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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第226話 緊急会議

「そんな勝手なことが許されると思っているのか! てめーはギルドからの任務を何だと思っているんだっ」


 俺の説明を聞いたレドが、声を荒げて息巻いた。 


 調査隊本部と帰還した俺は、本部内にいたシフォンを始めとした隊員に呼びかけ、その事情を話した。


「依頼主は遺跡の管理者で、ミスラの有力者でもあるレイシ様です。任務の成功次第では遺跡調査にも大きく協力してくれると約束してくださっています。調査隊にとっても悪い話ではないかと」


「なるほど、そうか。そうだな」


「シフォンさん、ジンの勝手を許すんですか? これは調査隊にとって有益かどうかって話じゃねー、調査隊の任務に同行している一冒険者のコイツを、任務中に好き勝手やらせていいんですかってことですよ! こんな勝手なことを許していたら隊の士気にも関わることです。士気が低下して隊の規律が乱れれば、任務の進捗にも影響するって話でしょーよ」


「先ずは俺の話を聞いてもらえますか? その上でシフォンさんが判断してください」


「てめぇ、ジン・カシマッ! 俺を無視するんじゃねぇーッ!!」


「落ち着いてくださいレドさん。島民と仲良くしろって言ったのはレドさんも同様じゃないですか。俺は調査隊の立場を十分理解して行動しているつもりですよ。それでも俺の言葉は聞けないっていうんですか?」


「ああ? ごちゃごちゃと――」


「レド、少し黙っていてくれないか。私はジンの説明を聞きたい」


「……シフォンさん、あー、くそっ……わかりましたよ」



 

「……ふむ。なるほど、確かに興味深い」


「この地図を見てください。これ転移門ですよね。このような配置、遺跡の他の場所で見たことがありますか?」


「いや、見覚えは無いな」


「広い空間に複数の転移門が円状に配置されている。他場所では見かけない配置。何か特別な場所だとは思えませんか? 他にもあるのかもしれないけど、少なくとも調べる価値はありそうですよね」


「確かに。どこに繋がっているのかも気になるな。それにこの空間がある周囲の状況も重要だろう」


「そうですね。例えば、すぐ近くにあるこのあたり、形状からして自然の物ではない。場所によってはゴーレムに警備させてある区画もあるそうです。何か重要な意味がある場所なのかもしれない」


「そのあたりの情報はミスラ族は把握しているのか?」


「いえ、把握していないと思います。少なくともレイシ様は掴んでいないそうです。もちろん彼の言葉を信用すればの話ですが。遺跡は祖先から守護を任された神聖な場所で、調査するという概念を長らく持たなかったそうですので。その点で言えばレイシ様は海人族の中でも異端になるのかもしれません」


「我々の所有している地図と合わせると、かなり広範囲の情報が得られるな。それに遺跡を自由に行動して良いというのも魅力的だ。任務もそうだが、個人的な好奇心を刺激されるね」


 シフォンは調査隊の代表でもあり、魔導兵を操る魔術師でもあり、歴史的な遺物を調査する研究者でもある。単なる仕事としてではなく、一人の人間としての好奇心が任務への原動力というところもあるのだろう。

 

 おそらく目に触れたことがあるのは僅かな海人族のみ。研究者が遺跡の深部に到達するのは、ベイル調査隊が初めてとなるはずだ。この事実は遺跡を検分する一研究者として心躍らない筈がない。


「なるほど。興味深い提案だが、調査隊を預かる身としては簡単に許可することはできないな」


「……そうですか」


 知的好奇心の強そうなシフォンさんなら食いついてくれると思ったが、そう簡単にはいかなかったか。確かに安易に目の前にぶら下げられた餌に食いついて、調査隊を危険に晒すことはできないだろうな。


 遺跡調査の権限は十分に魅力的な飴になったようだが、魔物は深部の方が強力だというし、結界があるとしても完全ではない。罠もある。本来であれば時間をかけて少しづつ進むものなのだ。


 与えられた情報を頼りに、一気に進もうというのだから不安はあるだろう。情報が完全であるという保証もないのだ。他者の命を預かる者として、簡単には決断できない。その考えはわかる。


 遺跡は広大だ。どうしたって調査には時間が掛かる。情勢不安定なレヴィア諸島で、このまま調査が滞りなく進むかどうかもわからないしな。判断としては難しいところか。


「それに書類の整理も終わってないしな。先ほど不備が見つかったので、書類の洗い直しをしなければならなくなった。大変な労力になるが仕方あるまい。数日間は書類整理に追われることにだろうな」


「…………」


「そうだな、書類整理は研究者たちがいれば問題は無いから、護衛として調査隊に参加している冒険者諸君には数日間の休暇を与えようと思う。島外でなければ、どこで何をしてもかまわない。自由にしてくれ」 


 調査隊としては巫女の護衛任務を受けることはできない。あくまで調査としての戦力しか用意していないという調査隊には危険のある話だと判断したのだ。


 ただ休暇中の隊員が、島内で自由に行動することは見逃してくれるらしい。レイシによれば遺跡の入口は島内にあるという。島の地下なら島内と言えなくもないだろう。


 シフォンの英断に感謝しつつ、他の隊員とも話をつけ護衛任務に参加する人員は俺とリザ、ミラさんにアルドラ。それとB級冒険者のフィール、リディル、ダリア。C級冒険者からレド、キース、ブルーノの参加となった。


 できれば女性陣は留守番をと思っていたのだが、リザはダメだと言ってもついてくるだろうし、危険な任務であれば治癒師は必要だとミラさんも参加することになった。力量的にも不安のあるシアンは他の冒険者や研究者と共に留守番だ。


お読みいただき、ありがとうございます!

ブクマ、評価よろしくお願いします(=゜ω゜)ノ

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