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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第188話 訪問者

 柔らかなシーツの感触。毛布から這い出ると、カーテンの隙間から朝日が差し込んでくるのが見えた。


 宴会が終わって屋敷に戻ってきたのか。いつ戻ってきたのかは、まったく記憶にないが……


 体に触れる感触に気付き毛布をめくって確かめると、腰のあたりに抱き着くシアンの姿があった。


 すぐ傍にはリザの姿も見える。自分の姿を確かめると、服の類は一切身に着けていない。それは彼女たちも同様だった。


 朧げな記憶を手繰り寄せる。うーむ。たしか、帰って来てから2人を部屋に招いて……うん。そうだった。朝方まで頑張ったんだっけ。


 リザの髪を撫でる。指通り滑らかな艶のある髪。美しい髪が白い肌に映える。


 ついでにと柔肌を撫でる。傷一つないすべすべの肌。撫でてるだけでも気持ちいい。


「んっ……」


 調子に乗って全身を撫でまわすが、少し反応があっただけで起きる気配はない。よほど疲れているのか。いや、たぶん俺が疲れさせてしまったのだろう。


 もう少し静かに寝かせてあげようと思ったが、あまりの柔らかさと気持ち良さに手を離すことができない。困った。


 朝のゆったりした時間を楽しんでいると、自分の体にまとわりつく感触に気が付いた。


「兄様おはようございます」


 いまだに腰のあたりに抱き着くシアンが、毛布の下から屈託のない笑顔を見せる。


「ああ、おはようシアン」


 務めて冷静に答えるが、まったく冷静になってない部分がすぐ傍にある。顔が近い。すごく近い。吐息が掛かってくすぐったい。というかワザとやってるなシアン。


「兄様はすごいですね……」


 何がすごいのかはよくわからないが、敢えて聞かないでおいたほうが良いのだろうな。


 言葉なく上目づかいで見つめてくるシアン。まるでこちらの出方を伺っているようだ。


「あー、ちょっと頼んでもいいかシアン」


「はいっ」


 その言葉を待っていたとばかりに、シアンは弾んだ声で答えた。


 しばらくして耳元での物音に起こされたリザも加わり、朝から2人を相手に頑張ってしまうのだった。



 

 部屋の外からドタドタと騒がしい足音が聞こえた。


 どこかで聞いたような若い女の声。乱暴に開けられる扉の音が聞こえ、その足音はどんどんこちらへと近づいて来ている。


 そして、その足音はこの部屋の前で止まった。


「いつまで寝ているつもりだジン・カシマ!起きろーッ!!」


 大声と共に部屋の扉が開け放たれた。


 そういえば部屋の鍵はいつも閉めていなかった。声の主は遠慮なく部屋へと侵入すると、寝台から毛布を剥ぎ取った。


「あっ、待って――」


「もうとっくに日は昇っ……うあああああああッッ!!?」


「……リディルさん、借りている間は一応俺たちの家なので、勝手に入ってこられては困るんですけど」


 俺は彼女へと窘めるように言葉をかける。


「なんでっ、そんなっ、同じ寝台に!しかも裸で!????変態だよ!変態!」


 リディルは両手で顔を隠し狼狽した。この世界にも変態なんて言葉があったのか。意味は同じなのかは不明だが、彼女の使い方を聞くと似たような物なのかもしれない。


 リザとシアンは咄嗟に俺を盾にして身を隠した。俺は毛布をリディルから奪い取りリザに渡した。


「彼女たちは俺の妻なので、一緒に寝るのは普通ですよ」


 俺は寝台から降りて手早く着替えを済ませる。


 リディルは慌てて後ろを振り向きうずくまった。今更であった。


「えええ!?そうなの!?人族はそうなの!?」


 リディルは混乱の極致といった具合だ。どうやら彼女は、こういったものに耐性がないらしい。リザの話では年齢的には大人であるという話だが、まぁ大人だとしてもそういったことに慣れていない、もしくは知識がないのかもしれない。


 小人族の文化や価値観についてはリザも詳しくはないそうだ。まぁ、しばらくすれば落ち着くだろう。

お読みいただき、ありがとうございます!

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