつつ、ショック状態にて対象の動きを阻害する。


 この世界の魔術にはゲームなどのような詠唱と言うものは必要ないようで、その代わり魔力を集中させイメージする時間は必要のようだ。


「ちょっと待て。詠唱が必要ないこともないぞ?」


 アルドラの話によると、詠唱というのはイメージを高めるための儀式のようなものらしい。

 未熟な魔術師などは詠唱を行うもののほうが多く、熟練者においては少なくなるといったような具合のようだ。


「我が名に従い、かの敵を焼き尽くせ!」などというフレーズの詠唱呪文があったとすると、この呪文を唱えるとある火魔術が完成するというイメージを最初に叩きこむ。

 そうするとこで如何なる状況でも安定して魔術を行使できるようになるらしい。


 イメージというのはやはり重要なようで、1人練習で出来たことでもいざとなると、うまくいかないというのはザラであるそうだ。

 しかしそれが練習ならよいが、命を掛けた実践でとなると取り返しの付かない事態にも成りうる。


 戦闘での緊張感や恐怖。怪我や状態異常による集中力の乱れ。

 常に強固なイメージを持って、安定して魔術を行使し続けることは、熟練の技術が必要となるのだという。

 

「今まで簡単に使ってきたけど、そんな高度な技だったのか。もしかして俺ってすごいのか?」


 確かに雷魔術の威力はすごいと思う。

 無意識だとは思うが、俺の自信になっている部分でもあるだろう。

 そうでもなければ古武術の達人でも、剣術の達人でもない普通の一般社会人の俺が魔人や魔物相手に立ち向かおうとは思わない。 

 情けなくとも、卑怯だとしても、自分の安全をまず確保するべく立ちまわるはずだ。

 

「魔力量にしてもそうだが、雷魔術は火と風を極めると修得に至るとされる高等魔術だと聞いたことが在る。それを子供ながらに安々と使いこなすのだから、どれほどのものかうかがい知れよう」


  

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